神戸海星病院 後期研修1年 勝山敦子先生 私が眼科医を志す契機となっ

神戸海星病院 後期研修1年 勝山敦子先生
私が眼科医を志す契機となったのは、5 回生の病院実習でした。細かい作業が好きで、
micro surgery をやりたいと思っていたため眼科には元々興味がありました。実習で特殊な
診察機器を巧みに操り、顕微鏡下で微細な手術を行う先生方を見て、眼科の speciality の高
さに惹かれました。そして何より、細隙灯顕微鏡で実際に眼を観察した時に、その美しさに
感動したことを覚えています。女医は将来設計が難しい面がありますが、眼科では仕事と家
庭とを両立させている先生がたくさんいらっしゃることも魅力でした。
大学卒業時には眼科が第一志望となっていました。初期研修で、もちろん眼科は履修する
つもりでしたが、他科をローテートできる最後のチャンスでしたので、神戸大学病院のたす
きがけコースを選択しました。1 年目は市中病院で内科、外科、救急と全般をローテートし、
慌ただしい日々を過ごしました。2 年目は眼科を中心に大学病院で学び、最終的に眼科へ進
むことを決めました。眼科は全身を診る医師のイメージと離れているため敬遠する方もい
ると思います。私も進路を決定する際に、それまで他科で学んできたことが無駄になってし
まうことを懸念していましたが、それは杞憂でした。
「眼は全身の現れ」と言われるように、
全身の問題が眼に症状として出現します。眼底には動脈硬化や糖尿病による変化が現れ、全
身の状態を推し量ることができます。自己免疫疾患、代謝疾患など全身と眼が関連する疾患
が、眼科ではじめて診断されることも多いのです。また、患者さん自身が全身に様々な疾患
を抱えており、急変対応が必要になる場合もあります。知っておいて損なことは何もありま
せんし、学んできたことは必ず役立ちます。また、他科をローテートして新たに発見した眼
科の魅力は、診断、薬物治療、手術治療を自ら一貫して行えるということでした。
そして、眼科医としての人生がスタートしました。日々痛感するのは、眼は小さいですが、
生きるため、暮らすために重要な役割を果たしており、非常に複雑で精巧であるということ
です。眼球自体の構造は緻密であり、また、眼表面から頭蓋内、中枢神経系まで眼科領域は
広がります。子供からお年寄りまで患者さんの年齢層に制限はなく、疾患は幅広く膨大です。
現在の一週間のスケジュールは、外来日が火・水 AM・金、手術日が月・水 PM・木とな
っています。週 3 日の外来日で多様な疾患に遭遇し、診断した疾患を自ら治療することは
非常にやりがいがあります。手術は白内障手術を中心に多数執刀しています。また、当院の
大きな特徴は、眼科疾患、手術の幅がとても広いことです。角膜内皮移植術、眼窩腫瘍手術
など、他院でなかなか見られない手術を数多く施行しています。特に眼窩腫瘍は本来頻度の
少ないものですが、当院には腫瘍専門医がいるため、近畿をはじめ、中四国、九州まで西日
本の様々な地域から患者さんが来られます。リンパ腫、悪性黒色腫など生命に関わる腫瘍も
少なくありません。時に、眼窩の骨を削って腫瘍を切除するようなダイミナックな手術を行
います。もちろん、白内障手術、硝子体手術、緑内障手術なども多数施行しています。
平日はバタバタと忙しいですが、週末は自分の時間を持てるので、リフレッシュして仕事
への集中力やモチベーションを保てるのも、眼科の長所です。医局は温かく和やかな雰囲気
で、指導医にも恵まれ、実際の眼科医生活は学生、研修医の時に想像していたより何倍も充
実しています。今後高齢化が進み、眼科医の需要は高まるばかりです。眼科医は余っている
という都市伝説が存在しますが、実際の数は不足しています。こちらを読んでおられる皆さ
んは少しでも眼科に興味をお持ちだと思いますので、ぜひ、眼科を進路として選んで頂けれ
ば幸いです。
手術中の勝山先生(左)と指導する福田先生
手術中の勝山先生