事例8:藤沢市民病院 領域:働き方・休み方改善 設した。 取組内容:ワーク・ライフ・バランス 開設者 病院長 所在地 許可病床数等 職員数 藤沢市長 鈴木 恒夫 城戸 泰洋 神奈川県藤沢市藤沢2丁目6番 1号 536 床 758 名 取組みの内容 夜間での小児救急に対するニーズの高まり とともに、小児科医の勤務の負担軽減を図 ることを目的に、交代制勤務の導入を行い、 小児救急の 24 時間対応を行う体制を 2002 年に整備した。 従前は、当直勤務による長時間労働が常態 化していたが、交代制勤務を導入すること によって、小児科医の夜間診療による負担 軽減が図られた。 交代制勤務を導入するためには、最低でも 医師の数を 4 人増やさなければならず、ま た交代制勤務の導入により頻繁に主治医が 交代することになるため、診療の標準化と 朝夕のミーティングによる情報共有が不可 欠であった。 現在、 「こども診療センター」の中には、 「小 児科」「新生児科」「小児救急科」の3診療 科があるが、小児救急科の小児科医が 24 時 間救急診療を行っている。 取組みの背景 2000 年初頭頃から、世の中の活動が 24 時間 化しつつあったが、そのような時代背景も あり、小児救急に対するニーズが 2002 年頃 から高まる中、同病院でも夜間の小児救急 対応を始めた。 また、藤沢市は「安心してこどもを生み育 てられる街づくり」を目指して、その方針 に基づき、同病院では従来の「小児科」を 再編強化して「こども診療センター」を開 取組みの成果 交代制勤務の導入による小児科医の夜間救 急診療に対する負担軽減が図られた。 責任ある医療の提供と医療の継続性を維持 するために主治医制は堅持しているものの、 交代制勤務に伴う主治医交代の弊害を避け るために、診療の標準化を推し進め、1 日 2 回のミーティングで診療情報の共有化を図 っている。 課題と今後の予定 現在は、小児救急科での交代勤務制の導入 を行っているが、こども診療センター全体 への展開、そして病院全体への展開は今後 の大きな課題である。 日本産科婦人科学会の医療改革委員会では、 2015 年に「産婦人科医療改革グランドデザ イン 2015」で、分娩を取り扱う病院を現在 の約 1,100 施設から、約 600 施設に減少さ せる方針を打ち出す予定である。産婦人科 勤務医の勤務環境改善に向け、分娩取扱病 院の集約化・大規模化と交代制勤務を推進 するのが狙いであるが、そのような状況に 同病院もどのように対応していくかは今後 の課題である。 1.基本情報 開設者 藤沢市長 鈴木 恒夫 職員数 758 名 所在地 神奈川県藤沢市藤沢2丁目6番1号 許可病床数等 536 床(一般 530 床、感染症 6 床) 病院長 城戸 泰洋 組織 ○診療科 循環器科、呼吸器科、消化器内科、腎臓科、神経内科、糖尿病・内分泌内科、 血液膠原病科、専門外科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、脳神経外 科、整形外科、形成外科、精神神経科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、 眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、画像診断科、病理診断 科、救急診療科、歯科口腔外科、麻酔科、緩和ケア科、臨床検査科 取組事例 【領域】働き方・休み方改善 【視点】交代制勤務の導入による医師の負担軽減 【取組内容】ワーク・ライフ・バランス 取組対象 こども診療センター小児救急科の医師 取組内容 こども診療センターでの小児救急医療 24 時間診療体制の実施に伴う、医師の 勤務負担軽減のための交代制勤務の導入。 推進体制・推 こども診療センター長 進者 2.勤務環境改善の取組みについて (1)取組経緯 ①取組背景 2000 年初頭頃から、世の中の活動が 24 時間化しつつあったが、そのような 時代背景もあり、小児救急に対するニーズが 2002 年頃から高まる中、院長 の要請もあって、同病院でも夜間の小児救急対応を始めた。 また、藤沢市は「安心してこどもを生み育てられる街づくり」を目指して、 その方針に基づき、同病院では従来の「小児科」を再編強化して「こども診 療センター」を開設した。 ②取組経過 ③取組開始年 同病院は、2002 年より「小児救急医療 24 時間診療体制」を実施し、2003 年4月に小児救急医療拠点病院に指定されている。小児救急医療拠点病院と は、休日夜間の小児救急診療を担い、重症の小児救急患者を受け入れる病院 である。隣接する二次医療圏の患者も診療し、地域の小児科医を対象とした 救急医療の研修を行うことが求められている。 2000 年救急医療を担う地域医療支援病院となり、小児科においても 2002 年 より小児救急医療 24 時間診療体制を実施することとなった。2003 年には小 児救急医療拠点病院に指定された。 小児救急医療拠点病院は、休日夜間の小児救急診療を担い、重症の小児救急 患者を受け入れる病院であり、小児救急医療 24 時間診療体制での医師の勤 務負担軽減を図るため、2002 年より小児科において交代制勤務を導入。 2007 年より救命救急科においても交代制勤務を導入。 2002 年 (2)具体的な取組内容 ①対象 ②取組内容 こども診療センター小児救急科の医師 夜間での小児救急に対するニーズの高まりとともに、小児科医の勤務の負担 軽減を図ることを目的に、交代制勤務の導入と主治医制の廃止を行い、小児 救急の 24 時間対応を行う体制を 2002 年頃に整備した。 従前は、当直勤務による長時間労働が常態化していたが、交代制勤務を導入 することによって、小児科医の夜間診療による負担軽減が図られた。 交代制勤務を導入するためには、最低でも医師の数を 4 人増員させなければ ならず、また交代制勤務の導入により頻繁に主治医が交代することになるた め、診療の標準化と朝夕のミーティングによる情報共有が不可欠であった。 現在、 「こども診療センター」の中には、 「小児科」 「新生児科」 「小児救急科」 の3診療科があるが、小児救急科の小児科医が 24 時間救急診療を行ってい る。 小児科医師 13 名(一般小児科7名、NICU4名、交代制勤務2名)。夜間小児 救急外来患者数は約 16,240 人(2013 年度) 。 【交代制勤務】 曜日交替で1ヶ月2名が夜間外来に専念 原則昼間の一般外来病棟の受け持ちは免除 週3回の夜勤勤務(16:30~翌 9:00) (例 交代勤務医A:月・水・金、 交代勤務医B:火・木・日) 【延長勤務】 準夜帯の応援医師1名が 22 時まで勤務(時間外勤務扱い) 【NICU】 NICU に別途当直医 1 名配置。NICU 当直は通常勤務後、そのまま当直業務を 行い、翌日も通常勤務。 (3)取組プロセスにおける問題点 ①立ち上げ時 の課題等 交代制勤務を導入するためには、医師数を増やすことが前提条件であった が、医師 4 名の増員が経営的に受け入れられた。 交代制勤務を実施していくためには、採算に見合うだけの患者数が必要であ る。 ②その後の課 題等 交代制勤務は、人的資源があり、救急外来患者数が多い等、夜間においても 日中と同程度の診療を提供する必要がある診療科において有効であることか ら、他の診療科に拡大していくことが重要である。 交代制勤務を一度組んでしまうと、患者数の減少に応じて医師を減らすこと ができなくなる。 (4)取組成果と今後の課題 ①実績・成果 交代制勤務の導入による小児科医の夜間救急診療に対する負担軽減が図ら れた。 責任ある医療の提供と医療の継続性を維持するために主治医制は堅持してい るものの、交代制勤務に伴う主治医交代の弊害を避けるために、診療の標準 化を推し進め、1 日 2 回のミーティングで診療情報の共有化を図っている。 交代制勤務のメリットとしては、 ○救急外来に専念でき、時間外診療であっても十分な医療を提供できる。 ○医師の精神的、身体的負担が軽減。 ○医師の集中力が維持され、事故防止につながる。 ○患者に対する接遇が改善。 などがある。 一方、デメリットとしては、 ○外来 、入院の 一般診療における担当医が入れ替わるため 、継続的な診療 が困難。 ○昼間の臓器別専門外来との両立が困難。 ○体力、年齢、疾病、妊娠、家族の状況により夜間勤務が制限される。 ○(夜勤を通常業務と評価するため、当直手当はなく)収入が減少する。 などがある。 ②成功要因 小児救急に対する社会的ニーズが高まってきたという社会環境変化に対応 して取組んだこと。 ③今後の課題 現在は、小児救急科での交代制勤務の導入を行っているが、こども診療セン ター全体への展開、そして病院全体への展開は今後の大きな課題である。 日本産科婦人科学会の医療改革委員会では、2015 年に「産婦人科医療改革 グランドデザイン 2015」で、分娩を取り扱う病院を現在の約 1,100 施設か ら、約 600 施設に減少させる方針を打ち出す予定である。産婦人科勤務医 の勤務環境改善に向け、分娩取扱病院の集約化・大規模化と交代制勤務を推 進するのが狙いであるが、そのような状況に同病院もどのように対応してい くかは今後の課題である。 (5)その他(情報共有・情報公開等) ①実施した実 態調査や職員 アンケート調 査 職員アンケート調査
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