第1章 直流電位差計による起電力の測定

第1章 直流電位差計による起電力の測定
Measurement of E.M.F. by DC Potentiometer
1.1 目的
直流電位差計を用いて電池の起電力を測定し、電位差計の原理と使用方法を習得する。
1.2 理論
電池の起電力測定に直流電圧計を用いると、回路に電流が流れ、内部抵抗損失及び分
極が生じる。そのため、直流電圧計の端子電圧Vは内部抵抗及び分圧による電圧降下の影
響を受ける、即ち、端子電圧Vは
V  E  Ir  Vp ,
と表される。ここで、E:起電力
I:電流
(1.1)
r:内部抵抗 Vp:分極電圧である。
これに対し、直流電位差計は電流を流さずに電池起電力Eを測定できるため、電池内部
抵抗、分極の影響を受けずに起電力を測定することができる。以下、原理を説明する。
K1
R
I
M
b
E
N
a
P
G
Es
K2
K3
Ex
図1.1:直流電位差計の原理図
1
図1.1 は直流電位差計の原理を説明する図である。いま、抵抗線 MN に一定電流 I を流
しておき、切換スイッチ K2 を標準電池 Es 側または被測定電池 Ex 側に倒し、端子 P
を動かしてそれぞれ a、b の位置において、検流計 G の振れが零になったとする。その
ときは標準電池および被測定電池からは電流は流れないため、抵抗 Ma および Mb 間の
電圧降下はそれぞれ加えた起電力 Es または Ex に等しくなる。すなわち
Ira  E s , Irb  E x .
ただし
(1.2)
ra、rb はそれぞれMa、Mb 間の抵抗である。式(1.2)から
Ex 
rb
Es ,
ra
(1.3)
となり、電池に電流を流さずに電池の起電力Ex は標準電池の電圧と抵抗の比から求まる。
したがって、一定電流 I に対して抵抗線上に直接電圧値を目盛っておけば電圧値を直読
することができる。
1.3 方法
1.3.1 コンパクトキャルの準備
1.7.1項に従ってコンパクトキャルの準備をする。
1.3.2直流標準電圧電流発生器の準備
1.7.2項に従って直流標準電圧電流発生器の準備をする。
1.3.3精密級直流電位差計の準備
1.7.3項に従って精密級直流電位差計の準備をする。
2
1.3.4 電池の起電力の測定
図1.2のようにEx 端子に披測定電池をつなぎ、Ex /Es 切替スイッチをEx 側にする。
CURRENT ADJ の3つのダイアルは調整済みであるから一切手は触れず、mVの4
つ(V1、V2、V3、V4) のダイアル群により検流計の振れが零になるように合わせる。
(検流計は、G2、G1、G0、の順に選択して行う。)
2. 測定は、GA のNOR 側、REV 側それぞれ3~4 回ずつ行うこと。
1.
CC
-
+
Es
Es ADJ
SG
G
GA
GA
0.15V
-
1.5V
+
G2 G1 G0 Gs
NOR
GA
REV Es
+
MEDIUM
V3
V2
-
Ex
BA
CURRENT
COURSE
V1
DB
V4
Ex
DC
図1.2:電池の起電力の測定結線図
CC: コンパクトキャル
DB: 披測定電池
SG: 直流標準電圧電流発生器
G: 検流計
3
FINE
1.4 結果
標準電圧発生器の電圧 Es=
V
電池の
披測定電池の起電力Ex(V)
番号
NOR
REV
平 均
DMM
直流電圧 VD
(V)
携帯用電圧計
直流電圧 VH(V)
1.5 注意
電源と標準電圧発生器(または被測定電池) との極性を同一にする。
1.6 考察のヒント
1.
2.
3.
4.
電池の起電力を直流電位差計と携帯用電圧計で測定した場合に計器の動作原理的な
差について調べて,データの違いについて検討を行う。
直流電位差計の使用に際して、電源と標準電圧発生器(または被測定電池) との極性
を誤った場合には、いかなる影響があるかを検討する。
起電力の小さい電池について、どうして低下したのかを考える。
起電力の大きい電池と小さい電池とでは、直流電位差計の測定値と携帯用電圧計の測
定値の差が異なる。なぜか検討する。
4
1.7 実験装置・規格
1.7.1 コンパクトキャルの準備
電位差計への標準電圧供給にはコンパクトキャルを用いる。(図1.3 参照)
1. 側面の SOURCE 端子を電位差計の ES 端子に、極性+ (HI、赤)、- (LO、黒) に
注意して接続する。
2. 上面のPOWER スイッチを押す。
3. 液晶の表示部に“MEASURE”、“SOURCE”、“OFF”、“0.000”、“mV”が表示される
のを待つ。
4. “SOURCE”の“RANGE”ボタンを押し、液晶の表示部の“mV”と“0.000”を“V”と
“0.00000”に変える。
5. 図1.3 の“1”から“0”までのキーを使用して液晶表示部の“0.00000”を“1.01860”の表
示に変える。
6. “SOURCE ON”キーを押し、液晶表示部の“OFF”を“ON”に変える。以上の操作に
より、電位差計へ標準電圧が供給される。
側面
SOURCE
HI
LO
上面
POWER
MEASURE
DC
SOURCE
ON
V
1.01860
SOURCE
FUNCTION
SOURCE
RANGE
O
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
図1.3:コンパクトキャル
5
1.7.2 直流標準電圧電流発生器の準備
OUTPUT 端子を電位差計のBA 端子に、極性(+-) に注意して接続する。
POWER スィッチを“ON” にする。
RANGE を“10V” に設定する。
OUTPUT DIVIDER のダイアル“m”と“n” をそれぞれ“1” に設定する。
出力極性切換スィッチP を上(“+”側)へ押す。
電圧設定ダイアル(E1、E2、E3) を回して、表示部(D1、D2、D3、D4、D5) を“4.2V” に
設定する。
OUTPUT のON/OFF 切替スイッチを上(“ON” 側)へ 押す。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
DC VOLTAGE CURRENT

m
n
D1
+
D2
D3
D4
D5
E3
E2
E1
P
STANDARD
-
OUTPUT
RANGE
OUTPUT
DIVIDER
+
m
n
G
-
OUTPUT
ON
OFF
POWER
1
図1.4:直流標準電圧電流発生器
m
:倍率表示
n
D1からD5:電圧表示部

P:出力極性切替
E1からE3:出力電圧設定ダイヤル
6
1.7.3 精密級直流電位差計の準備
Es の端子に標準電圧発生器(コンパクトキャル1.7.1 項の準備を参照) を接続し、
標準電池の起電力と同じ電圧に合わせる。
2. GA 端子に検流計を接続する。BA の端子に直流標準電圧電流発生器(1.7.2 項の準
備を参照) を接続し、電圧を4.2V に合わせる。
3. ES ADJ のダイアルは標準電圧発生器の電圧に合わせる。RANGE は“1.5V” 側にし、
Ex /Es 切替スイッチはEs 側にする。
検流計の保護抵抗G2、G1、G0、の順に順次合わせ、CURRENT ADJ のダイアルを
4.
調整して検流計の振れが零になるようにする。
1.
以上
7