平 成 28 年 度 卒 業 式 学校長式辞 平 成 29 年 3 月 1 日 本日ここに、卒業される 3 年生の皆さん卒業おめでとう。 保 護 者 の 皆 様 、本 日 は 誠 に お め で と う ご ざ い ま す 。長 き に わ た る 子 育 て に も 一 区 切 り し 、 ひと安心されていることとご推察いたします。 ご来賓の皆様方には、公私共大変お忙しいところ、本校卒業式にご臨席を賜り、誠にあ りがとうございます。心よりお礼申し上げます。 皆さんはこれからが人生の本番です。大人として変化の激しい、苦しい道のりを歩みだ し ま す 。 皆 さ ん が 入 学 し た の は 、 平 成 26 年 4 月 で す 。 そ の 頃 は 携 帯 電 話 か ら ス マ ー ト フ ォンへの普及が本格的になりましたので、皆さんの高校3年間 はスマホ時代のスタートと 重なりました。 スマホは、非常に便利ですが、使い方に慣れていないため、 当初は様々な問題が起きて いました。情報の取り扱いに慣れていない人が、安易に情報発信して世間の批判を浴びる という現象が多々ありました。ようやく情報の取り扱いに関する啓発活動も進み、多くの 人がスマホを便利に文字通りスマートに、賢く使えるようになってきました。これからも 一層スマホを活用する生活になると思います。一人ひとりが情報活用力をみがいてくださ い。 また、少子高齢化社会による労働人口減少のための人手不足、それを補うため、人工知 能 ( AI) や ロ ボ ッ ト が 活 用 さ れ る 社 会 に な り ま す 。 そ し て 外 国 人 労 働 者 も 増 え ま す 。 異 文 化の人たちとも共に生きていくようになります。多様性への理解や他者の文化も受容する 寛容性が求められます。 「質実剛健 至誠一生」の建学の精神が求められる時代になってきます。誠実に、勤勉 に、規律正しく日々精進して、生きてゆくことが大切です。 今年の 1 月、大相撲初場所で、大関の稀勢の里関が優勝し、横綱に昇進しました。平成 10 年 以 来 19 年 ぶ り の 日 本 人 横 綱 の 誕 生 で す 。 皆 さ ん の 多 く が 、 そ の 平 成 10 年 生 ま れ で あることに不思議な縁を感じます。 稀 勢 の 里 関 は 第 七 二 代 の 横 綱 で す が 、年 齢 は 30 歳 、幕 内 後 73 場 所 も か け て の 優 勝 は 最 も昇進のスピードの遅い横綱となりました。遅咲きの大器と言えます。 テレビで、稀勢の里関が中学生の時の、卒業文集に「努力」と書かれた字が映されてい ました。努力は嘘をつかないことを証明してくれました。 『GRIT ~や り 抜 く 力 ~』 と い う 本 の 中 に 、 次 の よ う な 数 式 が 出 て き ま す 。 「 才 能 ×努 力 = ス キ ル 」「 ス キ ル ×努 力 = 達 成 」 2 つの数式には、共に「努力」の 2 文字が入っています。才能に努力を掛けてスキルが 身に付きます。そのスキルに努力をかけて達成になります。 つまり「才能<(小なり)努力」です。才能よりもコツコツと積み上げる人こそが最後 は一番高いところに到達でき、物事の達成に繋がります。 才能は飛びぬけている必要はありません。自分の立場・役割をよく理解して、飽くこと な く 取 り 組 み 、 努 力 を 重 ね る こ と が 大 切 で す 。「 継 続 は 力 」 で す 。 本校の校訓のひとつに「勤勉なれ」がありますので、実践をしてください。 「うさぎとカメ」の話で、足の速いうさぎが途中で怠けたのに対し、カメは遅くても一 歩一歩、歩みを止めずにひたすらゴールを目指し、足は遅くても結局は早くゴールしまし た 。 成 功 の 秘 訣 の う ち の 一 つ が 、「 や り 抜 く 力 」 で す 。 もう一つが「取りかかる力」です。 すぐに始めることが、成功の秘訣でもあります。特に人から頼まれたことは取りかかる のが早い方がいいです。時間を有効に使えます。すぐに出来ることは、最優先で行い、仕 上げてしまう。 逆に、簡単には出来そうもないことこそ、早く取りかからなければゴールに辿り着けま せん。なるべく早く取りかかる習慣を身に付けてください。 更 に 、幸 せ に な る に は 、そ の 行 動 に 意 味 づ け が 必 要 に な り ま す 。人 生 の 目 的 が 必 要 で す 。 自分の欲求を満たすことが出来ればその時は幸せに感じます。でも欲求には際限があり ませんので、その欲求の全てを満たすことは出来なくなります。限界があるのです。 本当の幸せは他者の役に立っているという実感です。究極的には「利他行」です。他者 の為の行動が結果的に、自分を幸せにしてくれます。 今年の善行賞を受賞した生徒は、学校の為に何か役に立ちたいと自発的に考えて、 昇降 口の窓を毎朝拭いてくれました。多くの生徒が清々しく感じると同時に、本 人自身も気持 ちのいい毎日を過ごしていたはずです。 最初は、自立するため、自分の為の学業や仕事ですが、そのあとは周りの役に立つため の学業や仕事に意識を変えてゆくことが大切です。人は独りで生きているわけではありま せんので、周りを支え同時に周りから支えられながら生きています。 ちょうど私の後ろに校旗が掲げられています。本校の校章は、ダイヤが自ら光輝きなが らも、お互いを支え合っていることを表しています。 皆さんは卒業生として、自らの幸せの為に努力を重ね、その努力の目的を「周りの役に 立 つ 」と い う こ と を 心 掛 け れ ば き っ と 幸 せ に な れ ま す 。 「 自 利 利 他 」そ し て「 自 他 一 如 」の 気持ちで頑張ってください。 本校の教育目標は『社会に役立つ人づくり』を掲げています。本校の卒業生は様々な場 面で自己の立場をわきまえ、精進を重ねています。 今 回 は 、 108 回 の 卒 業 式 で す 。 明 治 ・ 大 正 ・ 昭 和 ・ 平 成 の そ れ ぞ れ の 時 代 に 、 活 躍 さ れ た卒業生が、本日ご列席の来賓の方々をはじめたくさんおります。 そして、今回の卒業式で、卒業生の数は 2 万人を超えます。今日は、大きな節目の特別 な卒業式でもあります。青藍泰斗高校は引き続き、出来ることをコツコツと積み上げて、 より多くの「社会に役立つ人材」の輩出を目指していきます。 本校の建学の精神=「質実剛健 至誠一生」 校訓=「誠実になれ 規律を守れ」 勤勉なれ が皆さんの心の支えになるでしょう。しっかりと心に根付かせ、生き抜いてください。 教育を受けたことは、皆さんの未来に繋がります。若い時には自分に夢中で理解できな いことが、後に色々な物事が分かるようになった時、苦しい場面で思い出され、踏ん張る 力、やり抜く力に繋がります。辛い時こそ、建学の精神や校訓を思い出してください。 結びになりますが、松下村塾の吉田松陰が、詩人的な桂小五郎のこころに火をつけたこ とばがありますので、紹介します。 「学問も大事だが、知ってかつ実行するのが男子の道である。詩もおもしろいが、書斎で 詩を作っているだけではつまらない。男子たる者は、自分の人生を一編の詩にすることが 大 事 だ 。」こ の 言 葉 が 、桂 小 五 郎 の 人 生 を 決 定 し た と 言 わ れ ま す 。吉 田 松 陰 の こ と ば が 、書 斎で作詩する男を、社会の為に生きる活動的な男へと変えてしまったのです。 (のちに木戸孝允として明治新政府の要職を務め、版籍奉還・廃藩置県などを断行 するな ど近代日本建設に尽力した) 「論よりも実践が大切」ということです。 皆さんも自身の人生を「誇り高き一編の詩」につくりあげてください。 皆 さ ん の 前 途 が 幸 多 き こ と を 祈 念 し 、 平 成 28 年 度 卒 業 式 式 辞 と し ま す 。 以 上
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