添田町人事評価制度マニュアル(785KBytes)

添田町人事評価制度
マニュアル
組織の業績向上と、その達成に貢献できる人材の育成
そして職員を適性に処遇
コミュニケーションによる組織の活性化を図り、職員に
「気づき」を提供
平成28年4月
はじめに ~添田町人事評価制度のあり方~
これからの添田町職員は、多様化する住民のニーズに対応し、地域における総合的な
行政主体として、役割はますます重要になってきている一方で、少ない職員数の中で、
個々の職員には、困難な課題を解決していく能力と高い業績を挙げることが、これまで
以上に求められます。
また、社会経済情勢等の変化に対応できるよう体質を強化することも重要であり、そ
のためには職員が常に高い意欲と目的意識をもって、より効率的な仕事をすることが必
要となります。
今回、人事評価制度を導入するにあたって、職員一人ひとりが必要な制度と意識し、
必ずレベルアップ、意識改革につながる制度として、理解されることが重要と考えます。
そのためには、これまでの仕事のやり方、ものの考え方から踏み出し、新しいことに
乗り出す積極性を期待し、与えられた仕事だけではなく、職場や地域など、広い視野の
中であらゆることに関心を持ち、発見し、問題解決へ取り組む必要があります。
本町が求める人事評価制度では、コミュニケーションを重視することで、職員一人ひ
とりに「気づき」を提供し「行動を変える」ことが重要で、このことは、職員への期待
の表れで、組織、職員の行動を導く重要な役割になると考えています。
このため、これまでの人事管理ではなく、職員の「発揮した能力」「挙げた業績」を
的確に把握し適正に評価した結果を、人事配置・昇任・昇給に生かすだけでなく、結果
をもとに職員の人材育成を図ることも重要な方針としています。
これから取り組む人事評価制度では、自己評価や上司との面談、評価研修など、新た
に取り組んでいくことになります。この制度を通じて組織内のコミュニケーションを活
発化にし、共通の目標に向かって仕事ができる環境づくりとして取り組んでいただきた
いと思います。
また、この人事評価制度では、目標に対し振り返ることで、その結果が今後の仕事の
ベースにもなり、目標や課題を継続的に進めていくことにもなります。
人事評価制度を仕事のツールとして上手く活用することで、住民サービスの向上を目
指していただきたいと思います。
平成 27 年 3 月
添田町長
寺 西 明 男
目
1
次
人事評価制度が目指すもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)3つの主義
(2)4つの方針
2
人事評価制度の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(1)人事評価制度の基本的な枠組み
(2)人事評価制度の対象者
(3)人事評価制度のスケジュール
3
業績評価(目標管理)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(1)業績評価の考え方
(2)目標管理とは
(3)目標管理の目的
(4)目標設定の仕方
(5)業績評価の評価段階
4
行動評価(成績・能力・態度)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(1)行動評価の全体像
(2)職位別評価項目
(3)評価項目の定義と着眼点
(4)5段階評価と評価基準
(5)行動評価の3つのステップ
5
行動評価のエラーと対処法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
6
面談制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(1)面談制度の意義
(2)面談制度の構成
(3)各面談制度の目的と進め方
(4)面談における留意点
7
評価結果の取り扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
(1)評価結果の開示
(2)評価結果の活用
8
相談窓口の設置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
9
資料編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
1
人事評価制度が目指すもの
(1)3つの主義
本町の人事評価制度は、職員一人ひとりの能力を引き出し、育て、活かして、住民から
期待され信頼される職員に成長すること、及び職場のコミュニケーションの円滑化を図り、
組織の活性化を図ることを目指すものです。
この人事評価制度は、次の3つの考えから制度を構築しました。
①
能力主義
職員一人ひとりが職務行動を改善し、高い能力を発揮する職員に成長するためには、
職員の発揮した能力を客観的に評価し、その上で長所を伸ばし、短所は克服することが
必要です。このことを実行するのが能力主義です。
②
業績主義
本町の仕事が従来にも増して、住民からの信頼を獲得するためには、職員一人ひとり
が自らの役割を自覚し、組織目標や職務行動の結果を業績として明確に意識した上で職
務に取り組むことが必要です。このことを実行するのが業績主義です。
③
チャレンジ主義
変化の激しい時代にあっては、ただ漫然と旧来の施策を繰り返していたのでは、住民
に信頼される組織は実現されません。厳しい時代だからこそ、敢えて失敗を恐れず、チ
ャレンジし続けるプラス思考の組織と職員に成長することが必要です。また、果敢に挑
戦したことにはその功績を称え、労苦をねぎらうことも必要です。このことを実行する
のがチャレンジ主義です。
(2)4つの方針
人事評価制度には、客観性が保たれ、職員の多くが納得できる仕組みとして構築してい
くことが重要であり、本町では、次の4つの視点を確保することを目指しています。
①
公平性・公正性の確保
職務行動の中で確認できた事実をもとに評価します。確認できない事実をもとにした
評価はしません。評価者が事実を正しく見ていない場合などは職場面談を通じて、お互
いに共通の認識を持つように努めてください。
1
②
納得性の確保
評価は職場面談を通じて、話し合いをもとに決定します。とことん上司と話し合い、
評価に対する疑問を解決してください。
③
透明性の確保
評価する前に、評価される項目や評価の基準を公開します。どのような行動が高く評
価されるのか、どういう行動が求められているのか、よく理解してください。
④
信頼性の確保
人事評価に関する苦情等の相談体制を確立し、評価制度や評価結果の信頼性に努めま
す。
日頃から課や係内で
コミュニケーション!
2
2
人事評価制度の概要
(1)人事評価制度の基本的な枠組み
人事評価制度の枠組みは、目標を設定してその結果を評価する「業績評価」と、職員一
人ひとりの仕事の成績や能力、及び勤務態度を評価する「行動評価(成績・能力・態度
評価)」の二つを大きな柱とします。
①
業績評価
業績評価とは、期初に目標を設定し、期末にその達成度を評価するものです。具体的に
は目標管理という手法を活用します。
②
行動評価
ア)成績評価
成績評価とは、仕事の正確さや迅速性について評価するものです。
イ)能力評価
能力評価とは、職責を果たすうえで発揮された能力について評価するものです。
ウ)態度評価
態度評価とは、仕事に対する取組姿勢を評価するものです。
仕事の成果・結果 ⇒ 業績評価、成績評価
仕事の中で発揮された能力
⇒ 能力評価
仕事に対する取組姿勢(意欲・態度)⇒態度評価
潜在能力、性別、年齢、経歴、性格など
⇒ 評価対象外
(2)人事評価制度の対象者
①
評価の対象者
人事評価制度の対象者は、原則として全職員とします。ただし、休職やその他の事由
がある者は、評価対象者から除外するものとします。
3
②
評価者と被評価者
評価者と被評価者の関係は、特別な場合を除き、次の表のとおりです。
被評価者
自己評価
一次評価者
二次評価者
最終決定者
課長・副課長
本人
副町長
―
町長
課長補佐・参事補佐
本人
課長・副課長
副町長
町長
係長・主査
本人
課長・副課長
副町長
町長
主任
本人
係長
課長・副課長
町長
主事
本人
係長
課長・副課長
町長
ア)自己評価
職員が主体的に能力を開発するためには、自分自身の行動や業務実績を振り返ること
が大切です。すなわち、自分自身を客観視することで、自分の強みや弱みに気付き、長
所は伸ばし、短所は克服することに繋げる、いわば、成長の出発点です。
また、評価者に対して自己アピールしたり、評価者の観察を補うことにも繋がりま
す。
イ)一次評価者
一次評価者は、日常の職務を通じて指導を行っていくという部下にもっとも近い立場
にあります。したがって部下の職務遂行状況、成果の確認等、事実をもっともよく把握
できる立場にあります。
ウ)二次評価者
二次評価者は、部下に対して直接的な職務上の接触は一次評価者に比べて少ないもの
の、その反面、広い視野から客観的に評価できる立場にあります。部下との距離を少し
置いたほうが、感情が入らず冷静に評価できるということです。
このように、自己評価を行い、その後一次評価者・二次評価者がそれぞれの持ち味を
生かして多面的に部下を評価し、これらを総合して処遇に結びつけることが評価の信頼
性を高めることにつながります。
4
(3)
人事評価制度のスケジュール
① 評価対象期間・・・4月1日~翌年3月31日
② 評価基準日・・・・1月1日
③ スケジュール
業績評価
4月
行動評価
個人目標案の設定
行動観察記録
目標設定面談(一次評価者)
5月
二次評価者確認後
個人目標の決定
10月
1月
中間面談(一次評価者)
自己評価
⇒
一次評価者は仮評価
期末面談(一次評価者としての評価確定)
2月
二次評価者の評価後 → 最終決定者を経て評価の確定
評価結果の通知(所属長 ⇒ 被評価者)
※
評価対象期間は、3月31日までとしますが、評価基準日が1月1日であるため、評
価基準日以降の1月から3月までの業績については、評価基準日で確認された達成状況や
進捗率から年度末の業績を見込んで評価します。
ただし、1月1日から3月31日の間で、当該評価結果を変更させなければならない
事由が生じた場合は、再度評価するものとします。
5
3
業績評価(目標管理)
(1)業績評価の考え方
業績評価では、1年間の業務実績を評価します。年度当初に被評価者が上司と面談をと
おして目標を設定し、評価基準日に目標の達成度を確認し、評価する「目標管理」の手法
を用います。
(2)目標管理とは
目標管理とは、職員一人ひとりが目標を設定し、目標達成のために、その目標を自主的
に管理しながら、主体的に責任感を持って努力することを通じて、成果を上げることを目
的とした手法で、PDCAサイクルを自らの職務において実践するものです。
また、目標達成に向けた主体的な取組が、一人ひとりの成長や動機付けを高めるものと
なります。
(3)目標管理の目的
目標管理を導入することは、職員に高い目標に挑戦し続ける思考と意欲を醸成し、また、
その目標を達成する実践力を身に付けることにより、仕事の好循環を職員自ら生み出すこ
とを期待するものです。
また、職員が組織目標を明確に意識し、主体的に職務遂行することを促しながら、計画
的な人材育成に活用するものです。
目標管理の実践は、仕事の進捗状況を適切に行いながら、住民や組織の期待に着実に応
えることであり、住民に信頼される本町の実現を図るものです。
目標管理は、主に次の用途に活用します。

組織全体の目標・各部署の目標を明確にすること

組織内で情報を共有し、目標を浸透させること(目標の連鎖)

自分の職責における目標を明確にすること

職員にPDCAサイクルを習慣化させること

仕事への主体性とやる気の向上を図ること

職場面談を通じた人材育成と上司とのコミュニケーションを図ること

仕事の実績(結果)を把握・確認すること

評価基準の明示による評価制度の納得性の向上を図ること

結果を処遇へ反映させること
6
(4)目標設定の仕方
①
目標の4つの要素
・目標項目(何を)
・期限(いつまでに)
・達成水準(どのような成果を)
・手段(どのような方法で)
②
目標の4つの要件
・原則として、組織の方針、部門目標に沿った目標であること
・業務の主要部分をカバーし、役割を反映したものであること
・担当者自らが立案し、チャレンジ性があること
・上司とよく話し合って決めたものであること
③
目標設定のプロセス
各自の目標は、組織目標や自分がなすべき役割を理解し、担当する業務を通じて、組
織へどのような貢献ができるかを、まずは自らの知恵で考えます。本人による原案作り
は、新しい視点から組織目標を達成することにつながります。
ステップ1
目標設定にあたって、さまざまな視点から検討事項を洗い出し、
「目標設
定準備シート」の【課題の洗い出し】欄に記入
(組織や課の方針、住民の視点、仕事上の問題点・改善すべき点、人材育
成・能力開発の視点など)
ステップ2
検討課題を整理し、自分が取組むべき課題を抽出
ステップ3
抽出した課題に優先順位をつけて、
「目標設定準備シート」の【今期の目
標項目】欄に目標項目とその設定理由を記入する
ステップ4
「目標設定シート」に目標項目、期限、達成水準、方法・手段、ウエイ
ト、難易度係数を記入する
ステップ5
目標設定面談を実施し、目標を決定する
7
④
目標設定の表記のポイント
ア)目標項目
※ 目標項目の表現はなるべく簡潔にします。
<基本的な表現>
~の達成、 ~の向上、
~の促進、 ~の開発、 ~の推進、 ~の設置
~の改善、 ~の削減、
~の整備、 ~の防止、 ~の改革、 ~の効率化 など
イ)期限(いつまでに)
※ 目標ごとに期限を設定します。
※
1年を超える目標の期限は、期末となります。その際、期末にどのような達成状況に
なっているかを数値や状態で書いてください。
ウ)達成水準(どのような成果を)
※ 達成水準は評価のモノサシになるため、なるべく数値化(定量化)します。
<モノサシの例>
予算対比○%削減、 徴収率○%アップ、 事務処理時間○時間削減 など
※
数値化できない目標(定性目標)は、予想される状況、期待する状態を「~ができる
ようになるまで」など、できる限り具体的に表現してください。
エ)手段(どのような方法で)
※
目標を達成していくうえで一番のポイントとなるのが、目標達成の手段です。この手
段を具体的に行動レベルで設定できるようにしてください。
オ)ウエイト
※
目標全体から見た個々の目標の優先度や重要度、仕事の量などを加味してウエイトを
設定します。全体を 100%として捉え、個々の目標のウエイトを設定してください。
カ)難易度
難易度の基準
難易度係数
職位(等級)以上
:
職位(等級)に比して非常に高い目標
1.2
職位(等級)レベル
:
職位(等級)に求められるやや高めの目標
1.0
職位(等級)以下
:
職位(等級)に比して低い目標(例外)
0.8
8
(5)業績評価の評価段階
評価段階、及び基準は、次の表のとおりです。
段階
基
準
S
目標を大幅に達成
(150%以上~)
A
目標を達成
(100%以上~150%未満)
B
目標をもう少しで達成
(75%以上~100%未満)
C
目標を未達成
(50%以上~75%未満)
D
目標を大幅に未達成
(~50%未満)
9
4
行動評価(成績・能力・態度)
「行動評価(成績・能力・態度)
」では、職位に期待し求められる職員像としての基準を
設定し、それらが実際の職務遂行行動として見られるかを観察し、評価します。
(1)行動評価の全体像
評価区分
対象となる能力
成績評価
能力評価
態度評価
結果・成果
発揮能力
執務態度
各人が一定期間に発
各人が一定期間に具
仕事に対する心構え
揮した結果、成果
体的に発揮した能力
や意欲、組織の一員
としての自覚
とらえる内容
職務遂行度・達成度
職務遂行能力
意欲・態度
一定期間に何をやっ
今、何がどの程度で
一定期間に仕事にど
たか、何ができたか
きるかをとらえる
のように取組んだ
をとらえる
か、まだどのように
努力したかをとらえ
る
・仕事の質
・知識・技術
・規律性
・理解力、判断力、
・責任感
・仕事の量
決断力
・積極性
・創意工夫力、企画力、 ・協調性
評価項目
政策立案力
・表現力、折衝力、
折衝調整力
・指導育成力、
管理統率力
10
・コスト意識
(2)
評価
職位別評価項目
係長
課長補佐
課長
主査
参事補佐
副課長
○
―
―
―
○
○
―
―
―
知識・技術
○
○
○
○
○
理解力
○
○
判断力
―
―
○
○
決断力
―
―
―
―
○
創意工夫力
○
○
―
―
―
能力
企画力
―
―
○
○
評価
政策立案力
―
―
―
―
○
表現力
○
○
―
―
―
折衝力
―
―
○
○
折衝・調整力
―
―
―
―
○
指導・育成力
―
―
○
○
―
管理・統率力
―
―
―
―
○
規律性
○
○
○
○
○
責任感
○
○
○
○
○
積極性
○
○
○
○
○
協調性
○
○
○
○
○
コスト意識
―
―
○
○
○
評価項目
主事
主任
成績
仕事の質
○
評価
仕事の量
区分
態度
評価
11
(3)評価項目の定義と着眼点
別紙:人事評価表(様式第 1 号~第 5 号)
(4)5段階評価と評価基準
段階
項目
レベル
S
能力
職位に求められる水準をはるかに上回る能力を発揮している。
る。
優れている。
標準を上回る。
期待される水準を上回り、業績は十分に果たした。
能力
職位に求められる水準の能力を十分に発揮している。
態度
上司の期待に十分応えており、十分に満足できる状態である。
標準。
期待し求める水準をほぼ満たしている。
成績
期待される水準の業績をほぼ果たしている。
能力
職位に求められる水準の能力をほぼ発揮している。
態度
上司の期待に応えており、ほぼ満足できる状態である。
レベル
成績
能力
態度
レベル
成績
D
全く申し分のない状態で、その態度が周囲の良き模範となってい
成績
レベル
C
大変優れている。 上位職と比較しても優れている。
期待される水準をはるかに上回り、完璧で抜群であった。
レベル
B
準
成績
態度
A
基
能力
態度
劣っている。
期待を下回った。
期待される水準の業績に対して、努力が必要である。
職位に求められる水準の能力をあまり発揮しておらず、時々指
導・援助を要する。
上司の期待にあまり応えておらず、やや不満を感じる状態である。
大変劣っている。 業務支障がみられる。
ミスや問題が多く、業務にも支障を生じることがあった。
職位に求められる水準の能力をほとんど発揮しておらず、常に指
導・援助を要する。
上司の期待に全く応えておらず、極めて不満を感じる状態である。
12
(5)行動評価の3つのステップ
行動評価は、被評価者のどの行動を評価の対象とするのか(行動の選択)
、どの評価項目
でみていくのか(評価項目の選択)
、どのレベルにあるのか(段階の選択)という3つの手
順を踏んで行うことになります。
① 行動の選択
①
⇒
② 評価項目の選択
⇒
③ 段階の選択
行動の選択
行動の選択とは、被評価者の行動のうち、評価の対象とならない行動を切り捨て、評
価の対象となる行動を選択することをいいます。
そして、評価の対象となる行動は、職務遂行行動のみです。職務外の行動、職務に関
係しないプライベートな行動は評価対象となりませんので、注意してください。
また、評価の対象となる行動は、あくまでその評価期間の職務遂行行動となります。
評価期間外の行動は評価の対象外となりますので、注意してください。
≪行動の記録≫
被評価者の日常の職務行動事実と指導内容については、
「行動観察記録シート」に記録を
してください。記録された事実は、評価決定の際の判断材料になるとともに、評価に客観
性を持たせ、納得性を高めることにもつながります。
ただし、行動観察記録シートは、被評価者の日常の職務行動を全て記録するものではあ
りません。被評価者の職務行動において特記すべき行動が見られたとき、相談や助言指導
したとき、叱責、賞賛したときなど、評価対象の事実として記録しておくことが必要と認
められる場合に記録します。
別紙:行動観察記録シート(様式第 6 号)
②
評価項目の選択
評価項目の選択とは、評価の対象となる行動にどの評価項目を適用するかをいいます。
評価項目を選択するときは、次のようなルールがあります。
・1つの行動は、原則として1つの評価項目を選択します。
・例外として、評価区分が異なれば、成績評価から1つ、能力評価から1つ、態度評価か
ら1つの評価項目を選択することにより、最大3つの評価項目を選択することができま
す。
③
段階の選択
段階の選択とは、被評価者の行動が5段階評価(S A B C D)のどのレベルに該
当するかを選択することをいいます。
13
5
行動評価のエラーと対処法
評価者が評価する際に陥りやすい点については、次のことが考えられますので、注意し
てください。このことは、被評価者が行う自己評価にも言えることです。
傾向
ハロー効果
内容
対策
・何か1つが良いと何もかもが良
・被評価者に対する先入観をなくす。
く見えてしまう。
・日常の職務行動をよく観察し、事実
・何か 1 つが悪いと何もかもが悪
に基づいた評価をする。
く見えてしまう。
・自分の部下はかわいい、他部門 ・実際よりも甘い評価は、数年後には
寛大化傾向
よりよくみてやりたいという
被評価者の立場を不利にしてしま
評価者の気持ちが表れ、実際よ
うことを知る。
りも甘く(プラスに)評価して ・能力開発、育成のための公正な評価
しまう。
をする。
・評価が真中「B」に集中し、個 ・評価段階「S」~「D」の違いをよ
人間の差がなくなる傾向。
中心化傾向
・評価に不慣れ、自信がない、真
剣さがない等により、部下の間
く認識する。
・評価に自信と責任を持つ。
・日常の職務行動をよく観察する。
に差をつけることをためらう
ことが原因
・少し良ければ極端に良く、少し ・評価段階「S」~「D」の違いをよ
極端化傾向
悪ければ極端に悪く評価する。
結果として「S」と「D」が多
く認識する。
・事実に基づいた評価をする。
くなってしまう。
・評価者(自分)を基準として、 ・被評価者に適用される評価項目の着
対比誤差
自分と被評価者を比較して評
価をしてしまう。
眼点をよく理解する。
・自分を基準として評価することはや
める。
・評価者の頭の中で、論理的に関 ・各評価項目の定義、着眼点を十分理
係があると思われる評価項目
論理誤差
解しておくこと
については、同じような評価を ・評価項目間の関係などについて、自
下してしまう。
分勝手な判断を下さないようにす
ること。
・評価実施時の直前の事実は記憶 ・行動観察記録シートに記録し、評価
遠近誤差
に新しいため、評価実施時に近
い時期の行動事実だけで評価
をしてしまう。
14
対象期間をとおして評価をする。
6
面談制度
(1)面談制度の意義
これからの人事評価制度は、明るく開かれた制度であることが求められています。その
ためには、基準を明確にして、
「評価」→「育成」→「活用」→「処遇」が行われるシステ
ムを構築する必要があります。この基準に基づいて、職員の心を大切にしていくことによ
り、
“人間尊重の人事”は成立していきます。
また、面談制度による上司と部下との話し合いをとおして、本町が期待し求める人材像
を明確にしたり、能力開発や人材の育成、動機付けや仕事そのものに対する満足感を与え
ることにもつながります。
このように面談は、人事評価制度の要になるものであり、また面談なくして人事評価制
度は成立しないということにもなります。
(2)面談制度の構成
面談制度は、上司と部下との重要なコミュニケーションの場であり、目標の設定、達成
活動の支援、評価結果のフィードバックを的確に実施することにより、よりいっそうの効
果をあげることができます。
そこで面談制度には、目標の設定段階、実施段階、評価段階の各場面により、次のよう
な構成になっています。
<期初(目標設定)面談>
4月に実施
<中間(フォローアップ)面談>
10月に実施
<期末(育成)面談>
1月に実施
<評価結果の通知>
2月に実施
15
(3)各面談制度の目的と進め方
それぞれの面談の目的と進め方は、次のとおりとなります。
①
期初(目標設定)面談
<目的>
ア)組織や部門の方針・目標の確認、および共有化
良
く
話
し
て
!
イ)個人目標の確認、決定
ウ)部下に対する動機付け
<進め方>
手
順
上司の実施事項
・組織の方針・目標をふまえて、担当部署の次期の方針・目標を部下
1
期 初( 目標 設
定)面談に向けて
の事前準備
全員に説明する
・目標のたたき台を自分で作るよう指示する
・目標設定面談の時期を伝える
・部下一人ひとりについて、面談で話し合う事項を整理しておく
(目標として期待することや課題など)
・日頃の努力をほめるなど慰労の言葉をかけ、リラックスした雰囲気
2 導入部
を作る
・面談の目的を説明する
3
部 下に 目標 を
説明させる
・部下にたたき台目標やその理由、達成方法等を説明させる
※ この時、上司は聴き役に徹する。
・部下の説明で不明な点、曖昧な点は確認する。
・組織目標、上司の目標案とギャップがある場合は、よくすり合わせ
を行う
4 話し合いと
・目標項目、期限、達成水準、方法・手段、ウエイトを確認する
合意づくり
・予想される障害とその対応策、援助できる項目などを確認する
・お互い納得の上、目標、期限、達成水準、方法・手段、ウエイトを
決定する
・その他、部下からの意見・要望を聴く
5 結び
・決定事項を要約し、支援・援助の確認を行う
・最後に期待と励ましを行い、礼をして終わる
16
②
中間(フォローアップ)面談
良
く
聞
い
て
!
<目的>
ア)進捗状況の確認
イ)問題の早期発見と軌道修正
ウ)部下に対する動機付け
<進め方>
手
順
上司の実施事項
・進捗状況をシート等にまとめてくるよう指示する
・進捗状況が不十分な目標については、問題と原因、さらに対応策を
1
中 間面談に向
けての事前準備
考えてくるよう指示する
・中間面談の時期を伝える
・部下の進捗状況を把握しておく
・進捗状況が不十分な目標については、問題と原因、さらに対応策を
考えておく
・日頃の努力をほめるなど慰労の言葉をかけ、リラックスした雰囲気
2 導入部
を作る
・面談の目的を説明する
・部下に進捗状況を説明させる
3 部下による
進捗状況の説明
・進捗状況が不十分な目標については、問題と原因を述べさせる
※ この時、上司は聴き役に徹する。
・部下の説明で不明な点、曖昧な点は確認する。
・問題点についてまとめる
4 解決方法に
ついて話し合う
・解決策について、部下の意見を求める
・必要に応じて上司も提案する
・予想される障害とその対応策、援助できる項目などを確認する
・その他、部下からの意見・要望を聴く
5 結び
・決定事項を要約し、支援・援助の確認を行う
・最後に期待と励ましを行い、礼をして終わる
日頃から課や係内で
コミュニケーション!
17
③
期末(育成)面談
<目的>
ア)目標の達成度や行動評価の確認とプロセスの振り返り
イ)次期に向けての課題の確認と動機付け
ウ)能力開発・人材育成
<進め方>
手
順
上司の実施事項
・部下に自己評価をさせ、評価結果の根拠や取組状況、反省点などを
1
期 末面 談に 向
けての事前準備
考えてくるよう指示しておく。
・上司自らも仮評価をしておく。(正式な評価は面談後)
・何について話すかを十分考えておく。
・面談のスケジュールを立てておく。
・日頃の努力をほめるなど慰労の言葉をかけ、リラックスした雰囲気
2 面談に臨む
を作る
・面談の目的を説明する。
・部下に自己評価をその理由とともに説明させる。
3 部下による
自己評価の説明
・達成された項目について、その要因を説明させる。
・未達成の項目について、その問題と原因を説明させる。
※ この時、上司は聴き役に徹する。
・部下の説明で不明な点、曖昧な点は確認する。
・評価の裏づけ事実にもとづき、上司評価を伝える。
4 上司評価の
フィードバック
・部下の評価結果と一致していない項目は、事実確認を行い、合意形
成を図る。
(事実確認の結果によっては、上司の評価結果の修正を行い、一次評
価者としての評価を決定する。
)
・達成された項目については、その成功要因を確認し、次期への活動
5 能力開発・人材
育成のためのア
ドバイス
へつなげる。
・未達成の項目については、その原因から部下の能力開発と上司の支
援のあり方を確認する。
・決定事項を要約し、支援・援助の確認を行う。
・最後に期待と励ましを行い、礼をして終わる。
18
(4)面談における留意点
面談に当たっては、次の留意点に注意しながら実施してください。
①
面談の事前準備
ア)会場の確保
来客や電話に妨げられないようにし、できるだけ周りの目を気にする必要のない場所
で面談を行ってください。
イ)面談スケジュールの作成
いつ、誰と、どれくらいの時間をというようにスケジュールをはっきり決め事前に周
知しておくことが必要です。これは部下にも話し合いの準備をする時間を与えることに
もなります。
ウ)何について話すかを十分考えておく
必要な事項をもれなく効率よく進めるために、話の展開(シナリオ)を作成しておく
ことが望まれます。具体的には
*良い点をたくさんピックアップしておく。
人間は、誰もが他人に認められたいという欲求を持っています。従って、部下の職務行
動を全面的に否定してしまえば、
「指摘した事実が受け入れられない」「やる気をなくして
しまう」ことに繋がります。
人には誰にも良い点や取り柄があるはずです。できる限りよい点をたくさんピックアッ
プしておき、面談の場面で部下をほめる(認める)ようにしてください。
*注意する点は具体的な事実を洗い出しておく。
人間は、自分の落ち度は素直に認めたくないものです。しかしながら、人事評価を実施
し、問題点やウィークポイントが明らかになった場合は、それを注意・指導し、改めさせ
たり引き上げるのは評価者の職責です。
注意・指導をするときに具体的な事実に勝るものはありません。そのためには、「行動観
察記録シート」に記録し、前もって具体的な事実を洗い出しておくことが非常に大切です。
具体的な事実をピックアップするには
日頃のコミュニケーションが重要!
行動観察記録シートを活用しよう!!
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②
面談に臨むにあたって
ア)部下が話しやすい雰囲気作りを心がける。
お互いが改めて面と向かって話す場合、特に部下の方は緊張します。緊張した雰囲気
では話したいことも話せません。
そこで、面談に臨むにあたっては、くつろいだ雰囲気の中で面談を実施するために、
座席の配置を斜めに座ったり、声の調子、笑顔などに配慮を行い、慰労の言葉をかけて
行ってください。
③
面談が始まってから
ア)十分な時間をかけ、聴き役に徹する。(傾聴)
面談では、上司と部下の意思の疎通を十分に図ることが肝要となるため、少なくとも
20分~30分程度の時間をかけてください。
部下自身の考えや自己反省、上司や職場に対する要望などを話させるようにします。
面談時間の半分以上は部下が話し手になるように努めてください。
そのためには、上司は相手を受け入れ、共感し、誠実な態度で対応することにより、
相手の考えや悩みを引き出すようにします。その際、「うん、うん」とか「なるほど」な
どと相槌を打ちながら聴くようにし、曖昧な点だけ最後に質問をして確認をしてくださ
い。
部下が話している途中や考えている途中で、話の腰を折ったり、横やりを入れず、最
後まで話に耳を傾け、結論を急がないようにしてください。
(参考)面談での禁句例

批判型・・・・・きみの考えはおかしい。間違いだ。そんなことだからだめなんだよ

いい加減型・・・まぁ~そんなもんだろう。いいんじゃないのか

突き放し型・・・きみの好きなようにやればいいんじゃないのか

命令型・・・・・いいからこれでやれ。業務命令だ
④
期初(目標設定面談)の場面では
ア)目標項目および達成水準の確認
目標項目および達成水準が、組織や部署の方針・目標と連鎖しているかどうか、上司
が求めているレベルにあるかどうかについて、話し合ってください。
また、部下を育成するという立場から、上司は知識経験を活用し、必要な助言や指導
を行ってください。
特に達成水準について数値化できないものは、どうなれば目標達成となるのかを上司
と部下の間で共有できる程度まで具体的に設定することが重要になります。達成水準が
曖昧だと、評価をする際に部下との間で大きなギャップが生じることになります。
20
イ)達成のための方法や手段の内容およびウエイトの確認
具体的にどのような方法・手段をもって、いつまでに何をするのか、その方法・手段
は適切か、その他適切な方法・手段はないのかなどについて話し合ってください。
また、ウエイトは、担当部署の目標達成上の重要度や職務全体に占める仕事の量など
から妥当なものになっているか話し合ってください。
ウ)上司への要望等の確認
目標達成に向けて、部下が上司に対して要望する事項があるかどうかを確認し、その
事項について話し合ってください。
⑤
中間面談、期末面談の場面では
ア)自己評価の内容確認
評価期間を振り返り、設定した目標に対して「いつ、誰に、何をしたか」や「スケジ
ュールどおりに進んでいるのか」という具体的な事項について話し合ってください。
また、目標達成項目についてはその要因を、目標未達成の項目は、未達成の原因を話
し合ってください。
イ)上司の評価結果は明確に
上司は、評価結果を明示し、その理由(何が・どうだった・だからこうなった)を説
明してください。
面談を通じて、どこが高く評価され(優れているか)、どこが望ましくないか(不足し
ているのか)をはっきり伝えることが重要です。これにより、部下の評価に対する理解
度を高めるとともに、能力開発や人材育成の観点から次期に向けた自覚を促すことがで
きます。
特に部下の自己評価と上司の評価が相違しているときは、十分に話し合うことで、お
互いの理解度を深めてください。
ウ)能力開発・人材育成のためのアドバイス
面談では、評価期間における部下の仕事ぶりやその成果を確認します。その中で部下
の長所や短所を見つけ、長所を伸ばし、短所を克服するための次期への取組に繋げてい
くことが大切です。
そこで、上司は部下に対して具体的な要点を指摘するとともに、能力開発や人材育成
に繋がる支援や援助を行ってください。
21
エ)上司は質問をとおして、部下自ら解決策や改善点を引き出すようにする。
自分で考え、決めたことは実行しやすく身に付きやすいものです。
そこで、例えば部下の不足している点や問題点を改善するにはどうしたらよいかを話
し合うときは、部下に「どのようにしたらよいと思いますか」と尋ねます。
(質問)そし
て的を得た内容で回答してくればそれを認めてあげます。(承認)
逆に部下が返答に困ったときは「こういう方法や、ああいう方法もあるけど、君なら
どの方法が最善だと思いますか」などと問いかけ、相手の意見を聞く形で対策を示して
いきます。
⑥
最後に「必要な支援・援助・協力を惜しまない」ことを伝えて終わる
「もうほかに何もないかな」と念を押し、なければ「今までの話をまとめると・・・」
のように、わかりやすい表現で、話し合った内容、指導したとこ、希望要望事項を確認
します。そして必要な支援・援助・協力を惜しまないことを伝えて終わります。
22
7
評価結果の取り扱い
(1)評価結果の通知
人事評価については、原則として評価結果を本人に通知します。
(2)評価結果の活用
評価結果を被評価者にフィードバックすることにより、
① 職員の主体的な能力開発を促します。
② 評価結果と研修制度の連動により、効果的な研修の充実を図ります。
③ 人事異動や昇任・昇格等の人事管理資料として活用します。
8
相談窓口の設置
人事評価の運用や評価結果等に関する苦情相談等がありましたら、「人事評価相談窓口」
を総務課に設置しますので、相談してください。
相談にあたっては、個人のプライバシーに十分配慮するとともに、秘密を厳守し、個人
の処遇とは一切関係なく、相談に応じます。
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資料編
・目標設定準備シート
・様式第 1 号 人事評価表(主事用)
・様式第 2 号 人事評価表(主任用)
・様式第 3 号 人事評価表(係長・主査用)
・様式第 4 号 人事評価表(課長補佐・参事補佐用)
・様式第 5 号 人事評価表(課長・副課長用)
・様式第 6 号 行動観察記録シート
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