平成 21年度 創立記念講和 (学校長 永 井 治 寿) H21.6.19(金) 4名の先生方に感謝状が贈呈されました。その感謝状には「建学の精神と校訓を基に使命感と情熱を 持って生徒教育に専念された」功績を讃えられての贈呈です。飯塚先生と大出先生は30年、須藤さんは 20年、木村先生は10年の永年勤続表彰です。 昨年本校は、創立100周年を迎えました。創立以来の艱難辛苦を乗り越えて、誠実に教育活動に取り 組み、記念式典では県知事さんはじめ多くの方々にお祝いの言葉を頂きました。 大事なことは、建学の精神と校訓です。明日の創立記念日には、生徒一人ひとりがその理念を確認し てください。 我々すべての教職員は、みんなを「誠実な人 勤勉な人 規律を守れる人」にしなければならないという 使命・ミッションを持って取り組んでいます。 みんな自身も、誠実で勤勉な規律正しい人にならなければならないという気持ちを持たなければなりま せん。 今日は歴史というものを考える話をしたいと思います。 温故知新「古きをたずね、新しきを知る」という言葉があります。 「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」とも言います。人間ひとりが経験することなどはたかが知 れている、自分の経験の外の世界にもっと学ぶべきことがある、と賢者は当然のごとく認識していました。 「初心忘るべからず」 最初の生み出すときのエネルギーは、凄いパワーがあります。また生まれたばかりの赤ちゃんが持つ 力も凄いものがあります。 学校の創造された時のパワーを振り返り、「そもそも、何のために」をきちんと知って誇り高く人生を生き 抜く力をつけることが大事である。そのような日が、創立記念日です。 歴史(7アトラクションズ=本校の7つの魅力の一つでもあります)を振り返ることは、非常に大事です。 今日は、人生の大きな目標を持って生き抜いてもらう意味でも歴史について考えてみたい。最終的に は、自分は何者かというアイデンティティに繋がります。 日本人としてのアイデンティティを理解するには、伝統文化を理解しておくことです。自然崇拝から神道・ 道教・仏教・キリスト教など様々な宗教が融合して今の日本があります。 本校の発祥は曹洞宗の善増寺です。曹洞宗は禅宗です。鎌倉時代に渡ってきた禅の教えが、生活レベ ルまで今の日本には浸透してきています。本校の授業にある茶道・華道なども元は禅から来ています。 世界の歴史・日本の歴史 歴女(歴史が大好きな女子の略語)という言葉が出てくるほど今は、歴史ブームです。 押さえておきたい歴史の大きなテーマに、三国志・戦国時代・幕末があります。 教科書ではさらっとしか触れていませんが、奥は深いと思います。今年の大河ドラマは『天地人』戦国時 代を背景に、上杉景勝(謙信の養子)に仕える武将・直江兼続(樋口与六)を主人公としたドラマです。何 事も成功する時には、「天の時、地の利、人の和」が大事であると教えてくれています。 本校の校歌の「愛に溢れる人であれ 愛で闘う人であれ」を地で行った人です。兜に掲げた文字は「愛」 でした。利を求める戦国時代に、愛を信じた生き様は、現代の弱者切捨ての地代に大きなメッセージを与 えています。 上杉謙信は「義」を信念として貫きました。兼続は謙信を師と仰いでいましたので、その教えもしっかりと 兼続に引き継がれました。 歴史もののゲームソフトや漫画も多く、非常に流行っていると聞きます。また最近の若い女性の中には 戦国武将と結婚したいという戦国ファンも増えています。 『レッドクリフ』という映画は、中国の三国志の舞台です。赤壁の戦い、赤い壁が英語で、red cliff で す。 魏・呉・蜀の3つの国が、それぞれ曹操・孫権・劉備玄徳をリーダーとして、戦います。 それぞれに時を読み、地形を考えて戦略を練り、素晴らしい戦略家や武将を得て、戦い抜いています。曹 操には、順煜。孫権には、周喩。劉備玄徳には、諸葛孔明・関羽・張飛・趙雲などがいます。 まさに、天地人です。 チームワークの大切さ、知恵の大事さ、誠実さなども学べます。 最後はリーダーの人格の素晴らしさが人を引き付けます。決して自分自身の有利不利であるとか、お金 などの諸々の条件では動きません。そのようなことでは、チームワークや協調性は発揮されないというこ とが学べます。 寺の歴史 1200年から1253年を生きた道元禅師が著した『正法眼蔵』95巻の中に典座教訓という教えがありま す。大勢の修行僧が毎日食事できるよう、用意する食事係を典座と呼びます。生きていく上で最も大切な 食事ですので、無駄を一切出さずに用意し、みんなに均等に行き渡るようにします。非常に大事な役回り です。ひたすら食事を作る修行を積み、命を頂くことに感謝し、修行する若いお坊さんたちの修行を手助 けできることに感謝しながら、自分の仕事を、全うしていく人が典座です。その仕事自体が修行でもありま す。 曹洞宗には、『修証一如』という大原則があります。簡単にいえば、教えと行いの一致です。良い教えも 実践されなければ意味がありません。また、ひたむきな実践から学び、悟ることもあります。 小さな子どもは良いことも悪いことも考えずに無邪気に実践します。大人たちは悪いと分かっていてもつ いやってしまいます。自分自身を律する心を強く持ち、その通りに生きていかなければなりません。 1520年ころに善増寺が創建されましたので、間もなく約500年です。 学校の歴史 1908年に青藍泰斗高等学校は始まりました。昨年が創立100周年でした。 本校の意義は、「社会に役立つ人づくり」です。実社会に出てから活躍できる、強くて優しい人をたくさん つくることです。高校生というのは、無知で世間を知らず、経験もありません。その分いろいろな可能性が あります。自分を磨いていこうという意欲がなければなりません。 生徒は共に向上心を持って、努力しあう関係を築いてください。努力をしない者・周りの努力を邪魔する 者は、存在意義がありません。 頑張る生徒を応援するのが学校の考え方です。 学校の掲げる建学の精神「質実剛健 至誠一生」、校訓「誠実なれ 勤勉なれ 規律を守れ」をしっかり と3年間で体得して、将来、社会に出て活躍してください。 家族の歴史 それぞれの家庭にも歴史があります。ご先祖様の家系図もあるでしょう。ご先祖様がいなければ今の自 分はいませんので、感謝することが大事です。家業もそれぞれにあるかもしれません。 自分の歴史 人生を変えるためには、高い目標を持ち努力しているか、常に振り返る。これまでの自分自身の人生は すでに歴史でしょうし、これからの人生を歩むことは歴史を刻み続けることになります。大きな視点で、人 生全体を見通して生きてください。「今さえ良ければいい」ではなく、人生を振り返った時に、あの時、頑張 ったから良かった、あの時に我慢したから良かったということが必ず来ます。あえて困難な道を選んでゆく 勇気を持ってこれから生活していってください。 みんなが人生という長い道を一歩一歩着実に歩めるように、「考えるヒント」を与えて今日の講和としま す。長期ビジョンを描いて生きて行くよう明日からも学道に励んでください。 以 上
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