〈ブラジル、ロシア、インド向け直接投資と投資環境〉 序文 本号では、財務省が公表している対外直接投資 展開調査では、中期的有望事業展開先国として順 に関する届出・報告統計の2004年度データに関す 位を上げてきているものの、具体的な投資計画を る解説を掲載したが、近年注目を集めている 有している企業はまだ少なく、中国のように投資 BRICsについて見ると、中国以外のブラジル、ロ 計画が次々と具体化していく状況には至っていな シア、インドに対する日本からの直接投資は必ず い。また、これらの国々では、関心を集めつつも しも著しい増加を示すには至っていない。中国は 投資先国の情報が不足していると感じている企業 SARSを始め毎年のように何かしら予見が難し も多い。以下では、ロシア、ブラジル、インドの い、所謂中国リスクと呼ばれるものが顕在化して 3カ国について、日本以外の国々からの投資動向 いるが、それでも日本企業の中国に対する関心は や政治経済状況を含む現地の投資環境について、 依然として高く、2004年度の届出統計でも過去最 現地に居ながら見た分析を寄稿してもらったので 高額を記録した。 それを紹介したい。統一的視点から議論を整理す 一方、他の3カ国についてはどうであろうか。 本行が毎年実施しているわが国製造業の海外事業 ることはいささか難しいが、それぞれの国を見る 際に読者の参考になれば幸いである。 (開発金融研究所 主任研究員 佐竹 貴徳) わが国のBRICs向け直接投資の推移(1989年−2004年) 億円 5,000 4,500 4,000 ブラジル ロシア 3,500 インド 中国 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004年 出所)財務省届出・報告統計より国際協力銀行作成。 70 開発金融研究所報
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