モンゴル国での講演と遊牧民の体験(その1)

モンゴル国での講演と遊牧民の体験(その1)
講演前夜、羊料理で栄養補給
肉料理が中心であるものの、中華風
特許局および著作権局の機能を統合、
去る7月 20 日、還暦にして初め
の小龍包、ロシア風のピロシキなどか
現在のモンゴル知的財産庁(IPOM)
てモンゴルの地に降り立った。
ら始まり、極め付きは羊の頭。脳みそ
を創設した。IPOM としては、まだ
成田発の直行便でウランバートル
も含めてたっぷりいただいた。少しは
20 年弱の歴史であり、長官はモンゴ
のチンギスハーン国際空港に到着。
自分の脳みそを補給できたかも
(?)
。
ル国副首相の直轄となっている。
IPOM は「国際的水準を満たしな
約5時間半のフライトは意外に早い
と 感 じ た。 空 か ら 見 た 首 都 ウ ラ ン
モンゴルの知財事情
がら、モンゴルにおける知財保護の
バートル近郊は、一面が緑の大草原。
翌朝から仕事開始。まずは、現地
社会的・経済的な価値を追求してい
その中に、モンゴルの全人口の約半
の 特 許 事 務 所 PATMON TTO を 訪
く」とスローガンを掲げ、既に、パ
分(128 万人)が暮らしている。
問し、現地における知的財産関連の
リ条約、マドリッド協定、WIPO 設
四方を山で囲まれたウランバート
制度の状況をヒアリングした。
立条約、PCT、ハーグ協定、TRIPs
ル市街は、東側が高層ビル、西側が
モンゴルでは、1960 年に国家発明・
協定等の国際条約に加盟しており、
工業地区のようだ。なかでも目立つ
技 術 革 新 委 員 会 が 設 置 さ れ、1970
2013 年に一連の知的財産権法改正
のが火力発電所。この時はまさか、
年に国家科学技術委員会内部に発明・
に署名している。
この火力発電所が今回の私の講演舞
技術革新に関する部局が設置された。
年間の特許出願および意匠出願が
台になるとは思いもしなかった。
これらの経緯を経て、1990 年に国家
それぞれ数百件ずつ、商標出願が数
チンギスハーン国際空港では、私
開発省の下に特許・商標庁、1993 年
千件というのが近年のペースである。
の友人(政府役人)の女性が出迎え
に文化省の下に著作権庁が設置された。
てくれた。空港到着は午後7時ごろ、
そして、1996 年7月の議会選挙の
ま だ 陽 が 高 く、 そ の 足 で チ ン ギ ス
後、同国政府は司法省の管轄として、
ハーンの像を構えた国会に直行。
【事務所情報】
"PATMON TTO" trademark office
Ulaanbaatar city, Mongolia
E-mail : [email protected]
Tel : 976-99151012
モンゴル国の講演前夜の様子と特許事務所訪問
モンゴルは、1200 年ごろの帝国
時代から多くの苦難を乗り越え、戦
後 1961 年に国連への加盟を認めら
れた。現在は民主主義国家として安
定した成長を遂げている。大自然に
囲まれ、280 万人という少数民族に
背後にはチンギスハーン像
なった現在は、帝国時代のすべてが
羊の頭(美味!)
夢の跡。戦いの形跡を垣間見ること
はできない。
夜の歓迎会はモンゴル料理店。昔
から使われている伝統的な調理具が
飾られた素敵なレストランだ。大半
は西洋人が占め、満席となっていた。
38 The lnvention 2014 No.12
チンギスハーン国際空港にて
特許事務所 PATMON TTO にて