臨床工学技士:川原田

第19回 日本アクセス研究会 学術集会・総会
平成27年9月12日(土) パネルディスカッション「VA穿刺技術の教育法」
当院における穿刺教育
-穿刺実績の集計に基づいて-
臨床工学技士 川原田貴士
【背景】
現在の透析治療においてバスキュラーアクセス
(以下、VA)は必要不可欠である。
その管理として、透析室スタッフも重要な役割を
担っており、穿刺が困難なVAを有する患者は、
管理面でも注意が必要である。
【穿刺業務 取り組み】
#1 透析患者の穿刺難易度を初級、中級、上級に分類し
毎日の穿刺ミスを全て集計した。
(分類方法は後述する)
#2 その結果を基に、新人スタッフは段階的に穿刺グ
ループレベルを上げ、さらに穿刺困難患者に対しては
エコー下穿刺を取り入れている。
【当院におけるVAの割合】
カテーテル
動脈表在化
AVG
AVF
5%
3%
9%
5名
合計102名
3名
9名
85名
83%
【穿刺業務 割合】
100%
90%
97.7%
83.5%
80%
2013年
70%
2014年
60%
50%
40%
30%
16.4%
20%
2.3%
10%
0%
臨床工学技士
看護師
0.1% 0.1%
医師
【穿刺難易度 分類】
#1 臨床工学技士(以下、技士)7名によって、難易度を
「初心者が穿刺しても簡単に穿刺できる1点」
「やや難しい2点」「非常に難しい3点」の3段階
で、評価した。
#2 採点平均によって各患者を初級、中級、上級に
3分類した。
#3 年に1回見直しを行なっている。
【難易度 分布】
53%
38%
患者数
(人数)
初級
中級
上級
AVF
37
41
7
AVG
0
10
0
動脈表在化
0
1
2
合計
37
52
9
9%
(37名)
(52名)
(9名)
初級
中級
上級
【当院における穿刺関連業務分担(技士)】
#1
穿刺実績集計
#2
穿刺当番
#3
VA外来
・血管エコー
・VAIVT時の造影機器操作
・エコー下PTA助手
【穿刺実績集計 1ヶ月分】
<穿刺回数>
8月
AM
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月
合
計
1
技士1
2
技士2
3
技士3
4
技士4
5
技士5
6
6
技士6
7
7
技士7
10
技士8
2
4
8
看護師
医師
7
1
総患者数
32
35 30 33 31 37 33
35 31 35 28 37 30
34 29 33 30 34 30
36 28 35 30 34 30
35 845
維持患者
32
35 29 33 31 37 30
35 29 35 28 37 29
34 29 33 29 34 29
34 28 35 30 34 28
35 832
臨時患者
0
0
0
3
0
1F
26
26 25 25 25 28
3
27 25 26 22 29 23
2F
6
9
9
6
8
ショーン患者
VA患者
再穿刺数
エコー下穿刺数
4
28
0
4
3 4 3 4 4 3
32 26 30 27 33 30
1 0 0 1 0 1
0 1 3 5 3 4
9
8月
PM
6
6
8
6
8
9
6
7
6
7
7
8
7
6
7
9
9
3
6
7
6
5
12
7
8
7
7
10
6
5
7
6
8
9
7
8
8
5
7
98
5
7
9
114
100
6
9
0
4
5
1
5
4
7
6
3
1
5
6
6
4
3
2
5
7
3
6
2
5
5
12
4
0
8
0
6
7
7
3
5
6
6
6
4
8
1
7
8
8
2
2
6
6
0
9
5
0
6
7
0
8
6
1
7
4 3 4 3 4 3
31 28 31 25 33 27
0 0 1 0 1 0
9 2 0 5 2 0
7
0
5
0
7
3
7
5
6
6
7
4
5
3
3
2
1
0
6
8
6
8
59
7
7
7
3
2
6
6
3
4
3
8
6
5
2
8
0
6
9
7
1
26 23 25 24 26 25
8
1
7
5
4 3 4 3 4 3
30 26 29 27 30 27
1 1 0 1 0 0
2 4 2 6 3 4
2
0
0
0
0
5
9
6
6
91
67
2
82
6
1
2
28 23 26 24 28 25
8
8
5
4 3 4 3 4 3
32 25 31 27 30 27
0 0 1 1 1 0
5 1 2 4 2 4
8
0
136
1
13
27 640
8
181
3 91
32 754
11
0
77
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月
合
計
8月合計
151
157
146
0
134
144
119
129
212
1
1293
1278
15
1011
258
92
1201
16
95
1~8月
総数
1317
1319
1425
9
1289
1169
1050
616
1687
1
10508
10321
116
8370
2104
536
9972
170
792
【穿刺実績集計 1年間分(個人)】
2014年
個人
VA難易度別穿刺率
穿刺回数
再穿刺率
初級 中級 上級
合計
エコー下
ブラインド エコー下 実施率
技士①
2115
16.5%
18.1% 17.8% 8.6%
0.09%
0.52%
0.00%
0.3%
技士②
2093
16.3%
15.6% 16.0% 19.0%
0.17%
0.96%
7.14%
2.6%
技士③
2489
19.4%
16.5% 19.7% 24.1%
0.08%
0.38%
0.84%
9.5%
技士④
1073
8.4%
12.3% 8.3%
1.1%
0.09%
1.01%
0.00%
0.0%
技士⑤
2203
17.2%
13.6% 16.8% 25.6%
0.23%
1.26%
3.85%
4.6%
技士⑥
2023
15.8%
12.0% 17.0% 18.5%
0.17%
0.95%
3.02%
9.6%
技士⑦
824
6.4%
11.9% 4.4%
0.10%
1.56%
2.86%
8.2%
3.2%
【段階的に穿刺レベルアップ】
①段階的にレベルアップ
初級からの穿刺を実践
②平行してエコー下穿刺
いつを目標に中級へ
短期目標設定
こんにゃく練習
③フィードバック
初級からの実践
穿刺困難症例への挑戦
個人の現状把握
課題の発見
新たな目標設定
【エコー下穿刺~こんにゃく練習~】
こんにゃく
↓
初級・中級
↓
上級
【エコー下穿刺 ~実践~】
手元の穿刺部位とエコー画面を確認しながら穿刺する
【VA外来での血管エコー】
•機能的評価
•形態的評価
•VAレポート
•術前評価
定期的なフォローアップで、VA管理
【VAレポートの作成】
<作成対象>
• 導入期患者
• 転入患者
• 穿刺部位多数患者
• 穿刺困難患者
【VAレポートの利用】
ベッドサイドで参照し、穿刺者への患者VA情報の
充実や共有を図る。
【透析業務開始前のミーティング】
技士間での申し送り
穿刺情報、VA状態、エコー結果などの共有
全体への申し送り
【透析室チーム回診への参加(臨床工学技士)】①
<報告内容>
• 穿刺状況
• VA状態
• 血管エコー結果
• 治療方針
など
「やや細いですが、ここの血管がV側として
使えそうなので、次回エコー下で穿刺する
予定です。」
【透析室チーム回診への参加(臨床工学技士)】②
「先日の血管エコーの結果ですが、
FVが低下傾向なので1か月後にフォローアップ
の予定を入れています。」
「エコーでのFVが低下していますが、
心胸比、血圧、シャント音も非常に減少しているので、
DWをアップして再度評価検査を予定したいと思いま
すがいかがでしょうか?」
【穿刺実績 全体】
年度別 穿刺ミス割合(%)
1.4
1.2
1.20
P<NS
1.07
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
2013年
2014年
【穿刺実績 全体】
ブラインド穿刺における穿刺ミス割合(%)
1.4
1.2
1.12
P<0.05
1
0.78
0.8
0.6
0.4
0.2
0
2013年
2014年
【穿刺実績 全体】
エコー下穿刺における穿刺ミス割合(%)
1.4
P<NS
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0.08
0.06
2013年
2014年
0
【穿刺実績 全体】
エコー下穿刺に頼る割合(%)
10
9
8
7
6
4.29
5
4
3
2
1
0.69
0
2013年
2014年
【穿刺実績 個人】
穿刺歴
(年)
エコー下穿刺 上級難易度穿刺率
再穿刺率
実施率
(2014)
2013年
2014年
(2014)
技士①
8
4.6%
25.6%
25.6%
0.23%
技士②
3
9.5%
20.3%
24.1%
0.08%
技士③
22
0.3%
7.5%
8.6%
0.09%
【考察】
#1 毎日の穿刺ミスを集計し評価することは、スタッフの個人とチーム全体、
そして患者に、フィードバックされる形になった。
#2 穿刺実績の集計は、指導者にとって個人の課題を見つけやすくなる。
#3 穿刺難易度で分類することで、新人スタッフは穿刺困難患者からのスト
レスを避けることができ、自分のレベルで技術を習得する環境ができた。
#4 エコー下穿刺によりブラインドでの穿刺にはなかった穿通画像をリアルタ
イムに見れることにより、穿刺ミスの割合が軽減できた。
#5 エコー下穿刺は、穿刺経験の差を埋めてくれる技術となった。
【まとめ】
穿刺実績の集計に基づく業務改善により
穿刺教育を行ったことで、新人スタッフ、
指導者、患者に有用な結果が得られた。
第19回日本アクセス研究会
CO I 開示
川原田 貴士
演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある
企業などはありません。