第 4 回「ふくしま景気ウォッチャー調査」

平成 27 年 11 月 25 日
報道機関各位
一般財団法人 とうほう地域総合研究所
理事長 阿部 隆彦
第 4 回「ふくしま景気ウォッチャー調査」アンケート結果について
当研究所では、街角の景況感調査として、標記アンケートを 10 月に実施しました。内閣府の景気ウォ
ッチャー調査では、県別の数値が公表されていないことから、同調査の「福島県版」として当研究所で
独自に実施しているものです。本調査では、回答対象者を一般消費者に身近に接している小売や飲食な
どの「家計動向関連」に限定しています。
今般、調査結果をとりまとめましたのでお知らせします。本調査は昨年 6 月に開始し、以降、4 月と
10 月の年 2 回実施しております。
なお、詳細は当研究所機関誌「福島の進路」12 月号(11 月 26 日発行)に掲載するとともに当研究所ホ
ームページでも公表いたします。
1.消費動向
ウォッチャー(アンケート調査回答者)が日々の仕事を通じて接している顧客の様子から把握でき
る消費動向(購買状況)について尋ねた。
(1)消費動向の現状判断(半年前と比較した現在)
横ばいを示す 50 を下回り、再び下降局面と判断された。
・消費動向の現状判断指数は 47.2(前回調査比△4.3 ㌽)であり、横ばいを示す 50 を下回った(図表 1)
。
・前回調査に比べ、
「良くなった」または「やや良くなった」とプラス判断したウォッチャーの割合がや
や減少、
「やや悪くなった」または「悪くなった」とマイナス判断したウォッチャーの割合が約 2 割か
ら約 3 割に増加しており、消費が下向いていると判断されている(図表 2)
。
◇業種別
・前回調査では小売関連、飲食関連の 2 業種が 50 を上回り上昇局面と判断されたが、今回調査では小売
関連 51.6(前回調査比△5.8 ㌽)のみ 50 を上回った(図表 1)
。
・
「良くなった」
「やや良くなった」とプラス判断した理由としては、いずれの業種も「来店客数の増加」
が 5 割を超え(複数回答)最も多かった。
図表2
図表1 消費動向の現状判断指数(DI) 業種別
前々回調査(H26年10月)
前回調査(H27年4月)
今回調査(H27年10月)
0%
80
50
51.5
47.2
42.8
57.4
51.6
46.7
40
30
20
前
々
回
調
査
56.2
40.6
前
回
調
査
48.0 42.1
43.6
41.9
30%
40%
50%
60%
変わらない
44.7%
回答構成比
70%
80%
90%
やや悪くなった
34.1%
100%
5.7%
48.2
36.7
41.1
前回調査
(H27年4月)4.1%
やや良くなっ
た 25.2%
49.6%
悪くなった
14.6% 6.5%
今
回
調
査
今回調査
1.6%
(H27年10月)
10
0
全体
20%
良くなった
1.6%
前々回調査
13.8%
(H26年10月)
70
60
半年前と比較した現在の消費動向
10%
小売関連
飲食関連
サービス関連
住宅関連
1
23.2%
43.2%
26.4%
5.6%
(2)消費動向の先行き判断(現在と比較した半年後)
前回調査に比べてマイナス判断するウォッチャーの割合が増加した。
・消費動向の先行き判断指数は 44.2(前回調査比△5.6 ㌽)であり、横ばいを示す 50 を下回り、前回調
査の水準からも下降した(図表 3)
。
・
「変わらない」と判断したウォッチャーが半数を占めるものの、マイナス判断する割合が増えており全
体として悪化した(図表 4)
。
◇業種別
・前回調査で 50 を上回り上昇局面と判断された小売関連と飲食関連が 50 を下回り、全ての業種におい
て下降局面であると判断された。サービス関連は 37.2(同△10.1 ㌽)へと大きく下降した(図表 3)。
・サービス関連では「悪くなる」
「やや悪くなる」とマイナス判断した理由は、
「来店客数の減少」
(55.6%)
のほか、
「観光客の減少」
(33.3%)が多くあげられた(複数回答)
。
図表4
図表3 消費動向の先行き判断指数(DI) 業種別
前々回調査(H26年10月)
前回調査(H27年4月)
0%
今回調査(H27年10月)
80
50
20
30%
良くなる
3.3%
13.0%
49.8
42.1 44.2
52.7
47.3 49.4
40
30
現在と比較した半年後の消費動向
20%
前
々
回
調
査
前
回
調
査
51.0
47.3
46.0
35.5 37.2
35.4
53.4
44.7
40%
50%
回答構成比
60%
70%
変わらない
39.0%
前々回調査
(H26年10月)
70
60
10%
80%
90%
やや悪くなる
38.2%
100%
悪くなる
6.5%
42.8
前回調査
0.0%
(H27年4月)
やや良くなる
27.6%
48.0%
20.3%
4.1%
今
回
調
査
10
今回調査
1.6%
(H27年10月)
14.4%
51.2%
24.8%
8.0%
0
全体
小売関連
飲食関連
サービス関連
住宅関連
2.景気動向
ウォッチャー自身の身の回りの景気(経済情勢)について尋ねた。
(1)景気動向の現状判断(半年前と比較した現在)
前回調査よりもマイナス判断するウォッチャーの割合が増加した。
・景気動向の現状判断指数は 42.0(前回調査比△6.6 ㌽)であり、横ばいを示す 50 を下回り、下降局面
と判断された(図表 5)
。
・
「やや悪くなった」と「悪くなった」とマイナス判断した割合が合わせて 36.8%(同+12.4 ㌽)であ
り、景気の現状をマイナスに捉えているウォッチャーが増加した(図表 6)
。
◇業種別
・いずれの業種も 50 を下回り、下降局面と判断している。特に、住宅関連 35.7(前回調査比△17.8 ㌽)
と飲食関連 36.0(同△9.9 ㌽)でマイナス判断したウォッチャーが多かった(図表 5)
。
図表5
景気動向の現状判断指数(DI)業種別
前々回調査(H26年10月)
前回調査(H27年4月)
図表6 半年前と比較した現在の景気動向 回答構成比
今回調査(H27年10月)
0%
80
70
60
50
48.6
39.6 42.0
52.7
47.3
42.4
40
53.5
45.9
36.5 36.0
43.3
41.7
36.2
10
前
々
回
調
査
前
回
調
査
30%
40%
50%
変わらない
43.9%
やや良くなった
23.6%
0.0%
35.7
前回調査
(H27年4月)
今
回
調
査
60%
70%
80%
90%
100%
やや悪くなった 悪くなった
34.1%
9.8%
52.0%
19.5%
4.9%
2
今回調査 0.8%
(H27年10月)
8.8%
0
全体
20%
45.0
30
20
10%
良くなった
前々回調査0.0%
(H26年10月) 12.2%
小売関連
飲食関連
サービス関連
住宅関連
53.6%
31.2%
5.6%
(2)景気動向の先行き判断(現在と比較した半年後)
マイナス判断したウォッチャーが約 4 割を占め、前回調査に比べ悪化した。
・景気動向の先行き判断指数は 42.0(前回調査比△6.3 ㌽)であり、横ばいを示す 50 を下回り、下降局
面であると判断された(図表 7)
。
・
「悪くなる」または「やや悪くなる」とマイナス判断した割合が合わせて 36.8%(同+10.3 ㌽)と約 4
割を占めた(図表 8)
。
◇業種別
・いずれの業種も 50 を下回り、下降局面であると判断された。特に、飲食関連 36.0(前回調査比△7.8
㌽)と住宅関連 37.5(同△8.7 ㌽)でマイナス判断するウォッチャーの割合が多かった(図表 7)
。
図表7
景気動向の先行き判断指数(DI)
前々回調査(H26年10月)
前回調査(H27年4月)
図表8 現在と比較した半年後の景気動向 回答構成比
業種別
0%
今回調査(H27年10月)
前々回調査
(H26年10月)
70
60
40
48.3
39.1 42.0
53.7
47.3
42.4
43.8
33.3 36.0
45.1
34.2
41.0
50.0
46.2
37.5
10
12.2%
前回調査
(H27年4月)
0.0%
30
20
20%
良くなる
0.0%
80
50
10%
前
々
回
調
査
前
回
調
査
今
回
調
査
30%
40%
変わらない
40.7%
やや良くなる
25.6%
今回調査 0.8%
(H27年10月)
10.4%
50%
60%
70%
80%
やや悪くなる
38.2%
47.9%
52.0%
90%
悪くなる
8.9%
20.7%
29.6%
0
全体
小売関連
飲食関連
サービス関連
住宅関連
3.地域別の消費・景気動向
前回調査に比べて、多くの地域で消費動向・景気動向の現状・先行き指数が悪化した。
◇消費動向現状判断
相双が 58.3(前回調査比△1.1 ㌽)
、県中が 50.8(同△2.1 ㌽)と 50 を上回ったのは 2 地域にとどま
り、会津・南会津 50.0(同+6.9 ㌽)を除き前回調査から低下した(図表 9)。
◇消費動向先行き判断
相双 54.2(前回調査比+7.3 ㌽)のみ 50 を上回り、上昇局面と判断された(図表 9)
。前回調査では全
ての地域が前々回調査に比べ上昇したが、今回調査では県北、県南、会津・南会津、いわきの 4 地域
で前回調査を下回った。
◇景気動向現状判断
相双 50.1(前回調査比△6.2 ㌽)を除いた地域で 50 を下回り、下降局面であると判断された(図表 9)
。
復興需要の減速とともに、相双を除く県内全般的に景気判断が悪化してきている
◇景気動向先行き判断
相双 50.0(前回調査比±0.0 ㌽)を除いた地域がいずれも 50 を下回り下降局面と判断された(図表 9)
。
3
100%
5.8%
7.2%
図表9 地域別の消費動向・景気動向判断指数(DI)
県北
前回調査
80
60
50.0
45.4
40
55.6
45.4
50.1
43.2
56.5
46.2
相双
今
回
調
査
前
回
調
査
20
今回調査
前回調査
60
0
消費動向
現状
消費動向
先行き
会津・南会津
前回調査
80
前回調査
80
60
43.1
50.0
48.6
40.9
景気動向
現状
景気動向
先行き
44.8
40.3
40
45.8
38.2
52.9
60
59.4 58.3
46.9
今回調査
0
44.1 46.7
48.5
42.8
消費動向
現状
消費動向
先行き
景気動向
現状
消費動向
現状
前回調査
今回調査
消費動向
先行き
景気動向
現状
景気動向
先行き
60.0
51.3
40.9
48.8
44.3
48.8
消費動向
現状
消費動向
先行き
40.0
県南
前回調査
46.3
37.5
39.8
20.0
今回調査
80
60
景気動向
先行き
80.0
0
景気動向
先行き
景気動向
現状
いわき
20
0
消費動向
先行き
43.8 42.7
40
20
50.0 50.0
40
消費動向
現状
50.8
56.3
50.1
54.2
20
県中
今回調査
今回調査
80
0.0
58.3
56.3
52.1
44.7
37.5
35.7
40
45.9
35.7
景気動向
現状
景気動向
先行き
20
0
消費動向
現状
消費動向
先行き
景気動向
現状
景気動向
先行き
4.まとめ
◇平成 27 年 10 月実施の内閣府の景気ウォッチャー調査の家計動向関連についてみると、景気の現状判
断 DI※(判断指数 Diffusion Index)は 48.1(前月比+1.1 ㌽)
、景気の先行き判断 DI が 49.3(同+
0.4 ㌽)と発表された。比較する時期が内閣府と当研究所で異なっているものの、当研究所調査では現
状判断 DI が 47.2、先行き判断 DI が 44.2 であり、県内の景気判断が全国同様に横ばいを示す 50 を下
回り下降局面にあることがわかった。
◇本県の消費動向と景気動向に対するウォッチャーの判断は、ふくしま DC などイベント効果が一部にみ
られたものの、復興需要の減速感もあって全般的に前回調査に比べて、判断指数が悪化した。プラス
判断やマイナス判断とした理由は、共に来店客数の増減をあげるウォッチャーが多かったことから、
イベントやプレミアム商品券発行など集客や消費につながるような政策が小売・サービスの現場で求
められている。
◇代表的な業種をみると、消費判断現状指数はコンビニ 62.6 に対し旅館・ホテル 48.4、タクシー37.5
となった。前回調査同様に判断指数に差がみられた。
※DI(Diffusion Index)…本調査では、現在と比較した半年前または半年後の方向性を点数化し、50 を上回れば上昇局
面、50 を下回れば下降局面と判断している(P5 の 5 番の判断指数の算出方法を参照)
。
4
○調査要領
1.調査対象者
県内の景気の動きを実態面から敏感に観察できる立場の方146名
2.回収状況
有効回答数
128 件
回答者の業種・地域は6・7のとおり
回収率
87.7 %
3.調査時期
平成27年10月実施
(調査時期について:第1回は昨年6月、第2回は同10月に実施したが、
今後は4月と10月に調査を実施する)
4.調査内容
(1) 半年前と比較した現在の消費動向
(2) (1)の選択理由
(3) 現在と比較した半年後の消費動向
(4) (3)の選択理由
(5) 半年前と比較した現在の景気動向
(6) 現在と比較した半年後の景気動向
※(1)、(3)、(5)、(6)は5段階評価による回答とする。
※ここでは、消費動向は日々の仕事を通じて接する顧客の様子から把握できる購買状況、
景気動向は回答者の身の回りの経済情勢のことを指す。 5.判断指数(DI値)の算出方法
5段階の回答区分に、それぞれ下図のとおり点数を与え、これらに各回答区分の構成比(%)を乗じて
DI値(Diffusion Index)を算出する。
DI値は50を目安としており、50を上回っていれば上昇局面、50を下回っていれば下降局面
と判断する。
良くなった
やや良くなった
やや悪くなった
悪くなった
回答区分
変わらない
やや良くなる
やや悪くなる
良くなる
悪くなる
点数
+1
+0.75
+0.5
+0.25
0
6.調査回答者の所属分野・業種
分
野
調査対象者の代表的な業種
小売関連 (47名)
一般小売店 スーパーマーケット コンビニエンスストア など
飲食関連 (26名)
料理店 酒場 など
サービス関連 (41名)
旅館・ホテル タクシー 娯楽業 理美容業 など
住宅関連(14名)
住宅・不動産販売
7. 対象地域の区分
地
域
(調査回答者数)
県北(34名)
県中(31名)
県南(16名)
会津・南会津(19名)
相双(6名)
いわき(22名)
市 郡 名
福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡
郡山市、須賀川市、田村市、岩瀬郡、石川郡、田村郡
白河市、西白河郡、東白川郡
会津若松市、喜多方市、耶麻郡、河沼郡、大沼郡、南会津郡
南相馬市、相馬市、双葉郡、相馬郡
いわき市
本件に関する質問・お問い合わせ先
担当:高橋
TEL
5
024-523-3171