カネミ油症について 五島市役所 健康政策課 九州大学病院 油症ダイオキシン研究診療センター メディカルソーシャルワーカー 谷尾 恵子 1968年(昭和43年)の頃の日本? 高度経済成長 1955年~1970年の15年間 1968年(昭和43年) GNP 第2位 3 4 5 「正体不明の奇病が続出」 昭和43年10月10日朝日新聞掲載 ・体中に吹出物や膿がでてきる症状 ・爪の変形や変色、大量の目やに ・手足のしびれ ・疲れやすい カネミ油症とは 昭和43年10月 西日本を中心に発生したライスオイル (米ぬか油)による食中毒である。 昭和43年1月ごろ 福岡県北九州市のカネミ倉庫のライス オイル(米ぬか油)工場で異変が起き る カネミ油症とは 製造中 ライスオイル(米ぬか油)に、 米ぬかの臭さを取る「脱臭」という製造 工程の熱媒体として使用していたPCB (カネクロール)が混入。 カネミ油症の発生原因 ライスオイルの中に混入されたPCB (カネクロール)は、製造工程中熱処理 後 PCBの一部がダイオキシン類の ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)などの 猛毒に変質 米ぬか油精製過程 脱臭装置 主に電気機器用の絶縁油、各種工業に おける加熱及び冷却用の熱媒体並びに 感圧複写紙(カーボン紙)等に利用さ れて いた。 ※PCBは、1972年以降生産中止 15 ダイオキシン類は、PCB以上に毒性が強く、ベ トナム戦争(1960~70年代)時、アメリカ軍が 枯葉剤として使用された。 その後、ベトナムで は森林が枯れ、水や大地が汚染された。 枯葉剤をあびた人々は、ガンになったり、奇形 の赤ちゃんが誕生した。 16 きわめて毒性の強い有機塩素化合物 ・人類が作り出した最強の毒物 ・難分解性で生体や環境中に残留 ・脂肪に溶けやすく体内に蓄積 ・環境ホルモンとして生体のバランスを 崩す 17 ・もの(炭素・酸素・水素・塩素) を熱したり、燃やす過程で自然に発 生する。 ・塩素化フェノールや除草剤、PCBな どの工業化学品の不純物 18 WHO(世界保健機関)の国際がん研 究機関(IARC)では、ダイオキシン 類の中で最も毒性が強いとされてい る2,3,7,8-TCDDについては、 他の発がん物質による発がん作用を 促す作用があるとされている。 19 ・45年経過した今も カネミ油症患 者さんの身体内にはまだ、高濃度の ダイオキシンが残留されている方が います。 ・さまざまな病気、症状に現在も苦 しんでいます。 20 お母さん(被害者)の証言 ~ 「カネミ油症40年シンポジウムin五島」~ 購入したカネミライスオイルで家族の食事を作り、 「たくさ ん食べてね。早く大きくなって。」と 子どもたちに たくさん 食べさせたこと。 「大事な家族に、毒の油を食べさせた。」 あれから40年間 ていること。 今も 自分自身を責め続け、苦しみ続け 被害者の悲痛な訴え 「今でも 健康被害で苦しみ続ける 私たちを助けて下さい。」 「油症の影響で苦しんでいる子ども達を どうか救って下さい。」 「私たちを救って下さい。」 被害者の気持ちや差別について 悲痛の叫び 「私が一番つらいのは、愛する家族に私の手作り の料理で、一生の病気を負わせてしまったことで す。」 「私の責任だと、ずっと自分を責めてきました。」 「忘れたい、この罪から逃れたい思いながら生きて きた40年でした。」 被害者の気持ちや差別について 油症に認定されると、就職や結婚で差別されるこ ともあり、被害者は認定されても人に話そうとしま せんでした。 油症検診を受けたことがない被害者も多い。 (油症と認められたくない。 子供たちに油症検診を受けさせたくない。) 今でも続くカネミ油症の苦しみ 「あんたは カネミ油症ってね。」 「あがん 汚か手で作ったまんじゅうは、 いらんよ。」 26 27 「カネミ油症患者に関する施策の 総合的な推進に関する法律」 平成24年9月5日施行 ・原因事業者(カネミ倉庫)による医療費の支払い及 び被害者の回復の支援 ・カネミ油症患者の健康状態の把握 ・未認定患者の救済 カネミ油症認定患者数 2178人 平成25年5月31日現在 平成25年度 平成24年度 平成23年度 1800 1850 1900 1950 2000 2050 2100 2150 2200 2250 平 平 平 平 平 成 成 成 成 8 5 2 23 20 17 14 11 成 成 成 平 平 62 59 56 53 50 47 44 度 成 和 和 和 和 和 和 和 平 昭 昭 昭 昭 昭 昭 昭 年 長崎県カネミ油症患者の認定状況 800 700 600 500 400 300 200 100 0 *カネミ油症事件を通して考える こと 被害者は、45年経過した現在も身体 的・精神的に苦しんでいます。 31 最 後 に *昭和43年に起きたカネミ油症事件は、私た ちの一番大切な命、健康を奪いました。 *未だたくさんのカネミライスオイルを食した 被害者の方々は、有機塩素化合物摂取に よって健康被害等で苦しんでいます。 *社会は、この事件を忘れず、関心を持ち続 けることが重要です。 32
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