(1人 1枚配布) 第5巻 第9号 2015 年 4 月 15 日 http://www.heiu.net 2015 201 5 春闘合意 ~交渉経緯と合意の判断について~ 2015春闘は、3月6日(金)に要求書を提出し3週間の集中交渉を続け、3月30日(月)に合意となり ました。 2014年度は4月の消費税増税と円安の影響で国内消費の落ち込む中、当社も海外旅行は近隣諸国との領土 問題、さらにはイスラム国問題による中東方面の政情不安などの影響で大きく伸び悩みました。国内旅行も道路 交通法改正の影響などで日帰り旅行を中心に苦戦しましたが、関東方面、京阪神方面や沖縄方面などは比較的好 調でした。しかしながら、海外旅行の減収をカバーするまでは至りませんでした。このような非常に厳しい状況 の中で、苦戦しながらも組合員一人ひとりの経費削減・業務効率化の努力もあり、中期経営計画未達ではありま すが黒字基調で終える見込みです。これは組合員の頑張りの賜物であり、その成果は組合員に還元されなければ ならないという考えのもと、春闘に取り組みました。2015春闘は上部団体であるサービス連合の方針に基づ き、月例賃金を引き上げることを要求水準とし、世間全体で賃上げムードが漂う中、会社や業界動向のみならず、 世間の動向にも注視しながら交渉を進めました。 合意にあたり、交渉の経緯と判断についてお伝えします。 《阪急交通社》 【社員月例給】 =組合要求一部修正の上 =組合要求一部修正の上合意= 一部修正の上合意= H・Kステージ賃金規程に基づき定期昇給を実施する。 2015春闘では物価上昇に対応するために、上部団体であるサービス連合は各加盟組合に対し昨年同様に0. 5%以上の賃金改善を行うことを要請しました。当労組でもサービス連合の考え方に基づき、基本給に一律1, 500円を増額することを要求しました。会社は、組合の主張する生活を守る最低限の要求であるという考え方 に理解を示し、賃金規程に基づいた定期昇給の実施を行うことは合意するものの、基本給の増額については世間 の動向には注視しつつも、物価もインフレ状況ではなく、さらに阪急阪神ホールディングスのコア事業となり、 中期経営計画の重要性が増した中で、2度下方修正を行った上で未達だったため、ベースアップをすることは出 来ないとしました。組合としては、粘り強く交渉を続けたものの、最新の消費者物価指数について想定以上に伸 びが鈍っており明らかなインフレ傾向とは言えず、また、会社の主張する中期経営計画の重要性や、想定を大き く下回る厳しい業績についても一定の理解を示さざるを得ず、残念ながら定期昇給以外の賃金改善については今 春闘においては断念せざるを得ないと判断しました。 ―裏面に続く― 【社員臨時給与】 =組合要求通り =組合要求通り合意= 通り合意= 年間臨時給 = 3.9ヵ月 3.9ヵ月 + 会社業績連動部分(阪急阪神ビジネストラベルの業績を含む) *算定基礎は職能給、資格給(Hステージ)・年齢勤続給(Kステージ)、扶養手当(3人目まで)、および役職 手当とする。 *会社業績連動分は次の通りとする。 ・組合員・管理職業績連動部分支給前営業 営業利益 営業利益を、会社業績を判断する指標とする。 利益 ・年間ヵ月数を3.9ヵ月とし、春季臨給は指標に従い支給ヵ月を決定する。 *業績連動指標 <阪急交通社> 支払前営業 支払前営業利益( 営業利益(* 利益(*)(単位:億円) 超 以下 支給月数 0 ~ 3 0 3 ~ 5 0.1 5 ~ 7 0.2 7 ~ 9 0.3 9 ~ 11 0.4 11 ~ 13 0.5 13 ~ 16 0.6 16 ~ 19 0.7 19 ~ 22 0.8 22 ~ 25 0.9 25 ~ 28 1 28 ~ 31 1.1 31 ~ 34 1.2 34 ~ 37 1.3 37 ~ 40 1.4 40 ~ 43 1.5 43 ~ 46 1.6 46 ~ 49 1.7 49 ~ 52 1.8 52 ~ 55 1.9 55 ~ 58 2 ※阪急阪神ビジネストラベル業績を含む ・指標を超える業績の場合、また業績が赤字となった場合は、支給額について労使協議を行う。 ・季毎の配分は、夏季:1.4ヵ月、冬季:2.0ヵ月、春季:0.5ヵ月 + 業績連動分とする。 ・業績連動分の支給方法は次の通りとする。 ①決算予想を指標にあてはめて業績連動分を確定し、春季に支給する。 ②決算予想と確定決算の間に上下2億円以上の差異が生じたときは、翌期の夏季臨時給与で加減する。 組合は、固定部分については従来から生活給の一部と位置づけ必要最低限の要求であるとし、単年度の業績に 対する配分は業績連動によって行われるべきとして、固定部分については生活水準の維持として固定3.9ヵ月 を要求しました。業績連動指標については、昨年の春闘で合意した指標で要求を行いました。会社は組合の要求 に理解を示し、組合要求通り合意となりました。 ―2枚目に続く― 【カウンター社員月例給】 =組合要求一部合意= カウンター社員賃金規程に基づき賃金改定を行う。 2015春闘では物価上昇に対応するために、上部団体であるサービス連合は各加盟組合に対し昨年同様に0. 5%以上の賃金改善を行うことを要請しました。当労組でもサービス連合の考え方に基づき、昇給にともなう原 資に一律1,000円を増額することを要求しました。会社は、カウンター社員賃金規程に基づいた賃金改定の 実施を行うことは合意するものの、基本給の増額については世間の動向には注視しつつも、物価もインフレ状況 ではなく、さらに阪急阪神ホールディングスのコア事業となり、中期経営計画の重要性が増したなか、2度下方 修正を行った上で未達だったため、ベースアップをすることは出来ないとしました。組合としては、粘り強く交 渉を続けたものの、最新の消費者物価指数について想定以上に伸びが鈍っており明らかなインフレ傾向とは言え ず、また、会社の主張する中期経営計画の重要性や、想定を大きく下回る厳しい業績についても一定の理解を示 さざるを得ず、残念ながら賃金規程に基づいた賃金改定以外の一律の賃金改善については今春闘においては断念 せざるを得ないと判断しました。 【カウンター社員臨時給与】 =組合要求通り =組合要求通り合意= 通り合意= 年間臨時給与 = 3.0ヵ月 *算定基礎は基本給とする。 *季毎の配分は、夏季:1.0ヵ月、冬季:1.5ヵ月、春季:0.5ヵ月を支給する。 組合は、2014春闘合意時に確認した契約社員の労働契約法改正に対応した地域限定社員制度について会社 と協議を行い、2015年度より導入されるエリア社員制度において、これまでの支給ヵ月数を上回る年間臨時 給を3.0ヵ月支給とすることで合意しました。 【リージョナル社員月例給】 =組合要求一部 =組合要求一部合意= 一部合意= リージョナル社員労働協約及び リージョナル社員労働協約及び賃金規程に 労働協約及び賃金規程に基づき 賃金規程に基づき契約更新を実施する。 基づき契約更新を実施する。 組合は、リージョナル社員の業績への頑張りを評価するため、そして年収ベースでは決して高くない賃金につ いての処遇改善を求めました。これに対して会社は、2014春闘合意後に組合と協議をしたエリア社員に登用 を行うことで報いているため、リージョナル社員の賃金改善の要求には応じることは出来ないとしました。組合 は、会社の考え方に一定の理解はするものの、エリア社員登用の選考において一部問題があった為、次年度に向 けてエリア社員の登用の在り方について会社と協議を行うことで収拾することとしました。 【リージョナル社員臨時給与】 =組合要求一部合意= 組合要求一部合意= 年間臨時給与 年間臨時給与 = 2.5ヵ月 *算定基礎は基本給とする。 *季毎の配分は、夏季:0.5ヵ月、冬季:1.5ヵ月、春季:0.5ヵ月を支給する。 組合は、リージョナル社員の頑張りも会社業績に貢献している事から、会社業績に応じた臨時給与の配分を 求めてきました。これに対して会社は、2014春闘合意後に組合と協議をしたエリア社員に登用を行うことで 報いているため、リージョナル社員の臨時給与に対する別途協議には応じることは出来ないとしました。組合は、 会社の考え方に一定の理解はするものの、2015年度の会社業績によっては、リージョナル社員の臨給追加支 給について会社に協議の申し入れを行うことで収拾することとしました。 -裏面へ続く- 《阪急阪神ビジネストラベル》 阪急阪神ビジネストラベル》 【社員月例給 社員月例給】 =組合要求一部 社員月例給 =組合要求一部合意= 一部合意= 一般職(総合職)賃金規程に基づき定期昇給を実施する。 2015春闘では物価上昇に対応するために、上部団体であるサービス連合は各加盟組合に対し昨年同様に0. 5%以上の賃金改善を行うことを要請しました。当労組でもサービス連合の考え方に基づき、基本給に一律1, 500円を増額することを要求することとしました。会社は、組合の主張する生活を守る最低限の要求であると いう考え方に理解を示し、賃金規程に基づいた定期昇給の実施を行うことは合意するものの、基本給の増額につ いては、2016年度を目途として新たな人事賃金制度の導入を検討しているため今春闘では考えることができ ない、としました。組合としては、新たな人事賃金制度が働くものにとってより良い制度となるよう協議に応じ ることとし、その協議の中において今春闘の要求内容の実現を目指すこととし、春闘を収拾することとしました。 【社員臨時給与】 =組合要求一部修正の上 組合要求一部修正の上合意 一部修正の上合意= 合意= 年間臨時給 =3.9ヵ月 + 会社業績を勘案し別途協議 *算定基礎は基本給(Sクラス)とする。 *会社業績連動分は次の通りとする。 ・年間ヵ月数を3.9ヵ月とし、春季臨給は会社業績を勘案し別途協議の上、支給ヵ月を決定する。 ・季毎の配分は、夏季:1.4ヵ月、冬季:2.0ヵ月、春季:0.5ヵ月 + 別途協議分とする。 ・営 業 利 益 が 赤 字 の 場 合 は 、 春 季 支 給 ヵ 月 を 含 め 別 途 協 議 を 行 う 。 阪急阪神ビジネストラベル社員臨給について組合は、阪急交通社とは別会社であるが、分社の経緯からも阪急 交通社と同じ水準であるべきとし、固定3.9ヵ月+業績連動指標を要求しました。会社は組合が主張する分社 の経緯は分かるものの、阪急阪神ビジネストラベルに直接雇用されている社員である以上、阪急阪神ビジネスト ラベルの業績のみで判断するべきとし、阪急交通社の営業利益と合算しての業績連動指標の導入については理解 を示しませんでした。しかし、あらかじめ約束される生活水準維持分としての固定ヵ月数については理解を示し ました。その結果、固定3.9ヵ月+会社業績を勘案し別途協議で合意しました。 【リージョナル社員月例給】 一般職(地域総合職)制度移行者について =組合要求通り =組合要求通り合意= 通り合意= リージョナル社員賃金規程に基づき賃金改定を行う。 2015年4月1日に新設される一般職(地域総合職)制度として組合要求どおり合意しました。 リージョナル社員について リージョナル社員賃金規程に基づき契約更新を実施する。 リージョナル社員賃金規程に基づき契約 更新を実施する。 【リージョナル社員臨時給与】 一般職(地域総合職)制度移行者について =組合要求通り =組合要求通り合意= 通り合意= 年間臨時給与 年間臨時給与 = 3.0ヵ月 *季毎の配分は、夏季:1.0ヵ月、冬季:1.5ヵ月、春季:0.5ヵ月を支給する。 *算定基礎は基本給とする。 組合は、2014春闘合意時に確認した契約社員の労働契約法改正に対応した一般職(地域総合職)について 会社と協議を行い、2015年度より導入される一般職(地域総合職)制度において、これまでの支給ヵ月数を 上回る年間臨時給として3.0ヵ月支給とすることで合意しました。 リージョナル社員について 年間臨時給与 2.5ヵ月 年間臨時給 与 = 2.5 ヵ月 *季毎の配分は、夏季:0.5ヵ月、冬季:1.5ヵ月、春季:0.5ヵ月を支給する。 *算定基礎は基本給とする。 ―3枚目に続く― 《両社共通》 【ポイント年齢別最低保障 =組合要求一部 【ポイント年齢別最低保障賃金】 保障賃金】 =組合要求一部合意= 一部合意= 会社は、これまで組合が要求してきたサービス連合の掲げる業界全般の賃金底支えに対する考え方について、 一定の理解を示しましたが、多様な働き方が浸透してきた昨今、要求趣旨の年齢だけを基準とした賃金の在り方 については、社員間の公平性に欠けるとし、今春闘では30歳までの合意となりました。 【産業別最低保障 【産業別最低保障賃金】 保障賃金】 対象都道府県 東 京 大 阪 愛 知 京 都 静 岡 広 島 滋 賀 栃 木 富 山・長 野 奈 良 岡 山 福 井 宮 城 福 島 =組合要求通り合意 =組合要求通り合意= 通り合意= 時間額 月 額 対象都道府県 977円 161,300円 神奈川 922円 152,200円 埼 玉 880円 145,200円 千 葉 868円 143,300円 兵 庫 842円 139,000円 三 重 825円 136,200円 北海道 821円 135,500円 岐 阜 807円 133,200円 茨 城 801円 132,200円 福 岡 797円 131,600円 群 馬・山 梨 791円 130,600円 石 川 788円 130,100円 新潟・和歌山・山口 781円 128,900円 香 川 760円 126,000円 山 形・愛 媛 747円 124,500円 岩手・佐賀・鹿児島 時間額 976円 883円 878円 854円 829円 823円 812円 802円 800円 794円 790円 787円 773円 748円 746円 月 額 161,100円 145,700円 144,900円 141,000円 136,800円 135,800円 134,000円 132,400円 132,000円 131,100円 130,400円 129,900円 127,600円 124,500円 124,500円 鳥取・高知・長崎・熊本・大分・宮崎・沖縄 745円 ( :当社事業所のない県) *正社員以外は基本給12ヵ月分と臨給の固定配分の合算を12等分した額とする。 124,500円 青森・秋田・島根・徳島 組合は、全ての従業員の賃金の底支えのため合意の必要性を訴え、会社も理解を示し、要求通りの合意となり ました。 【2015 【2015春闘総括】 2015春闘は、「アベノミクス」による円安政策と2014年4月の消費税増税以降の物価上昇に対応する ため阪急交通社労働組合のみならず同業他社、日本全体で賃上げムードが高まる異例の春闘となりました。 社員月例給については、厳しい会社業績ではあるが、物価上昇に対応した組合員の生活水準の維持・向上、中 長期的なビジョンを見据えた人材確保とHHHDグループ中核企業としての社会的責任等も踏まえ、社員一律の 賃金改善を要求しました。阪急交通社は、中計も未達でありインフレ傾向でもなく、今はその時では無いとし合 意に至りませんでした。阪急阪神ビジネストラベルは、地域総合職にリージョナル社員希望者ほぼ全員の登用を 行ったことや、2016年度に新たな賃金制度の導入を検討しており、今春闘での賃金改善は行えないとし合意 に至りませんでした。臨時給については、阪急交通社正社員は会社も理解を示し、組合要求通りでの合意となり ました。阪急阪神ビジネストラベル正社員は組合要求通りとはなりませんでしたが、固定ヵ月数については理解 を示し、固定3.9ヶ月+会社業績を勘案し別途協議で合意となりました。 リージョナル社員については、月例給は組合要求一部合意になりましたが、臨時給の別途協議については合意 することができませんでした。しかし、組合は2015年度の会社業績が好調な場合は、リージョナル社員臨時 給与の追加支給について会社への協議申し入れを検討することを伝えました。また、2015年度エリア社員選 考過程において、一部の管理職が面談の際に不適切な説明を行なっていました。組合は導入に向けた協議で確認 していた内容と大きく異なることから、会社に対して強く改善を求め、会社は調査し対応するとしました。また、 2016年度の選考に向けて労使協議を行うことを提案し、会社も協議を行うとしました。 今春闘の要求は組合要求がすべて合意できたわけではありませんが、春闘というタイミングで、全国の組合員 のおかれている状況や声を、経営者に伝えるという組合の基本的使命は果たせたものと考えます。 春闘に対するご支援に心より感謝いたします。 -以 上-
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