ユーザ事例 2015年1月 精製 DNA 結合蛋白質を利用した遺伝子座特異的 ChIP 法の開発 大阪大学 微生物病研究所 感染症学免疫学融合プログラム推進室 ゲノム生化学研究グループ 藤井 穂高 准教授 藤田 敏次 助教 【お客様からのコメント】 精製DNA結合蛋白質を利用した遺伝子座特異的ChIP法の開発を目指し、3xFLAGタグ付きLexA蛋白質の大腸菌での発現・精製を試みましたが、発現 がみられませんでした。そこでProCubeのカイコ発現系を利用したところ、発現・精製ともに良好な結果が得られ、本方法論を開発することができました。 ゲノム機能の分子機構の解明には、細胞内において解析対象とするゲノム領域に結合している分子を網羅的に同定することが理想的です。大阪大 学微生物病研究所・藤井准教授の研究室では、細胞から解析対象とするゲノム領域を遺伝子座特異的に単離し、当該ゲノム領域に結合している 分子を網羅的に同定する方法として、遺伝子座特異的ChIP法(iChIP法・enChIP法) を開発しました。 iChIP法は、解析対象とするゲノム領域に細菌LexA蛋白質が結合する塩基配列を挿入し、3xFLAGタグ付きLexA蛋白質(3xFNLDD) を発現さ せた後、免疫沈降を行うことで、解析対象ゲノム領域を単離・解析する方法です。今回、細胞内での3xFNLDDの発現を必要としないiChIP法を 開発しました (図1)。 まず、ProCubeを利用してDockタグ付き3xFNLDD(r3xFNLDD-D) を精製蛋白質として用意しました (図2A)。 次に、 Pax5遺伝子プロモーター領域にLexA結合塩基配列を挿入したニワトリDT40細胞からクロマチンを調製し、r3xFNLDD-Dを利用した アフィニティー精製を行うことで、Pax5遺伝子プロモーター領域を高効率で単離することに成功しました (図2B)。転写途中のPax5 mRNAも 一緒に単離・検出できたことから、ゲノム上に存在する分子の結合を維持したまま、解析対象ゲノム領域を単離・解析できることも判明しました (図3)。今後、本方法論によって、ゲノム機能解析がより迅速に進むことが期待されます。 Hoshino and Fujii (2009) J Biosci Bioeng, 108(5):446-9 Fujita and Fujii (2013) Biochem Biophys Res Commun, 439(1):132-6 a target region (e.g. promoter) Fujita et al., (2013) Sci Rep, 3:3171 Fujita and Fujii (2014) BMC Mol Biol, 15(1):26 A genome gene proteins Exon 1A r3xFNLDD-D (kDa) LexA BE 20 10 17 10 - Crosslinking (if necessary) DNA fragmentation Expression and purification of recombinant 3xFNLDD-D (r3xFNLDD-D) -0.7k 30 180 130 100 75 63 48 35 28 - ) cPax5 LexA BE -10k genome DNA (e.g. enhancer) Insertion of LexA-binding elements ( 3xFLAG-tag NLS LexA DNA-binding domain + dimerization domain Dock-tag 0.2 kbp 0.2 kbp 0.3 kbp % Input RNA (e.g. non-coding RNA) B Marker Supernatant Precipitate Elution 参考文献 0 CBB 0.006 -10k -0.7k LexA BE 図2 r3xFNLDD-Dの精製およびそれを利用した Pax5遺伝子プロモーター領域の単離 A RNA LexA BE Affinity purification with anti-FLAG Ab pol II Exon 1A B iChIP 1% Input RT + - + cPax5 (Ex1A) Ex1A cAID (Ex3) 0.4 kbp iChIP using r3xFNLDD-D Reverse crosslinking (if necessary) Reverse crosslinking Purification of RNA DNA analysis (e.g. Microarray or Next-generation sequencing) RNA analysis (e.g. Microarray or Next-generation sequencing) Protein analysis (e.g. Mass spectrometry) RT-PCR 図1 r3xFNLDD-Dを利用したiChIP法による特定ゲノム領域の単離および解析 図3 本方法論によるPax5 mRNAの単離および検出 本事例で掲載している図表は藤田助教よりご提供いただいております。 Harness the Power of Nature カイコバキュロウイルス発現系を用いたリコンビナントタンパク質発現受託 procube.sysmex.co.jp メールでのお問い合わせは ... [email protected] 製造販売元 本 社 神戸市中央区脇浜海岸通 1-5-1 〒651-0073 バイオテクノロジーセンター 神戸市西区室谷 1-1-2 〒651-2241 Tel 078-991-2212 Fax 078-992-1082 東 京 支 社 東京都品川区大崎 1-2-2 〒141-0032 Tel 03-5434-8556 Fax 03-5434-8557 PRO3U02JP-201501(Ⅰ)
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