平成26年度 東京都立調布南高等学校経営計画 東京都立調布南高等

平成26年度 東京都立調布南高等学校経営計画
東京都立調布南高等学校長
1
相葉 玲
目指す学校像
「地域を代表する中堅進学校」
~ 地域に根ざし、生徒の進路希望を叶えて市井の人をつくる ~
広く社会に貢献できる人材の育成こそ、いかなる時代においても学校に託された使命と
言えます。三年間の学校生活を通じて、生徒が心身ともに健康で過ごし、広い視野を持つ
ことに繋がる素地を身に付けることを、本校は常に目指してきました。そのため、《 明朗
にして、心豊かな人間を育てる。知性ある、創造力豊かな人間を育てる。自主性のある、
個性豊かな人間を育てる 》ことを創立以来、本校の教育目標に掲げてきました。
いかに志が高く意欲に溢れていても、知識の獲得や技術の習得を欠いては社会貢献など
できません。そこで、専門的な分野を修める大学進学を目標に、学力の向上、すなわち勉
強(受験)に取り組ませてきました。また、社会貢献にも大学受験にも、忍耐強く取り組
める体力、困難に屈しない精神力、偏ることのない豊かな人間性を持つことは極めて大切
です。それらを育む場として部活動を奨励し、指導に力を入れてきました。この勉強(受
験)と部活動のふたつに生徒を専念させることで、今の調布南高が確立しました。このこ
とが高く評価され、平成23年度から3年間、東京都教育委員会から「進学」指導と「部
活動」指導に係って、重点支援を受けてきました。
その支援によって様々な改革が進み、調布南高校は勉強と進学に係る指導力をより一層
向上させるだけでなく、仕組みや環境の充実を図ることができました。本年からその成果
を発揮させ、着実に目指す『地域を代表する中堅進学校』に変貌します。また、昨年度か
ら力を入れ始めた防災教育に加え、地域を代表するという趣旨から取り組んだ「発災時に
十分に対応する」拠点校としての機能を持つための教育も、引き続き地域と連携して展開
します。
今後も、生徒には心豊かな学校生活を送らせ、社会の一員としての心構えや意欲を育て、
その延長にある希望大学の合格までを掴みとらせるのに実績のある学校であり続けます。
また、将来に亘って発災時には役割を果たせる都民を輩出することに取り組みます。こう
した学校の在り方が、生徒のみならず、保護者を始めとする多くの都民から寄せられる、
本校への期待なのだと考えています。
2
中期的目標と方策
〈 目標 〉
本校の使命をよく理解し、情熱を持って約束を果たそうとする教職員の創意と工夫に富
んだ指導によって、目指す学校像を実現させ維持し続けます。
〈 方策 〉
○ 経験に頼らず、謙虚に他校や諸機関に倣うことから、学校全体としての授業力ならび
に進路指導力を向上させます。
○ 自己点検を怠らない教科指導によって、生徒に受験会場で正答を導き答案が作成でき
る力を身に付けさせます。
○ 人としての豊かさを育むとともに、あきらめない精神力とやり遂げる体力を身に付け
させる部活指導を展開します。
○ 入学直後から家庭学習と授業への取り組み方を指導し、時間を大切に部活動と両立さ
せる学校生活を実践させます。
○ 地域貢献を体験させる等、特徴ある行事を取り入れるとともに、社会的マナーの体得
や奉仕体験活動、読書活動を充実させることによって、社会に貢献できる有為な人材
に育成します。
○ 生徒一人ひとりに社会を担う一員としての自覚を持たせ、学問に対する探究心を育て
て、その希望進路を実現させる仕組みを確立します。
○ 本校の特色ある教育活動の情報をホームページ等からタイムリーに発信し、本校の良
さを積極的にPRすることによって、本校の教育を評価し自らもまたそう在りたいと
願う新入生の確保に力を入れます。
3
今年度の取組目標と方策
今年度も、本校のミッションは「約束を果たす」ことです。この約束とは、重点支援を
頂戴する際に都教委に提出した計画、すなわち都民の皆様とお約束した『地域を代表する
中堅進学校』への変貌にほかなりません。京王相模原線沿線には都教委指定の進学指導重
点校や同推進校がありません。本校がそれを補い、同等の進学指導力を持つ学校となるこ
とは、都民の期待するところと考えるからです。
(1) 教育活動の目標と方策
①
学習指導
学習指導においては、生徒を「わかる」に止まらせることなく、
「できる」まで引き
上げることの徹底を目指します。そのためにも、全ての教員が「今の指導で、一年後、
二年後の入試本番で合格答案が書けるところまで、生徒を到達させられるか」との視
点で、絶えず自らの授業を点検することに努めます。これに加え、今年度から始まる
学力スタンダードの『発展』に取り組み、学力調査には目標とする数値に達するよう、
授業の工夫と展開に努めます。
学習の支援は、これまでどおり自習室の活用、進路指導に新たな取り組み、衛星予
備校の活用、職員室前の質問コーナーなど多彩に展開していきます。
②
進路指導
重点支援によって獲得した進路指導のためのノウハウは、確実に生徒の指導に反映
させ、「進学実績の向上」という約束を果たしていきます。必要な学習指導に併せて、
個々の生徒の学力の伸長に合わせた個別指導、時期に適した適切な進路指導情報の提
供、適切な刺激を与えて学びのインセンティブを育てて生きます。それによって、目
標を見失うことなく到達できるよう導きます。これからも根拠のない憶測や独善的な
経験に頼らず、幅広いところから謙虚に学んで指導に活かします。
③
募集・広報活動
生徒募集については引き続き、本校の教育に価値を見出し、受けたいと欲する生徒
の獲得に努めます。そのためには、一人でも多くの中学生に直接説明する機会を設け
ます。具体的には、ホームページで明示するとともに、本校が企画する説明会の外に
も、中学校PTAが企画する説明会にも積極的に協力し、あらゆる機会を利用して受
験生に語りかけていきます。また、本校の学校生活を肌で感じてもらえる機会を作り
ます。価値観を同じくさせた生徒同士が、本校の学校生活をとおして切磋琢磨するこ
とこそ、本校が望ましいと考える学校生活そのものです。
④
生活指導
本校の生活指導は、本校生活の指導です。すなわち、本校の指導が活きるよう学校
生活のあらゆるアドバイスを言います。髪染といった不要な時間を費やすことになる
行為、イジメを含む不安から学習や部活動に専念できなくなるような事態を招く行為
を禁じるなど、様々な生活の仕方について事細かく指導助言します。また、生活指導
統一基準に照らして、チャイム始業に取り組みます。安全、安心、快適な学校生活は、
勉強や部活動に専念するために不可欠なものです。したがって、本校生活の指導は本
校の学習指導が浸透し、志望大学合格として結実することを支える、最も基本で重要
な指導と言えます。
⑤
部活動
本校では、部活動を奨励しています。ただし、心身の発達に偏りの無い人間を育て
る上から重要な活動と位置づけているため、勉強との両立ができてこその活動である
ことを求めます。また、単なる同好の集いとはせず、社会人としての人間関係構築に
資するための鍛錬の場、あるいは入試のための精神力や体力を育成する場としていま
す。したがって、ときには結果や成果にこだわることを求めます。とはいえ、好まし
い社会の構成者を育てる場であることを認識し、体罰が発生するような環境はけして
作りません。
⑥
学校行事および特別活動
日々の生活から得る感動や喜び、達成感を級友とともに味わうことなくして、生徒
が魅力を感じる学校にはなりません。そんな日々があるからこそ、所属意識や母校愛
が生まれ、良き校風や伝統の担い手になれるものです。したがって、学校行事やホー
ムルーム経営にはそうした意図を持って当たります。生徒会や委員会活動、清掃と整
理整頓は、学習に集中する環境づくりに不可欠のこととして、個々の生徒に目的意識
を持たせて取り組ませます。こうした経験の中からも、市井の人の真の意味を学び取
らせ、生徒の成長を促していきます。
⑥
心身の健康づくり
いかに本校での学校生活を意欲的に送ろうという意思があっても、心身の健康なく
しては叶うはずもありません。また、将来、社会の担い手として羽ばたくにも、事故
等で何らかのハンディキャップを持つことは回避しなければなりません。生徒の心身
にわたる健康安全については、健康管理、事故等未然防止等に、全教職員による指導
体制で臨みます。また、配置されているスクールカウンセラーを有効に活用し、学校
全体の相談体制・カウンセリング能力のレベルアップを図ります。さらに、特別支援
教育についての深い知識を持つことに取り組みます。
⑦
防災教育
『発災時に高校生は手を差し伸べる側だ』ということを理解していても、活用でき
る知識や技術を持たなくては、実際に手を差し伸べることはできません。そこで、救
急救命法の習得や避難所の役割についての理解および運営の訓練等、卒業後も活用で
きる内容を学ばせます。近隣には住居が多く、高齢者の住む住宅も多くあり、万が一
の発災時には、地域の対災の拠点としての機能を持つ学校としての期待もあります。
その期待に応えるよう、生徒および教職員の訓練を継続して行ないます。そのために
も、防災教育に係る十分な教材の充実と活用とを図っていきます。
⑧
学校経営・組織体制
地域を代表する学校に相応しい活動をより充実させていきます。映画のまち調布が
主催する高校生フィルムコンテストがあります。こうした催しの常勝校となることで、
市民からの信頼や期待を集めます。多くの学校が抱える地域からの苦情を声援に変え
ることで、本校のミッションにも活かしていく所存です。また、PTAや同窓会と連
携し、教育効果を高めていきます。経営企画室は、経営目標を見据えた学校予算の編
成と適正な事務執行を行うとともに、企画型・経営参画型の経営企画室運営を目指し
ていきます。そして今年度からは、昨年の実績を活かして、新たに企業との連携を図
ります。
(2) 重点目標<本年度の数値目標>
① 国立大学合格者数
② 難関私大(早慶上智等)合格者
③ MARCH合格者数
④ 本校教員が直接接触する中学生の数
⑤ 部活の活躍で戴く各種団体からの賞状
10名
4名
45名
5,000 人以上
30枚
⑥ 生徒が防災教育の指導的役割を果たす場面
3回
(3) 重点目標達成のための具体的方策
① 新たにSPP事業に参加し、理系進学希望者の支援を行ないます。
② 電気通信大学による出張講義および研究室訪問はより参加者を増やすとともに、目指
すべき大学から講師を招いて講座を開いて、なお一層の生徒の学問に対する興味関心
やモチベーションアップに繋げます。
③ 引き続き、評定と実力試験の得点の間の相関をチェックするなどして、授業について
の自己点検を行ないます。
④ より詳細な家庭学習時間の調査を実施し、与える課題の内容点検に用い、効果的な家
庭学習の展開を促します。
⑤ 学力スタンダードの適正な実施に向けて、教科主任会議による進行管理を行ないます。
⑥ 各学年とも三者面談および個人面談を行い、学校で実施している実力テスト等の結果
を用いるなどして、個別具体的な進路指導を展開します。
⑦ 長期休業および放課後の講習・補習については、受験指導を念頭において開設し、生
徒の参加を一層促します。
⑧ これまでの衛星予備校の導入や自習室の管理は引き続いておこない、赤本などの充実
に加えて、学習環境を整えるよう設備品の購入にも積極的に取り組みます。
⑨ 本校の価値を理解する受験生を獲得するため、説明会だけではなく部活動などを体験
できる機会を増やします。
⑩ 地域の災害対策の拠点となるため、生徒の意識の向上を図ります。そこで、訓練は参
加するのではなく、指導的役割を務めるようにします。
⑪ 引き続き「Mプライド」の内容充実に努めます。
⑫ 昨年、全ての教員が進路指導力向上に取り組み、ノウハウを獲得しました。今年はそ
れを確実に実践することを支援する研修を実施します。