平成 26 年度 体力測定の結果報告と分析 苦楽園中学校では春季と秋季に体力測定を行っています。これは、生徒一人ひとりが自分の体力を見つめなおし、 より良い生活を送るためのきっかけにしたり、さらに体力を高める目標を持つことができるように行っているもの です。測定種目は、8 種目であり、主に測定している体力要素は、50m、立ち幅跳び、ハンドボール投げは瞬発力、 持久走は全身持久力、上体起こしは筋持久力、握力は筋力、反復横とびは敏捷性、長座体前屈は柔軟性です。西宮 市の平均値と比較し、今後どのような取り組みをしていくことが望ましいか考察しました。体力づくりを心がけ、 健康で豊かな生活につなげていきましょう。 (※ 測定値は、1・2年生は秋季、3年生は春季のものです。) 1 年 男 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 1 年男子 23 25 41 51 6'32 8.4 184 19 36 市内平均 25 26 42 51 6'38 8.4 186 19 西宮市の 1 年生男子の平均値と比較して概ね平均値と同等の力があると考えられます。持久走については市内平 均値に比べて 6 秒速い結果となりました。これは部活動等を通してよく全身持久力を鍛えていることや高低差のあ る登下校を全員が行っていることが要因であると考えられます。持久力は第 2 発育急進期に大きく伸びます。つま り中高生の間に伸ばすことが力をつけるのに適しているわけです。今後も伸ばしていきましょう。握力については 2 kg、西宮市平均値に比べて低い結果となりました。物体を持ったり、投げたり、または体を支えたりする力です ので、この力を高めていくことは日常生活の様々な場面で有効です。手押し車、おんぶ、抱っこ、鉄棒、スローイ ング動作などの運動を積極的に行うことで握力を養っていきましょう。 2 年 男 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 2 年男子 28 30 45 53 6'03 7.8 206 22 45 市内平均 30 30 45 54 6'12 7.9 203 22 全国 2 年 29 27 43 51 6'34 8.0 193 21 42 2 年男子は市内平均と近似値で、実際に項目別得点表に照らし合わせた際にも、全く同じ得点となっています。 しかしその中でも持久走のタイムが市内平均よりも 9 秒速く、また、全国平均からは 31 秒速いことを鑑みるに、部 活動の盛んな市内の中 2 男子の中においても、特段の持久力があるということが言えると思います。これは、体育 や部活動の中で継続的に持久走を実施しているということに加え、勾配の急な坂の上に建てられているという本校 の立地条件が関係しているものと考えられます。7 階建の本校の昇り降りが脚力アップの要因となっているようで す。中 2 であればまだまだ心肺機能の発育・発達が期待される年代ですので、一層の持久力向上に努めていきまし ょう。一方で、筋肉が著しく発達する時期ではありません。過度の負荷をかけた筋トレは控えましょう。 3 年 男 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 3 年男子 31 34 51 56 5'38 7.6 200 23 51 市内平均 34 32 50 57 6'07 7.5 214 24 3 年生男子は概ね市内平均値を満たしています。比較的高い結果となったのは、1 つ目に上体起こしでした。平均 値に比べ 2 回多い結果となりました。近年の様々なスポーツで「体幹の強化」ということが頻繁に言われます。体 も木と同じで最も太い部分が安定することが大切で、よりよい動作や姿勢を生み出す源になります。これからは筋 力が向上していく時期ですので、今後も意識的に力をつけていきましょう。2 つ目に持久走についても市平均値に 比べ約 30 秒も早い結果となりました。部活動での取り組みや 3 年間の登下校で鍛えられた心肺機能、筋持久力の向 上がこの結果につながっていると考えられます。比較的低い結果となったのは 1 つ目に握力です。1 年男子の文章 を参照し、握力を高めましょう。2 つ目に立ち幅跳びについても 14cm 低い結果となりました。瞬発力、筋力は素早 い動きやダイナミックな動き、力強い動きを生み出すのに必要な体力です。縄跳びや抱え込みジャンプ、大股ジャ ンプや段差ジャンプなどに取り組み改善を目指しましょう。 1 年 女 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 1 年女子 21 24 44 48 4'37 8.7 173 11 48 市内平均 22 22 46 47 4'45 9.0 169 12 上体起こし、持久走、50m走は市内平均を上回っています。上体起こしは、体育の授業で毎時間行う腹筋運動 や、部活動での筋力トレーニングの効果が現れています。持久走や 50m走では、校区の特徴である坂道を長時間か けて登下校することで脚力をつけていると考えられます。思春期は、呼吸器・循環器が著しく発達します。そのた め、それらの機能と関わりの深い持久力を高めるのに最も適した時期です。良いところはさらに伸ばしていきまし ょう。しかし、上肢の力がいる握力とハンドボール投げは市内平均よりも少し下回っています。2、3年生女子の 結果も市内平均より大きく下回っていることから、本校の特徴ともいえます。この2種目の力を鍛えるために、鉄 棒運動や、ボールを使用して昼休みに遊ぶなど、気軽に取り組めることから実施していきましょう。 2 年 女 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 2 年女子 21 26 45 46 4'36 8.7 167 12 48 市内平均 24 25 48 49 4'39 8.7 173 13 全国 2 年 24 23 45 46 4’51 8.9 166 13 49 上体起こし、持久走、50m走では市内平均を上回っています。上体起こしでは、体育授業での補強運動(毎時間 15 回の腹筋運動)や部活動での筋力トレーニングを通して鍛えることができていると考えられます。持久走では、 体育授業での持久走(昨年度は 20 分間走) 、部活動での持久力を高める運動が関連していると考えられます。50m 走では、運動部に所属している人数が多いこと、また登下校で脚力が鍛えられていると考えられます。次に、握力、 ハンドボール投げでは市内平均を下回っており、握力では 3kg低くなっています。手で何かを掴んだり持ったり するような運動(手押し車や鉄棒運動に取り組むなど)は握力を鍛えるために効果的です。またボールを投げるこ とによって握力も鍛えられ、ハンドボール投げにおいても記録を伸ばすことにもつながります。昼休みや下校後に 時間があるときには、ボールを使用した運動を取り入れるとよいでしょう。 3 年 女 子 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 持久走 50m走 立ち幅跳び ハンドボール投げ 得点 3 年女子 23 29 49 48 4'30 8.7 162 12 52 市内平均 25 26 51 49 4'44 8.7 177 15 上体起こし、持久走では市内平均を上回っています。上体起こしでは、体育授業での補強運動(毎時間 15 回の腹 筋運動)や部活動での筋力トレーニングを通して鍛えることができていると考えられます。持久走では、校舎内の 高低差が大きいことや体育授業での持久走(昨年度はペース走)が関連していると考えられます。次に、握力、長 座体前屈、立ち幅跳び、ハンドボール投げにおいて市内平均を下回っています。特に立ち幅跳びでは、15cm下回 っています。連続ジャンプや縄跳び等をおこない、瞬発的な力が出せるような脚力を鍛えていく必要があります。 また、ハンドボール投げでは 3m下回っています。ボールを使用する運動を積極的に取り入れていきましょう。3 年生では大人の身体に近づき、基礎代謝を高めていく必要があります。また部活動を引退して運動不足に陥りがち ですが、気分転換もかねて体を動かしていきましょう。 ま と め 心と体はつながっていると言えます。例えば、困ったことや嫌なことがあったときは体も重く感じます。嬉しい ことがあればとび跳ねたり、手を握り締めたりします。このように心の動きは体に影響します。また、その反対に 体の状態も心に影響をします。例えば、風邪を引けば仕事や部活に対してやる気が起こりません。体を動かすと爽 快な気分になります。このように体の状態は心の動きに影響します。 「心身」という言葉がありますが、まさに心と 身体はつながっているのです。だからこそ、体力の維持増強は「生きる力」の源になっていくのです。 今後は体育の授業はもちろんのこと、部活動やご家庭でも今回の結果を踏まえて体力の向上を図っていってもら いたいと思います。部活動では体力のバランスを整え、基礎をつくることを目指しましょう。プレイの質と量は基 礎体力と密接に関係していますので、基礎を広げるように努力することが大切です。そしてその上でその種目の専 門的な体力を身につけていくことが望ましいとです。ご家庭では、十分な回復を図っていただくことが大切だと思 います。学習(脳)もスポーツ(身体)も食事と睡眠によって整理と回復が行われることが科学的に証明されてい ます。部活動から帰ってきたらまず食事を摂ることが、体づくりを助けます。そして運動をしたあとは脳が活性化 していますので、眠くなっても家庭学習や塾での学習に取り組みましょう。そして、22 時を目標に睡眠をとりまし ょう。睡眠中に脳が整理され、身体が回復します。 体力の向上は学習と同じで「継続」することが大切です。続ける秘訣は一度に頑張りすぎないことと、その運動 に適した回復を図ることです。健康で活力のある、 「生きる力」に満ち溢れた生活を目指して生活していきましょう。
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