アグリスタート研修受入農家の役割について (第8期用) 公益財団法人鳥取県農業農村担い手育成機構 1 アグリスタート研修事業の目的 アグリスタート研修(以下、研修)は、(公財)鳥取県農業農村担い手育成機構(以下、機構)が就農 希望者を研修生として雇用し、地域で活躍される先進農家等において実践的な研修を実施することに より、基本的な栽培技術や経営感覚、農家としての心構え等を習得させ、地域の農業の担い手として 独立就農させることを目的としています。 2 研修生の選考状況 ○研修希望者は、あらかじめ就農相談を重ねて、農業を始める決意を固めるとともに、就農品目や地 域を絞り込んでいきます。 ○面接選考では、就農に向けた考え方・意欲・覚悟や準備状況を確認の上、採用を決定しますが、選 考段階で、農業への適性・資質を見極めることは非常に難しいものです。 ○大きな問題のない者から、可能性に賭けて採用する者、実践の場でやらせてみなければわからない 者まで、採用時点の研修生は、いわば「玉石混淆」の状態です。 ○そのため、研修生の実質的な見極めは、研修を通して行っていくこととなります。機構と受入農家 が一つのチームとして研修生を評価し、就農可能かどうかの判断を行うものであることを御理解く ださい。 3 研修の仕組み 1)研修生の位置づけ ○研修生は機構の職員として雇用し、給料を機構が支払います。 ○したがって、研修中に事故等が生じた場合は、機構が「労務災害」として取り扱います。 2)受入農家の位置づけ ○機構は、研修生の特性や希望に即し、かつ市町村、普及所、JA 等関係機関を交えた調整に基づ き、適切な農家に受け入れを依頼します。 ○機構は受入農家と「研修指導契約」を交わし、 受入農家は機構の研修農場の位置づけとなります。 ○受入農家へは、機構が 40,000 円/月の指導手当を支払います。 ○機構は、受入農家のみならず、周辺農家の方、指導農業士、農業委員、生産部組織等、地域で研 修生の就農を支えていただく方との接点も重視し、地域ぐるみで研修生を受け入れていただける よう、コーディネートします。 1 3)研修生と受入農家と機構の関係 ○研修生は受入農家の周辺で住居を借り、日々、受入農家において実践的な作業をします。 ○機構は研修推進員を派遣して、定期的に研修状況を把握します。 ○研修推進員は、研修生の意向や悩みを聞くとともに、受入農家の御意見を十分にうかがいながら、 研修が円滑に行われ、適切な進路選択が実現するよう助言と支援をします。 ○機構は、研修開始前から就農後に至るまで、市町村、普及所、農業委員会、JA等の関係機関と の情報共有を密にし、研修中においては、研修生の就農に関する打合せ・検討会の開催、各地域 での就農に向けた準備を主導します。 4)研修体系と研修期間 ○研修は 5 ヶ月間のトライアル研修、7 ヶ月間の本格研修の 1 年間を基本とします。 ○しかし、作目の都合など、必要によっては更に最長 12 ヶ月の追加研修を可能とし、最長 2 年間 の研修としています。 ト ラ イ ア ル 研 修:研修生の農業への適性の見極め 本 格 研 修:より実践的な栽培・経営技術習得 追 加 研 修:就農のための補完的な研修(就農条件が整った段階で就農) ○研修期間中、5回程度、農業大学校等で集合研修を実施します。農業経営者となる心構えや基礎 知識の習得、先輩の事例、就農準備の進め方や計画作成の方法等について学習するとともに、お 互いの状況を発表して研修の意欲を高めます。 ≪アグリスタート研修の概要≫ 2 4 受入農家の役割・留意点 <重要な心得> ◆御家族にも御理解を! ・本研修では、各御家庭、組織の中に研修生が身を置きます。 ・中心的に御指導いただく研修指導員の方(経営主、現場責任者など)のみならず、御家族や従業員 の皆様にも、研修受入の同意をいただき、同じ理解と認識のもと、研修を実施していただきますよ うお願いします。 ◆機構と受入農家はチームです! ・研修生が就農できるかどうかの見極め、適性評価を互いに共有し、共に判断します。 ・研修の進め方や研修生の進路に関し、一方的な判断で対応・アドバイスされることのないようお願 いします。 ◆就農支援策は何かと複雑です! ・現在、就農にあたっては多様な支援策が準備されています。さらには、毎年制度運用が変わり大変 複雑ですが、せっかくの制度ですので、研修生には有効に活用してもらいたいと思います。 ・改めて、受入農家の皆様にも御説明の機会を持ちますので、一通り把握いただいた上で御支援くだ さいますようお願いします。 1) 「必修項目」として必ず教えていただきたい作業・事柄 ○農作業の基本として、以下の作業については、研修の進度を見ながら、なるべく早い時期に御 指導くださいますようお願いします。 ①鎌の使い方・研ぎ方 ②鍬の使い方 ③草刈機による作業 ④トラクターの基本操作・耕耘作業 ※経営品目によって、上記すべての作業を指導することが困難な場合、機構が集合研修の特別 カリキュラムとして指導します。研修推進員に御相談ください。 ○農業生産を行う上で、地域の関係機関(土地改良区、水利組合等)の役割や関わり方についても 御指導願います。 2)作業の意味・目的を理解させるように指導願います。 ○栽培全体の流れ、年間スケジュールなどの全体像を把握させたうえで、行おうとする作業の意 味、ポイントを教えるようにお願いします。 ○研修生は単なる労働力では決してありません。独立就農に向けて、自力で作業の段取りが組める 3 ようになることを目標に御指導くださいますようお願います。 3)研修生の能力に応じた研修の実施 ○作業のスピードが遅い、手際が悪いなど、研修生のセンスや能力には差があります。 ○その状況は機構と共有の上、資質を見極める材料となりますが、極力本人の能力・性格を見なが らの指導をお願いします。 ○また、自主性を養い、鍛えるよう、自分で調べたり考えさせる事にも配慮願います。 4)安全面に配慮した上での農業用機械の操作の実施 ○農業用機械(管理機等)については、安全面の配慮を十分行った上で、可能な範囲で、研修生に 使用させてください。 ○研修生の使用に際しては、あらかじめ、破損・故障を招いた場合には、研修生が自ら修繕費を負 担する等の約束を研修生との間で交わしていただきますようお願いします。 5)農業への適性についてのご意見等 ○トライアル研修から本格研修、本格研修から追加研修の移行の可否等、受入農家の御意見は全て 機構理事長に報告され、最終的には理事長が判断します。 ○研修生の日々の取組姿勢、態度に目を配っていただき、就農の可能性、適性等についてのご意 見をお願いします。 ○研修を巡るトラブルや困りごとについては、機構理事長が最終判断をして善処しますので、いつ でも担当の研修推進員に御連絡ください。 ★緊急事態や判断に急を要する場合のほか、内密な事柄等については、機構理事長が直接連絡・相 談をお受けします。 上場理事長ホットライン:090−2291−5316 6)就農に向けた支援 ① 地域に溶け込むような配慮 ○研修生が地域で認知されているかは就農後の営農に大きな影響を与えます。 ○研修中から生産部の会合や研修会等、様々な場への参画を促すとともに、参画が可能な環境づ くり・研修カリキュラムの整備に御協力いただくようお願いします。 ○地域の自治会行事への参加なども督励してやって下さい。 ② 条件整備への協力 4 ○研修生が自身の就農ビジョンを描くには、受入農家御自身の農業経営の現状や就農からの経緯 等のお話が何よりの「道標」になります。研修の合間には、そうしたお話を研修生に聞かせて いただければありがたいです。 ○研修生の就農計画作成は、主として機構と普及所が指導しますが、必要な施設・機械、経費、 収量等の考え方について、受入農家に助言を求めることがあります。営農の実践に即したアド バイスをお願いします。 ★研修生の就農地の確保には、機構が必ず介在します。受入農家の皆様から情報をいただければ 幸いですが、機構との調整のもと対応することを心がけていただき、単独での行動はお控えく ださい。 就農地が確保でき、研修自体も良好に進んでいる場合、アグリスタート研修とあわせて「機構 保有地研修」を実施することも有効です。実施にあたっては、受入農家の判断も伺います。 【機構保有地研修】 ・機構が研修生の就農予定地として中間管理権を取得した農地で行う実践研修。 ・研修生は、就農予定地を活用して、定植、肥培管理等一連の管理作業を研修の一 環として行い、就農までにかかる必要経費は全て機構が立て替え。 ・研修生の就農に際して本人に利用権を設定し、就農までにかかった経費を精算す る。 ●研修生は、アグリスタート研修中に、研修の一環として営農準備ができ、就農時 から生産物収入を得ることが可能。 ★作業場の確保も、大きな問題です。就農地の近隣で探していくことになりますが、農地情報と あわせて受入農家の皆様からの情報提供が第一です。御協力をお願いします。 ★中古機械やハウスについては、古物商免許を有する機構が一定期間かけて主体的に情報収集に 努めます。 7)その他 ★研修は受入農家と研修生の個性の紡ぎ合いですので、それぞれの形は一定ではありません。 しかし、研修生の自主性とやる気を延ばし、本人の成長を祈る事は原点であり、研修に携わる関 係者共通の姿勢であるべきと考えます。 ★皆様には大きな御負担・御苦労をおかけしますが、農業と農村を未来に引き継ぐ目標に向けて、 共に研修に取り組んでくださいますようお願い致します。 5
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