4. 遺伝子とタンパク質 (PDFファイル: 2.3MB)

4. 遺伝子とタンパク質
タンパク質は DNA 配列にもとづいて合成される
4-1. タンパク質のつくり方「セントラルドグマ」
遺伝情報は、DNA に保存されていますが、DNA だけでは何の働きもでき
ません。細胞は、核の中にコンパクトに収納されている DNA から必要な情報
を RNA(リボ核酸)に写し取り、それを核外に運んでいろいろな分子装置を
使ってタンパク質を作らなくてはなりません。「遺伝情報が DNA から、RNA
を経て、タンパク質へと流れる」ーこの概念を分子生物学の「セントラルド
グマ」といいます。
4-2.DNA から RNA へ「転写」
細胞が、DNA を RNA に写しとる仕組みを「転写」と呼びます。RNA は
DNA と同じ核酸ですが(参照: 2-4. DNA は 4 種類の文字で設計図を書く「4
種類の核酸」 p.49)、DNA とは構造的に 2 つの違いがあります。1 つ目は、
RNA の糖(リボース)は、酸素分子が DNA の糖(デオキシリボース)より
一つ多いことです。そのため、RNA は、DNA に比べて立体構造を取りやす
くなっており、細胞内では一本鎖のまま存在しています。2 つ目は塩基にチ
※ 1 プロモーター領域は、短い塩基配列から
ミン(T)がなく、ウラシル (U) があることです。ウラシルは DNA のアデニ
なります。真核生物の転写開始では、基
ンと水素結合で対合します。
がプロモーター領域への RNA ポリメラー
転写では、RNA ポリメラーゼという酵素によって DNA から RNA が作られ
ます。まず、DNA の遺伝情報を保存している領域の 5' 側(上流)に存在す
る転写を調節する領域(プロモーター領域 )に、RNA ポリメラーゼが結合
※1
本転写因子と呼ばれるタンパク質複合体
ゼの結合を促進します。さらに真核生物
の転写の制御機構は複雑で、転写開始部
位の上流(時には下流や遺伝子の中の配
列)にある転写調節領域による制御を受
けます。また、調節因子をプロモーター
します。次に RNA ポリメラーゼは、プロモーター領域の 3' 側(下流)へ連
周辺のタンパク質と共働させて転写開始
続的に移動しながら、10 塩基対ほどの長さの DNA を二重らせんが開いた状
ページ図.真核生物における転写の調節)
。
を調節する介在複合体も存在します(次
59
DNA 二本鎖
G
A
U G
C
T
T
C
C
RNA ポリメラーゼ
鋳型鎖
G
U
A
CC
リボヌクレオチド
RNA
転写
エキソン
遺伝子調節配列、転写調節配列が、
転写開始部位から離れて存在する
遺伝子調節配列
転写調節配列
イントロン
DNA
ポリ A 付加シグナル
サイレンサー
前駆体 mRNA 5’
エンハンサー
3’
スプライシング
(イントロンの除去)
介在複合体
RNA ポリメラーゼ Ⅱ
基本転写因子
(タンパク質の複合体)
TATA
ボックス
エキソン
G キャップ
転写開始
転写開始部位(プロモーター)
真核生物における転写の調節
AAAAAAAAAAA
mRNA
ポリ A テール ( アデノシンの連なり)
翻訳開始コドン
スプライシング
翻訳領域
翻訳終止コドン
核から細胞質へ移動
メッセンジャー RNA の合成
態にし、ペアのいない DNA(sense 鎖)に対応する RNA 塩基(A、U、G、C
のどれか)を運んで塩基対を形成させ、 DNA の塩基配列を相補的に写し取っ
※ 1 mRNA の転写を担う RNA ポリメラーゼ
II、リボソームを構 成 する RNA(rRNA)
の転写を担う RNA ポリメラーゼ I、アミ
た RNA を合成します(図.転写)。このとき、合成された RNA はタンパク質
ノ酸を運搬する RNA(tRNA)や低分子
を合成する“指令”を写し取った RNA であり、メッセンジャー RNA(mRNA)
ゼ III という 3 種類の RNA ポリメラーゼ
と呼ばれます。真核生物には 3 種類の RNA ポリメラーゼが存在し、それぞれ
核内 RNA の転写を担う RNA ポリメラー
が存在します。
役割の異なる RNA を合成しています※ 1。
mRNA は RNA ポリメラーゼによって合成された後※ 2、「スプライシング」
を受けます(図.スプライシング)。DNA から転写された mRNA はタンパク
質設計に関する部分(エキソン)とタンパク質設計に不要な部分(イントロン)
を持っています。mRNA からイントロンを除去し、エキソンを繋ぎ合わせる
過程をスプライシングといいます。また、5’末端には、メチル化された GTP
が付加され(G キャップ)mRNA はリボソームに結合しやすくなり、リボヌ
クレアーゼによる分解を防ぐことができます。3’末端には 100 〜 300 個の
アデニン塩基が付加され(ポリ A テール )、mRNA が核の外へ出て行く手助け
をします。その後、mRNA は核内で修飾され(参照:6-2.DNA の塩基配列
によらない遺伝子発現の制御「エピジェネティクス」p.68)、RNA 結合タン
60
パク質に導かれて核膜孔から核外に出ていきます。
※ 2 スプライシングを受ける前の mRNA を前
駆体 mRNA とも呼びます。
研究者コラム
2 文字目
U
U
A
セリン (Ser)
ロイシン (Leu)
C ロイシン (Leu)
A
C
イソロイシン (Ile)
プロリン (Pro)
トレオニン (Thr)
G バリン (Val)
アラニン (Ala)
U
C
A
G
システイン (Cys)
終止
終止
終止
トリプトファン (Trp)
ヒスチジン (His)
U
C
アルギニン (Arg)
A
G
グルタミン (Gln)
アスパラギン
(Asn)
リジン (Lys)
メチオニン (Met):開始
ニーレンバーグ
G
チロシン (Tyr)
アスパラギン酸
(Asp)
グルタミン酸
(Glu)
セリン (Ser)
アルギニン (Arg)
グリシン (Gly)
U
C
A
G
「遺伝暗号の解読」
1961 年、ニー
レンバーグら
は、 大 腸 菌 を
3
文字目
文字目
1
フェニルアラニン
(Phe)
U
C
A
G
破砕した抽出
液にタバコモ
ザイクウイル
ス の RNA を 入
れてタンパク質合成を調べていまし
た。そのとき、何も合成されないは
ずの対照実験としてポリウリジン
(U)を入れておいたのですが、予
遺伝暗号表
想に反してポリ U のチューブから
ポリフェニルアラニン (Phe)の合
成を示す強いシグナルが出たので
す。つまり、ポリ U は Phe をコー
ドすることを発見したのです。彼
4-3.RNA からタンパク質へ「翻訳」
mRNA が持っているのは、AUGC という 4 種類の塩基の配列情報です。一方、
タンパク質を構成しているアミノ酸は 20 種類あります。そのため、3 個 1
組の塩基(コドン)でアミノ酸 1 個を指定します。塩基は 4 種類ありますので、
らは続いてポリ C がポリプロリン
(Pro)をコードすることも決定しま
した。その後、多くの人々の研究に
よって遺伝暗号は 3 個の塩基で 1
個のアミノ酸に対応すること、塩基
配列は一定の出発点から読まれるこ
3 個の塩基を組み合わせると 4 x 4 x 4 = 64 通りの組み合わせがあり、20
と、句読点はないことなどが明らか
種類のアミノ酸全てに対応できます。1 種類のアミノ酸に1種類のコドンが
にされ、1966 年までに全ての遺伝
対応している訳ではなく、1個のアミノ酸を指定するコドンは、1 〜 6 種類
暗号が解読されました。
です。さらにコドンには開始コドンと終止コドンが存在します。開始コドン
(AUG)はメチオニンというアミノ酸を DNA のどこから翻訳するのかを決定
します。終止コドン(UAA、UAG、UGG)まで来るとその前でアミノ酸の合
成は終了します。終止コドンは、指定するアミノ酸を持ちません。翻訳では、
Pick Up from MBL
次世代シーケンス受託サービス
開始コドンを起点として、その後、3 つ組塩基づつ一つのコドンとして遺伝
次世代シーケンスデータ解析受託
サービス
情報は読まれます。コドンとアミノ酸の対応(図.遺伝暗号表)は全ての生
MBL では、かずさ DNA 研究所と連
物で普遍的ではなく、例えば、ヒトのミトコンドリア内では対応するアミノ
携し、次世代シーケンスの受託サー
酸の一部が異なっています。
転写された mRNA に大小 2 つのサブユニットから構成されるリボソームが
結合し、タンパク質が合成される過程を「翻訳」と呼びます(次ページ図.翻訳)。
リボソームは巨大なタンパク質− RNA 複合体です。リボソームを構成する
RNA をリボソーム RNA(rRNA)と呼びます。リボソームの大小のサブユニッ
トはタンパク質を合成していないときは分離しています。小サブユニットに
ビスを強化いたしました。
変異解析や発現解析など、研究目的
に応じた受託サービスと解析データ
を用意しております。
MBL では塩基配列データに遺伝子
構造や遺伝子機能の情報、また文献
情報などを注釈付けするアノテー
ションも受託しています。MBL の
mRNA が結合した後、大サブユニットが結合し、大小サブユニットはアミノ
総 合 受 託 サ ー ビ ス は MBL ネ ッ ト
酸を結合しながら mRNA 上を 3' 末端方向に移動していきます。アミノ酸同
ワーク企業、業務提携企業と協力し、
士はペプチド結合でつながれます(次ページ図.ペプチド結合)。順々につな
多数のサービスを組み合わせ最も効
がったアミノ酸をポリペプチドと呼びます。
率のよい方法をご提案しています。
61
結合したアミノ酸
AC C
G
U
トリプトファニル
Trp tRNA 合成酵素
AC C
小サブユニット
mRNA 5’
…
C
大サブユニット
3’
…
Trp トリプトファン結合
tRNA
UAC AC C
C
tRNA が
はずれる
C G U G G C G C G G A C GG
C GG A U
G
D
A
端
C 3’
C
A
5’端 G C
C G
C G
G C
T ループ
A U
A U
C U A
ループ
G GACAC
U
G
DGA
A
GCUC
C CUGUG
C
D
T Ψ
U
G
GAGC
G
G
GGA
G
GA
C
C
G
可変ループ
U
A
C
G
A
Ψ
アンチコドン
A
C
U
Y ループ
GAA
A
C
Met
アミノ酸
mRNA に結合
Trp
Gly
アミノ酸①
mRNA 5’
アンチコドン
…
アミノ酸結合 tRNA
C GUGG
C GG A U
UAC AC C
大サブユニット
C G C G G A C GG
3’
…
H2H
H2O
ペプチド結合
H2H
…
C G U G G C G C G G A C GG
C GG A U
UA CAC C
Met
COOH
C
H
Trp
ペプチド結合
mRNA 5’
R2
H
COOH HN
C
H
Met
Gly
アミノ酸②
R1
R1
O
C
C
H
3’
R2
N
C
H
H
COOH
ペプチド(①+②)
…
R1,R2:アミノ酸の側鎖
大サブユニットが移動
ペプチド結合
Trp
Gly
mRNA 5’
…
小サブユニットが移動
3’
C G U G G C G C G G A C GG
C GG A U
…
UA CAC C
Met
Gly
GCG
GCG
mRNA 5’
…
C G U G G C G C G G A C GG
C GG A U
C
AC C GC G
3’
…
Arg
UA
tRNA が
はずれる
Trp
Met
Trp
Arg
アルギニル
tRNA 合成酵素
Arg
アルギニン結合
tRNA
mRNA に結合
Gly
ポリペプチドの合成
リボソームまで塩基配列に対応したアミノ酸を運ぶ役割を果たすのが、トラ
ンスファー RNA(tRNA)です。tRNA の一部にはアンチコドンと呼ばれる 3
つ組塩基配列があり、mRNA のコドンと対応します。tRNA は、それぞれのア
ンチコドンに対応するアミノ酸とアミノアシル tRNA 合成酵素によって正しく
結合させられます。アミノアシル tRNA 合成酵素は、20 種類あり、アミノ酸、
tRNA、ATP ※ 1 という 3 種類の分子を認識する部位を持っています。tRNA は
一本鎖ですが、内部の相補配列で塩基対を形成し、クローバーの葉のような立
体構造を構築しています(図.アミノ酸結合 tRNA)。
リボソームには、主に rRNA からなる tRNA の結合部位が 3 カ所あり、ペ
プチド結合の触媒部位もタンパク質ではなく、大サブユニットの rRNA からな
ります※ 2。tRNA はアミノ酸が次のアミノ酸に結合されると、リボソームから
離れていきます(図.ポリペプチドの合成)。
62
※ 1 アデノシン三リン酸の略。生体内で様々な
反応のエネルギー源となります。
※ 2 触媒活性をもつ RNA を「リボザイム」と
呼びます。
大サブユニット
タンパク質
ポ
AAA リ
AA A
AA
小サブユニット
A
AA
タンパク質
5S rRNA
終始コドン
18S rRNA
28S rRNA
5’
キャップ
3’
mRNA
5.8S rRNA
開始コドン
リボソーム
ポリリボソーム
ポリリボソーム
小サブユニット
大サブユニット
リボソーム
ポリペプチド鎖は、リボソームから離れるときに綺麗に折り畳まれている場
合もありますが、ほとんどのタンパク質はリボソームから離れたところで分子
リボソーム
※ 3 分子シャペロンとはタンパク質が正しい
構造をとり、正常な機能を発揮できるよ
うにさせるタンパク質です。
シャペロン※ 3 と結合して正しく折り畳まれます。
タンパク質合成の効率をあげるため、1 つのリボソームでの翻訳が進むと、
次のリボソームが mRNA に結合し翻訳を始めます。翻訳中の mRNA には多数
のリボソームが付いたポリリボソームになっています。真核生物の開始因子は
5' 末端だけでなく 3' 末端のポリ A 配列にもしっかり結合し、環状化します。
環状になると翻訳を終えたリボソームの再利用に役立ち効率的です(図.ポリ
リボソーム)。
リボソーム RNA の合成
ゲノムには、rRNA 遺伝子が多数存在します。rRNA はタンパク質を合成す
るリボソームに大量に含まれるので、ゲノム上に rRNA の領域が 1 つしかな
かったら、最大速度で転写をしてもリボソームが不足するからです。細胞質に
は通常、数百万個のリボソームがあります。rRNA は一つながりの前駆体とし
て転写され、真核生物では 18S rRNA、5.8S rRNA、28S rRNA、5S rRNA
という 4 種類に切断されます。その後 200 カ所以上の場所で修飾を受けます
が、それには snoRNA(small nucleolar RNA) という小さな RNA が働いてい
ると考えられています。この rRNA に多くのタンパク質が結合してリボソーム
という顆粒が形成されます。真核生物の 80S のリボソームは 40S の小サブ
ユニット(18S rRNA と約 30 種類のタンパク質)と 60S の大サブユニット(5S
rRNA、28S rRNA、
5.8S rRNA と約 50 種類のタンパク質)からできており(図.
リボソーム)、核の中の核小体という部分で作られます。核外に出て行った後、
小胞体表面に結合して粗面小胞体を形成するものと、細胞質に残るものがあり
ます。
63
トランスファー RNA の合成
tRNA もリボソームにアミノ酸を運搬するために大量に使用されるので、ゲ
ノムには tRNA 遺伝子が多数存在します。tRNA についても、複数の(全ての
ではなく)tRNA が一本の前駆体 RNA として転写された後に切断され、修飾
を受けて完成します。tRNA では、たくさんの塩基修飾が起き、他の RNA に
はみられない修飾塩基(D、Y、Ψ(シュードウリジン)
、T など)が存在します。
これらの塩基修飾は tRNA の機能に重要な役割を果たしていると考えられてい
ます。また、真核生物では tRNA の 3' 末端に CCA という 3 つの塩基が付加
されます。
4-4. ヒトがヒトとして生まれる仕組み「遺伝子とゲノム」
ゲノムとは「ある生物の一つの細胞に含まれる全ての遺伝情報」です。ヒ
トゲノムの塩基配列の解読は、2003 年に終了しました。その結果、遺伝子
として働く部分はヒトゲノムの 1.5% であり、残りの 98.5%は遺伝子として
働かないことが明らかになりました。遺伝子以外の領域にはそれ自体が機能
をもつノンコーディング RNA や、反復配列、選択的スプライシングによって
除去されるイントロンが含まれます。ゲノムプロジェクトが完了した現在(ポ
Pick Up from MBL
ストゲノム)、遺伝子の機能を理解する段階になっています。その中で重要な
タンパク質相互作用解析ツール
位置を占めるのが mRNA の完全なコピーである完全長 cDNA の全塩基配列の
Fluoppi レンチウイルスベクター
決定であり、日本はこの分野で世界をリードする立場です。
・通常の発現ベクターよりも格段に
導入効率が上がります。
いきものコラム 「 逆転写~レトロウイルスとレンチウイルス」
レトロウイルスとは、RNA ウイルス(DNA ではなく RNA を遺伝子としてもつ
ウイルス)の中で、RNA から DNA を合成する「逆転写酵素」をもつウイルス
・EF1a と CMV の二種類のプロモー
ターを選択できます。
・Neomycin と Puromycin 二種類の
の総称です。エイズウイルス(HIV-1)に代表されるレンチウイルスもレトロウ
薬剤耐性遺伝子を使用できるため、
イルスの中の一つのグループですが、論文などでは、レトロウイルスはガンマ
hAG と Ash を 安 定 的 に 発 現 す る
レトロウイルスを意味し、レンチウイルスはレンチウイルスと表記する事が多
細胞株の取得が容易です。
いです。
1000
現在、レトロウイルスやレンチウイルスは、その逆転写を行う特性を利用して、
WPRE
ro
o
Pu
00
T
Pcm
v
00
Ne
CP
CS
60
3000
IN
3’ -S
LTR
HIV5’
PT
7000
PRE
8348 bp
40
み合わせて、Pre-Integration complex (PIC) という複合体を作ります。そして、
-LTR
80
00
00
細胞を作成する際の遺伝子導入でも、レンチウイルスベクターが用いられまし
ら DNA にコピーして(逆転写して)出来た DNA と、自身のタンパク質を、組
n
20
ヒトやマウスなどのほ乳類細胞に遺伝子を導入する際に使用されています。iPS
た。レトロウイルスとレンチウイルスは、細胞内に侵入すると、自身の RNA か
ColE
1 origi
AmpR
S
P-EF
IRE
1a
5000
PIC によってウイルスがもつ遺伝子を宿主の細胞に導入するのです。
レトロウイルスベクターとレンチウイルスベクターには以下の大きな違いが 3
つあります。
①レトロウイルスは核膜内部に侵入できないため、核膜の消失が起こる核分裂
時にしか遺伝子導入が出来ない。一方、レンチウイルスは核膜孔を通って核
内部に侵入できるため、核分裂が起きていなくても遺伝子導入出来る。
②レトロウイルスは転写開始点付近に遺伝子導入しやすいが、レンチウイルス
は転写領域全般に遺伝子導入を行う。
③レンチウイルスベクターではゲノムの 1/3 を欠失させ、ウイルス構成に必須
な要素を 4 種類のプラスミドに分割して、安全性を高めている。
64
Cultured cells
8 combinations of plasmids for optimization
Ash と FP (hAG) で異なる薬剤耐性遺伝子を組み
込んでいるため、Ash と hAG を安定的に発現する
細胞株を容易にセレクションできます。
製品は、融合位置(N・C末端)と Tag(Ash・FP)
の異なる 4 つのプラスミドがセットになっています。
FP-Tag には、hAG(humanized Azami Green)を
使用しています。
Four Types of plasmids(1 Kit)
pAsh-MCL
CMV or EF1a
pAsh-MNL
CMV or EF1a
phAG-MCL
CMV or EF1a
phAG-MNL
CMV or EF1a
Ash
MCS
linker
hAG
MCS
linker
linker MCS
Ash
linker MCS
hAG