「人工涵養による地熱貯留層管理 技術の開発と実証に向けて」 平成27年

平成26年度 地熱部事業成果報告会
「人工涵養による地熱 貯留層管理
技術の開発と実証に向けて」
平成27年7月10日
1
目的
国内の地熱発電所においては、蒸気生産量と自然涵養量のアンバランスに起
因する蒸気不足や、貯留層の過熱化に伴う過熱蒸気ないしは二次的に発生する強
酸性流体による地上設備の腐食等の問題が発生している事例が見受けられる。こ
うした問題は、特定の発電所に固有の事象ではなく、他の地熱発電所や新規開発
地点でも発生するリスクを抱えていることから、安定的な地熱発電のため、効果的
で費用対効果に優れた一般的な対処法の開発が望まれる。
この対処法の一つとして、EGS技術の一種で、海外で成功事例のある人工涵養が
考えられる。日本の地熱貯留層の構造は、海外のそれと比べて規模が小さく複雑
であり、周辺温泉など環境保全にも万全を期す必要があることから、モニタリング
の結果をみながら適切に人工涵養を行うための技術開発の必要がある。
本委託研究は、実証実験および数値シミュレーションを通じて、地熱貯留層への
人工涵養の規模により温泉帯水層や地熱貯留層にどのような影響が及ぶのかを
明らかにし、技術マニュアルを作成し、地熱発電所への一般的な適用のガイドライ
ンを示すことを目的とする。
2
実証フィールドの概要
項目
概要
備考
発電所名
柳津西山地熱発電所
所在地:福島県河沼郡柳津町
蒸気供給部門
奥会津地熱㈱
親会社:三井金属鉱業㈱
発電部門
東北電力㈱
事業者
発電設備容量
65,000kW
わが国最大の単機容量
運転開始
H7年5月25日
18年経過(H25年10月現在)
発電方式
シングルフラッシュ
柳津西山
地熱発電所
柳津西山地熱発電所の発電量の推移
(火原協・地熱発電の現状と動向2012年版より)
JOGMEC 平成25年度 地熱部事業成果報告会より抜粋
3
実施内容およびスケジュール
実施項目
フェーズ1
実施内容
H25
①全体計画・管理
・プロジェクト運営、データ管理
②地質調査
・MT法電磁探査、AMT法電磁探査、重力探査を実施
・既往データも含めた総合解析のうえ、地質構造モデル・地熱構造モデルを構築
(必要に応じ、人工涵養開始後に地表調査を補足実施し、モデルを更新)
③試験設備設計・工事
・涵養井(1本)、涵養設備(取水・送水設備)の仕様検討・設計・工事
④坑井試験
・人工涵養開始前: モニタリング井および涵養井の坑井試験・坑内検層
・人工涵養開始後: 生産井のPTSサンプラ検層
⑤人工涵養
・河川水の人工涵養(段階的に増量し、適正レベルに調整)
⑥数値シミュレーション
・人工涵養開始前: 複数のシナリオに基づく予測計算、適切な涵養条件の検討
・人工涵養開始後: 新規取得データに基づくアップデート、将来予測
⑦モニタリング
・坑内温度・圧力モニタリング
・気相・二相マルチトレーサー試験
・弾性波モニタリング(坑内AE観測、微小地震観測)
・流動電位観測(有効性を検討のうえ実施)
・AMT法電磁探査
・温泉変動調査
⑧マニュアル作成
・人工涵養技術の体系化、技術マニュアルの整備
H26
フェーズ2
H27
H28
H29
JOGMEC 平成25年度 地熱部事業成果報告会より抜粋
4
平成26年度調査工程(当初計画)
:室内作業(準備・解析等)
項 目
4月
5月
6月
7月
平成26年
8月
9月
10月
11月
12月
1月
平成27年
2月
:現地作業
3月
備 考
(1) 全体計画・設計
プロジェクトの管理・運営
GERD
(2) 試験設備設計(涵養井)
涵養井掘削工事
OAG・GERD
(3) 試験設備設計(揚水設備)
涵養施設の設置工事
OAG・GERD
(4) 坑井試験
涵養井及びモニタリング井坑内調査
GERD
GERD
生産井坑井試験
(5) 涵養試験
涵養井及び涵養設備の機能確認
GERD
(6) 貯留層変動予測
数値シミュレーション更新
GERD
補足調査
GERD・OAG・AIST
(重力デ ー タ変動解析、A MT法補足調査他)
(7) モニタリング
PTモニタリング
GERD
トレーサ試験
GERD
弾性波モニタリング
AIST
温泉変動調査
OAG
微小地震観測
OAG
(8) その他
地元説明
温泉部会書類提出
福島県温泉部会
取水権取得
GERD・OAG・AIST
◎
◎
OAG
5
報告内容
1.涵養井位置の決定
2.涵養井掘削結果
3.モニタリング計画
4.まとめ
6
1.涵養井位置の決定
7
涵養位置の検討プロセス
①涵養域条件(涵養位置の考え方)
掘削条件の設定
・注水設備設置基地
・掘削深度
人工涵養対象域の設定
・貯留層の過熱化域の検討
3D 涵養モデル
既存3Dモデル
②シミュレーションによる涵養効果の検討と最適モデルの抽出
①を満たす領域(計算ブロック)で、生産ブロック・同ブロックに隣接するブロックを除き、
計算で与える涵養域を設定。流量は100t/h、50t/h、30t/h、15t/hを涵養ブロックから注
水し、系内に留まるケースを想定したシミュレーションとした。
③最適モデルによる涵養効果の評価
シミュレーション結果の評価(涵養効果の評価)
血の池沢下盤断層モデル
血の池沢南東部断層モデル
④トレーサ試験から推測される涵養リスクの検討
貯留層モデル
トレーサ試験結果からショートサーキットが発生し、生産井に悪影響を及ぼす可能性の
検討
⑤現地注水試験等情報からの涵養リスクの検討
現地注水試験等の結果から、短絡的に導通したケースによる涵養位置の検討
⑥涵養位置(候補)の選定
上記①~⑤の総合的検討結果による涵養位置(候補)の選定
8
血の池沢下盤断層モデル
NW
SE
3次元涵養モデル
標高(m)
血の池沢下盤断層モデル
2つのモデルで検討
①血の池沢下盤断層基本モデル
二相域で液相が動きにくいモデル。
距離(m)
②血の池沢下盤断層追加検討モデル
ブロックサイズや相対浸透率を見直し、二相域で液相が動きや
すいモデル。
9
追加検討モデル
(二相域で液相が動きやすい)
基本モデル
(二相域で液相が動きにくい)
涵養ブロック3
血の池沢下盤断層モデル
による涵養効果の検討
基本モデルでは、涵養ブロック1.5、2、3
への注水で涵養効果が得られた。
涵養ブロックが浅い方が効果が大きい。
涵養ブロック2
追加検討モデルでは、全ての涵養ブロッ
クで涵養効果が得られているが、大容量
注水(100t/hr)を行うと、注入水が生産側
まで流れてしまい、生産量が低下する様
子が計算された。
涵養ブロック1.5
涵養ブロック1
10
Confidential
North-East(B)
(m)
South-West(A)
-300
500
0
300
600
◆:Feed point and/or lost circulation point
◆:流入点(生産井毎に色別)
*:Well-16 feed point
*:Well16流出点
←:Interference(Red:Steam increase,
←:干渉実績(赤:増量、青:減量、紫:両方)
Blue:Steam decrease,Purple:Both)
シミュレーション,現地注水試
験情報等からの検討(浅部涵
養リスクに関する検討)に基づ
く涵養ターゲット候補の坑跡
0
涵養ブロック3の坑跡
凡例
◆:流入点または逸水位置
*:Well16流出点
←:干渉実績(赤:増量、青:減量、紫:両方)
涵養ブロック2の坑跡
-500
涵養効果と蒸気減衰リスクのバランスが良いケース
Well-5
Elevation(m)
涵養ブロック1.5の坑跡
Chinoikezawa
Footwall fault
涵養ブロック3
検討項目
血の池沢下盤断層基本モデル
血の池沢下盤断層モデル
この深度への注水は生産側に
悪影響を与えない。
-1,000
本地域における注水試験等の経験
Well-10
Well-9
Well-6
涵養ブロック2
血の池沢下盤断層追加検討モデル
血の池沢下盤断層追加検討モデル
Well-19
Well-3
Well-1
Well-15
Well-8
Well-14
Well-2
Well-17
Well-12
Chinoikezawa
涵養ブロック1
Fault
Well-7
Planned recharge well
3
◎
◎
▲
◎
▲
◎
◎
◎
○
○
○
△
△
△
▲
▲
▲
Chinoikezawa
Hanging wall fault
Well-18
-2,000
涵養効果
大量注水による蒸気量減衰リスク
ショートサーキットリスク
涵養ブロック
1.5
2
○
○
△
○
◎
▲
◎
◎
△
▲
大< 効果 >小
小< リスク >大
指標
Well-4
-1,500
涵養ブロック1.5
1
▲
▲
◎
◎
△
Well-13
Well-16
11
涵養井計画坑跡
生産ゾーン
蒸気量
(t/h)
血の池沢下盤断層
血の池沢断層
血の池沢上盤断層
血の池沢南東部断層
猿倉沢断層
52
86
28
31
24
22℃
37℃
45℃
過熱域
過熱域
(酸性化)
34℃
凡例
地下温度分布(℃)
生産井
(数字は過熱度)
還元井(注入井)
涵養井(計画坑跡)
Well19サイト
断層(標高-1000m)
フィードポイント
過熱域
過熱域(酸性化)
12
2.涵養井掘削結果
(涵養井14JN-R1掘削結果)
13
涵養井掘削基地
涵養井14JN-R1実坑跡(平面図)
14
14
涵養井14JN-R1掘削工程(ドリリングチャート)
15
涵養井を掘削し、ほぼ想定した深
度に2箇所のき裂を捕捉した。
16
涵養井14JN-R1検層
12-1/4”坑掘削終了時,8-1/2”坑掘削終了時
 温度検層
 電気検層
 音波検層
 BHTV検層
掘削完了後
 注水中PTS検層
 温度回復
17
涵養井14JN-R1 総合柱状図
18
8-1/2”坑:BHTV検層
(2090-2098m)
(1930-1940m)
(1980-1990m)
(2030-2040m)
8-1/2”裸坑時BHTV検層結果(掘削中L/C部,ドリリングブレーク部等)
19
300
血の池沢
上盤断層
Well-10
14T
well-7
33P
200
血の池沢
断層
B
Well-9
6T
100
0
Well-17
35P
血の池沢
下盤断層
Well-4
23P
Well-12
38P
Well-1
15T
Well-2
21T
-100
well-19
10T
南北(m)
Well-6
32P
Well-5
36P
-200
Well-16
30P
Well-14
27P
-300
Well-15
28P
-400
Well-8
34P
Well-18
39P
Well-3
31P
Well-11
-500
A
-600
◆:流入点(生産井毎に色別)
*:Well-16流出点
←:干渉実績(赤:増量、青:減量、紫:両方)
-700
-300
-200
-100
0
100
血の池沢
南東断層
14JN-R1
Well-13
37P
Planned recharge well
200
300
400
東西(m)
500
600
700
掘削中の逸水・ドリリングブレーク(★)とBHTV解析結果(走向,傾斜)
800
900
20
注水中PTS検層およびフォールオフ測定
0
0
-30
5
10
PRESSURE [MPaG]
15
20
25
30
50
TEMPERATURE [Deg.C]
100
150
200
250
300
-25
SPINNER [RPS]
-20
-15
-10
-5
0
Casing Program
0
Well Dogleg(Deg./30m)
2
4
6
8
0
Well Inclination(Deg.)
10
20
30
40
14JN-R1 フォールオフ
10
200
50
12.5
250
160
12.0
200
120
11.5
150
80
11.0
100
40
10.5
50
10.0
0
Pressure at 2035m
Temperature at 2035m
Flow rate
↓シャットイン
1760
1780
Injection rate (t/h)
1840
7"CSG(top)
1840.48m
1860
1880
12-1/4"
1890.00m
9-5/8"CSG
1880.54m
Pressure (MPaG)
5-1/2"TBG(end)
1814.00m
1820
Temperature (deg.C)
1800
DEPTH [m]
1900
0
1920
1930m, 8%
2015/03/24 18:00
2015/03/24 20:00
2015/03/25 00:00
Date Time
1940
フォールオフ測定結果
1960
1980
2015/03/24 22:00
1980m, 9%
2000
WellTESTTM による解析結果
2020
坑井名
2040m, 76%
2040
浸透率(k)
2060
2080m-, 7%
2080
2100
8-1/2"
2100.26m
12-1/4"裸坑時 注水中(66t/h)温度検層(2014.11.18)
8-1/2"裸坑時 注水中(90t/h)温度検層(2014.12.5)
注水中(50t/h)PTS検層(2015.3.24)
注水中(100t/h)PTS検層(2015.3.24)
注水時流出深度割合
7"CSG(slotted)
2100.26m
逸泥掘削
MWD掘進
ドリリングブレーク
全量逸泥
部分逸泥
14JN-R1
2.39 mDarcy
(2.36E-15m2)
浸透率・層厚積(kh)
502.43 mDarcy-m
(4.96E-13 m3)
スキンファクタ(S)
-4.15
坑井傾斜
ドッグレグ
21
3.モニタリング計画
22
涵養井掘削基地
流量計測,地化
学モニタリング
および検層
流量計測,地
化学モニタリ
ング
流量計測,地化
学モニタリング
および検層
流量計測,地
化学モニタリ
ング
流量計測,地
化学モニタリ
ング
PTモニタリング
モニタリング計画(微小地震観測除く)
23
PTSサンプラー検層および涵養井PTモニタリング
ガス分析結果
PTSサンプラー検層結果(Well5)
PRESSURE [MPaG]
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
240
250
TEMPERATURE [Deg.C]
200
210
220
230
Flow Distribution[%]
0
INCL[deg]
0
100
800
1000
SPINNER [RPS]
0
200
950
400
600
9-5/8" CSG
0 20 40 60
Degree of Superheat[Deg.C]
100
BC
凝縮水分析結果
1000
Sampler (350deg.C)
FP1:1026m
(9.7%)
Sample Volume 500mL
Sample fluid
Steam/2phase/Water
1050
Strain Gauge(5000psi)
Platinum RTD sensor
2 reed switches
Size
Outer diameter 59.4mm
Weight
Appox.100kg(2 centralizers)
Length
Approx. 7m(2 centralizers)
トレーサ分析結果(Perfluorocarbon)
採取深度
1050m
1125m
1180m
採取日
2014/11/15 2014/11/14 2014/11/13
採取時間
11:42
13:48
12:01
PFC
mg/kg
<3.58E-03
<1.39E-03
<1.5E-03
13000
305.8℃
(4/8, 8:42)
12000
11000
8000
Downhole Pressure
Downhole Temperature
Saturation Temperature
(calculated from measured pressure)
)
150
涵養井PTモニタリング
50
0
2015/03/28 00:00
2015/03/31 00:00
2015/04/03 00:00
2015/04/06 00:00
1150
FP3:1170m
(16.9%)
1185m以深
(72.1%)
1200
INDEX
[検層条件]
PTSサンプラー検層(下げ計測)
スピンナーストップチェック
坑口圧力:0.62MPaG
圧力
流体流入深度
蒸気流量:13t/h
温度
坑内流体サンプル深度
熱水流量:0t/h
スピンナー
過熱度(=測定温度-飽和温度)
[坑内サンプル取得]
1回目検層:深度1,180m(174.4g)
2回目検層:深度1,125m(111.0g)
3回目検層:深度1,050m(102.0g)
2015/04/09 00:00
40
Temp
300
250
100
7000
2015/03/25 00:00
300
200
9494kPaG
(4/8, 8:42)
10000
9000
1100
350
Temperature (deg.C)
Pressure (kPaG)
14000
FP2:1088m
(1.3%)
7" CSG(slit)
Pressure
Temperature
Spinner
DEPTH [m]
PTS(300deg.C 8hours)
24
弾性波モニタリング
涵養井(14JN-R1)坑底
追加の坑内地震計
微小地震観測網(全体)
25
坑内地震計の仕様
微小地震観測井
ケーシングプログラム概略
ケーブルヘッド
地震計の主な仕様
3軸ジオフォン
固有周波数:15Hz
アームロック機構
耐熱:150℃
耐圧:69MPa
高傾斜(最大90°)対応
感度:1.32V/in/sec
地震計
設置ケース
非磁性ケーシング
(6m)
1950mm
φ88mm
ロック機構(アーム部分)
キースロット
(2m pup-joint内)
重錘(キー付)
非磁性ケーシング
(6m)
スロット/キー機構により地震計
方位を固定、アームロック機構に
より地震計を坑内に固定する(坑
壁に押し付ける)。
キー
26
観測・通信機器運用状況
電力供給: 供給電力低下による観測中断は無し (冬季メンテナンスを一度実施)
通信状況: 大きなトラブルは無し。3G回線の通信品質低下が発生する場合がある
(データ送信の遅れ,サーバー負荷の増大)
現状: 6観測点で1日あたり2.2GB (26,000ファイル)生成
NTTドコモ網
3G
インターネット
光ファイバ
遠隔PC
@産総研
・発電
・データ記録 24ビット
ハイサンプルF(1kHz)
・通信
連続記録
西山事業所
奥会津地熱
微小地震データ
OMS1~5
奥会津地熱
サンプリングF
(100Hz)
27
従来のOAG干渉監視強化フロー
(一部加筆)
*1:DCS … 遠隔操作・監視システム 。事務所のモ
ニターで状況が常時監視と,電動バル
ブの遠隔操作をする機器の総称。
*2:LCV … Level Control Valve の略。セパレータ下
流の熱水ラ イン に流量調整用のバッ
ファタンク(”ヘッダータンク” H/T)の水
位をコントロールするためのバルブ。
*3:BDV … Blow Down Valveの略。ヘッダータンク
の熱水をピットに放出するためのバル
ブで一種の安全弁。
注水開始
監視強化
過熱度or熱水の
pH・EC・濁度
1日1回確認
蒸気流量/
坑口圧力トレンド
朝夕確認
モニタリングによる監視
○熱水/蒸気化学性状等
• CL・NCG濃度変化・pH・EC・濁度等に注目
• 涵養井近傍地化学モニタリング:Well-3,
5,6,8,11
• トレーサ試験結果も参考
○涵養井PTモ ニタリング
• トレンドや特異なイベント等に注目
N
トレンドに異常
あるか?
○温泉モ ニタリング
• トレンドや特異なイベント等に注目
Y
当該生産井の挙動を
DCS* 1 で頻繁に確認
【停止検討条件】
a) 坑口圧0.7MPa以上 or
0.58MPa以下
b) 二相圧力0.68MPa以上
or 0.59MPa以下
c) 総熱水流量の脈動が頻発
○弾性波モニタリング
• 震源位置およびマグニチュ ードに注目
• 生産井側への近接に注目等
停止検討条件
a)~c)発生?
有感地震か?
Y
Y
N
DCSで熱水LCV* 2 開度と
H/T液位を頻繁に確認
生産井個別の
問題か?
原因調査
対策検討
停止検討条件
①~④発生?
①
②
③
④
原因調査
対策検討
協議
当該生産井
停止操作
注水量削減や
注水一時停止等の検討
Y
注水量削減や
注水一時停止
Y
【停止検討条件】
熱水LCV開度:Hアラーム(75%)
発報
H/T液位:Hアラーム(75%)
or Lアラーム(35%)発報
熱水BDV* 3 :開動作
発電所行き蒸気流量が急速
に減衰
気象庁データで震源(震央),
感震計※1で震度チェック
(並行してEGSネットワーク観
測結果解析)
トレンド等異常
あるか?
N
Y
震源位置および震度に
震源および深度に応じて注水
応じて注水量削減または
量削減および注水一時停止
注水一時停止
生産井蒸気流量
減少や坑口温度
低下等の現象?
Y
注水量削減や
注水一時停止等の検討
N
弾性波モニタリング
結果も含め,原因詳
細調査対策検討
協議
注水停止
涵養オペレーション(生産および注水停止・注水量削減)基本フロー
28
涵養停止領域:
この範囲内で震度
4以上発生の場合
は涵養停止
2009年10月12日の
有感地震(M4.9)
涵養量削減域:
涵養井坑底から半
径500mの円内で震
度3発生の場合は
涵養量削減
涵養オペレーションと過去の有感地震のマグニチュード分布状況
29
4.まとめ
数値シミュレーション,トレーサー試験および現地注水試験結果等の情報から
涵養井の位置を決定した。
涵養井を掘削し、ほぼ想定した深度に2箇所のき裂を捕捉した。
注水中のPTS検層の結果、捕捉した2箇所の深度付近では温度やスピンナー
に明瞭な変化が観測された。また、BHTV検層からは、明瞭な開口性のき裂が確
認された。それらの走向は血の池沢下盤断層のそれと整合的である。
坑内地震計を増設し、観測網を充実させ、涵養に伴う圧力伝搬や涵養水の流
動経路の把握等地熱貯留層の挙動を詳細に検討できるようにした。蒸気流量,
坑口圧力,地化学観測,PTSサンプラ検層および涵養井PTモニタリングなど涵養
前および涵養中のモニタリング項目について検討・準備した。
取水・送水設備を設置し、涵養オペレーション基本フローを検討・作成するとと
もに、6月4日から涵養試験を開始した。
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ご清聴ありがとうございました。
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