企業での英語リアリティーに迫る①

生徒を伸ばす指導のヒント
ベネッセコーポレーション
GTEC for STUDENTS 事業推進課
vol.38
【GTEC 通信】
http://gtec.for-students.jp/
企業での英語リアリティーに迫る ①
バイエル薬品株式会社 二宮 輝也 さん のお話から
◆企業概要
社名:バイエル薬品株式会社
事業内容:医薬品・医療機器・動物用医薬品の開発、
輸入、製造、販売
代表商品:アダラート(高血圧・狭心症治療剤)
本社:ドイツ
社長:Mr.ヴェルナー・ヴェニング(フランス人)
従業員数:106,000 人
(うち、日本のバイエルの従業員数は約 3200 名)
バイエルの使命:
「Science For A Better Life」
(よりよい暮らしのためのサイエンス)
グローバル企業であるため、英語を使う必然性が
様々な場面においてあります。いくつか挙げると、
①ドイツ本社とのコミュニケーション
②世界各グループ会社とのコミュニケーション
③日本国内のグループ各社とのコミュニケーション
相手は外国人であることが多いため、日常の会議やプ
レゼン、Eメール等全てが英語(特に①②)で行われて
いるのが現状です。
◆日本の医薬品業界を取り巻く環境の変化
5 年前と比べると、
日本国内の医薬品業界では日に日
に状況が激変しています。激変しているポイントは、
主に2つあります。
①外資系企業の参入とますます加速する「M&Aによる
再編」の動き
②新薬開発には膨大な時間とコストがかかるため、ま
すます強くなるグローバル化の動き
企業の生き残りという視点からの企業M&Aによる再
編と、新薬の導入による、再編後の「企業組織・文化
作り」が大切になってきます。そして、新薬導入には
膨大な時間とコストがかかる上に、日本の市場規模だ
けでは新薬開発と導入は、ほぼ不可能になりつつあり
ます。そのため、英語によるグローバルコミュニケー
ションが不可欠です。
◆バイエルグループが求める人材
コア人材(タレント)を早期選抜し、教育投資を集
中することにより、以下の人材を育成しているようで
す。
①グローバルリーダー
日本からドイツ本社やアジア各国に人材を送り出し、
将来的には会社のトップを担う人材に育成。英語が使
える事は必須条件。
②ローカルマネジメント
日本におけるマネジメント。日本語だけ話せれば良い
というわけではない。ドイツ本社とのやり取り、グロ
ーバル各社とのやり取り、日本国内グループ各社トッ
プ(多くは外国人)とのやり取りが英語で行われる。
③ローカルエキスパート
日本国内においての各種専門リーダー育成を早期から
育成。例えば、開発本部はグローバルの開発組織と繋
がっている。その際、専門分野においても英語でのコ
ミュニケーションは必須条件。
①∼③全てにおいて、英語力強化は必須であること
は言うまでもありません。
また、バイエルグループでは、人材育成戦略4本柱
というものがあります。その4つとは、
「人材ポートフ
ォリオ」
「サクセッションプラン(後継者育成計画)
」
「個
別育成計画」
「各種研修プログラム」です。
各社員の能力をいろんな角度から測定し、最終的に
は、上記リーダーに育成していく事が狙いです。4つ
の柱に共通して重要なことは、現在のパフォーマンス
(実績)と将来のポテンシャル(可能性)という点に
加えて、英語によるコミュニケーション能力も非常に
重要な点であるということです。
◆バイエルにおける英語力強化の重要性
バイエルとしては、上記コア人材に対する人材育成
と社員全体の英語コミュニケーション能力アップ、す
なわち底上げを、これからもさらに強化していくよう
です。理由は2つあります。
1 つ目の理由は、強まるグローバル化にもとづき、英
語によるコミュニケーションがより重要になってきて
いること。
(対グローバル担当者、対国内外国人マネジ
メントなど)
2つ目は、英語力だけでなく、世界標準のビジネス
フレームワークを踏まえて論理的に説得や提案ができ
る日本人リーダーを育成するニーズが強まってきてい
ること。
同時に上述しましたが、管理職やコア人材はもちろ
んの事、一般社員を含め全社員に英語力強化を徹底し
ておられます。また、二宮さんの話の中で、
「現実問題、
厳しい話にはなりますが、職務上いかに有能であって
も英語能力が低いとキャリアアップの可能性がなくな
ります。
」という言葉には驚きを抱きました。
◆バイエルにおいて社員に求めている事
図1
上級管理者
<課題形成・対応>
<判断力・意志決定>
中級管理者
テクニカルスキル
ヒューマンスキル
コンセプチュアルスキル
図2
社会人版GTEC
測定スキル
4 スキル
(Listening/Reading/Writing/Speaking)
受験時間
80 分(オンラインによる受験)
コンテンツ
Business65%,General35%
評価
1000 pts (250 pts for each skill)
スコアレポー Listening/Reading→受験後すぐ
ト
Writing/Speaking→10 日以内
受験場所
また、下記の図3をご確認ください。図3の社会人
版 GTEC CAN−DO シートを使用しながら、社会人版
GTEC 受験後の社員一人一人と面談をし、現在の職種に
対して、不足しているスキルは何で、いつまでに目標
スコアを目指すか等の面談も個別に行っています。
図3
SCORE
250
240
230
220
210
200
190
180
170
初級管理者
(実技的能力)
(対人関係能力)
(概念的思考能力)
160
英語コミュニケーション能力
180
Can understand most of what is
spoken in meetings but occas ionally
misunderstands.
Can understand what is spoken when
110
80
◆バイエル英語トレーニング体系
バイエル内での英語の重要性や、英語能力の視点を
大切にしている点をここまでまとめてきました。ここ
からはバイエル入社後にどのようなシステムで英語能
力を社員に付けさせているかを提示いたします。
「社会人版 GTEC による英語能力測定」
社員に英語研修の受講前後で社会人版GTECを受験さ
せ、現状レベル把握と効果測定を実施しています。参
考までに社会人版GTECとはどのようなものかを右上の
図2で示します。
Has little trouble understanding what
is spoken in meetings or on the
phone.
Has no trouble understanding
conversation made during travel or
when shopping.
90
図1をご覧ください。バイエルで、新入社員から、
経営層までに求めていることを図式化してみました。
特にベースとして記載している点が全社員に共通する
部分になります。当然、バイエル社員である以上、共
通のコアコンピテンシーは大切にしている部分になり
ます。その次に、英語コミュニケーション能力をベー
スとして位置づけています。それくらい、英語が使え
るかどうかという視点を、会社の大切な軸として置か
れている事がここでは確認出来ると思います。
Reading
70
60
50
40
30
20
10
0
Writing
Can read and understand newspapers,
magazines and technical documents without
Can understand complex discussions difficulty.
in a meetings.
130
100
バイエル全世界共通の7つのリーダーシップコンピテンシー
Listening
140
150
120
ベース
ベルリッツ LC
Can read and understand most of the content Has no major trouble writing rather
in newspapers, magazines, business e-mails complex documents including
reports, e-mails and minutes.
and technical documents.
Can address any complex situation
with confidence.
Can take part in complex
discussions, presentations and
speeches.
Can use English on general
Has no major trouble writing general
Has some trouble reading and understanding documents including reports, e-mails business occasions, including
management, discussions and
newspapers, magazines, business e-mails
and minutes.
negotiations.
and technical documents.
160
Can read and understand most business emails and documents, but has difficulty with
complex ones.
shopping or making a reservation for a
Can read and understand some newspaper
hotel or restaurant.
articles about familiar topics, and easy emails and documents, but has difficulty wi th
Can understand about half of what is
complex ones.
spoken when traveling.
Can read and understand easy personal emails and documents but has trouble with
complex ones.
Can read and understand easy personal eCan understand simple phrases but
mails and documents but cannot
has trouble comprehending most
comprehend complex ones.
conversations.
120
110
Can understand words and simple
phrases if they are uttered slowly.
Speaking
Can write complex reports, papers
and presentation scripts as well as
formal letters.
150
Can write rather simple documents
including general e-mails and
minutes.
Can write simple e-mails and
documents, including letters of
request, but has trouble with co mplex
ones.
Can write standardized e-mails and
documents, but has trouble with
complex ones.
110
Can write simple sentences,
including emails and memos.
Can write one or two-line memos
Can read and understand easy signs and very
informing people of problems or
short messages.
saying hello.
160
Can give instructions to
subordinates and colleagues.
120
Can effectively make oneself
understood in most travel situations .
Can use English correctly when
shopping, making reservations on
the phone, etc.
Can place orders at restaurants but
sometimes has trouble.
Unaccustomed to English
conversation and has trouble
speaking anything more than a few
scattered words.
◆高校英語教育への願い(二宮氏からのメッセージ)
医薬品業界はもちろん、あらゆる業界において、グ
ローバル化を背景に、一部の経営層だけでなく、一般
社員まで英語力の重要性が求められる時代になりまし
た。しかし、現実は、社会人になって初めて、英語の
重要性に気づき、驚く新入社員も多く存在します。高
校教育段階から、社会進出の際には、英語が大切で、
しかも英語を使うことが重要視されている事を高校生
に伝えて欲しいと考えます。その方が、いざ社会人に
なった際は、スムーズにキャリア形成が出来ると考え
ます。
英語の「読み書き」にとどまらず、
「聞く、話す」等
実際に英語を使う事を実践してみてください。同様に、
実際のビジネスシーンで使える、英語によるコミュニ
ケーション能力のベースを構築していただきたいと願
っています。
(東京本部 GTEC 事業推進課 五十嵐 俊也)