平成27年度熊本県防災会議等合同会議 (気象関係資料) 熊 本 地 方 気

資料5
平成27年度熊本県防災会議等合同会議
(気象関係資料)
目
次
・3か月予報について
・熊本県の梅雨の特徴について
・平成 24 年九州北部豪雨の記録について
・1時間50mm以上の雨の時別発生回数
(近年10年間)
・気象台が発表する気象情報について
・土砂災害警戒情報
・特別警報について
・指定河川洪水予報
・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)の情報
災害から身を守ろう
・高解像度降水ナウキャスト
【参考資料】
・熊本県内で影響を受けた主な気象災害(1927∼)
・台風による高潮災害と大雨災害
・停滞前線による大雨災害(広島市)
・熊本県に影響を及ぼす地震
の断層帯の見直し
・緊急地震速報(警報)
・噴火警戒レベルと火山の情報
・携帯電話向けページの気象ナウキャスト等
P
P
P
P
1 ∼ 3
4 ∼ 6
7
8
P
P
P
P
P
9
10 ∼ 12
13 ∼ 16
17
18
P
19
P
P
P
P
20
21 ∼ 22
23
24 ∼ 25
P
P
P
26
27 ∼ 33
34
熊 本 地 方 気 象 台
九州北部地方(山口県含む)
3か月予報
(5月から7月までの天候見通し)
平成27年4月24日
福岡管区気象台 発表
<予想される向こう3か月の天候>
向こう3か月の出現の可能性が最も大きい天候と、特徴のある気温、降水量等の確率
は以下のとおりです。
5月 天気は数日の周期で変わるでしょう。平年と同様に晴れの日が多い見込みです。
気温は平年並または高い確率ともに40%です。
6月 平年に比べ曇りや雨の日が少ないでしょう。降水量は、平年並または少ない確率
ともに40%です。
7月 平年に比べ曇りや雨の日が多いでしょう。降水量は、平年並または多い確率とも
に40%です。
<向こう3か月の気温、降水量の各階級の確率(%)>
【気
温】
[九州北部地方(山口県含む)]
3か月
5月
6月
7月
【降 水 量】
[九州北部地方(山口県含む)]
3か月
5月
6月
7月
凡例:
低い(少ない)
平年並
高い(多い)
<次回発表予定等>
1か月予報:毎週木曜日 14時30分
3か月予報:5月25日(月)14時
なお、6月の予報については、新しい資料による次回以降の1か月予報を適宜ご利用く
ださい。
- 1 -
<3か月予報のための参考資料(平年並の範囲等)>
平年値の統計期間(1981∼2010 年)
表1 平年値(月・3か月平均気温、降水量、梅雨期間(6・7月)の降水量、日照時間)
平均気温(℃)
降 水 量(mm)
観測所名
梅雨
6月
7月
8月 6-8月
6月
7月
8月
6-8月
期間
萩
21.5
25.7
26.8
24.7 227.2 265.0
139.2
631.3
492.2
下関
22.3
26.3
27.6
25.4 274.8 287.1
153.3
715.2
561.9
山口
22.4
26.2
27.2
25.3 306.4 323.2
171.8
801.3
629.6
厳原
21.1
25.1
26.4
24.2 331.5 367.4
301.7
1000.6
698.9
平戸
21.0
24.9
26.3
24.1 310.6 362.3
215.6
888.5
672.9
福岡
23.0
27.2
28.1
26.1 254.8 277.9
172.0
704.7
532.7
飯塚
22.4
26.4
27.1
25.3 295.5 331.3
168.9
795.7
626.8
佐世保
22.8
26.6
27.7
25.7 325.4 347.6
206.2
879.1
673.0
佐賀
23.3
26.8
27.8
26.0 339.0 338.5
196.9
874.5
677.5
日田
22.8
26.6
27.1
25.5 353.1 333.4
168.2
854.6
686.5
大分
22.4
26.5
27.3
25.4 273.8 252.5
172.2
698.5
526.3
長崎
22.8
26.8
27.9
25.9 314.6 314.4
195.4
824.5
629.0
熊本
23.6
27.3
28.2
26.4 404.9 400.8
173.5
979.2
805.7
阿蘇山
16.7
20.0
20.4
19.0 634.6 669.7
318.9
1623.3
1304.3
人吉
22.3
25.9
26.3
24.8 475.1 471.4
210.8
1157.3
946.5
牛深
23.1
26.9
28.1
26.0 346.7 309.7
196.0
852.4
656.4
福江
22.0
26.1
27.0
25.1 317.5 314.2
234.5
866.2
631.7
観測
所名
萩
下関
山口
厳原
平戸
福岡
飯塚
佐世保
佐賀
日田
大分
長崎
熊本
阿蘇山
人吉
牛深
福江
(注)
6月
151.1
154.6
153.1
143.7
133.2
149.4
145.9
136.9
140.1
137.4
146.2
135.3
141.0
114.3
130.5
134.4
133.7
日照時間(h)
7月
8月
165.6 205.7
175.1 209.5
160.9 197.7
133.9 166.8
154.0 200.0
173.5 202.1
165.3 196.3
169.4 213.4
170.2 206.7
164.6 192.3
183.6 207.3
178.7 210.7
184.5 211.0
116.8 141.3
172.5 189.7
195.6 231.1
160.3 199.2
6-8月
522.4
540.3
511.7
443.5
487.2
525.0
507.4
521.3
516.9
494.6
537.1
524.7
536.5
372.4
492.7
562.2
493.3
※ 太字は、熊本県内の主要観測所を示します。
欠測により平年値を求めるための資料年数(観測値のある年数)が各月毎に異な
ることなどにより、3か月平年値等が各月の平年値から求めた値と一致しないこ
とがあります。
- 2 -
表2
6∼8月の平均気温、降水量、日照時間の「平年並」の範囲
要 素
対象地域
6月
7月
8月
6∼8月
平均気温(℃)
熊本
23.2∼23.9
26.8∼27.7
27.8∼28.7
26.0∼26.8
降水量 (mm)
熊本
246.0∼492.2
239.2∼390.7
94.2∼176.0
806.0∼1014.5
熊本
124.9∼153.9
157.3∼204.5
205.4∼220.2
508.3∼563.7
日照時間(h)
表3
梅雨の時期(6月・7月)の降水量の「平年並」の範囲
要 素
対象地域
梅雨の時期
降水量(mm)
熊本
485.2∼882.9
表4
夏の天候の特徴(2005∼2014 年)
年
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
夏の平均気温
夏の天候の特徴
平年差℃(階級)
6月は梅雨前線の不活発、7上旬に活発化。太平洋高気圧の勢力強く高
+0.7(+)
温。少雨。
梅雨明け前に豪雨「H18 年 7 月豪雨」。8月中心に太平洋高気圧の勢力
+0.6(+)
強い。多雨。
梅雨入り遅く 6 月少雨、7 月以降は多雨。8 月は太平洋高気圧の勢力強
+0.3(0)
い。寡照
梅雨入り・明け早く、7 月は太平洋高気圧の勢力強い。8 月後半は曇り
+0.3(0)
や雨多い。寡照。
太平洋高気圧の勢力弱く梅雨明け遅い。7 月は曇りや雨多い「中国・九
−0.1(0)
州北部豪雨」。多雨寡照。
6 月下旬・7 月中旬は梅雨前線活発化し大雨。梅雨明け後は太平洋高気
+0.7(+)
圧の勢力強く高温。
梅雨入り・明け早く、梅雨前線の活動は活発で大雨。8 月下旬は不安定
+0.4(+)
な天気。多雨寡照。
6 月中旬以降梅雨前線の活動活発で大雨。7 月中旬に「平成 24 年 7 月九
+0.4(+)
州北部豪雨」。多雨寡照。
梅雨入り・明け早く、梅雨明け後は高気圧の勢力強く記録的な猛暑、夏
+1.3(++)
平均気温の高い記録第 1 位。
梅雨前線は九州の南で活発となり梅雨期間は少雨。8月は不順な天候で
−0.6(−)
低温・多雨・寡照。
※ 夏の平均気温平年差(階級) --:かなり低い 、-:低い、 0:平年並、 +:高い、 ++:かなり高
い
<参考資料(利用上の注意)>
(1)気温(降水量)等は、「低い(少ない)」、「平年並」、「高い(多い)」の3つの階
級で予報します。階級の幅は、1981∼2010 年の 30 年間における各階級の出現率
が等分(それぞれ 33%)となるように決めてあります(気候的出現率と呼びます)
。
(2)予報する確率の数値は、それぞれの階級が出現する可能性の大きさを表していま
す。予測資料の信頼性が大きい場合には気候的出現率から大きく隔たった 10%以
下や 60%以上の確率を付けられますが、特定の階級を強調できない場合には気候
的出現率と同じかそれと同程度(30%、40%)の確率しか付けられません。
- 3 -
熊本県の梅雨の特徴について
年間降水量に占める梅雨期間降水量が他の地域に比べ多い。 (第1表、第1図)
熊本では梅雨の中頃(特に7月はじめ頃)に大雨が多い。 (第2図、第3図)
近年、短時間の強い雨が増える傾向にある。 (第4図)
第1表 平年値による年間降水量に占める
梅雨の時期(6・7月)の降水量の割合
(1981∼2010 年)
平年値(mm)
比率
観測地点
%
梅雨時期
年間
熊
本
805.7
1985.8
41
阿蘇山
1304.3
3206.2
41
吉
深
946.5
656.4
2390.0
1979.3
40
33
下 関
561.9
1684.3
33
福 岡
佐 賀
長 崎
532.7
677.5
629.0
1612.3
1870.1
1857.7
33
36
34
大 分
526.3
1644.6
32
宮 崎
738.6
2508.5
29
鹿児島
771.2
2265.7
34
人
牛
第1図 梅雨の時期の降水量と
年降水量平年値の比率分布
第2表 九州北部地方の梅雨入り・梅雨明け、
熊本県内主要4地点における梅雨期間の合計降水量と過去7年間の記録
梅雨期間(6・7月)の合計降水量(mm)
西暦(和暦)
梅雨入り
平 年 値
6月
2008(H20)
5日頃
梅雨明け
熊
本
阿蘇山
人
吉
牛
深
7月19日頃
805.7
1304.3
946.5
656.4
5月28日頃
7月
6日頃
980.0
1240.0
970.5
743.0
2009(H21)
6月
8月
4日頃
675.0
1219.5
781.5
503.0
2010(H22)
6月12日頃
7月17日頃
763.0
968.5
1368.0
725.5
2011(H23)
5月21日頃
7月
8日頃
1181.5
1883.5
1314.0
1350.5
2012(H24)
5月30日頃
7月23日頃
1187.0
1994.0
1492.0
1017.0
2013(H25)
5月27日頃
7月
8日頃
426.5
896.0
545.5
304.0
2014(H26)
6月
7月20日頃
616.5
945.5
930.5
909.0
3日頃
2日頃
- 4 -
第2図 九州北部地方の標準的な季節の推移
7月1日∼5日頃は、
大雨の発生しやすい傾向が見られる
日 数
1951∼20
2010
第3図 熊本・福岡・鹿児島の半旬別の日降水量 100mm 以上の日数(1951
以上の日数(1951
10 年)
1976∼
∼2012
第4図 アメダスで見た短時間強雨発生回数の長期変化について(
アメダスで見た短時間強雨発生回数の長期変化について(1976
2012 年)
1時間降水量
時間降水量 550mm
0mm 以上の年間観測回数についても同期間で増加傾向が明瞭に現
れています(信頼度水準 95%で統計的に有意)。
%で統計的に有意)。但し、地球温暖化のような長期的
れています(信頼度水準
95%で統計的に有意)。
但し、地球温暖化のような長期的
な気候問題との関連を論じるには、統計期間も短く、現時点でこの増加傾向が地球
温暖化の影響によるものかどうかは明らかではありません。
- 5 -
熊本県内の梅雨の記録(付録)
第1表 梅雨期間における最多降水量(mm)と最少降水量(mm)及び平年比
最多降水量
平年比
最少降水量
平年比
地 点
起年
起年
(mm)
(%)
(mm)
(%)
熊 本
1697.5
1993
211
126.2
1894
16
阿蘇山
2850.5
1993
219
417.8
1958
32
人 吉
1918.5
1993
203
261.0
2004
28
牛 深
1637.1
1954
249
146.5
2004
22
5 位
298.3
1923.7.5
梅 雨
391.0
2003.7.12
梅 雨
264.0
1997.7.9
梅 雨
254.0
1989.7.28
台 風
第3表 日最大1時間降水量の累年順位(mm)
地点
1 位
2 位
3 位
降水量
86.5
80.5
77.0
起 日
2006.6.26 2003.7.12 1975.6.25
梅 雨
梅 雨
梅 雨
要因
降水量
94.5
88.5
88.2
起 日
2012.7.12 1997.5.14 1956.9.16
前 線
前 線
梅 雨
要 因
降水量
103.5
78.0
77.5
起 日
1996.7.3
2005.7.6
1980.7.26
梅 雨
梅 雨
前 線
要 因
降水量
97.6
81.0
80.0
起 日
1949.8.12 1985.7.19 1972.6.27
前 線
前 線
梅 雨
要 因
5 位
75.5
2001.6.28
梅 雨
87.6
1958.8.13
梅 雨
74.0
1971.7.19
梅 雨
77.6
1959.7.15
梅 雨
熊
第2表 日降水量(0 時∼24 時)の累年順位(mm)
地点
1 位
2 位
3 位
4 位
日降水量
480.5
411.9
394.5
351.0
起 日 1957.7.25 1953.6.26 1982.7.24 1988.5.3
要 因
梅 雨
梅 雨
梅 雨
前 線
日降水量
432.3
407.5
406.4
401.5
起 日 1953.6.26 1982.7.24
1963.8.9
1995.7.3
要 因
梅 雨
梅 雨
台 風
梅 雨
日降水量
331.5
300.0
286.5
283.0
起 日
1995.7.3
2006.7.22 1983.7.15 1972.7.5
要 因
梅 雨
梅 雨
梅 雨
梅 雨
日降水量
332.0
325.5
290.0
270.0
起 日 1971.7.23 2006.7.22 1976.7.19 1990.6.30
要 因
梅 雨
梅 雨
台 風
梅 雨
本
阿蘇山
人
吉
牛
深
熊
本
阿蘇山
人
吉
牛
深
4 位
76.0
1957.7.25
梅 雨
88.0
1993.7.17
前 線
74.7
1954.7.9
梅 雨
79.5
2011.7.6
梅 雨
統計期間
1890∼2014
1932∼2014
1943∼2014
1950∼2014
統計期間
1890/2∼2014
1931/11∼2014
1943/1∼2014
1949/7∼2014
統計期間
1890/2∼2014
1952/4∼2014
1943/1∼2014
1949/7∼2014
※ 阿蘇乙姫(アメダス)は 2012 年7月 12 日に日降水量 493 ミリ、同日の
日最大1時間降水量 108 ミリを観測、阿蘇山は 94.5 ミリを観測(観測史上
最大):累年順位第1位
芦北町の田浦(アメダス)は 2012 年7月 12 日に日降水量 339 ミリを観測
(観測史上最大):累年順位第1位
- 6 -
平成 24 年九州北部豪雨の記録について
7月 11 日と 12 日に記録した熊本県内のアメダス降水量の統計値
108.0 ミリ
94.5 ミリ
7月 11 日 02 時∼13 日 12 時におけるアメダス総降水量の分布図
7月 11 日 03 時∼13 日 12 時のアメダス阿蘇山と阿蘇乙姫における降水量の時系列図
新しい津波警報の運用について
- 7 -
1時間 50mm 以上の雨の時別発生回数(近年 10 年間)
1
3
2
未明から朝
の時間帯
が多い
8月は夕方
の時間帯
が多い
最近 10 年間の熊本県内のアメダス観測所で観測した 50 ㎜/h 以上の雨の時別発生回数
( 2004 年-2013 年)
上の棒グラフ(黄色)では、梅雨時期(6∼7月)は 05∼06 時が多く、2番目に 07
∼08 時、3番目に 02∼03 時の時間帯が多い。8月(赤色)は 15∼18 時で夏の夕立(熱
雷)の時間帯となっています。梅雨時期(6∼7月)を除いたその他の月(水色)では
15∼18 時の時間帯も多い。これらのことから熊本県内では、朝を中心に未明から朝にか
けて1時間 50 ミリ以上の大雨(短時間強雨)が顕著になっています。
平成 24 年の九州北部豪雨(7月 12 日)の、阿蘇乙姫(アメダス)でも 01 時から 06 時の
時間帯でした。
短時間強雨は予測できないものもあります。特に深夜、激しい雨が降り出してからの
避難は危険を伴う事がありますので、常に気象情報に留意してレーダーによる雨雲の動
きや周辺の状況を見て、早めの避難をすることが重要です。日ごろから自分の住んでい
る危険な場所を把握して身の安全を守りましょう。
- 8 -
気象台が発表する気象情報について
気象庁では、市町村長等が行う避難勧告等の防災対応の判断や住民の自主的な避難行
動をよりきめ細かく支援するため、下表のように注意報は市町村長等における防災体制
立ち上げの判断を支援する資料、警報は
立ち上げの判断を支援する資料、警報は避難
避難準備情報発令の判断を支援する資料と位置
避難準備情報発令の判断を支援する資料と位置
づけて運用します。
災害種類
防災対応
避難勧告
避難準備情報
(要配慮者避難
要配慮者避難
要配慮者避難)
防災体制の立ち
上げ
(避難行動を要しな
い程度の災害)
大雨による
土砂災害
大雨による
浸水害
(内水による浸水害)
(内水による浸水害)
洪水害
(外水による浸水災害)
指定河川洪水予報
土砂災害
警戒情報
はん濫
危険情報
市町村ごと
指定河川ごと
大雨警報
(土砂災害)
大雨警報
(浸水害)
洪水警報
はん濫
警戒情報
市町村ごと
市町村ごと
市町村ごと
指定河川ごと
大雨注意報
大雨注意報
洪水注意報
市町村ごと
市町村ごと
市町村ごと
はん濫
注意情報
指定河川ごと
高潮害
(高潮による浸水害)
高潮警報
市町村ごと
高潮注意報
市町村ごと
※ 高潮が予想されるときには、台風の接近に伴い風雨が強まり、避難が困難になる場合が多いこ
とから、台風の暴風域に入る前に避難勧告を検討
気象庁は、災害の起こるおそれがある場合、注意報、警報及び特別警報などの防災気
象情報を発表します。大雨の場合、発表のタイミングや目的、市町村などの防災機関の
対応例や住民の行動については概ね下図のとおりです。
- 9 -
土砂災害警戒情報
大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度が非常に高まっ
たときに、市町村長が防災活動や住民への避難勧告等の災害応急対応を適時適切に行え
るよう支援すること、また、住民の自主避難の判断等に利用できることを目的として、
対象となる市町村を特定して都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。
土砂災害警戒情報の利用上の留意点
土砂災害警戒情報は、降雨から予測可能な土砂災害のうち、避難勧告等の災害応急対
応が必要な土石流や集中的に発生する急傾斜地崩壊を対象としています。しかし、土砂
災害は、それぞれの斜面における植生・地質・風化の程度、地下水の状況等に大きく影
響されるため、個別の災害発生箇所・時間・規模等を詳細に特定することはできません。
また、技術的に予測が困難である斜面の深層崩壊、山体の崩壊、地すべり等は、土砂災
害警戒情報の発表対象とはしていません。
土砂災害から身を守るために知っておきたいポイント
土砂災害は一瞬にして、尊い生命や家屋などの貴重な財産を奪うなど、甚大な被害を
もたらします。土砂災害の被害を防ぐためには、一人ひとりが土砂災害から身を守れる
ように備えておくことが重要です。
(1) 住んでいる場所が土砂災害危険箇所かどうか確認する。
(2) 雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意する。
(3) 早めの避難が重要。
また、土砂災害警戒情報等が発表されていなくても、斜面の状況には常に注意を払い、
普段とは異なる状況(一般に「土砂災害の前兆現象」と言います)に気がついた場合に
は、直ちに周りの人と安全な場所に避難するとともに、市町村役場等に連絡してくださ
い。
日頃から危険箇所や避難場所、避難経路を確認しておくことも重要です。
- 10 -
土砂災害警戒判定メッシュ情報
土砂災害警戒判定メッシュ情報は、土壌雨量指数及び降雨の実況・予測に基づいて、
土砂災害発生の危険度を5km 四方の領域(メッシュ)毎に階級表示した情報で、分布図で
表示します。
土砂災害警戒判定メッシュ情報は、各5km メッシュについて、解析時刻、1時間先予
測、2時間先予測の中で、最大の土砂災害警戒判定値を 10 分毎に更新しています。
土砂災害警戒情報と大雨警報(土砂災害)・大雨注意報は、市町村、あるいは市町村を
いくつかに分割した領域を単位として発表していますが、土砂災害警戒判定メッシュ情
報により、その領域内の土砂災害発生の危険度の高い地域をおおよそ把握することがで
きます。
土砂災害警戒情報および土砂災害警戒判定メッシュ情報の発表例(熊本県のページ)
を示します。土砂災害警戒情報は図形式の情報として発表しますが、警戒対象である市
町村の特定や、警戒文等から構成されています。
【平成 24 年7月 13 日 09 時 25 分に発表した熊本県土砂災害警戒情報】
- 11 -
平成 24 年7月 13 日 09 時 50 分の土砂災害警戒判定メッシュ情報
- 12 -
特 別 警 報 に つ い て
気象庁は、平成 25 年8月 30 日に「特別警報」の運用を開始しました。
「特別警報」が発表されたら、ただちに命を守る行動を
とってください。
気象庁はこれまで、大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれが
ある時に、警報を発表して警戒を呼びかけていました。これに加え、今後は、この警報
の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく
高まっている場合、
「特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼び掛けます。
特別警報が対象とする現象は、18,000 人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震
災における大津波や、我が国の観測史上最高の潮位を記録し、5,000 人以上の死者・行
方不明者を出した「伊勢湾台風」の高潮、紀伊半島に甚大な被害をもたらし、100 人近
い死者・行方不明者を出した「平成 23 年台風第 12 号」の豪雨等が該当します。
特別警報が発表された場合、お住まいの地域は数十年に一度しかないような非常に危
険な状況にあります。周囲の状況や市町村から発表される避難指示・避難勧告などの情
報に留意し、ただちに命を守るための行動をとってください。
特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える現象に対して発表し、その発表基準は、
地域の災害対策を担う都道府県知事及び市町村長の意見を聴いて決めています。特別警
報が発表されないからといって安心することは禁物です。特別警報の運用開始以降も、
警報や注意報は、これまでどおり発表されます。大雨等においては、時間を追って段階
的に発表される気象情報、注意報、警報を活用して、早め早めの行動をとることが大切
です。この数十年間災害の経験が無い地域でも、災害の可能性が高まっています。絶対
に油断しないで厳重に警戒してください。
- 13 -
大雨時に特別警報が発表されるまでの流れ
早めの避難準備な
どの行動をする
数十年に一度警報基準をは
るかに超える異常な大雨
直ちに命を守る行動を取る
★ 特別警報の発表に係る留意事項 ★
1.大雨特別警報は、特に異常な現象を高い精度で予測することが重要であり、現在の
予測技術の観点等から、広域に大雨が予想された場合に限り発表が可能です。この
ような現象においては、県内で警報となっている市町村でも同様にいつ尋常でない大
雨となってもおかしくないという考えのもと、県内の警報はすべて特別警報に切り替
えます。
2.特別警報の基準に相当する現象に達しない場合でも被害は起こりうること、大雨特
別警報は尋常でない大雨を対象としていることから、大雨特別警報の発表を待つので
はなく、時間を追って段階的に発表される気象情報、注意報、警報等を活用して早め
早めの防災対応を取っていただくことが重要です。
3.特別警報は、できるだけ多くの住民に迅速かつ確実に伝わるよう、市町村において
は「周知の措置」が義務化されています。特別警報が発表されたら、できるだけ多く
の住民に迅速に伝えていただくとともに、避難勧告等の対象地区の範囲が十分である
か等、確認をお願いします。
- 14 -
特別警報の発表基準
- 15 -
50 年に一度の 3 時間降水量(mm)
50 年に一度の 48 時間降水量(mm)
■各市町村の“50 年に一度”の現象に相当する指標は気象庁ホームページに掲載
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/kizyun.html
- 16 -
指定河川洪水予報
熊本地方気象台は熊本県内を走行している予め指定した河川※1 に対して水位または
流量を示した洪水の予報を、菊池川河川事務所、熊本河川国道事務所、八代河川国道事
務所とそれぞれ共同で行っています。指定河川洪水予報の標題では、はん濫注意情報(レ
ベル2)∼ はん濫発生情報(レベル5)までの4段階に分けて洪水に対する注意や警
戒を呼びかけます。
○○川はん濫注意情報(洪水注意報) レベル2
基準地点の水位がはん濫注意水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる場合
○○川はん濫警戒情報(洪水警報)
レベル3
基準地点の水位が避難判断水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる場合。または、
はん濫危険水位に到達することが予想される場合。
○○川はん濫危険情報(洪水警報)
レベル4
基準地点の水位がはん濫危険水位に到達し、はん濫のおそれがある場合。
○○川はん濫発生情報(洪水警報)
レベル5
実施区間内ではん濫が発生した場合。
※1
国土交通大臣が指定した熊本県内河川一覧
水系名
菊池川
白川
緑川
球磨川
河川名
菊池川
合志川
白川
緑川
加勢川
御船川
球磨川
担当事務所名
菊池河川事務所
熊本河川
国道事務所
八代河川国道事務所
- 17 -
ナウキャスト(降水・雷・竜巻)の情報
「ナウキャスト」とは聞きなれない言葉ですが、英語のnow(現在)とforecast(予測
)を組み合わせた言葉で、気象学や経済学などで使用されます。
発達した積乱雲の下では、竜巻などの激しい突風や落雷、短時間強雨等の激しい現象
が発生します。このような現象に的確に対応するには、刻々と変化する状況に基づき即
時的に状況を知らせる予報(ナウキャスト)の利用が有効です。気象庁では、短時間強
雨の予報として提供している「降水ナウキャスト」を5分毎に提供しています。
落雷と竜巻などの激しい突風に関する即時的な予報としての「雷ナウキャスト」及び
「竜巻発生確度ナウキャスト」は、10 分毎に提供します。
降水ナウキャスト
気象庁ホームページ URL:
雷ナウキャスト
竜巻発生確度ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
☆ 災 害 か ら 身 を 守 ろ う ☆
∼ 今、あなたに知ってほしいコンテンツをそろえました ∼
気象庁は、竜巻、雷、津波、地震、大雨などから身を守るためにビデオ映像リンク集
を気象庁ホームページに掲載しました。これらの現象から身を守るための知識や行動、
避難の大切さや避難の仕方などをビデオ映像で分かりやすくご覧いただけます。
気象庁ホームページ URL:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/fukyu_portal/index.html
- 18 -
高解像度降水ナウキャスト
気象庁では、従来から降水、雷、竜巻のナウキャストを発表してきましたが、このう
ち降水のナウキャストを、従来よりも空間的にきめ細かく(最小 250m 格子)して、平
成 26 年 8 月からは「高解像度降水ナウキャスト」として発表しています。
より詳細な降水域の移動や
発達・衰弱の把握が可能に!
<特徴>
・雨の強弱が色分けで地図上に表示
・動画(アニメーション)も可能
強い雨の領域の移動や、雨の強弱の変化を
直感的に把握できます。
気象庁ホームページの表示イメージ
30 分後までの強い降水域
スマートフォンなどモバイル端末
でも利用できるため、災害救助など
の現場でも利用できます。
また、登山やスポーツなど屋外で
の活動の際にも、急に強い雨が降り
始めて慌てて行動を起こすのではな
く、降り始める前に早めの危険回避
行動をとるために威力を発揮しま
す。
画面中心(GPS で現在地設定)
からの距離を表示可能。
- 19 -
【参考資料】
熊本県内が影響を受けた主な気象災害(1927 年∼)
気象災害の発生年等
昭和
2年
台風による高潮被害
備
考
気象要因
死者・行方不明423名
台
昭和28年6月26日水害
白川大水害
梅雨前線
昭和32年
熊本市松尾町や天水町で大きな被害
梅雨前線
諫早豪雨
死者537名
風
昭和47年7月6日
天草豪雨
姫戸町でがけ崩れ多数
梅雨前線
昭和57年7月豪雨
長崎豪雨
熊本県内で死者23名
梅雨前線
平成2年7月洪水
白川増水、一の宮町
平成
4名死亡
梅雨前線
平成11年 台風第18号災害
高潮災害(宇城市不知火町)死者16名
台
平成15年7月 水俣市土石流災害
水俣市宝河内地区など
梅雨前線
平成16年
台風第16号、第18号、第21号
5年 6 月 18 日
南小国町土砂災害
台風災害
土石流
死者19名
平成19年 美里町梅雨前線豪雨被害
梅雨前線
台
風
風
梅雨前線
平成20年 がけ崩れ
多良木町で土砂災害死者1名
梅雨前線
平成24年7月 九州北部豪雨
阿蘇地方を中心に、熊本県、福岡県、
大分県で死者30名 行方不明2名
梅雨前線
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【参考資料
【参考資料
参考資料】
】
台風による高潮災害(宇城市不知火町)
台風による高潮災害(宇城市不知火町)
−1999
−1999 年台風第 18 号
号−
−
台風第 18 号は、9月 19 日に沖縄の南海上で発生し、発達しながら北上した。24
日に沖縄の南海上で発生し、発達しながら北上した。24 日
06 時頃強い勢力のまま熊本県北部に上陸した後、九州北部を通り、
時頃強い勢力のまま熊本県北部に上陸した後、九州北部を通り、24
24 日 09 時前に山口
県宇部市付近に再上陸し、中国地方西部を通って日本海に進んだ。
県宇部市付近に再上陸し、中国地方西部を通って日本海に進んだ。25
25 日 02 時頃北海道
渡島半島に再上陸し、北海道西岸を北東に進んで、
渡島半島に再上陸し、北海道西岸を北東に進んで、25
25 日 12 時に網走沖で温帯低気圧に
変わった。
九州・中国地方を進んだため、特にこれらの地方では最大風速が 30m/s を超える激し
い暴風となったところがあった。牛深(熊本県牛深市)では最大瞬間風速 66.2m/s を記
録した。22
録した。22 日には、沖縄県喜屋武岬で
日には、沖縄県喜屋武岬で 8.68m の有義波高を観測した。
九州北部地方や中国地方瀬戸内海沿岸では、台風が通過した 24 日に著しい高潮とな
り、
り、宇城市
宇城市不知火町では高潮により
宇城市不知火町では高潮により 12 名が死亡し
名が死亡しまし
まし
ました。
た。また
また 24 日愛知県豊橋市など
で竜巻が発生し、多くの負傷者がで
で竜巻が発生し、多くの負傷者がでまし
まし
ました。
た。
不知火町
不知火
町
- 21 -
【参考資料】
台風による大雨災害(東京都大島町)
−2013 年台風第 26 号−
2013 年(平成 25 年)10 月 11 日 03 時にマリアナ諸島付近で発生した台風第 26 号は、
発達しながら日本の南海上を北上し、大型で強い勢力のまま、16 日明け方に暴風域を伴
って関東地方沿岸に接近した。東京都大島町の 10 月 14 日から 16 日までの総降水量は
824.0mm であった。また、2013(平成 25)年 10 月 16 日未明(午前2時∼3時頃)に元
町付近で斜面災害が発生した。
16 日、東京都大島町(伊豆大島)西部において、三原山の外輪山の中腹が幅約 950m
にわたって崩落し、土石流が発生した。土石流は西に向かって沢に沿うように河口部ま
で流れ、被害は長さ約 1,200m、範囲は約 114 万 m2 に及んだ。この土石流は、元町神達地
区や元町三丁目といった集落を飲み込み、35 人が死亡、22 人が重軽傷を負い、4人が
行方不明となっています。
(11 月 26 日 10 時 00 分現在)
10 月 16 日
03 時 53 分
最大1時間降水量
122.5 ミリ
- 22 -
【参考資料】
停滞前線による大雨災害(広島市)
−平成 26 年8月豪雨−
平成 26 年の夏は、7 月末から 8 月下旬にかけて台風や前線の影響で西日本を中心に不
順な天候となり、大雨による災害が各地で発生したことから、気象庁はこの一連の現象
を「平成 26 年 8 月豪雨」と命名しました。
異常気象分析検討会の見解(要旨)によると、不順な天候の原因は、7 月末∼8
月上旬にかけて北上した台風(第 11 号と第 12 号)によって、8 月上旬後半以降
から日本付近の偏西風が南に偏りかつ南北に蛇行(日本の西側で南に、東側で
北に蛇行)した。このため、南からの暖かく湿った気流が持続し発生したと見
られる。
最大値約 250mm
解析
解析雨量の積算図
(8 月 20 日 1 時 30 分∼4 時 30 分)
平成 26 年 8 月 20 日広島市
国土地理院撮影
平成 26 年の 7 月末から 8 月下旬にかけては、
各地で大雨による災害が発生しました。
特に広島市では、8 月 20 日未明、午前 2 時から 4 時までの 2 時間に局地的に 200mm を超
える集中豪雨が発生し、土石流やがけ崩れが山裾や谷間に広がる住宅地を襲ったことに
より、74 名が死亡する大きな災害になりました。
この土砂災害をもたらした大雨は、湿った大気の流入により線状降水帯が停滞して発
生したもので、災害発生場所に最も近い観測点である同市安佐北区三入(アメダス)で
は、最大 1 時間降水量が 101.0mm、最大 3 時間降水量が 217.5mm、前日からの最大 24 時
間降水量が 257.0mm となり、いずれも観測史上 1 位の値を更新する大雨となりました。
同様の線状降水帯による大雨は梅雨末期などに発生することが多く、過去にもしばしば
大きな災害をもたらしています。
- 23 -
【参考資料】
熊本県に影響を及ぼす地震の断層帯の見直し
1
活断層による地震(地震調査研究推進本部
資料から)
過去に熊本県内に影響を及ぼした地震は、1889 年7月熊本市の西で発生した熊本地
震(M6.3)などが知られている。
今後熊本県内に影響を及ぼす活断層には、雲仙断層群、別府-万年山断層帯、布田
川断層帯、日奈久断層帯、緑川断層帯、人吉盆地南縁断層、出水断層帯があり、M7
から8クラスの地震が想定されている。
熊本県内で今後 30 年以内に震度6弱以上の強い揺れに見舞われる確率はやや高い
と推定されている。
別府・万年山断層帯
布田川断層帯
雲仙断層群
緑川断層帯
日奈久断層帯
人吉盆地南縁断層
出水断層帯
過去の熊本で発生した地震、過去最悪の死者20人
1889 年(明治 22 年)7月 28 日 23 時 45 分に熊本県熊本地方で M6.3 の直下型地震が
発生した。現在の熊本市を中心に死者 20 人、366 戸が全半壊した。
最近の震度5強以上の地震
2011 年 10 月5日 23 時 33 分に熊本地方菊池市付近の深さ約 10km を震源とする M4.5
の正断層型地震が発生した。この地震により、菊池市旭志で震度5強を観測したほか、
熊本県を中心に震度4から1を観測した。
- 24 -
【参考資料】
2 南海トラフによる地震(内閣府ホームページ資料から)
この地震では最大でM9クラスの地震(熊本県内では最大震度5弱から6弱程度の揺
れ)が想定されている。これは、東海・東南海・南海連動型地震の震源域が日向灘まで
伸びる4連動型が発生したときの想定である。
3
日向灘の地震
日向灘ではM7クラスの地震(熊本県内では最大震度4から5弱程度の揺れ)が発
生する。この地震により県内でも被害が発生することが予想されています。
- 25 -
【参考資料】
○緊急地震速報が発表されたら
もし、地震の揺れを感じたら、また、揺れを感じなくても、緊急地震速報を見聞
きしたら、先ずは身の安全をはかる。揺れが収まったら、落ち着いて行動をする。
- 26 -
【参考資料】
噴火警戒レベルについて
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民
等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。
噴火警戒レベルが運用されている火山では、平常時のうちに火山防災協議会で合意さ
れた避難開始時期・避難対象地域の設定に基づき、気象庁は「警戒が必要な範囲」を明
示し、噴火警戒レベルを付して、地元の避難計画と一体的に噴火警報・予報を発表しま
す。市町村等の防災機関では、あらかじめ合意された範囲に対して迅速に入山規制や避
難勧告等の防災対応をとることができ、噴火災害の軽減につながることが期待されます。
※
噴火警戒レベルの活用にあたっては以下の点に留意する必要があります。
・火山の状況によっては、異常が観測されずに噴火する場合もあり、レベルの発表が必
ずしも段階を追って順番どおりになるとは限りません(下がるときも同様です)
。
・各レベルで想定する火山活動の状況及び噴火時等の防災対応に係る対象地域や具体的
な対応方法は、地域により異なります。
・降雨時の土石流等、噴火警報の対象外の現象についても注意が必要であり、その場合
には大雨情報等他の情報にも留意してください。
- 27 -
【参考資料】
降灰予報について
気象庁では、平成 27 年3月より、降灰量分布や小さな噴石の落下範囲を予測する新
しい降灰予報(量的降灰予報)の運用を開始しました。
量的降灰予報は、
「降灰予報(定時)
:1日8回3時間毎」
、
「降灰予報(速報)
」およ
び「降灰予報(詳細)
」の3種類の情報に分けて発表します。 また、量的降灰予報を防
災情報として有効に活用いただくため、降灰の影響ととるべき行動を降灰量ごとに整理
した降灰量階級表も合わせて提供します。
- 28 -
御嶽山
噴火(水蒸気噴火)平成 26 年9月 27 日
阿蘇山
噴火(マグマ噴火)
11 時 52 分 57 人死亡
平成 26 年 11 月 27 日
- 29 -
6人行方不明
08 時 40 分
【参考資料】
御嶽山の噴火災害を踏まえた火山情報の見直しについて
∼「火山の状況に関する解説情報」等の変更∼
昨年9月 27 日に発生した御嶽山の噴火災害を踏まえ、火山噴火予知連絡会に設置し
た「火山情報の提供に関する検討会」において、平成 27 年3月 26 日に最終報告が取り
まとめられました。
気象庁では、この最終報告を受けて、火山情報について以下の見直しを行うこととし
ましたのでお知らせします。
■
火山活動の変化を観測した場合の情報提供
・ 臨時に火山の状況に関する解説情報」を発表する際は、火山活動のリスクの高
まりが伝わるよう、
「臨時」の発表であることをわかりやすく発表します。
・平成 27 年5月 18 日 14 時より提供を開始します。
■
噴火予報におけるキーワード「平常」の表現の見直し
・ 噴火警戒レベル1及び噴火予報におけるキーワード「平常」の表現を、活火山
であることを適切に理解できるよう、
「活火山であることに留意」に改めます。
・ 平成 27 年5月 18 日 14 時より変更します。
※情報発信のプログラムの準備が整う秋頃までは、
「平常」という言葉が情報文中
に残るため、「平常」を「活火山であることに留意」と読み替える旨の注釈を
本文中に付けます。
■
「噴火速報」の発表
・ 登山者等火山に立ち入っている方が命を守るための行動を取れるよう、
「噴火速
報」を新たに発表します。
・ 平成 27 年8月上旬より運用開始予定です。
・詳しい情報の内容や運用開始日については、改めてお知らせします。
- 30 -
【参考資料】
■
火山活動の変化を観測した場合の情報提供
現
状
システム改修後
火山名 蔵王山 火山の状況に関する解説情報 (臨時) 第1号
平成27年4月9日17時40分 仙台管区気象台
**(見出し)**
<噴火予報(活火山であることに留意)が継続>
蔵王山では、火山性地震が増加しており、火山活動が高まっています。
**(本 文)**
1.火山活動の状況
蔵王山では、4月7日以降、御釜付近が震源と推定される規模の小さな火山性地震
が増加しています。
また、本日(9日)15時49分頃に火山性微動が発生しました。今回発生した火
山性微動は、最大振幅1.0μm/s[坊平観測点(山頂の南西約5km):上下成
分]、継続時間約1分20秒で、これまで観測された火山性微動のなかでは規模の小
さなものでした。
坊平観測点に設置している傾斜計による観測及びGNSSによる地殻変動観測で
は特段の変化はみられません。
宮城県の遠刈田温泉及び山形県の上山金谷に設置している遠望カメラでは、異常は
認められません。
2月以降、本日(9日)17時までの火山性地震及び火山性微動の回数は以下のと
おりです。
火山性地震
火山性微動
2月
7回
1回
3月
18回
0回
4月(6日まで)
4回
0回
7日
17回
0回
8日
16回
0回
9日(17時まで)
26回
1回
2.防災上の警戒事項等
蔵王山では、2014年8月以降、火山活動の高まりがみられます。過去の活動期
には、突発的な噴気孔の生成や、火山ガスの噴出等の現象があったことから、登山等
で火口に近づく際には十分注意してください。
火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。
<噴火予報(活火山であることに留意)が継続>
- 31 -
【参考資料】
■
噴火予報におけるキーワード「平常」の表現の見直し
気象庁ホームページの変更例
現
(平常→活火山であることに留意)
状
システム改修後
噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)
<十勝岳に噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに注意):警報解除を発表>
十勝岳の噴火警報を解除
<噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに注意)に引下げ>
3
- 32 -
【参考資料】
■
「噴火速報」の発表
気象庁は、一定期間噴火が発生していない火山において噴火発生や噴火初期の変動を観
測した場合、または継続的に噴火が発生している火山であってもより大きな規模の噴火発生や
噴火初期の変動を観測した場合には、その旨を登山者等火山に立ち入っている人々に迅速、
端的かつ的確に伝えて、命を守るための行動を取れるよう、「噴火速報」を新たに発表する。
・
「噴火速報」と既存の情報との関係
情報名
目的等
発表のタイミング
受け取り側の対応
噴火速報
噴火発生の観測事実を、迅速、
端的かつ的確に知らせる。初
めての噴火、または噴火警戒
レベル引き上げの検討が必要
と考えられるような規模の噴
火を確認した場合。
噴火発生を確認した時刻で
発表。噴火発生時刻、噴煙
高度と流向を確認する必要
がないので、即時に発表可
能なため、噴火警報発表前
に発表される場合もある。
登山者等、山に立ち入っ
ている人の避難行動(身
の安全を守る)に利用。
噴火に関
する火山
観測報
噴火が発生した際に、発生時
刻や噴煙高度等を知らせる。
噴火が発生する度に発表する
他、連続的な噴火の場合は定
期的に発表。
噴火発生の時刻、噴煙高度
と流向を確認するため発表
までに5∼10分程度かか
る。
航空機の安全運航に利
用。その他、降灰への備
えにも利用。
警戒範囲の決定や必要な発
表手順を経て発表する。
噴火警報
火山災害軽減のため、警戒が
必要な範囲を発表する警報。
噴火警戒レベルの変更が必要
な場合、警戒範囲・警戒事項
を変更する場合に発表。
地域防災計画で定めた
避難指示・入山規制等の
防災対応を行う(法的な
規制)
。
噴火予報
噴火警報を解除する場合等に
発表。
解除に係る評価等を経て発
表する。
規制等防災対応の解除。
火山活動の状況について、臨
時に発表。
地震回数、微動の発生状況、
地殻変動、噴煙の状況等か
ら評価した火山の活動状況
を発表している。
火山活動状況の連絡・共
有。警報発表中では、定
期的な情報との区別が
付かない。
火山の状
況に関す
る解説情
報
噴火警報発表後の補完とし
定期的な評価結果を情報で
て、火山活動の状況について、 発表している。
定期的(毎金曜日16時等)
に発表。
警報発表後の地震回数
等火山活動状況の把握。
火山活動の状況や警戒事項に
ついて図表を用いて、臨時に
発表。
地震回数、微動の発生状況、 火山活動状況の把握。
傾斜計の状況、噴煙の状況
等について、グラフ等によ
り詳しく解説する。
火山活動の状況について、定
期的(毎月)に発表。
定期的な評価結果について
グラフ等により詳しく解説
する。
火山活動
解説資料
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火山活動状況の把握。
【参考資料】
携帯電話向けページの気象ナウキャスト等
(∼国土交通省防災情報提供センター∼)
屋外で活動を行う方々への安全対策として、携帯電話でも今後の気象の見通しが閲覧
できるようになりました。国土交通省防災情報提供センターの携帯電話向けページで、
気象ナウキャスト等のコンテンツが閲覧できますので、国土交通省の防災情報をご利用
ください。
※防災情報提供センター(携帯電話向けページ)
URL http://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/i-index.html
※携帯の機種によっては,画像表示サイズ上限を超える場合も考
えられるため,動画が一時的に見えなくなる可能性があります。
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下記の国土交通省の防災情報がご覧頂けます。
国土交通省
防災情報提供センター
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