真壁の和室造作 演習報告書

 国土交通省 平成 25 年度 住宅市場整備推進等事業(木造住宅施工能力向上・継承事業)
「 真壁の和室造作を学ぶ<奥越大工塾>」
平成 26 年3月
一般社団法人 福井県建築組合連合会 奥越ブロック会
目次 はじめに
・・・・・2
第1章 奥越大工塾ガイダンス 1-1 今なぜ真壁なのか
・・・・・3 1-2 和室の造作と意匠 ・・・・・5
1-3 奥越の木割り ・・・・・7
第2章 実技演習 <真壁一坪和室の製作>
2-1 実技ガイダンス ・・・・・9 2-2 軸組み編
1 尺竿の製作 ・・・・・11
2 木とり・墨付け ・・・・・11
3 軸組み ・・・・・12
4 建て方 ・・・・・15
5 筋交い ・・・・・16
2-3 造作編
1 敷居・鴨居 ・・・・・17
2 吊り束 ・・・・・21
3 畳寄せ ・・・・・23
4 付け鴨居 ・・・・・24
5 床框 ・・・・・25
6 落し掛け ・・・・・27
7 廻り縁 ・・・・・28
8 長押 ・・・・・33
9 造作完成
・・・・・41
2-4 実技の記録 ・・・・・42
2-5 課題図面
・・・・・43
第3章 事業の記録 3-1 事業全体の流れ
・・・・・45
3-2 事業の効果と今後の課題 ・・・・・47 -1-
はじめに
福井県建築組合連合会奥越ブロック会
会長 竹島正和
いよいよ、第2回奥越大工塾が始まります。
私たち奥越ブロック会は、地域の大工が、地域の木材を使って地域らしい住宅をつく
る<地域型住宅づくり>、そして地域に残る伝統的な建築物を活かした<まちづくり>
に積極的にかかわることを目指して、昨年1回目の奥越大工塾を開催いたしました。
昨年は、大工をはじめとする職人がまちづくりにかかわることの意義を全国的事例か
写真1 竹島会長(奥越大工塾
ら学ぶとともに、奥越の民家に多い「登り梁」や「丸太組み」の建て方演習を行うこと ガイダンスにて)
を通して、伝統的な墨付けと手刻みの要領を学びました。
今年は、
<真壁和室の造作を学ぶ「奥越大工塾」>として、敷居や鴨居、長押や廻り縁、
そして床の間に至るまで、ひと通りの和室造作について学びます。
近年、奥越においても生活スタイルの洋風化が進み、新築住宅では真壁和室が減少し
ています。現場では、熟練した大工が和室を担当する分業化が進み、若手は和室の技能
を習得する機会がありません。和室を得意とする方々も高齢になり、これまで伝承され
写真2 昨年の課題。「登り梁一
坪住宅」
てきた技術や情報が途絶えることが危惧されます。
一方、既存の和室をリフォームする事例は今後増加してゆきます。続き間和室の一角
をLDKとして取り込む場合、部屋境の壁を和室としてつくり直す必要があります。奥
越には続き間が多く、リフォームできる若い大工が必要です。
また、
真壁和室の造作には高度な大工技術が集約されています。大壁と違って真壁は、
木材同士を突き付け、釘やビスで留めるだけではありません。真壁の造作技術には、あ
らわしとなる木材が乾燥しても、生じる隙間を最小限にする工夫があります。
写真3 同上。「丸太組み一坪住
宅」
住宅全体を真壁でつくる地域住宅の全国的な動きもあります。和室の技術は洋室にも
応用可能です。たとえばLDKを真壁でつくることになれば、敷居や鴨居の技術が必要
です。両脇の柱に無目やカウンターを渡すには、遣り送りの技術が必要です。
さらに伝統的町並みの外観は真壁です。町並みを保全し修復する、そして後世に伝え
ていくためには、真壁造作技術の伝承が必要です。
今日ここに、和室造作を学ぶ機会がつくれたことを本当にうれしく思います。
いつしか皆様から、奥越はしっかりした大工が多いところ、魅力的な建物が多いとこ
ろ、きれいに修復した町並みを残しているところとして評される、ひとつの契機に奥越
大工塾がなることを祈念して、挨拶といたします。
-2-
写真4 伝統的町並みは真壁
第1章 奥越大工塾ガイダンス
1-1 なぜ今、真壁なのか アルセッド建築研究所
武田 光史
私は、全国各地で地域住宅を手伝う仕事をライフワークとしている。大野では平成
12 年フォレストタウンの基本構想・基本計画、平成 14 ~ 16 年の街なみ環境整備事
業にかかわった。また 2004 年の中越地震で被害を受けた旧山古志村では、地元の杉
を使って地元の大工が建てる地域住宅のモデル住宅建設にかかわり、延べ 55 戸の地
域復興住宅が建てられた。
最近では、奈良県十津川村の復興住宅づくりをお手伝いしている。十津川村は橿原
写真 1 講師の武田さん
市から車で 2 時間かかる秘境。平成 23 年の台風で被害を受け、山古志の活動を知っ
た十津川村から依頼があった。現在でも 30 軒ほどが仮設生活をしている。
村では林業に力を入れており、この復興住宅を、大和平野へ十津川杉を売り出すた
めモデルハウスとしても位置づけていた。価格帯は 1100 万から 1500 万で、省エ
ネに配慮した仕様とすることが条件であった。
十津川村の典型的民家は、斜面沿いの敷地に合わせて細長く建つ。敷地の前には棚
田が広がり、石垣、板塀がある。妻面の壁が前にせり出していることが住宅の特徴。
地元では「スバルノフキオロシ」と呼ぶ。切妻は雨仕舞が良いが、弱点となる妻壁を
写真2 十津川の風景。棚田と
保護する所作である。もうひとつの特徴は軒先にあり、「ウチオロシ」と呼んでいる。 石垣が点在する
雨が非常に強く、多い地域の所作で、年間降雨量は東京の 1.5 倍になる。
設計にあたっては、十津川らしい住まいを考える大工さんとのワークショップ、間
取りを考える住民とのワークショップを重ねた。十津川では戦後植林した杉が建築用
材として使える時期に来ている。径 35 ㎝~ 40 ㎝の間伐材がたくさんとれる。梁成
としては 4 寸× 7 寸位になり、その太さの木材を利用できる架構を提案した。省エネ
対策としては断熱を徹底し、十津川杉からつくった木質系断熱材を使用している。ま
た「自立循環型住宅」の考え方に基づき、自然採光・通風を良くするなど、標準的な
住宅に比べて消費エネルギーを 42%削減できるようにつくった。
写 真 3 十 津 川 の 伝 統 的 民 家。
「スバルノフキオロシ」と「ウチ
オロシ」
復興モデル住宅は傾斜地でなく平坦地に建てられたが、妻壁の「スバルノフキオロシ」
や板塀で景観をつくっている。内部はすべて十津川産材。プレカットでなく大工手刻
みで建てた。柱梁は 4 寸巾、棟持ち柱は 6 寸。骨太とするため全部に差し鴨居を入れ
ている。床も杉板、家具、障子も地元のスギ。モデル住宅を住宅展示場のように開放
しており、この仕様を公営住宅に展開している。
十津川のモデル住宅も真壁。真壁とは、
「壁を柱と柱の間に納め、柱が外面に現れる壁」 写真4 十津川の復興モデル住
宅
のこと。私はこれまで真壁の家しか設計したことがない。今日の講演の主題は、浴室
以外の家じゅう全てを真壁にしようという提案です。
日本の伝統的古民家は全て真壁。高温多湿の日本では柱現しの方が長持ちする。そ
して外国の古民家の多くも真壁でできている。しかし内外壁ともに真壁にすると、雨
仕舞や長期優良住宅を目指すうえで難点も多くなる。室内側だけの真壁ならば技術的
な問題は生じない。
右頁には、立場別の真壁住宅のメリットをまとめた。また真壁をつくる際の注意点
についてもまとめた。真壁を積極的に進めるうえで、参考とされたい。
-3-
写真5 復興モデル住宅の居間
【Ⅰ 真壁のメリット】
1.住まい手にとってのメリット
①木のあたたかみ、肌触り、木の香り、吸放湿性能。 真壁は和室のイメージが強いが、リビングや洋室を真壁として障子を入れるとモ
ダンになる。
②経年美化
大壁は新築時が一番良いが、真壁は住めば住むほど味が出る。
③愛着を醸成。
写真6 住まい手のメリット
リビングにもあたたかみのある
真壁が似合う。東濃ヒノキを現
しとした。
長持ちする家とは長持ちする価値のある家。住まい手の愛着が価値を高める。
④バリアフリー
5 ~ 6cm であっても廊下や階段の幅が広くなる。部屋も広くなる。
2 地域にとってのメリット
①地場産材の活用は地域の森林の保全育成につながる
②地元の大工さんたちが活躍して、大工技術が継承され地域経済も活性化する。
③自然素材で手作りの家は、街並みが美しくなる
3 つくり手にとってのメリット
写真7 富山の建築家 柴田裕弘
さんの自邸。居間に板の間と畳
が共存。妻側に木組みの床の間
が見える。非常にモダン。
①ハウスメーカーには真似できない仕事。差別化につながる。
②職人にとってやりがいと誇りのある仕事
③大工工事の比重を高め、建設費の多くを地元に還元、地域が潤う。
サイディングより板張りのほうが地元にお金が落ちる。メンテナンスも含めて地
域で維持管理できる。
4 住宅にとってのメリット
①軸組の耐久性向上。木は吸放湿性に優れる。
②軸組に問題が生じた場合の劣化事象の目視、維持管理が容易。
写真 8 真壁は住めば住むほど
美しく、そして愛着がわく。山
形県金山の建築家・阿部利広さ
んの民家改修事例。
【Ⅱ 真壁の作り方・留意事項】
1 コスト・工期への配慮として
①構造材は節があっても構わない。
家じゅう真壁なら節は気にならない。
②壁は乾式工法でも構わない。
写真 9 地域にとってのメリッ
ト:大工技術が継承され地域経
済も活性化する。
壁紙は、吸放湿するものを使用する。
壁内に 80 ㎜の高性能グラスウールを入れることで次世代省エネを達成。
③ちりしゃくりはきちんとつくる。ボードが透かない対策。
2 耐震性能の確保
①合板耐力壁は壁体内結露に注意
合板を室内側にするか、防湿フイルムを別張りにする。
②真壁耐力壁の基本(受け材の大きさ、止めつけ間隔)を守る
③格子耐力壁など魅せる耐力壁を活用する
写真 10 つくり手にとっての
メリット:真壁はハウスメーカ
- には真似できない。
3 金物を見せない工夫
①弱い耐力壁を多く作り、金物を多く使わない工夫をする
弱い耐力壁の例:筋違 2.0 倍 + 石膏ボード耐力壁 1.0 倍
長ほぞ込み栓(N 値 0.65)
②梁桁の緊結には露出しない金物を使用する
③柱脚・柱頭には、壁内に隠れる小さい金物を利用する
4 合理化工法を考える
①柱間に断熱・耐力壁を兼用するパネルを組み込むなど
-4-
写 真 11 住 宅 に と っ て の メ
リット:大壁の場合、腐朽や劣
化が進行していても気づかない。
第1章 奥越大工塾ガイダンス
1-2 和室の意匠と造作 福井大学 工学部
高嶋 猛
●木割とは何か
大工さんと仕事をするとき、ここはこんな風にすると上手くいきますよとか、ここは
どうしますかとか、設計の意図を伝えながら仕事をしてもらう。しかし、駆け出しの頃
は喧嘩することもあった。
「図面が読めたら大工などしておらん」というのが彼の言い
分だったが、大工は 1 軒 1 軒の設計というよりも、つくり方における一定のルールを
覚えて仕事をしていることが多い。それが木割であり、和室においてそれは顕著である。
写真 1 講師の高嶋さん
木割りは和室だけではない。たとえば社寺建築。近世社寺の柱間隔は正面中央が広
く、両脇は幾らか狭い。垂木間隔のことを 1 枝というが、その柱間は中央が 24 枝なら、
両脇は 18 枝という具合いに垂木間隔の倍数になっている。また柱上部の斗の大きさも
b
垂木
垂木間隔が基準であり、6枝掛けというような言い方をする。そのようなルールがある
b
からわかりやすく、大工など技術者は建物をつくりやすくなる。木割とは、広義には原
木割については、江戸後期以降いろんな本がつくられ、現在の建物へ受け継がれてき
巻斗
寺院の場合は垂木、和室の場合は柱が単位寸法になる。
実肘木
木に墨付けする技術をいうが、通常は単位寸法を用いた寸法調整法を指すことが多い。
a
巻斗
肘木
a
大斗
写 真 2 社 寺 建 築 の 六 枝 掛 け。
ている。
日本全国がひとつの木割で決められているというものではなく、地域地域によっ 両端の斗の外法寸法を垂木6本
てあるいは大工によって異なるところもある。絶対にその通りにすべきというのではな
分の外法寸法とする。
く、そこそこ間違いのないものがつくれるルールあるいは目安として、親方から弟子に
伝えらてきた。
木割り同様、近世になって全国に広まり、今なお伝えられているものに家相がある。
これは庶民に広がった。科学的に説明しようのないものも含まれるが、吉凶をわかりや
すくすることで、庶民にとって住宅をわかりやすく、つくりやすくしている。
●和室の木割り
写真3 床廻りの木割り。部屋
和室は先人が伝えてきたものであり、誰しも和室だとわかるためには、木割りすなわ の大きさ(畳数)と柱の大きさ
によって、部材の大きさが全て
ち材料の決まりと寸法の決まりを守ることが必要である。材料は値段で決まることも多 決まる。 天井貫
いが、寸法は部屋の広さによって決まる。その方法を例示してみる。
8 畳間の柱を 4 寸としたとき、たとえば鴨居は係数 0.4 を掛けて 1 寸 6 分、長押な
欄間内法
畳の鴨居は 1 寸 8 分(柱 4.5 寸× 0.4)
、6 畳の鴨居ば 1 寸4分(柱 3.5 寸× 0.4)
欄間鴨居
下端
欄間鴨居
ら係数 0.9 を掛けて3寸6分というように寸法を決める。これが木割である。10 畳で
あれば柱はいくらか太く、6畳であればいくらか細くしたほうが適切であるから、10
天井板
廻り縁
欄間敷居
内法貫
A
○
C
○
B
○
長押天端
内法鴨居
という具合に決まっていく。部屋が大きくなるほど材寸も大きく、小さい部屋では細く 写真4 天井高を求めるための小
なるように考えられている木割は、つくりやすさだけでなく、美しい見え方になるよう 壁高さには、AB2つの解釈があ
に先人が工夫したものである。
また、木割の寸法には、調整できない寸法 ( 絶対寸法)と調整できる寸法とに分かれ
る。たとえば敷居の寸法は畳の厚さで決まってしまうから絶対寸法となる。柱の太さも、
部屋の面積や梁間などいろんな決め方があるが、地域の実情を踏まえると絶対寸法に近
い。そして内法高さも絶対寸法であり、地域によって決まっている。
和室には柱芯を基準とする芯々制(関東間:1 間 6.0 尺)と柱内法を基準とする内法制
る。また、欄間内法の決め方には
C=B /3、B /4 が知られている。
小壁の高さ( ○
A)
6帖 → 畳数×(10.5 ㎝~ 13.5 ㎝)
8帖 → 畳数×(10.5 ㎝~ 12.0 ㎝)
12 帖 → 畳数×(9..0 ㎝~ 10.5 ㎝)
12 帖 → 畳数×(7.5 ㎝~ 9.0 ㎝) が合理的か。
がある。たとえば越前間 ( 中京間)は内法制で、畳寸法は 6.0 尺× 3.0 尺、内法高さは 5 写 真 5 小 壁 高 さ A の 決 め 方
尺 8 寸である。県内では美浜町以西は若狭間 ( 京間)となり、京間の内法制は畳寸法は 6.3 ( 推奨)
尺× 3.15 尺、内法高さは 5 尺 7 寸となる。芯々制とする京間もあってその場合 6 尺 5
-5-
寸が 1 間となる。越前間に比べ若狭間は、柱間は広く内法は低いという独特のプロポーショ
ンになる。
一方、調整できる寸法には天井高がある。内法高さは絶対寸法であるから、天井高は
小壁の高さで決まる。小壁の高さは畳数に 3 ~4寸を掛け求める方法が知られている。
しかしこの小壁高さを、長押上端から廻り縁下端までの実際の小壁の高さと解釈する方
法と、敷居下端から天井板までと解釈する方法の2通りが混在して伝承されており、小
写真 6 床の種類
(上左から)本床、蹴込床、踏込床、
洞床(下左から)袋床、織部床、
私は実際の小壁の高さとして、
8畳の場合には畳数×(3.5~4寸)が適当と考える。 釣床、置床の 8 種類がある。
壁高さの木割りは判然としない。
そして大きな部屋ほど小壁を大きくするが、その係数は次第に小さくして極端な高さに
ならないようにする配慮する ( 写真5)
。また欄間が入る場合には、小壁の高さは小さ
くなり、部屋の印象も変わる。小壁のプロポーションが悪くならないように適宜考える
しかない。たとえば、8 尺の天井高に欄間を入れるときは、小壁はないほうが見栄えが
良い。
●床の間の木割り
写真 7 床柱の枕捌き(さばき)
和室のなかで最も決め事が多いのが床の間である。床の間には 8 種類のつくり方があ 真の床では長押を3方に廻す(枕
捌)、行では矩折2方に廻す。草
る。本床の中にも、真/行/草によって、床柱、床框、落掛けの材質や寸法に違いがあ では正面のみとし雛留めとする。
る。床柱のどこまで長押を廻すか、枕捌きの違いもある。実技では雛留めを演習するが、
草の床に使われる所作である。
明治になり、庶民の住宅にも書院造の和室がつくられるようになる。県内の和室を
調査すると、木割りのセオリーから逸脱した特徴のある座敷に出会うことが少なくない。
しかも著名な大工が同じ地域で同種の座敷をいくつか作っている。このことから、木割と
しての決め事はあるが、大工はいろんなバリエーションをもちながら仕事をしていたこ
とがわかる。
写 真 8 一 般 的 な 真 の 床 の 間。
角の床柱・黒塗框・角の落掛。
最後に、私が参考としている書籍の木割り例を紹介し、まとめとする。
巾 柱の 0.5 倍鴨居の上へ 30 ~ 50 ㎜のせる。上端は 10 ~ 15 ㎜くらいあれば良い。
成 柱の 0.8 ~ 1.0 倍。厳格な室は 0.9 倍とし、上下に面をとる。
内法長押
長押成の 0.2 倍、柱の 0.14 倍、厳格なものは柱の 0.18 ~ 0.2。
胸の出
並建築では 15 ㎜。長押ふた厚さ 9 ~ 10 ㎜
半長押は柱の 0.5 ~ 0.6 倍とし、下角に面を取るほうが良い。
見付 長さ 5 mのとき柱と同寸。4mのとき柱の 95%、3mのとき 90%
釣 束
見込 柱より9㎜小、鴨居より3㎜小
長押上小壁
巾 柱の 0.7 ~ 0.5 倍、内法長押の 1.0 ~ 1.2 倍、一般は柱の 0.7 倍 .
巾 欄間敷居
成 柱の 0.7 ~ 0.8 倍、一般は 0.8 倍。釣り束があるとき 0.7 倍
柱の 0.3 ~ 0.4 倍、鴨居成の 0.8 倍。欄間鴨居の成に 3 ㎜加える場合もある。
写真 9 落掛けの高さを欄間に
あわせた真の床の間。天井も高
く、小壁も高い。落掛けを高く
したことで軽快に見せる。
15 畳 730 ~ 530 ㎜、12 畳 650 ~ 530 ㎜、8 畳 450 ~ 320 ㎜
欄間内法
高
6 畳 410 ~ 320 ㎜、4.5 畳 320 ㎜
巾
欄間敷居と同じ
欄間鴨居
成 柱の 0.3 ~ 0.4 倍、鴨居成の 0.8 倍。一般には柱の 0.3 倍
廻縁下小壁 巾
柱の 1.0 ~ 1.5 倍
巾 壁の含み 9 ㎜以上
蟻壁長押 成 柱の 0.6 ~ 0.7 倍、一般は 0.6 倍。厳格な室は 0.8 倍にもする。
胸の出 内法押成の出にそろえる
蟻壁 巾 柱の 1.0 ~ 1.5 倍、一般に 1.2 ~ 1.4 倍が多い
写真 10 床柱を持たない数奇
屋風(草)の床の間。
巾 壁の含み 9 ㎜以上。
天井長押
成 柱の 0.5 ~ 0.7 倍。一般は 0.6 倍。最近は 0.5 倍。厳格なものは 0.7 倍。
胸の出 柱の 0.18 倍。並建築では 0.1 ~ 0.12 倍。
巾 壁の含み 9 ㎜以上。上巾は 20 ㎜くらい。
成 柱の 0.4 ~ 0.5 倍。一般は 0.4 倍。
廻 縁
胸の出 柱の 0.18 倍。並建築では 9 ㎜。
巾 壁柱の 0.25 ~ 0.3 倍。 竿縁
成 柱の 0.3 倍。巾+ 3 ㎜。
小壁
高
小壁の高さは畳数に 0.3 か 0.4 を掛ける。欄間の高さはその 1/2 とする。
その他数種の方法が伝えられている
( 片山三郎著「和室造作集成」1974 年 学芸出版より転載 )
-6-
写真 11 講演終了後、高嶋先
生監修のもと、解体再建される
武家住宅 ( 旧田村家)を見学した。
第1章 奥越大工塾ガイダンス
1-3 奥越の木割り 奥越大工塾事務局
奥田 徹
和室の木割りは地域・時代によって異なる。和室造作の演習にあたって、奥越の大工は和室の木割りをどのように
伝承してきたのか、記録したいと考えた。奥越で活躍されてきた 7 名の大工から面談して聞き取りを行い、合わせて
奥越に現存する武家住宅 2 棟を実測調査した。その結果を右頁に掲載する。
柱
:巾は 4 寸。面巾は 8 厘が標準。現在は糸面 (5 厘程度)が主流。
鴨居
: 成は 1 寸 6 分(柱巾× 0.4)が標準。その昔は 1 寸 8 分も少なくない。現在は 1 寸3分位が主流。
長押
: 成は柱の 0.8 倍と伝承されるが、
各自の判断で分増しして柱の 0.9 倍(3寸 6 分)が標準。柱面からの出
(胸
の出)は 5 分。下端の面巾は柱に合わせ、大面としない。
欄間敷鴨居:成は 1 寸3分~ 1 寸2分が標準。長押蓋はつくらず、欄間敷居下端を長押天端より下げる。
下 縁 :成は 2 寸(柱巾× 0.5)が標準。現在は 1 寸6分位が主流。2 重廻り縁は戦後の仕様。
上 縁 :成は 1 寸6分(柱巾× 0.4)が標準。現在は 1 寸3分が主流。
天井竿 : さるぼう竿は戦後の仕様。かつては平縁もしくは下端丸の漆塗り。
以上を踏まえて、昭和 40 年頃の奥越の和室の木割りモデル(8 畳間)を作成した。内法高 5 尺 8 寸、小壁等の高
さは 3 尺 2 寸、天井の高さは 9 尺となる。全国的な木割りに比べ、天井は高く、木嵩も大きくつくり、厳格な和室
を好んだことがわかる。
●
⑦
●
≒ 1/3
蟻壁高さ =6 寸9分
⑪
●
⑨
欄間鴨居 1寸3分 (≒鴨居× 0.8)
●
欄間高さ 1 尺 4 寸
⑩
●
⑨’
欄間敷居 1 寸(= 1寸3分 -3 分※)
●
≒ 2/3
長押 3寸6分 (= 柱× 0.9)
⑤
⑫ 天井高 9尺
下縁 2寸 (= 柱× 0.5)
⑥
⑬ 小壁等 3尺 2 寸 (=8 畳× 0.4)
上縁 1寸6分(= 柱× 0.4)
●
●
鴨居 1 寸 6 分(= 柱× 0.4)
④
内法高 5尺8寸
●
③
畳天端
▽
●
奥越の
木割りモデル
(昭和 40 年頃)
②
敷居 1 寸 8 分(= 畳寸法)
●
※欄間敷居の下端は、長押上端より 3 分下がり
丸で囲んだ数字は、右頁の左欄の数字に対応
-7-
1
2
4
3
奥越木割り調査まとめ
-8-
5
6
7
8
9
第2章 実技演習 2-1 実技ガイダンス 総括指導員 松井 登さん ●基本に忠実な仕事を覚える
学校を卒業した春から、10年間親方のところで修行、その後工務店を開き、57 年
間大工をしてきた。70 才を過ぎると目が悪く、仕事も落ちてくる。最近これまで手が
けてきた住宅を見て廻る機会があったが、昔は良い仕事をしていたものだと、自分のこ
とながら感心した。
30 代 40 代は良い仕事ができる時期。受講生は今が一番仕事ができる時期。頭がさえ、
体も動く、技術的にも良い仕事ができる。しかし、習うときに、良い仕事を習えば一生
写真 1 松井棟梁。
使えるが、最初に雑な仕事を覚えてしまうと、もう一生良い仕事はできない。若いうち
に、基本に忠実な仕事を覚える、良い仕事を覚えることを是非心がけて欲しい。
「大工は流々、仕上げは抜群」という大工言葉がある。同じものをつくるにしても、
つくり方は様々ある。親方や流派が違えば、
仕事の仕方や考え方も異なる。この言葉は、
大工たるものは過程の違いに口を挟むよりも、最後にはうまく仕上がること、仕上げら
れる腕前こそが大切だと云っている。もちろん完成直後だけでなく、長い年月が経って
もうまく仕上がっている腕前を云う。
写真2 実習のためのテキスト
しかし今回、受講生一人ひとりに指導者がついて指導する。指導者が流々では、受講 2冊。<真壁「一坪和室」実技
生は困惑するから、共通の方法で演習するため、充実した実技テキストを準備した。
図面>と<奥越の木割と造作テ
キスト>
●木は見極めて使う
今回実技に使う材料も、演習としては十分吟味したものである。
今でこそ和室の柱は無節が当たり前のように思われている。しかし、昔はそうではな
かった。田舎では、昭和 35 年頃までは自分の山の木を伐ってきて家をつくった。80
坪- 90 坪の家で、柱だけでも 100 本位になる。
大工はその柱で家を建てる。上小とか 1 無、2 無などという区別などない。山から 写真3 受講生の宿題にも出さ
伐られ、製材されてドーンと積んである柱しかない。その山積みの柱から、どの柱をど れた、「一坪和室」の図板。
こに使うかを決めていくことが大工の最初の仕事になる。
一番良いものは床柱、次には座敷廻りという具合に柱を選んでいく。もちろんどの柱
にも節はあって、字下・字上・右面・左面を考えながら番付けをふっていく。手に取っ
た材料をそのまま取り付けるのではなく、木目、柾目、色合い(末・元)の組み合わせ
を判断しながら、
ふさわしい場所に取り付けていく。ちょっとした節や欠点がある場合、
尺竿を使いながら、造作や壁の中に隠れないかも算段する。
同じ材料で建てたとしても、木を見る目があるかどうかで出来上がりは全く違ったも
写真4 鴨居のほぞと柱のちぼ
のになる。本当は 50 万円ほどの材料費であっても、80 万円の材料でつくったように見 り(サンプル)
せれるかどうか、これが大工の目利きであり、大工の腕でもある。柱に番付けを打つこ
とは単純な作業に見えても、本当は、建物の最後の出来栄えを左右する重要な作業である。
今回の演習では、鴨居や長押などさまざまな造作材の木工技術を学ぶ。しかし木工技
術だけでなく、色や杢を合わせながら少しでも見栄えがよくなるように配慮する技術も
是非習得してもらいたい。 ●真壁は面が命
柱や造作材のたいていの角では、面(めん)を取る。大工言葉に、「面と金のとれな 写真 5 長押の雛留め(サンプ
い仕事はするな」というほど面は大事とされる。柱の番付を決めたら角が傷まないよう ル)
に、まず面を取る。5 厘ほどの面巾を糸面という。荒シコ 1 回中シコ 1 回掛けた程度
-9-
の面である。造作材の取り付け方には、たとえば鴨居は柱の面内に納め、敷居は面ぞ
ろに納めるなど作法があり、面が基準になる。その鴨居や敷居にも面がとられる。
面が一様にきれいに取れている建物はそれだけでも美しく見える。面はピカッと光
る。とくに漆塗りの場合など、面は最大の大工の腕の見せ処となる。
●造作の墨は「半分喰って半分残す」
構造材の墨つけには墨壷の墨を使う。しかし造作材の墨は、跡が残らないよう2H
写真6 造作に使う鋸は、8寸
~4H の鉛筆でつける。そして互いの造作材がピッタリとくっつくように加工するた 鋸(上)もしくは胴つき鋸(下)。
めには、その細い墨を半分残し、半分払うように正確に道具を扱う。
ともに刃が薄く、小口がきれい
に切れる。
たとえば鴨居の両端を切断する場合、鋸は垂直に立てていても、鋸刃の目立て方が
影響して、必ず切り口はわずかに内側に傾斜する。そのため、切り落とす方が右側に
なるように自分の立ち位置を決めて、見付け側から墨を挽く。そうすれば、自ずと見
付け側は柱にぴったり胴着する仕事になる。立ち位置の基本を疎かにしてはいけない。
裏側にも隙間をつくらないためには、4周に墨を廻す。太い材ほど何度も材を返して
廻し切りする。今回演習する長押の雛留めには、細かな道具さばきが必要になる。
写真 7 鋸の切り口はいくらか内
造作では、ガンガン叩かなくても、スーッとピッタリ納まるのが良い仕事。あまり 側に傾斜する。切り落とす方が右
側になるように立ち位置を決め、
かたいのはダメだし、隙間があるのもダメ。そしてうまく組み上げるにはコツが必要 見付けから鋸を入れると良い。
なことが多い。たとえば、廻り縁の最後の男木と女木を組み上げる時には、独特な要
領が必要なので覚えて欲しい。
演習課題である「一坪の真壁和室」には、和室造作技術の全てが盛り込まれている。
小さいがゆえにかえって難しい処があり、これが出来れば八畳の和室はむしろ簡単に
つくれる。和室造作を習得する絶好の機会。指導員皆で、出来る限りのことを教えて
いく。
写真 8 廻り縁の男木と女木(サ
ンプル)
実技準備
及び
実技開講初日
写真2 実技教材(構造材 10
棟分)
写真1 会場清掃・設営
写真4 実技開講 会長挨拶
写真3 実技教材(造作材 10
棟分)
写真5 総括指導員からの補足
説明。実技実施日の毎朝、朝礼
に合わせて、その日の内容、注
意事項を説明。
写真6 指導員はマンツーマン 写真7 受講生。軸組みの部 10 写真8 実技開始風景。会場は、九頭竜森林組合機械保管倉庫(勝
で受講生を指導する。その顔合 名、造作の部 12 名が参加した。 山市)。演習時間は7日間とも、朝9時から夕方6時頃まで、1時
間の昼食をはさんで8時間実施した。
わせ。起立しているのが受講生、
周囲は指導員。
- 10 -
450 ㎜間隔(根太用)
2-2 軸組み編
300 ㎜間隔
尺竿 土台 0 ㎜付近 1 尺竿の製作
尺竿 内法 1800 ㎜付近
写真 1 基礎がないため、尺竿は土台天端を基点とした。通常は基
礎天端が基点となる。尺竿 4 面のうち、1 面には 300 ㎜ごとの数
値(写真下段)、1面には造作材の取り付く高さ(中段)
、もう 1 面
には根太間隔として 450 ㎜間隔(上段)を印する。
写真2 尺竿を製作していると
ころ。
2 木どり・墨つけ
写真 1 木どりしているところ。木どりとは、建
物の何処にどの柱のどの面を向けるかを決めるこ
と。最も良い柱を、床柱の見付け面とする。
写真2 決めたら、下端の字下に番付を書く。こ
れは床脇の柱「い -1」。番付けを書いたら、すぐ
に鉋で柱角に糸面をとる。柱角が傷んでからでは
遅い。
面巾
面ぞろ
面内
写真 4 柱の墨付けは 1 本づつ、尺
竿を当てがいながら行うのが正式。
面中
見付け
柱の面(めん)の呼び方
面巾 1.5 ㎜位までを糸面といい、
現 在 の 主 流。 荒 シ コ 鉋 で 1 回、
中シコ鉋で1回削る。戦前は、2.5
㎜(8 厘)位の面が標準であった。
写真3 木どりの際は、柱の何処
から何処まで使うのか、その範
囲に節などの欠点はないか、確
認する。尺竿はそのための道具。
写 真 4 途 中 に 節 が 出 る 場 合、
尺竿の位置を上下させ、造作材
で隠すことを検討する。写真は、
落し掛けで節を隠した。
- 11 -
写真5 和室は同じ高さで造作材
が周る。柱を並べて、一気に墨付
けすると作業は早いが、節を隠す
など細かな配慮はおろそかになる。
3 軸組み
3- 1 土台
は-2
は-1
は-3
写真 1 「は通り」の土台。柱も土台も 120 × 120。柱のほぞ穴は 30 × 90。ほぞは巾でもたせる。
柱のほぞが厚いと土台は割れてしまう。そのため、ほぞ穴の長辺は墨を払って緩くして、短辺は墨を
残してきつめに入れると良い。
柱
ほぞ穴
90
30
墨を残す
ほぞ
60 ㎜
巾墨を残す
左右を
面取り
墨を払う
「ほぞは巾でもたせる」
写真 2 土台「は -1」端部。「腰
掛け蟻」。蟻頭の下はテーパーが
つくように大きく面取りする。
写真 3 土台中央部。大引きの「蟻落し」と火打ちの欠き込み。蟻は、
首長さ 30 ㎜のとき蟻頭 45 ㎜。首長さ 40 ㎜のとき蟻頭 54 ㎜と
する。今回は首長さ 30 ㎜。大引きは 105 × 105。火打ち土台は
45 × 90。
3- 2 桁
蟻頭
45 ㎜
首長
30 ㎜
い-1
ろ-1
は-1
写真2 「は - 1」梁の受け口(上
部から見る)。「蟻落し」。下部に
柱があるため腰掛けにはしない。
写真1 「1通り」の桁。桁は 120 × 120。
3- 3 梁
写真3 「は - 1」梁の受け口(下
部から見る)。
は-3
は -2
写真2 梁「は -1」端部。[ 写
真5]の桁「は - 1」に落とし
込まれる。
は -1
写真1 「は通り」の梁。梁は 120 × 120。 - 12 -
写真3 梁「は -2」に入る火打
ち梁。90 × 90。
3- 4 柱
造作材の仕口
い 3 右面
い1 下面
ろ1 下面
は1 下面
は2 左面
は 3 左面
(床柱見付け面)
写真 1 木どりした柱。床柱「ろ1」は下面・左面が無地、次に床脇柱「い 1」は右面・下面が無地。
次に「は 2」左面、「い 3」右面・上面、「は 3」左面を選ぶ。最後残った柱を「は1」とした。写真は
刻み終わった柱だが、墨付けが終わった段階で柱を並べると、墨に間違いがないか確認できる。
じ かみ
かみ づら
字上
上面
みぎ づら
ひだり づら
柱
左面
じ しも
字下
右面
しも づら
下面
柱の面(つら)の呼び方
字下からみて、上下左右を決める。
平面図
- 13 -
演習に際して、柱への造作の墨つけ、穴彫りをどの時点で行わせるべきか指導員の中で議論があった。
かつては、建て方前に造作の刻みを済ませておくことが当然であったが、プレカットが主流の現在は
建て方後に墨つけ・刻みを行う。建て方後に墨したほうが、間違いも少なく、出来上がりの精度(とく
に高さ方向)は良くなるが、穴掘りには時間がかかり、細かい作業も難しくなる。
今回は、柱の番付けや面(つら)の向きを考えながら、昔ながらの大工作業を体験させることとし、
建て方前に墨付けと穴掘りを済ませることとした。造作の基本をこの方法で理解できれば、建て方後の
造作にも応用が利く。
床付近 (FL ±0)
<畳寄せ・畳敷居・床框>
窓台付近 (FL+450)
内法付近 (FL+1,760)
<鴨居・長押・落し掛け>
<窓敷居>
窓敷居
畳寄
<廻り縁>
鴨居
下面
下面
天井付近 (FL+2,100)
下面
下面
右面
右面
床框
長押
右面
右面
廻り縁
落し掛け
い-1
床框
左面
左面
畳寄
廻り縁
襟輪
落し掛け
下面
下面
下面
畳寄(右面)
右面
長押 雛留め
ろ-1
左面
左面
付鴨居
下面
長押
下面
左面
廻り縁
下面
は -1
畳寄(上面)
付鴨居(上面)
左面
左面
長押
左面
下面
付鴨居
下面
廻り縁
襟輪
下面
畳寄
は -2
畳敷居
右面
廻り縁(男)
鴨居
窓敷居
右面
右面
上面
長押
上面
上面
上面
廻り縁 組み終わり(女)
窓鴨居
い -3
畳敷居 横栓・待ちほぞ※
付鴨居
廻り縁
左面
長押
下面
上面
左面
鴨居
※横栓・待ちほぞは「い -3」でも良い
は -3
- 14 -
上面
左面
4 建て方
写真 1 刻み終わった構造材。
写真 2 土台を伏せる。土台は、 写真 3 大引きを伏せる。
大引きが土台の歪みを矯正でき
るよう、土台の反りを見て墨付
けした。
写真 4 火打ちを入れる。対角
の長さを測り、歪みがないか確
認する。
写真 5 墨が合っているか確認
大引
土台
土台の木使い
写真 6 火打ち部分の墨
小壁
鴨居
写真 7 柱を立てる。本来なら
柱も土台と同じく、敷居や鴨居
で矯正できる木使いとすべき
(左図参照)。
敷居
写真 8 しかし実際には、柱は 写真 9 桁・梁、火打ちを入れる。
見栄えを優先して木どりする。
ゆえに真壁には性の良い、芯も
ち柱を使う。
柱の木使い
写真 10 下げ振りで垂直を確
認しつつ、仮筋交いを釘打ちす
る。
写真 11 根太を取り付け、床板
を張る。
写真 13 建て方風景
- 15 -
写真 12 柱部分での床補強。
5 筋交い
B
●
A
●
H
w
h
W
写真 1 筋交いの入る内法寸法 写真 2 使用した筋交いは 45 × 90。材料の端部にさしがねを当て、
(W、H)を測る。W:890 ㎜、H: W,Hの寸法を 1/10 スケールで印する(wは 89 ㎜、hは 258 ㎜)。
2580 ㎜。
このとき線分ABは柱の向き(垂直)になる。
●
D
B
C
A
写真 3 線分AB上で、際から 55 ㎜程の位置C
を探し、直角に墨する(線分CD)。CDは水平に
なる。そして墨とおりに鋸で挽く。
写真 4 加工した端部を上(桁と柱)にあてがい 写真 5 写しとっているところ。
ながら、足元の形(土台と柱)を筋交いに写しとる。
写真 6 下端を、墨とおりに切断。
写真 7 はめ込む側 ( 室内側)の角を木殺しする。 写真 8 はめ込む。たすき掛けにする場合は、こ
の形を写し、もう一本つくる。
- 16 -
柱
15 ㎜
2-3 造作編
15 ㎜
15 ㎜
写真 1 柱の鴨居・敷居のほぞ
墨(ちぼり)。ほぞの大きさは、
柱ズラ左右 15 ㎜入り、成 15 ㎜。
ほぞ長さは一方 9 ㎜、一方 4.5 ㎜。
1 鴨居・敷居
1- 1 柱の墨・加工
・段取り 写真 2 造作の墨は、後を残さ
ないよう2Hなど硬質な鉛筆を
使う。墨の周囲はカッターやげ
びき等でけがく。写真はけびき。
隙間があったほうが良い
写真 3 けがいた後をノミで彫
る。
ここを長押に密着させるための溝。
ゆえに上端角には面をとらない。
水平
溝
直角
木裏
写真 4 かけ木。鴨居等を一定の
高さに載せ置くための道具。三
角形の板は 4 寸巾の板を直角に
切り落として、左右 1 対つくる。
写真 5 かけ木の使い方。コの
字型の板を柱にまたがせ、三角
形の板を楔のようにはめ込む。
板の天端は水平、鴨居を載せる。
写真 6 かけ木に載せた鴨居。木
材は木裏側に反る ( 凸)。鴨居天端
には長押との馴染みを良くするた
め、深さ 5 厘の溝をついておいた。
1- 2 正式な光りつけ
(柱角Bに
当たる場合は
ここにB’)
柱のねじりを拾う
柱角B
●
A
A’
●
鴨居・敷居の仕口
両方ほぞ差し
柱角A
かけ木
(一方は深く、一方は浅い)
写真 1 柱ツラは、必ずねじれている。鴨居外面にさし 写真 2 柱角Aにさしがねが当たる場合(写真1の場合)、
がね長手をあてがい、さしがね短手を柱角に向けると、 鴨居の奥側に印(A’)をつける。逆に柱角Bにさしがねが
ABどちらかの角でさしがねとの間に隙間ができる。写 当たる場合は、鴨居の手前側に印(B’)をつける。
真は柱角Aにさしがねが当たり、Bに隙間ができている。
このようにさしがねを当てる
C
●
そのためには、CDは
際につけた方が良い
A
二のかね
E
D
C
一のかね
●
C
A’
写真 3 次に、さしがねをしっか
り柱ツラ AB に押し当て、鴨居の
際で柱の向きを拾う。拾う2つの
点のうち、まず点Cを印した。
B
D
B’
二のかね
D
A’
D
C
一のかね
光りつけ方
写真 4 もうひとつの点Dを印す
る。鴨居を動かすことなく、反対
側も同様に光付けすることで、内
法長さも確定する。
写真 5 光りつけた点 ( 赤線A’、C、D)。3 点を通るようにさしがねを
あてがい、線分AEを墨する。AEが柱ツラの線になる。A’、C、Dはで
きるだけ離れた位置になるよう印したほうが正確であり、作図しやすい。
これが正式な光りつけ(柱角Bにさしがねが当る場合も作図方法は同じ)。
- 17 -
1- 2 もうひとつの
光つけ方
さしがねを
内側に沿わす
柱
柱
●
内側からさしがねを
敷居
あてがう方法
●
A
D
敷居
A
柱
●
敷居
D
C
A’
D
C
A
C
●
A’
写真 6 柱が外側に転んでる場合。
敷居内側にさしがねを沿わせ、柱の
手前角(A)にぶつけ、A’を印す
る。その後のC D を拾い方は同じ。
写真 8 柱が内側に転んでる場合。
さしがねを柱ツラにあてがい、敷
居の内側に A を印する。同時にC
Dも印する。
写真 8 次に掛け木から外し、内
側につけた A の印を、外側に移す
(A’)。A’とCDをさしがねで結
んだ線が切り墨。
写真 1 光り付けによって両端
が決まったら、柱に刻んだ鴨居
のほぞ巾、ほぞ長さを測り、再
確認する。
写真 2 鴨居の端材をあてがい、 写真 3 その高さで、柱に鴨居
鴨居ほぞの高さを確認する。長押 下端の位置を墨する。
下端の欠き込みに指を差し入れ、
鴨居上端と平らであることを確認。
写真 4 下端の墨を基準に、ほ
ぞの位置を計測。
写真 5 ほぞ寸法は柱に穴を彫る時点で決まってはいる。しかし、
加工の誤差は常に生じているから、わずかの隙間も出来ないよう、
現物をあてがい、計測する手順を踏む。写真は、光り付けした墨の
外側に、測定したほぞ寸法を墨したところ。
写真 1 ほぞをつくる。穴と同
じほぞでは入らない。ほぞ下端
は墨を半分残し、ほか 3 方は墨
を払うように挽く。
写真 2 柱と取り合う箇所。溝 写真 3 ほぞ頭を整える。
があるため慎重に挽き始める。
墨は半分喰い、半分残す。
1- 3 ほぞ墨の
拾い方
長押と鴨居は、必ず密
着するよう気配りする
1- 4 ほぞ加工 建て込むときのことま
で考え、仕上げる
15
・・
15
・・
15
18
15
15
15
ほぞ寸法(上 : 鴨居、下 : 敷居)
鴨居は溝が深いため、ほぞ下
端までを 18 ㎜とする) 写真 4 後入れする側のほぞ。 写真 5 こちらは先入れする側
ジャッキで開く長さを考えて、 の長いほぞ。長さ6~9㎜。写
ほぞ長さを 3 ~ 4.5 ㎜とした。 真は釘彫りしているところ。ノ
ミの角を利用する。
写真 6 釘彫り完成。釘彫りは
ビスになっても大事。傘が材に
引っかかり、しっかり留めるこ
とができる。
ほぞの上端が柱にあたる
ほぞを
先入れ
する側
後入れ
する側
写真 7 敷鴨居の取り付け要領。後入れする側の敷鴨居は、溝を傷
めないように、溝のない側から滑り入れる。そのため、鴨居ではほ
ぞの上端が柱にこすれ ( 写真)、逆に窓敷居の場合は、ほぞの下端が
柱にこすれ、傷をつけやすい。
- 18 -
写真 8 そのため、柱に当たる
箇所を木殺しして丸めておく必
要がある。写真は鴨居、ほぞ頭
の上端を木殺しする。
い -3
1-5 畳敷居の加工 い -3
は -3
①
②
まだ彫りきれていない
7.5
待ちほぞ
横せん
の道
写真 1 畳敷居の厚さは、畳と 写真 2 先入れするほぞ穴は深
同 じ 55 ㎜。 ま ず 光 り つ け て、 さ 9 ㎜。敷居の切れ端をあてが
両端を決める。作図要領は鴨居 い、ほぞ高さを写し取る。
に同じ。
写真 3 後入れする側の穴。①
は横栓の道、②は待ちほぞの穴。
①
15
15
横せんの道
一方 ほぞ差し、
他方 待ちほぞ + 横栓打ち
②
必要な長さに切断
写真 4 ①横栓と待ちほぞ。と
もに松などの堅木。栓は 15 ㎜
角。待ちほぞは厚 15 ㎜、高さ
40 ㎜、巾 25 ㎜程。
写真 5 待ちほぞを柱穴に 15 ㎜
程 い け 込 み、 ほ ぞ の 出(10 ㎜
程度)を測る。
写真 6 測った値をもとに、敷
居両端を墨付けする。タオルを
敷いて、材料に傷がつかないよ
うにしている。
写 真 7 小 口 に 横 栓 の 道 を つ
くっているところ。けがいた墨
の上をできるだけ鋸で挽き、後
はノミで彫る。
写真 8 横からも彫り崩しなが
ら、少しづつ彫り進む。同様に
待ちほぞの穴も彫る。
写真 9 後入れする側の仕口。畳
敷居は土台に近く、柱間をジャッ
キで開けない。そのため両端を
ほぞにせず、雇いほぞとする。
写 真 1 畳 敷 居 を 取 り 付 け る。 写真 2 反対側の状態。敷居を
まず、先入れする柱穴に敷居ほ 上から落とし込む。畳敷居は厚
いため、敷居下端の角が柱に当
ぞを挿す。
たり、このままでは傷がつく。
写真 3 敷居の下端角は、木殺し
しておく。
1- 6 畳敷居の
い -3
取り付け 柱 を 傷 つ け な い よ う、
木殺し、水打ちをする
は -3
は -3
は -3
写真 5 水で濡らしているとこ
ろ。滑りやすく、また傷がつい
ても乾けば膨らみ、元に戻る。
写真 6 敷居が入った状態。墨が
合い、横栓の穴がそろう。
は -3
上下:横栓
前後:待ちほぞ
写真 4 柱に水を打ち、敷居を滑
らせながら押し込む。すべり板
( 薄いステンレスの板)を柱に当
てがうとなお傷がつかない。
写真 7 横栓を打ち込む。待ちほ
ぞがあることで前後の動きを止
め、横栓があることで上下の動き
を止める。
- 19 -
写真 8 敷居の完成。
1-7 窓敷居・鴨居
取り付け 敷居 ・ 鴨居は同時に光
り、同時に建て込む
写真1 窓の敷鴨居は同時に光る。不慣れな大
工ほど隙間をつくらないよう、きつく入れる。
敷居をきつく入れると柱間は広がり、鴨居は本
来の内法寸法と異なり、敷居よりも長くなる。
写真 2 戸を入れた時、戸を反対側に寄せても隙
間をつくらせないためには、敷居・鴨居が平行で
同じ長さであることが必要。だから同時に光るこ
とが大原則。
鴨居
柱
建具
柱
敷居
開口部は平行四辺形が
必要条件
敷居・鴨居の順に納め、
ともに入ったらジャッキ
を緩め、同時に建て込む
ジャッキ
写真 3 建て込む場合も、柱間をジャッキで広げ、敷居と鴨居を同時に入れる。入れる順序は、一つには落
ちても傷つかないように下側(すなわち敷居)から入れる、もしくはジャッキで開いた時にしっかり入る側、
すなわち土台-窓敷居、桁ー窓鴨居の距離のうち小さい方から先に納めると良い。同時でなく別々に建て込
むと、先に納めた方の納まり具合がジャッキで広げたときに変わってしまう。だから同時に建て込む。
1-8 造作加工の
作業姿勢 正 確 に 道 具 を 扱 う に は、
墨の始まりと終わりを見
通す姿勢が大切
膝を突くと
さらに姿勢は
安定する
馬
馬
姿勢 1.かつて馬の上では道具を使
わなかった。細かい仕事に向くが、
力を入れる仕事に不向き。目と刃先
が近すぎ、墨の見通しは良くない。
姿勢2.基本姿勢はしゃがむ。目
と刃先が近すぎず、そして細かい
仕事も可能。小口面を加工すると
きには、鋸を横に使う(下写真)。
- 20 -
姿 勢 3. 力 を 入 れ る 作 業 に は、
立って作業する。目と刃先とは離
れるが、墨全体を見通すことがで
き、まっすぐ挽ける。
2 吊り束
2-1 寄せ蟻加工
( 桁・鴨居)
吊り束
半蟻
(柱巾の 1/2)
束
蟻彫り
束
あだ彫り
鴨居
鴨居
鴨居
束の
納まる
位置
束の
納まる
位置
写真 1 寄せ蟻の原理。桁が 4 写真 2 鴨居のあだ彫り穴に、
寸角と細く、穴を小さくする配 半蟻にした束を置く。矢印の方
慮から、半分だけ寄せる「半蟻」 向へ柱半分スライドさせる。
とした。
あだ彫り
束
スライド
束の
納まる
位置
写真 3 穴は束の真下に隠れる。
スライドさせることで、蟻が効
き、束を持ち上げても外れない。
桁も同様。
蟻彫り
54
45
桁側
30
吊り束
30
18
45
鴨居側
写真 4 寄せ蟻の穴 ( 桁)。手前が
あだ彫り穴。蟻頭巾 54 ㎜。しっ
かり吊れるよう頭を大きくしてい
る。
写真 5 蟻彫りの穴は、ノミを
斜めに傾斜させて彫る。
写真 6 鴨居の寄せ蟻の穴。鴨居
は 42 ㎜ 厚。 蟻 深 さ 18 ㎜。 敷 居
溝を貫通しないよう、鴨居溝に当
て木(埋め木)して彫った。
2-2 吊り束加工
鴨居は 2 間で 4.5 ㎜、
1 間半で 3 ㎜むくらせる
写真 2 桁側の蟻頭を工作中
水糸
写真 1 鴨居上端の高さで水糸を張り、束の長さを桟木に印する。 写真 3 蟻首には、面を取って
鴨居は水平ではなく、むくらせて取り付ける。2間間口で 4.5 ㎜ (1 入りやすく、スライドしやすく
分 5 厘)上がりが標準。今回は1間間口だから 1.5 ㎜のむくりを する。
つける。
水糸
写真 4 吊り束を桁にはめ込み、
事前に寄せ蟻の堅さ具合を確認
する。硬すぎても、甘すぎても
駄目。
写真 5 廻り縁の高さに水糸を張って、廻り縁の高さを印する。
- 21 -
写真 6 廻り縁の襟輪欠きを工
作中。
2- 3 取り付け
出来栄えは、色合わせ
など、最初の気配りに
左右される
い -3
は -3
写真 1 ジャッキで柱間を広げる。ほぞを長くし
た方(写真では「は -3」)から柱に納める。もう
一方は、手で支えている状態。
は -3
い -3
は -3
い -3
写真 2 吊り束上端の蟻を桁のあだ彫りに差し込
み、吊り束下端の蟻も鴨居のあだ彫りに向かわせ
る。束は支えていないとストンと落ちる状態。
い -3
は -3
写真 3 吊り束両端があだ彫りに合ったところ 写真 4 吊り束側面に当て木してカケヤで叩き、
で、「い -3」側の鴨居ほぞを柱に挿し、ジャッキ 右側へ柱半分寄せる。次第に蟻が効いて、文字通
りの「吊り束」となる
を緩める。
窓鴨居
吊束の鴨居
は -3
い -3
写真 5 吊束の下端(室内側)には、長押を入れ 写真 6 柱の角で鴨居同士がぶつかる。鴨居は見
る首切り溝が入る。
付けが柾目。色合わせ(白太と赤太、末と元の組
み合わせ)を考えて、気配りしないと良い仕事に
はならない。
写真 7 全景。内法材が入った状態。
- 22 -
3 畳寄せ
3-1 加工
写真 1 柱の根元はジャッキで広げることも出来 写真 2 柱の内法を光る。畳寄せは巾 42 ㎜、高
ない。畳寄せは、一方を柱にほぞ差しとするが、 さ 55 ㎜としている。
他方は柱に突きつけとなる。
柱
畳寄せ
畳寄せ
ほぞ入れ
一方 ほぞ差し
他方 突き付け
写真 3 両側から 15 ㎜ずつけ 写真 4 鋸で墨を挽く。
びいて、ほぞ巾は 12 ㎜とした。
ほぞ長さ 9 ㎜。
3- 2 取り付け
床框下の
寄せ敷居
突き付けする側は、墨いっ
ぱい長く切り、端部を十
分に木殺して、かち込む
写真 5 同左。突き付けとする
側は、墨1ぱい長くして、気持
ち無理をするように、きつめに
かち込んで入れる。
ここ
欠けないように
穴の位置を
外側へずらせた
写真 1 ほぞの完成。通常ほぞは中央につくるが、
床框の下だけは、見付けの反対側にほぞをつくっ
た。
②かち込む
畳側
15
12
①ほぞ側を入れる
15
壁側
かち込む
本来のほぞ穴
の位置は中央
9
畳側
写真3 取り付け方。ほぞを穴に先入れし(①)、
もう一方は、ほぞを中心に回転するように入れる
(②)。そのとき角を、倒す(こかす)ほど十分木
殺しておかないと、柱に傷をつけることになる。
写真2 床框の下部で、ほぞ穴を中央に彫ると、
框下端の面を彫る際に、残すべき部分が欠けてし
まう可能性がある。そのためほぞ穴を外側に振っ
ている。
壁側
こかし気味に
切断
倒す(こかす)ほどに
十分木殺しする
写真 4 畳寄せは、室内側から柱に胴着していれ 写真 5 畳寄せの左右の高さ関係、および柱に垂
ばよい。また上側からは壁チリの部分だけ胴着し 直に入っているか確認している。
ていればよい。寄せの角を木殺しすれば、裏側で
隙間になるが、気にする必要はない。
- 23 -
4 付け鴨居
4- 1 加工
4.5 ㎜入
6 ㎜入
写真 1 柱の墨。両方ほぞ差しとし、ほぞ長さは
先入れする方を 6 ㎜、もう一方を 4.5 ㎜程度と
する。柱の中腹であるため、4.5 ㎜位ならジャッ
キ等で広げることができる。
6
写 真 2 柱 内 法 を 光 る。 付 け 鴨 居 は 42 × 42、
見付けを柾とする。
長押の溝
4.5
両方 ほぞ差し
(一方は深く、一方は浅い)
写真 3 付け鴨居のほぞ加工
写真 4 付鴨居に載る長押との接触 写真 5 付け鴨居の小口は、見
面を小さくし、乾燥による隙間をな 付け面以外を木殺しする。写真
くす目的で、見付けの 6 ㎜内側に、 は桟木を使って木殺ししている。
深さ 1.5 ㎜巾 9 ㎜の溝がある。
4- 2 取り付け
高さゾロ
付け鴨居と長押は、密
着させることが大原則
写真 2 左右に隙間なく入った付け鴨居。上の溝
は、長押のための首切り。付け鴨居上端と首切り
下端がゾロになっていることを指で触って確認す
る。指の触覚は目よりも確か。
ジャッキ
写真 1 両ほぞであるため、開きジャッキ等で柱
間を開き、付け鴨居を入れる。所定の高さに合わ
せたところで、ジャッキを緩める。
写真 4 全景
- 24 -
写真 3 入隅の付け鴨居は、色合わせしをして、
赤太と白太の按配が違和感がないようにしてお
く。
い1
21 ㎜
21 ㎜
5 床框
5-1 加工
い1
床框
写真 1 L字型に大入れする床
框の墨。框寸法は決まっていて
も、手元にない場合、万一のこ
とを考え、小さめに墨する。
21
21
18
9
●
● ●
写真 2 カッター等でけびいた 写真 3 床框の穴。9 ㎜遣り送
うえで、鋸が入る箇所には鋸を る 算 段 で、「 ろ -1」 床 柱 側 は
入れ、あとはノミで彫る。
18 ㎜ の 深 さ、「 い -1」 床 脇 柱
は 9 ㎜の深さとした。
●
スライド
ろ1
い1
ろ1側
床框
9
9
框
● ●
● ●
床框
21 ㎜
い1
内法
ろ1
遣り送り
写真 4 柱間の内法を光る。框は 105 × 105。 写真 5 框のかね折れほぞの仕口。9 ㎜遣り送る
材が大きく、間口は 90cm しかないため、納め には、ほぞ長さ 18 ㎜、9㎜で良いはずだが、入
れやすさを考えて、両側の柱へのかかりを6㎜と
方には工夫を要する。
し、
「ろ -1」床柱側のかね折れ長さを 21 ㎜とした。
(一方のかね折れは深く、
一方は浅い)
ろ1
い1
畳寄せの端材
写真 6 「写真 5」に先立ち、床框の形を生け捕 写真 7 現物にあわせて面の大きさ、形を修正。
るため、6 ㎜程の型板を小口から取り分けておい
た。その小口を柱に当て、形を写す。
5- 2 取り付け
遣り送りの原理を理解しつ
つ、臨機応変な対応が必要
柱
柱
柱 ろ -1
ろ1
い1
b
a
b
d
c
①
先入れ
②
遣り送る
写真 1、2 仮に入れてみる。間口 3 尺に 105
角の框を、斜めに入れようとするため、随所でぶ
つかり、入らない。柱脚であるため、ジャッキで
開くことも出来ない。
ろ-1
a:框上端の角が柱穴底にぶつかる。
b:框の横ほぞが柱穴入り口にぶつかる
c:框見付け面の角が柱「い -1」にぶつかる。
d:框の腹が「ろ -1」柱面にぶつかる
ろ-1
写真 3 aの対策として、柱「ろ
-1」の縦穴の底を斜めに深く掘
り下げる。
写真 4 bの対策として、柱「ろ
-1」横穴の奥行きを、写真手前
ほど広くなるように彫る。
- 25 -
い - 1側
写真 5 cの対策として、見付
けの角に面をとる(大入れとなっ
て隠れてしまう部分)。
ろ - 1側
ろ - 1側
い-1
ろ-1
写真 6 dの対策として、框の 写真 7 削り落とした床框。
腹(内側)を斜めに削り落とす。
写真はその墨。
い-1
い-1
写真 9 あて木を当てて、叩き
入れているところ。
写真 8 正式に框をはめる。柱
「 ろ ー 1」 に 斜 め に 先 入 れ し、
「いー1」側を叩いて、徐々に平
行に戻していく。
い-1
写真 10 入りきったところで、 写 真 11 そ の 状 態。9 ㎜ の ほ
矢印の方向に戻す(遣り送り)。 ぞ穴に、6 ㎜のほぞがほとんど
しかし、人力ではわずかに動く 入っていない。
程度でしかない。
ろ-1
ろ-1
い-1
写真 12 楔を打つ前の左右の掛かり方。ろー1側には大きく入っ
ている。
ろ-1
写真 13 「ろー1」側に楔を打
ち、遣り送る。
い-1
写真 14 遣り送った状態。柱への掛かり方は左右ほぼ同じになっ
た。
い-1
写真 15 しっかりほぞが入り、
胴着状態。
窓敷居
床框
畳寄せ
写真 16 完成。床框を室内から見たところ。仕口の見え掛かりは大入れであるため、型板と
おりの穴が彫れていれば、柱との隙間は全く出来ない。
- 26 -
6 落し掛け
①
②
6-1 加工
21
2
1
い-1
21
9
18
●
● ●
ろ-1
写真 1 落とし掛けを光りつけ 写真 2 落し掛けはコの字型の 写真 3 同左
ているところ。「ろー1」床柱側 大入れとした。
に先入れし(①)、②の方向へ 9
㎜遣り送る算段。
上端
上端
小口の木片
●
スライド
落し掛け
21 ㎜
● ●
● ●
い1
6㎜
9
9
内法
ろ1
写真 4 先入れする「ろー1」側
の仕口。大入れ長さ 18 ㎜ とす
べきところだが、入れやすさを
考えて、21 ㎜彫った。
写真 5 遣り送る「いー1」側。
大入れ長さ9㎜とすべきところ
だが、入れやすさを考えて、両
側の柱へのかかりは6㎜とした。
写真 7 生け捕った形を、きれ
いに彫れるようカッターでけが
く。
写真 8 ノミで彫る。「い - 1」 写真 9 「ろ - 1」床柱側は深さ
側の深さは 9 ㎜。
18 ㎜。
写真 6 仕口をつくる際に、長
さを 6 ㎜ほど長くつくり、型板
とする。切り分けた木片を柱に
当て、その形を生け捕る。
大入れ遣り送り
(一方は深くつくり
一方は浅くつくる) 6- 2 取り付け
b
下端の高さ
a
遣り送りの原理を理解しつ
つ、臨機応変な修正が必要
ろ-1
い-1
写真 1 落とし掛けは柱中腹であり、ジャッキで開くと入れやすい。 写 真 2 床 柱「 ろ - 1」 側 で、
写真は仮に入れてみたところ。床柱「ろ - 1」に先入れすると、大 穴の下を斜めに彫って深くする。
入れ穴の底に下端の角aが先に当たり入らない。また「い - 1」側
では上端の角が柱に当たりは入らない。
い-1
すべり板
ろ-1
写真4 柱に傷がつかないようすべり板を用いて、はめ込んでいる
ところ。すべり板は挟み込まないよう注意する。
写真3 「い - 1」側では、落と
し掛けの上端を木殺しする。
遣り送る
隙間
楔
楔
い-1
ろ-1
写真 5 はめ込んだ当初、「い 1」側には隙間があり、かろう
じて引っ掛かっている程度。
写真 6 「ろ - 1」側に楔を打つ
ことで、左側へ遣り送られる。
- 27 -
ろ-1
写真 7 「ろ - 1」側に打ち込ん
だ楔。これによって 「い - 1」
側の隙間はなくなり、大入れと
なる。遣り送りの完成。
7 廻り縁
7-1 柱の加工
51 ㎜
①
②
30 ㎜
③
15 ㎜
④
15
●
●
●
柱巾
15
●
●
●
廻り縁
柱
写真 1 柱に施した廻り縁の墨。 写真 2 隅柱の墨。柱の角①② 写真 3 同様に、もう一面を彫っ
廻 り 縁 は 42 × 42。 見 付 け を を鋸で挽き、③④をノミで叩き、 て完成。
1面を彫る。高さ 51 ㎜のうち
柾とする。
9 ㎜は天井板の厚さを想定。
上
● ●
●
●
15
15
●
15 15
51 ㎜
15 ㎜
15 ㎜
下
襟輪欠き 写真 4 襟輪欠きとなる柱の墨。 写 真 5 15 ㎜ の 深 さ で ノ ミ で
欠きとる。
上端と下端に鋸を入れる。
7- 2 段取り
写 真 6 逆 ハ の 字 に、 左 右 15
㎜を 15 ㎜深く欠きとって、柱
側の襟輪欠き完成。奥越では「ハ
カマ」という
見付け
女木
男木
男木
女木
写真 2 男木と女木の下端形状。 写真 3 男木と女木の上端形状。
入隅は男木と女木 2 つの仕口で 女木の溝に男木のほぞを挿す。
作られる。廻り縁の下端は 45
度の留めとなる。
写真 1 色合わせ。廻り縁の見
付けは柾目とする。赤白の場合
には入隅が不自然な配色となら
ないよう、色合わせをする。
男 - 女
い1
男木
ろ1
は1
女木
女木
③
は2
③
女 - 男
写真 5 別の方法。右回りに [ 男
木 - 女木 ] で統一するため、間違
いがない。最後④女木を入れると
き、①男木を一旦外して納め直す。
女木
女木
①
①
④
男木
②
男 - 女
②
女 - 男
●
●
④
い3
男木
男木
は3
写真 4 廻り縁の組み方。右回りに組む。最初の材①は女木 - 女木 写真 6 色合わせをしたら、切
とし、次の②③は男木 - 女木、最後④は男木 - 男木で組み終わる。 りそろえ、端部に、番付け、女
①を「い3- い1」としたのは、間に柱がないため。間に柱があると、 木と男木の区別を書き記す。
①と④を組合わすときに作業しづらい。
柱ツラ
い3
写真 7 廻り縁をあてがい、柱ツラとなる場所を印する。廻り縁下
端を汚さないよう、印は廻り縁の上端につける。そのため、あてが
う際に、上下反転している。
- 28 -
写真 8 印された番付けと柱ツ
ラの位置。い3とある。
7- 3 男木加工
上端
⑤
④ ③
①
見付け
下端
②
①
⑥
●
見付け
●
上端
9
6
④ ③
柱ツラ
●
●
写真 1 男木の仕口。
●
写真 2 男木、上端の墨。
写真 3 男木、下端の墨。
●
●
●
10
下端
女木
●
42
●
6
●
9
●
柱ヅラ
●
●
42
男木
写真 4 まず、下端の留めをつ
くる。①の墨を挽く。
写真 5 留めとなる部分②の墨
を挽く。墨は半分喰って半分残
す。
写真 6 下端の留めができた。
●
●
●
●
3
15 15
●
●
12
●
15
●
●
●
15(胸の出)
柱ヅラ
⑤
(目違いほぞ留め)
写真 7 留めの部分を残すよう
にして、ほぞの頭になる③の墨
を挽き、切り落とす。
写真 8 ほぞをつくる。④の墨
を斜めに挽く。
写真 9 柱角に当たる部分⑤を
挽き、切り落とす。
写真 10 ほぞの厚さである⑥
の墨に、わずかに鋸を入れる。
写真 11 鋸で切れない部分を
ノミで落とす。
写真 12 男木仕口の完成。
7- 4 女木加工
柱ツラ
上端
見付け
●
●
下端
15
15
下端
●
9
●
●
④
③
●
●
②
●
●
⑦
①
42
③
③
柱ツラ
⑤ ⑥
④
④
●
見付け
⑤⑥
①
写真 1 女木の仕口。
写真 2 女木、下端の墨。
写真 3 女木、上端の墨。
写真 4 まず、下端の留めをつ
くる。①の墨を挽いているとこ
ろ。次に②の墨を挽き、留めが
できる。
写真 5 留めができたら、柱角
に当たる部分③④を挽き、切り
落とす。
写真 6 次に、ほぞの溝⑤⑥の
墨をカッターでけびく。
15
32
●
10
●
30
●
●
●
(目違いほぞ留め)
は柱ヅラ
- 29 -
写真 7 けびいた線に沿って鋸
を入れる。
写真 8 ⑦の深さまで、ノミで
溝を掘る。
写真 9 女木仕口の完成。
写真 2 ①②に鋸目を入れ、③
からノミで切り崩す。切り崩し
やすいように数本ノコ目を入れ
ると良い。
写真 3 襟輪の完成。
7-5 襟輪欠き
③
柱
●
●
9
①
42
廻り縁
ノコ目
②
●
●
15
15
●
●
●
7-6 天井竿の加工
写真 1 廻り縁の襟輪の墨。
竿
15
A
27
竿
竿
1/2
33
1.2 ×A
30 ㎜
法
縁内
●
A/2
さるぼう竿
㎜
15 れ
入
大
廻り
1/2
●
㎜
写真 1 天井竿の墨(サンプル)。
竿は型板をとるため、30 ㎜長く
捨て切りし、小口に番付けがふっ
てある。
写真 2 竿の両端は廻り縁に 15
㎜大入れする。廻り縁内法(ツラ)
よりも左右 15 ㎜長くし、その外
側にも 15 ㎜の巾で墨した。
木片
写真 3 外側の 15 ㎜を切り、竿の
形を生け捕るための木片とする。ど
の材から切り分けたのかわかるよう
に、前もって番付けを書いておく。
1.5 ㎜高く置く
a
a
(天端を合さない)
a
a
廻り縁内法:W
竿巾
廻り縁
w
写真 4 その木片。廻り縁にこの木
片をあて、竿の形を生け捕る。
写真 5 竿は等間隔。廻り縁の内
法を4等分するには、[(内法の長
さ W+ 竿1本分の巾)÷ 4] が竿
の間隔になる。写真はその落書き。
廻り縁
木片
写真 6 左の要領で求めた間隔
で、竿の形を墨する。そのとき
廻り縁よりも竿の天端が 1.5 ㎜
位高くなるように墨する(※)。
木片
木片
15 ㎜
見付け
写真 7 廻り縁の竿の墨。見付
け面は、生け捕った形。大入れ
深さは15㎜。
写真 8 厳密には1本1本竿の形は違う。根気良く竿の形を生け捕る。
※竿を廻り縁に釘打ちする際、竿はいくらか沈み込む。そのことを考
えて、竿の形を生け捕る際には、竿の天端を 1.5 ㎜位高くする。釘
留めすると天端は揃い、天井板との間に隙間をつくらない。
廻り縁
写真 9 カッター等でけがいた 写真 10 さるぼうの大入れ穴を彫っているところ。
うえで、ノミで彫る。
- 30 -
7-6 組み立て
①
①
女
い1
男
女
②
女
男
①
④
女
は1
い-3
い-1
②
写真1 最初に、女木-女木と
した「い」通りから組み始める。 柱
③
③
柱
い-3
い-1
女
女
④
い3
男
男
②
は3
①
女
女
男
組む手順
い -1
柱
柱
は-1
は-3
写真 3 右回りに進む。2番目 写真 4 3番目に「は」通りの男木 - 女木を組む。4番目は男木 に「1」通りの男木 - 女木を組む。 男木となる。
①
①
女木
④の男木
上へ
10 ㎜ + α
①
左ヅラへ
6㎜+α
④
柱 い-3
柱 い-3
い3
写真 5 組み終わりとなる「い - 写真 6 ④のほぞを入れるには、
3」の柱。最初に入れた①の女 ①を左方向へほぞ長さ分以上押
木とぶつかり、このままでは④ しやらないと入らない。
の男木を入れることはできない。
写真 6 また、④の下端留めを入
れるには、①は留め高さ分以上あ
げないと入らない。柱「い - 3」
にはそのためのあだ彫りが必要。
手前へ
①を上方向へ、
上へ
次に左ヅラ方向へ
2 段階に分けてスライドさせる
①
④
①
④ 男木
柱 い-3
女木
写真 8 ④が柱に入ったら、④も
15 ㎜程度浮き上げる。そして①
女木を手前に引き寄せ、ほぞ同士
をかみ合わせる。
①をスライドさせてできた
この隙間から、
④の男木を入れ込む。
①
④
柱 い-3
柱 い-3
写真 7 最後の廻り縁④の男木を納めるところ。①の女木はまず上方
向、次に左ヅラ方向(写真では右方向)へスライドさせる。できた隙
間に、④廻り縁の男木を入れ込む。
写真 9 ほぞをかみ合わせたと
ころ。まだ 15 ㎜程度浮いた状態。
下端留め部分に不陸等がないか
確認。
互いに組んでから
女木
下へ降ろす
①
①
④
④
柱 い-3
男木
写真 10 完全に組み合ったとこ
ろで、全体を廻り縁の下端高さま
で落として完成となる。
写真 11 廻り縁は女木側を楔で
固定する。まず女木の裏側に楔を
打ち、留めの位置を柱角に向かわ
せる。
- 31 -
写真 12 土壁など壁が仕上がっ
ている場合、裏から楔を打てな
いことも多い。その場合は、竹
製の楔をほぞの隙間に打つ。
7-7 廻り縁最終の 柱あだ彫り
い - 3 隅柱
一般部 隅柱
①
女木
右ツラ
(柱 い - 3)
D
C'
写真 1 柱「い - 3」では、④
男木のほぞをかわすため、①女
木をほぞ長さAだけ押しやる必
要がある。
C
深さ
B'
15 ㎜
墨
廻り縁下端
ほぞ長さ A
④
い3
上ツラ
④ 男木
ほぞ長さ A
①
右ツラ
上ツラ
廻り縁下端墨
A'
浮きあげ
る高さB
30
①
㎜
30 ㎜
A' =ほぞ長さ 6 ㎜ + α
④
C= 廻り縁高さ 42 ㎜
D= 天井板厚さ 9 ㎜を想定
留め部分の厚さ B
写真 2 さらに、④男木の留め
部分をかわすため、①女木を留
めの厚みBだけ、上へ浮かせる
必要がある。
30 ㎜
B' =留めの厚さ 10 ㎜ + α
C' = 廻り縁高さ 42 ㎜ + α
(α= 1.5 ~3㎜)
写真 3 通常の隅柱における廻 写真 4 組み終わりとなる隅柱
のあだ彫り。写真3よりも、①
り縁の欠き込み。
女木が動く分だけ、あだ彫りが
必要になる。
7- 8 くさび
写 真 1 廻 り 縁 は 釘 止 め せ ず、 写真 2 天井板を差し込むには、 写真 3 女木の上からも楔を打っ
楔で止める。楔を横から打つと、 楔を上から打つ。
て固定した。
天井板を差し込む隙間がなくな
るので、良くない。
桁
廻り縁
梁
廻り縁
楔
写真 4 女木側に打つ楔で、留めの合わせ目を柱 写真 5 廻り縁は見付けを柾目使いとする。赤太
混じりの源平になることも多いため、コーナー部
角に合わせる。
分で不自然とならないよう、最初の段取りの段階
で色合わせしておくことが大切。
7- 9 竿の取付け
写真 1 廻り縁が入ったら、天井竿を上から落と 写真 2 納まった天井竿を上から見る。
し込む。
- 32 -
8 長押
8- 1 段取り
18
●
写真 1 杢合わせをしているところ。板をスライドさせ、杢が合う
位置を端部 10cm 位のところから探す。奥越では柾ではなく、杢
長押を使う。そのため矩折りとなる4隅で、杢目が異なると見栄え
が悪い。末と末、株と株を合わせて色味も合わせる。
写真 2 杢を合わせた状態。こ
の当たりで材を切り分けること
にする。また床の間側には、一
番杢のきれいな長押を向かわす。
●
100
●
●
42
●
●
雛留め
ほぞ穴
長押の断面
写真 3 長押の作業台。長押は
台形状であるため、下端を加工
する際、転んでしまう。転ばな
いよう作業台を製作する。
8- 2 雛留め墨付け
写真 4 作業台に長押をはめ込
んだ状態。これで安定する。
写真 5 長押は、床柱の雛止め
からつくり始める。非常に細か
な作業になる。雛止めのほぞ穴
は巾 15 ㎜。
木片
a
45°の
留め加工
長押
雛留め
写真 1 雛止め。杢目を合わすた 写真 2 雛止め詳細。留めの切
め同一材から切り分けた木片で、 断面は 45 度。
長押の小口に留めをつくる。木片
aが床柱のほぞ穴 A にはまる。
写真 3 長押をあてがい、雛止
めする位置を決める。
15
裏面
⑤’
長押
15
⑥’
見付け面
⑥’
⑤’
①
⑤
床柱
⑥
⑥
②
長 押 の 小 口 を 隠 す 仕 口。
上端のみ留めをあらわす。
③’
③
③
写真 4 雛留め上端の墨(見付け面)
写真 5 雛留め上端の墨(裏面)
見付け面
⑤
①
下面
⑥
裏面
下面
⑥
②
③’
①
①
③
⑤’
⑥’
②
⑤’
写真 6 雛留め下端の墨(見付け面)
- 33 -
写真 7 雛留め下端の墨(裏面)
③
8- 3 雛留め加工
( 小口側)
写真 1 墨付けには留型定規を
使う。
写真 2 雛留め部分を、長押本
体から切り離すと、小さな木片
になりすぎ作業しにくい。写真
はあえて切断しているところ。
写真 3 切り離した木片。雛止
め部分はこんなに小さい。これ
を 15 ㎜の厚さに仕上げるのは
困難。
②
③
15 ㎜
①
写真 4 そのため、切り離さず、 写真 5 小口の墨。雛留めの厚
長押本体から雛留め部分をつく さは 15 ㎜。その厚さで①の墨
ることにする。作業台に長押を は、けびいておく。
セット(下端が上)。
写真 6 けびいた①の墨に沿っ
て、下端から鋸を入れる。
写真 7 鋸の柄を押し当てるよ
うにして、力を入れて垂直に切
り進む。
写真 9 次に③の墨を挽く。
写真 8 次に②の墨を挽く。出
来上がった形。
⑤
④
③
写真 10 新しくできた面に④の墨をけびき、鋸道とする。造作の
墨は「墨を半分残し半分喰う」よう加工するのが基本。全部喰うと
隙間になり、残しすぎると長くあたる。
写真 13 ノミで形を整える。
写真 11 見付け面の墨⑤と裏
面の墨④を結ぶように、鋸を入
れる。⑤は見付け面の留めとな
る部分、慎重に切る。
写真 12 切り離された雛留め
の小口。1 本の長押から切り分
けているため、木目が合う。
写真 14 床柱にはめ込んだと 写真 15 これより、長押本体
ころ。雛留めの小口部分の完成。 側の雛留め部分をつくる。その
ため⑥の墨で切り落とす。
- 34 -
8- 3 雛留め加工
(本体側)
⑦
⑨
⑧
⑧’
⑪
⑦’
⑫
長押
写真 1 ⑥の墨で切り落とす。
写真2 長押裏面の墨。
写真3 新しくできた面に、⑦
⑧の墨を延長し、けがく。
雛留め
写真 5 ⑧の墨を挽く。見付け
面は残す。
写真4 ⑦の墨を挽く。下端は残す。
写真 6 ⑦⑧で鋸が入らなかっ
た部分と⑨の墨をノミで叩き、
柱当たりとなる部分を欠きとる。
写真 7 襟輪部分(柱にのみ込
ませる部分)をつくる。その長
手方向を挽く。
写真 9 切り落とされてできた
形。襟輪の基本形。
写真 8 短手方向を挽く。
⑪
⑪’
⑫
写真 10 ここでは、柱角部分 写真 11 雛留めが取り付く襟
のかかりを大きくし、長押が倒 輪部分の完成。
れにくく配慮した(P39 参照)。
写 真 12 新 し く で き た 面 に、
留め部分の墨⑪⑫を書き移す
⑪
写真 13 ⑪見付け側の墨。カッ 写真 14 まず裏側下端の⑫の
ター等で切り目を入れておく。 墨を挽き、下端の留め部分を作
墨とおりにきれいに切れるよう、 る。
裏側からも細工をする。
- 35 -
写 真 15 次 に 裏 面 上 端 か ら、
⑪の墨にノコ目を入れる。
写 真 16 徐 々 に 鋸 を 倒 し て、
裏側全体に鋸道をつくるように、
⑪’の墨を挽く。見付け面まで
はきらない。
写真 17 以上の準備の後、見
付け面から⑪の墨を挽く。見栄
えに影響する大切な部分。「墨を
半分残し半分喰う」
写真 19 完成した 長押側の雛留め加工。
写真 18 最後に下端の留め部
分⑫を再度切り進め、切り落と
す。
写真 20 雛留め小口部分と合わせたところ。同
じ木目できれいに廻る。
30 ㎜
写 真 21 釘 止 め 加 工。45cm 写 真 22 下 端 か ら 30 ㎜ 位 離
間隔、柱脇からは 9cm 位離す。 して、深さ 20 ㎜位彫る。
写真 24 床柱にはめてみて、納まり具合を確認。
- 36 -
写真 23 側面から見たところ。
釘彫りはビスになっても大事。
材に傘が喰い込んで、しっかり
止めることができる。
8-4 男木
6㎜
上面
見付け面
裏面
④
③
①
③
①'
見付け面
15 ㎜
①
下端
②
写真 1 男木の墨 ( 見付け面)。
写真 2 男木の墨 ( 裏面)。
6
9
女木
男木
15
柱
写 真 3 下 端 の 留 め を つ く る。 写真 4 ②の墨を挽く。
①の墨を挽く。
女木
写真 5 切り落とされてできた、
下端の留め。
胸の出
15
男木
柱
15
(目違いほぞ留め)
写真 6 ほぞ頭となる③の墨を
挽き、切り落とす。
写 真 7 切 り 落 と し た 木 口 に、 写真 8 けびいた墨を挽く。
ほぞの厚さ9㎜の墨をけびく。
写 真 9 ④ の 墨 を ノ ミ で 叩 き、 写真 10 同左
ほぞをつくる。
写真 12 完成した男木の仕口
- 37 -
写真 11 ほぞ頭に面をとる
写真 13 男木の裏面。
8-5 女木
上面
下端
見付け面
裏面
④
③
⑤’
見付け面
②
④
③
①
⑦
⑤
⑤
①’
⑥
①
写真 1 女木の墨 ( 見付け面)。
写真 2 女木の墨 ( 裏面)。
写 真 3 下 端 の 留 め を つ く る。 写真 4 ②の墨を挽く。
①の墨を挽く。
写真 5 切り落とされてできた、
留めの部分。
写真 6 ほぞの溝となる部分を
つくる。③④の墨をカッターで
けびく。
写真 8 残りはノミで彫り、溝
の深さを整える。
写真 7 その上を、浅く鋸で挽
ける分だけ挽く。
裏面
写真 9 柱と取り合う部分をつ 写真 10 裏面から留めの上側
くる。⑤の墨を上端側から挽く。 ( ①を延長した墨)、⑥の墨を挽
く。
写真 11 再度⑤の墨を、下端
側から挽く。
写真 12 ⑦の墨をノミで叩き、 写真 13 欠きとってできた女
柱と取り合う箇所を欠きとる。。 木(裏面)。
写 真 14 女 木 の 仕 口 ( 見 付 け
側)
- 38 -
8-6 襟輪
上端
④
①
裏面
③
②
写真 1 襟輪の墨(上端から裏
面を見る)
写真 2 ①②の墨を挽く
写真 3 ③④の墨をけびく
柱巾
15 ㎜
襟輪 高さ 15
長押
15 ㎜
写真 7 完成した襟輪欠き。柱
巾いっぱい、15 ㎜の深さで首
切りするのが一般的。
写真 4 あとはノミで削り、柱
と取り合う部分をつくる。
柱
刃先を
傾斜させる
長押
柱巾
首切り 15
胸の出 15
9㎜
標準的な襟輪:
柱の首切りを深くして長押
の倒れを防いでいる。
15 ㎜
写真 6 垂直に削れているか確
認している。
襟輪 高さ 15
肩 両肩
15
15
長押
写真 5 ノミで削りとる。刃先
は水平ではなく、少し傾斜させ
て滑らすように削ると良い。
写真 9 うまく入るか納めてみる。
柱
長押
胸の出 15
首切り 9
もうひとつの襟輪:
柱の両肩のみを深くして長
押の倒れを防ぐ。柱両面に
長押がつく場合や通し柱な
ど、柱を傷めすぎない配慮
が必要な場合に用いる。
写真 11 作業風景 - 39 -
写真 8 もうひとつの襟輪。柱
両肩へのかかりを大きくし、柱
の首切りを浅くしている。
写真 10 うまくいかない。柱の首切りが水平でな
いことが原因。
8-7 組み立て
女木
下端
女木
男木下端
男木
女木
裏面
床柱
男木裏面
女
①
男
④
写 真 1 男 木 と 女 木 の 組 み 方。 写真2 同左(裏面より)。
女木に男木のほぞを挿す。
写真 3 同左(下端より)。
②
男
女
③
女
女木側の溝
①
男
①
②
①
柱の欠き込み
床柱から右回りに組んで
いく。
写真4 ①雛留め-女木を取り
付ける。
写真5 ①の女木部分。この溝
に男木を挿す
写真6 ①の女木に②(男木-
女木)を挿しているところ。
③
②
②
③
写真7 うまく入ることが確認
できたら、端部に当て木をあて
て玄翁で軽く叩いてはめ込む。
写真8 同様の要領で③(男木
-女木)を組む。
④
③
③
④
写真9 ④(男木-雛留め)を
取り付ける。留めが柱角にきて
いるか確認。
写真 10 ④の雛留め部分はま
だ浮いた状態。
○
写真 12 ④雛留め部分を軽く
叩くと、ピッタリはまった。取
り付けが一応完成。
写真 13 次に、長押の裏側か
ら楔を打って固定する。
写真 11 かみ合せが良くなる
よう、適宜調整して組んでいく。
楔
写真 14 まず女木側に楔を打
つ。打つ位置は留めの裏側。柱
角に留の下端を向かわるのが目
的。
楔
○
写真 15 次に男木側の留め裏
側に楔を打つ。女木の留めに男
木の留めを合わせる、隙間をつ
くらないようにすることが目的。
- 40 -
写真 16 打たれた楔。しっかり
固定しようと、あまり強く打つ
と、柱の角に向かわせた女木の留
めが動いてしまうので要注意。
写 真 17 柱 角 の 詳 細。 留 め が
柱角に向かっている。杢合わせ
が重要であることもよくわかる。
9 造作の完成
写真 1 外観 い通り
写真 2 内観 い通り
写真 3 ろ - 1 床柱正面
写真 4 い - 1 床脇柱
下から付け鴨居、雛留め長押、落とし掛け、廻り縁。
写真 5 は - 1 隅柱
両側から付け鴨居、長押、廻り縁が取り付く
- 41 -
写真 6 ろ - 3 隅柱
両側から鴨居、長押、廻り縁が取り付く
10 実技の記録
実技風景 (造作の部 4日目)
●軸組みの部 1日目(11/16) ●軸組みの部 2日目(11/17) ●造作の部 1日目(11/23)
・柱の穴彫り(造作用)
・尺竿 ・軸組み加工
・建て方 ・畳敷居
・軸組み墨付け
●造作の部 2日目(11/24)
・敷鴨居 ・吊り束
・床框
●造作の部 3日目(11/30)
・畳寄せ ・付け鴨居
・落し掛け
●造作の部 5日目(12/7)
・長押
・修了式
●解体処分 ・ 清掃(12/7・8)
- 42 -
●造作の部 4日目(12/1)
・廻り縁
・天井竿
課題図面 <真壁一坪和室> 軸組み
○
1 通り
ろ
2
い 通り
1 通り
ろ 2
1 通り
○
( 内壁 )
1, 820
廻縁
( 内壁 )
廻縁
付鴨居・ 長押
( 内壁 )
( 内壁 )
窓敷居・ 鴨居・ 長押
1, 820
ろ
2
×
75090
45
750
1, 820
火
打
梁120×120
379
天井高
天井高
▼
450
450
▼
内法高 窓鴨居
内法高
2, 700
1, 760
2, 700
▼
肘掛け窓
1 FL( 畳天端)
▼
▼ 土台天端
111
窓敷居
120
3
い1
は
梁120×120
1, 820
桁天端
▼
1 FL( 畳天端
▼
▼ 土台天端
120
▼
▼ 土台天端
い 1 通り
通り
- 43 -
4
火 5×
打 9
0
750
750
45
×
90
火
梁120×120打
梁120×120
桁天端
1, 760
1, 310
450
1 FL( 畳天端)
1,
梁伏せ
▼
肘掛け窓
120
は
1
い 3
(付鴨居・
肘掛け窓)
廻縁 長押
廻縁
1, 820
廻縁
450
1, 310
450
120
▼
▼ 土台天端
910
300 300300
1, 820
1, 820
▼
窓敷居
1 FL( 畳天端)
111
450
▼
▼ 土台天端
い 通り
通り
( 内壁 )廻縁
( 内壁 )
窓敷居・ 鴨居・ 長押
379
379
450
2, 700
1, 310
窓敷居
1, 760
1, 310
窓敷居
450
窓敷居
1 FL( 畳天端)
300
300
▼
肘掛け窓
い 通り
い 通り
窓鴨居
内法高
▼
肘掛け窓
い
3
1 は
天井高
桁120×120
750 750
910
300300
▼
内法高
窓鴨居
大引 105×105
梁伏せ
土台伏せ
桁天端
▼
根太方向
( 火打寸法)
( 火打寸法)
910
1, 820
1, 820
▼
大
蟻掛け
土台120×120
桁120×120
750
750
土台伏せ
肘掛け窓
2 ろ
910
300
300
300300
桁天端
内法高 窓鴨居
桁120
3
梁伏せ図
梁伏せ
天井高
吊り
大入れ(
スベリ
)
大入れ
大入れ(
スベリ
)
火打寸法)
((火打寸法)
▼
▼
は
3 い
桁120×120
土台120×120
桁天端
天井高
窓鴨居
大引 105×105
▼
▼
廻
土台120×120
桁120×120
379
910
1, 820
1, 820
梁伏せ
土台伏せ
土台伏せ
2
( 火打寸法)
( 火打寸法)
910
300 300 300
敷居・ 鴨居・ 長押
吊り 束 吊り 束
( 出入口)
111
土台伏せ図
梁伏せ
根太方向
750750
910
820
1,1,820
竿縁 廻縁
蟻落し
蟻掛け
3
910
300300
畳敷き
下地: 根太45×45
@450 杉板12㎜
大入れ(
スベリ
) )
大入れ(
スベリ
大入れ
大入れ
1, 820
大引 105×105
火打寸法)
((火打寸法)
竿縁 さ る ぼう
吊り 束吊り 束
( 出入口)
火
打
梁120×120 火
打
45
750
4×
59
09
750×
0
2
1, 760
910
300
1, 820
1, 820
長押
(付鴨居・
肘掛け窓)
1, 820
打
火
打 45
×
4750
750
5× 90
90
根太方向
桁120×120
土台120×120
750
750
( 火打寸法)
( 火打寸法)
910
敷居・廻縁
鴨居・ 長押
廻
付鴨居・ 長押
1
蟻掛け
蟻落し
3
土台120×120
桁120×120
750 750
2
桁120×120
土台120×120
梁120×120
大引 105×105
3
畳敷き
下地: 根太45×45
@450 杉板12㎜
大入れ
大入れ
大入れ(
))
大入れ(スベリ
スベリ
梁120×120火
梁120×120
2
廻縁
落し 掛け
付鴨居・ 長押
1
根太方向
( 内壁 )
3
桁120×120
土台120×120
1, 820
火
火
打
打
4750
5×
45
9×
09
750
1, 820
0
梁120×120
大引 105×105
梁120×120
4
火 5×
打 9
750 0
45
×
90
火
打
梁120×120
根太方向
( 床の間 )
床柱
床框
竿縁 さ る ぼう
吊り
吊り
束束
( 出入口)天井伏せ図
蟻落し
蟻掛け
( 床の間 )
廻縁
3
大入れ(
スベリ
大入れ(
スベリ
) )
大入れ
大入れ
蟻落し
蟻掛け
2
伏せ
台伏せ
廻縁
1
桁120×120
土台120×120
2
敷居・ 鴨居・ 長押
土台120×120
桁120×120
大入れ
大入れ
大入れ(
スベリ
)
大入れ(
スベリ
)
300
畳敷き
下地: 根太45×45
@450 杉板12㎜
吊り 束吊り 束
( 出入口)
1
落し 掛け
付鴨居・ 長押
3
桁120×120
土台120×120
300300
廻縁
竿縁 さ る ぼう
廻縁
吊り 束 吊り 束
(平面図
出入口)
寸法)
廻縁
敷居・ 鴨居・ 長押
( 内壁 )
ろ
いは
は
1
111
敷居・
廻縁 鴨居・ 長押
2
付鴨居・ 長押
畳敷き
下地: 根太45×45
@450 杉板12㎜
( 肘掛け窓)
1, 820
2
廻縁
畳敷き
下地: 根太45×45
@450 杉板12㎜
竿縁 さ る ぼう
ろ ろ
( 床の間 )
1
落し 掛け
窓敷居・ 鴨居・ 長押
( 内壁 廻縁
)
( 内壁 )
窓敷居・ 鴨居・ 長押
( 内壁 )
( 内壁 )
竿縁 さ る ぼう
は
いい
床の間 ))
(( 床の間
床柱
床框
( 内壁 )
床框
落し 掛け 廻縁付鴨居・ 長押
付鴨居・ 長押
3
0
( 床の間床柱
)
( 内壁 )
ろ
いは
は
ろ ろ
( 床の間 )
1
付鴨居・ 長押
廻縁
( 内壁 )
( 内壁 )
窓敷居・ 鴨居・ 長押
落し 掛け
ベリ
れ )
大入れ
け
蟻落し
い
い は
( 床の間 ) 床柱
床框
( 内壁 )
1
廻縁
長押
長押
(付鴨居・
肘掛け窓)
床柱
( 肘掛け窓)
廻縁
壁 )
ろ
はは
い
( 床の間 )
( 床の間
( 床の間
) )
床框
2, 700
ろ ろ
いは
い
は
1
3 い
い 通り
1 通り
2 ろ
3 は
1
1 通り
2
課題図面 <真壁一坪和室> 造作
※ ク サビ 代と し て 、 柱へ3 ㎜のあだ
( 柱面よ り )
胸の出 15㎜
15
廻縁 42×42
面
巾
6
27
面
巾
6
162
廻縁 42×42
6
巾
面
15
15
33
天井高さ
▽
猿棒 27×33
@450
15
長押
100
15
床脇柱 15
床板 100
内法1, 760
1, 760
壁チリ 15㎜を 想定
9
面
大
床框
100×100
畳寄せ
42×54
畳 54㎜
敷居 120×54
111
荒床12㎜
畳寄せ
42×54
根太45×45@455
土台
土台
120×120
土台
120×120
一般部造作詳細
120×120
床廻り詳細
90
落掛け 120×115
58. 5
15
15
柱
120×120
56. 5
吊束
雛留め
大入れ
床柱
120×120
2
鴨居巾
117
58. 5
1. 5
90×54
雛留め位置
1. 5
120×120
58. 5
柱
120
長押
吊り束詳細
床柱詳細
- 44 -
雛留め
位置
120×120
付鴨居
40×42
長押胸の出
内法高
42
鴨居 117×42
42
鴨居 100
杢長押
45×100
42
胸の出15
42
90×54
50
450
54
落掛け 第3章 事業の記録
3-1 事業全体の流れ 【提案書提出】
● 7 月 3 日 ● 8 月 13 日 【採択結果通知・交付決定通知】 ● 8 月 15 日 ・事業着手(実技課題の設計、実技図面テキスト作成、木割り
及び造作テキスト作成、木割りアンケート作成)
● 9 月 10 日 ・木割り資料及び調査方法の相談・指導(@福井大学高嶋研究室)
● 9 月 15 日 ・受講生募集のホームページ開設、受講生募集開始
● 9 月 22 日 ・事業準備打ち合わせ(@勝山市地場産業振興センター)
● 9 月 23 日 ・大工ヒアリング調査開始(~田村家調査 10 月 20 日) ● 10 月 4 日 [ 運営委員会 ](@九頭竜森林組合)
事業内容・事業実施日の検討、受講生募集方法・経過について
● 10 月8日 ・募集チラシ 1000 部を各支部に配布
(福井 450、大野 250、勝山 130、美山 20、松岡 50、 永平寺 35、上志比 15、予備 50)
● 10 月 14 日 ・受講生募集新聞広告掲載 (半 5 段、福井新聞・県民ふくい)
● 10 月 22 日 ・奥越ブロック会役員会にて事業内容説明 ● 10 月 25 日 [ 実技ワーキング 1](@マツイ工務店)
実技テキスト打ち合わせ
●10月 28 日 [ 実技ワーキング2](@勝山市勤労婦人センター)
実技内容、造作材加工寸法打ち合わせ
● 11 月4日 【実技ガイダンス】
(@大野市学びの里めいりん)
参加受講生:延べ 11 名(軸組みの部 9 名、造作の部 11 名)
9:30 ~ 開講式
10:00 ~ 和室の木割り(講師:福井大学 高嶋猛先生)
10:45 ~ 奥越の木割り調査報告(事務局)
11:15 ~ 武家住宅「旧田村家」見学(講師:高嶋猛先生)
12:00 ~ 昼食(武家住宅「旧土井家」「旧内山家」見学)
13:00 ~ なぜ今真壁なのか
(講師:アルセッド建築研究所 武田光史さん)
14:00 ~ 実技ガイダンス(総括指導員:松井登さん)
16:30 閉会 [ 実技ワーキング 3](@平成大野屋) 指導員スケジュール調整・実技指導に関する意見交換
● 11 月 5 日 ・新聞記事掲載(日刊県民福井) ● 11 月 12 日 ・新聞記事掲載(福井新聞) ● 11 月 14/15 日 ・実技会場設営 (@ 勝山市九頭竜森林組合保管倉庫)
● 11 月 16 日 【実技 軸組み1日目】 参加受講生:10 名
● 11 月17日 【実技 軸組み2日目】
参加受講生:10 名 ● 11 月 23 日 【実技 造作1日目】
参加受講生:12 名 ● 11 月 24 日 【実技 造作2日目】
参加受講生:12 名 ● 11 月 30 日 【実技 造作3日目】
参加受講生:12 名
● 12 月 1 日 ・新聞記事掲載(福井新聞)
【実技 造作 4 日目】
参加受講生:12 名 ● 12 月 7 日 【実技 造作 5 日目】
参加受講生:12 名 ・NHK放送福井支局撮影取材、およびニュース放映
● 12 月 8 日 ・解体処分、会場清掃 (@ 勝山市九頭竜森林組合保管倉庫)
●3月 12 日 ・報告書提出(予定)
- 45 -
ホームページの作成
10/4 運営委員会
11/4 ガイダンス(午前):受
講生 11 名のほか委員および実
技指導講師 23 名が参加。
11/4 ガイダンス(午後)
12/8 会場清掃
実技で学ぶ和室造作
平成 25 年度 国土交通省「木造住宅施工能力向上、継承事業」
福井県建築組合連合会
奥越ブロック会 主催
第2回
奥越 大 工 塾
集
「真壁和室の造作を学ぶ」を開催します 受講生募
新築住宅では、真壁和室が減少しています。真壁和
受講生 1 人が「1坪和室」1 棟を担当します。実技
室には伝統的な大工技術が活かされていますが、その
指導員がマンツーマンで指導します。和室造作の加工
技能は若手に継承されていません。
や取り付け方などひと通りを、実践的に学ぶことがで
和室造作の技術は、和室に限らずさまざまな箇所に
きます。
応用可能な技術です。木材をあらわしに使う魅力的な
家づくりに欠かせない技術です。また伝統的な町並み
の修復にも役立つ、まちを作る技術です。
今回の大工塾では、1 間四方の「1坪和室」を8畳
間に見立て、実寸大の材料を使った実技演習を行いま
す。
<奥越大工塾>は、大工技能を継承した住
まいづくりを通して、全国に誇れる、生き生
きとした地域づくりを提案します。
奥越の将来像
全国追従型
奥越らしさ追求型
●募集生:県内在住の大工で和室造作に関心のある方 ●募集定員: 実技第1部 10 名、第 2 部 10 名
●カリキュラム(AM9:00 ~ PM5:00) ○ 11 月 4 日 ( 月・振替え休日 )
【開講式と実技ガイダンス】
・「和室の木割り」 講師:高嶋 猛さん(福井大学講師)
・「なぜ今真壁なのか」講師:武田光史さん
出典:内装造作工事必携 本間正直著 丸善 1982
※実技では奥越で使われきた仕口を学びます。上図とは異なる場合があります。
(株)アルセッド建築研究所)
・実技内容の解説 講師:松井 登さん(奥越ブロック会)
<キリトリ線>
○ 11 月 16・17 日 ( 土・日)2日間
【実技 第1部 真壁の軸組みをつくる実技演習】
奥越大工塾
での取り組み
●若手大工技能者
の育成 伝統的建築
物のリフォーム
ではなく新築
を選択
※奥越の木材、奥越の職人が奥越の
気候風土に合わせてつくる。
生き生きした地域
送付先 <奥越大工塾>事務局 FAX 0779-89-2630 大工経験の浅い方向けのコースです。
性別
ふりがな
○ 11 月 23・24・30 日/ 12 月 1・7 日 ( 土・日 ) 5 日間
正反対 [GOAL] 特 徴 の な い 活力を欠いた地域
お名前
・敷居 ・ 鴨居・長押 ・ 廻り縁・天井竿など、ひと通りの
(※どの部門の実技受講生も実技ガイダンスの参加 ●大工塾受講料:実技第1部 6,000 円 実技第 2 部 15,000 円
●会場:開講式 学びの里めいりん(大野市城町)
実技 九頭竜森林組合保管倉庫(勝山市長山町)
●応募方法 ●
裏面応募用紙を記入し、事務局まで送付ください。
電話番号
勤 務先
検索
参加希望
スケジュール等については変更になる場合があります。
応募された方はホームページを随時ご確認ください。
□女
携帯
自宅
名称
所在地
(学びたい内容等をお書きください)
参加理由
受講生募集チラシ
11 月 5 日
( 日刊県民ふくい)
11 月 12 日
( 福井新聞)
12月 1 日 ( 福井新聞)
- 46 -
才
□第1部 軸組み □第2部 造作 □両部門通して参加 部門
【お問い合わせ】 福井県建築組合連合会 奥越ブロック会 会長 竹島 正和
<奥越大工塾>事務局 地域住宅工房 奥田設計室 〒 911-0045 勝山市荒土町伊波 30-11-1
TEL /FAX 0779-89-2630 PP 090-4686-4799
E-mile [email protected]
10 月 14 日 新聞広告 ( 日刊県民ふくい・福井新聞)
大工暦
〒
ご住所
が必要です。)
詳しくは 奥越大工塾 で
年齢
□男
【実技第2部 和室造作の実技演習】
和室造作材の加工・取付け要領について学びます。
●大工技術を活かした地域づくり
・奥越型住宅の普及促進 ※
・伝統的建築物のリフォーム促進
[GOAL] 全国に誇れる
応募用紙
・墨付け・手刻み、大工道具の基本的使い方を学びます。
外材で
プレカット、
工業製品
を多用
年
第3章 事業の記録
3-2 事業の効果と今後の課題 【受講生募集について】
真壁和室の造作を学ぶ実技講習会では、ガイダンスとし Q0 受講生の年齢
ての座学を 1 日、実技演習を 7 日間開催した。造作演習の
ためには、架台となる軸組みが必要であり、受講期間を短
2人
5人
1人
4人
くして参加しやすく配慮するため、軸組みの部(第1部)
2日間と、造作の部(第2部)5日間にわけて受講生を募 Q 1 受講生の職種
集した。
受講者は第1部 10 名、第2部 12 名であった。第1部
11 人
1人
参加者全員が、引き続き第2部を受講している。自分で1
棟全てつくるなかで、自分の技量を把握し、今後の自信に
Q 2 講習会を何で知ったか
つなげたいとする受講生の熱意を反映している。
【事業の効果】
9人
事業最終日、受講生全員に行ったアンケートをもとに、
受講生の属性、事業の効果についてまとめる。
3人
Q 3 講習会は役に立つ内容だったか
9人
受講生は 30 才前後の建築大工であり、自営大工が過半
12 人
を占める。本人ひとりあるいは親と2人で、リフォームを
中心に年間1~2棟の新築住宅を建設している。実際の住 Q 4 受講生の所属先
宅現場で働く若手大工今回の受講生であった。
その受講生による事業の評価は非常に高かった。ほとんど
3人
7人
1人 1人
の受講生が和室造作を担当するのは初めてであり、演習期間
がいくらか短かかった(Q 12)、内容を難しく感じた(Q Q 5 所属先所在地
13)との回答も数名からいただいたが、12 名全員が<講習
会は今後に役に立つ内容であった>と回答した(Q 3)。
8人
4人
また、実寸大の材料を使い、マンツーマン指導したカリ
キュラムについての評価も非常に高かった(Q 14 ~ 16)。
Q 6 所属先の業種
演習においては、「真壁1坪和室」という実際の現場とほ
9人
ぼ同じボリュームを1人1棟ずつ受講生に与え、その中で
造作演習を行なった。受講生は、造作材同士の組み合わせ
2人
1人
Q 7 年間新築住宅供給戸数
方だけでなく、それらを軸組みに取り付ける際に、随所で
想定どおりに納まらないこと、独特の要領やコツが必要で
3人
6人
あることを学んだ。つくり方における部分と全体の関係を、
受講生自身の身をもって体験し、習得できたことは、実技
3人
Q 8-1 社員大工の人数
演習の最大の成果である。
実習終盤には、受講生そして指導者の中から、「これで和
1人
7人
3人
1人
室を造作できる自信がついた」「これならば和室を任すこと
ができる」との声が聞かれた。実寸大での演習でしか得る Q 8-2 外注大工の人数
ことのできない効果を確認できた。
9人
- 47 -
2人
1人
平成25年度 木造住宅施工能力向上・継承事業
名前
受 講 者 ア ン ケ ー ト

)
()実技演習の期間・日程について
本アンケートは、国土交通省の補助事業である「木造住宅施工能力向上・継承事業」の
ご回答いただいた情報は、個人や会社を特定できる情報として外部に公表されることは
()実技課題の内容について

受講者について


ありません。
2.難しかった
しかった 
1.適切であった
適切であった
(1)職 種(あてはまるもの1つに○を付けて下さい。以下同じ。
)
3.簡単であった
簡単であった
であった
1.大工(
大工(建築・
建築・建方・
建方・型枠・
型枠・内装)
内装) 2.設備工(
設備工(電気工、
電気工、空調・
空調・給排水配管工)
給排水配管工)
]
5.その他
その他[
2.短すぎた
すぎた
1.適切であった
適切であった
3.長すぎた
すぎた
講習会受講者を対象として、国土交通省が今後の参考とするために実施するものです。
4.設計

実技演習について

年齢
(



()実寸大で製作したことについて
(2)講習会を何で知りましたか
2.実寸大でなくても
実寸大でなくても十分
でなくても十分であった
十分であった
であった
1.とても良
とても良かった
1.所属団体からの
所属団体からの案内
からの案内
2.チラシ
3.ネット上
ネット上の情報[
情報[
]
4.知人からの
知人からの紹介
からの紹介
5.新聞広告
6.その他
その他[
]

()指導員をマンツーマンで配置したことについて
(3)講習会は今後の役に立つ内容でしたか
2.マンツーマンで
マンツーマンでなくとも十分
なくとも十分であった
十分であった
であった
1.とても良
とても良かった
1. 役に立つ
2.どちらかと言
どちらかと言うと役
うと役に立つ
3.どちらかと言
どちらかと言うと役
うと役に立たない
4.役に立たない
たない



()指導員の指導内容について

受講者の所属する会社について




2.不満足
不満足
1.満足
 (5)所在地(市区町村まで必須)
(4)会社名 ※株や有も記載して下さい


()今後大工塾を企画する際、どのような内容を希望しますか、自由にお書きください


(6)業種(複数回答可)
1.施工
2.設計
3.製材・
製材・集成材製造・
集成材製造・合板製造
合板製造
4.プレカット加工
プレカット加工
5.建材流通
6.その他
その他[
(7)一年間の新築住宅供給戸数

(8)大工の人数
戸
年間 約
]

(9)長期優良住宅について
社員大工
約
人
外注大工
外注大工
約
人
2.供給実績がない
供給実績がない
がない
1.供給実績がある
供給実績がある

()住宅のリフォーム工事について
戸] 2.施工実績がない
施工実績がない
がない
1.施工実績がある
施工実績がある [年間 約

()新築住宅の省エネ基準適合義務化について(2020年までに義務化されます)


2.知っているがまだ取
っているがまだ取り組んでいない
んでいない
1.義務化について
義務化について知
について知らない
3.知っており、
っており、既に取り組んでいる(
んでいる(供給実績がある
供給実績がある)
がある)
ご協力ありがとうございました。

▲受講生アンケート(左:表面 上:裏面)
Q 9 長期優良住宅の供給実績
Q 11 省エネ基準適合義務化について
8人
1人
3人
Q 12 実技の実施期間・日程
Q 10 住宅のリフォーム工事の施工実績
1人
1人
8人
7人
5人
2人
7人
5人
Q 13 実技課題の内容
【今後の課題と取り組み】
今回の事業では、
9人
3人
1.和室造作を難しくしている木割りや造作材の仕口につい
て、ヒアリングにもとづきテキストの中で整理できた。
Q 14 実寸大での製作について
2.真壁和室の造作技術の取得方法を、「真壁1坪和室」と
いうかたちでうまくモデル化できた。
12 人
3.受講生が体験した和室造作の実務を、詳細に報告書の
中でまとめることができた。
Q 15 指導員マンツーマンでの指導について
今回整理できたテキスト等は、若手大工が和室造作技術を
継承するうえで有効なツールとなりうる。
12 人
福井県建築組合連合会では、技能士検定合格のための講座
だけでなく、これらのテキストを使って、実際の現場で能力
Q 16 指導員の指導内容について
を発揮できる技能者を育成するための「技能士育成講座」を
検討している。それらが開催されれば、本事業の効果はより
幅広いものとなる。
- 48 -
12 人
委員名簿
平成25年度 住宅市場整備推進等事業(木造住宅施工能力向上・継承事業)
「真壁和室の造作を学ぶ<奥越大工塾>」
委員・オブザーバー名簿
運営委員長
竹島 正和 福井県建築組合連合会奥越ブロック会会長 有限会社竹島工務店
運営委員
上村 豊彦 上村建設 大工棟梁 運営委員
山川 栄治 山川建築 大工棟梁 運営委員
坂下 正富 坂下建築 大工棟梁
運営委員
石田 芳夫 大野建築研究会会長 有限会社石田建築設計事務所 運営委員
長田 博幸 大野建築研究会副会長 株式会社長田工務店
運営委員
馬場 功 九頭竜森林組合 代表理事組合長 運営委員 松井 登 マツイ工務店 大工棟梁 運営委員 川端 慎哉 川端建築事務所 オブザーバー
高嶋 猛 福井大学工学部建築・建設工学科 講師
オブザーバー
朝日 俊雄 大野市農林整備課 課長 オブザーバー
久保 勝哉 大野市建築営繕・庁舎整備課 技師 オブザーバー
渡辺 寿彦 勝山市都市政策課 課長
コンサルタント 栗本 慎司 環境計画工房
事務局 奥田 徹 地域住宅工房奥田設計室 - 49 -