企業の研究開発費用の加算控除範囲拡大について

作成日:2015-11-12
企業の研究開発費用の加算控除範囲拡大について
【本政策の概要】
財政部、国家税務総局及び科学技術部より『研究開発費用の税引き前加算控除政策の完備に関する通知』
(財税〔2015〕119 号)が発表された。この政策は企業の研究開発を更に促進することを目的にしたもの。
企業の研究開発において所得税の加算控除が認められる範囲が拡大され、今後はより多くの企業が加算
控除優遇を享受できるようになる。
【加算控除できるもの・できないもの及びその他要求について】
加算控除可能な
比率
加算控除可能な
研究開発費用
税引き前の
加算控除が
できない項目
税引き前の
加算控除が
できない業界
1. 企業が研究開発活動を展開する際に実際に発生した研究開発費用で、無形資産
として当期損益に計上していない場合、事実通り控除を行う前提で、当年度の
実発生金額の 50%を課税所得額から控除できる
2. 無形資産とした場合、無形資産原価の 150%で税引き前の繰延償却が可能。
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研究開発活動に直接従事する人員の人件費
研究開発活動に直接投入した費用
償却費用
無形資産の繰延償却
新製品の設計費用、新工芸規程立て費用
その他の研究開発活動に直接関係する費用
(その総額は加算控除可能な研究開発費用の 10%を超えてはいけない)
7. 財政部及び国家税務総局が規定するその他の費用
1. 企業の製品(サービス)の通常のアップデート
2. 別の科学研究成果を直接使用したもの
(公開されている新加工、材料、措置、製品、サービス、知識の直接利用)
3. 商品化後に顧客に提供する技術サポート活動
4. 既存製品、サービス、技術、材料、加工プロセスの重複や単純な変更
5. 市場調査研究、効率調査または管理研究
6. 工業(サービス)プロセスの段階、通常の品質管理、テスト分析、メンテナンス
7. 社会科学、芸術または人文科学方面の研究
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タバコ製造業
宿泊業・飲食業
卸売業・小売業
不動産業
リース業、ビジネスサービス業
娯楽関連業
財務部及び国家総務総局が規定するその他の業界
上記業界は『国民経済業界分類とコード(GB/4754 -2011)』に準ずる。
『国民経済業界分類とコード(GB/4754 -2011)』の更新に合わせて更新する。
特別事項処理
委託研究
外部の機構または個人に研究開発活動を依頼したことで発生した費用
は、実発生額の 80%を委託側の研究開発費用に計上して加算控除計算
する。受託側は二重に加算控除をしてはいけない。
広東真広企業管理顧問有限公司(TJCC)
TEL: 0769-2281-7500
FAX: 0769-2281-7511
E-mail: [email protected]
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作成日:2015-11-12
海外機構または個人に研究開発活動を依頼して発生した費用は、加算
控除をしてはいけない。
共同研究
協力した双方は自身が実負担した研究開発費用を別々に加算控除計算
する。
グループ
研究
実際に発生した研究開発費用は「権利と義務の一致、費用支出と収益
の一致」原則に則って、研究開発費用の分割方法を合理的に確定して
から利益を受けた各側が分割し、別々に加算控除計算する。
創意
デザイン
活動
革新性、アイデア性、画期的製品を得るための創意デザイン活動によ
り発生した費用は、本通知の規定に基づいて税引き前加算控除可能と
する。
会計計算への
要求
1. 企業は国の財務会計制度に従って研究開発費用の会計処理をする。
合わせて、加算控除を享受した費用は研究開発項目で補助帳簿を作成する。
2. 1 つの納税年度内に複数の研究開発活動を行った場合、それぞれの研究開発項
目ごとに別々に加算控除可能な研究開発費用を集計する。
3. 研究開発費用と生産経営費用は別々に計算し、正確かつ合理的に各種費用支出
を集計する。分けられない費用は、加算控除できない。
管理事項及び
徴収管理要求
1. 税務機関は企業が加算控除優遇を享受する研究開発項目に疑問があれば、市レ
ベル以上の科学技術行政主管部門に鑑定意見の発行を依頼できる。科学技術部
門は適時に意見を返答しなければならない。
2. 本通知で規定される研究開発費用の加算控除条件を満たしているのに本税収
優遇を享受していない場合は、2016 年 1 月 1 日以降、過去に遡って享受、登録
できる。最大遡及期間は 3 年とする。
3. 税務部門は研究開発費用の加算控除政策において事後管理を強化すべきであ
る。定期的に調査を行い、年間調査比率は 20%を下回ってはいけない。
【本政策のポイント】
1. 本政策は 2016 年 1 月 1 日より執行。従来の『国税発(2008)116 号』
『財政〔2013〕70 号』は廃止。
本政策は、適用範囲の拡大、計算管理及び審査プロセスの簡素化等が行うことで、研究開発費用の加
算控除政策を完備させるとともに、企業の研究開発活動を奨励するもの。
2. すでに研究開発費用の加算控除を享受している企業も、本政策により研究費用として認められる範囲
がこれまでより大きく拡大したことに注意が必要。研究開発における支出を再確認し、加算控除でき
る費用の計算が漏れていないか確認する。
3. すでに研究開発部門を設置して研究開発活動をしているのに、研究開発費用の加算控除をしていなか
った企業は、本政策の変化に注目が必要。上述した「税引き前加算控除ができない項目と業界」に含
まれていないようなら、研究開発費用の加算控除が享受できるか分析して慎重に計画を立てたほうが
よい。
4. 本政策は過去 3 年間の費用まで遡って優遇を享受することが可能。過去 3 年間分の費用を再確認する
必要がある。享受条件に満たすようなら登録手続きを行うことで過去の分も優遇享受できる。
5. 研究開発費用の加算控除を享受した企業は、少なくても 5 年に 1 度、税務局から検査されることにな
るため、高い税務リスク管理能力が求められる。
6. 本政策に関する具体的な実施方法については、今後国家税務総局から実施細則が出される予定。
(今後の新たな動きについては改めてその情報を会員企業の皆様にご連絡いたします。)
広東真広企業管理顧問有限公司(TJCC)
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