HHT JAPAN 2015 HHTのスクリーニングプロトコル 西田武生(にしだ

HHT JAPAN 2015
HHTのスクリーニングプロトコル
西田武生(にしだ たけお)
市立堺病院 脳神経外科
スクリーニングとは、ある母集団に対して、無症候、無症状の隠れた疾病を検査で見つける方法で、
スクリーニングプロトコルとはその対象や検査方法を標準化したものである。疾病がスクリーニン
グの対象になるかどうかは、その疾病の自然歴が充分に解明されており重篤化しうるものかどうか、
検査が簡便で適切な感度特異度のものかどうか、診断治療が確立していて費用対効果が妥当かどう
か、検査や治療ができる施設が充足しているかどうか、など様々な点で判断されている。
HHTにおいては、HHTと診断されたもしくはHHTが疑われている患者に対して、鼻出血の影に隠
れた無症候性の内臓血管奇形を何らかの検査で検索することを指す。2011年にHHT international
guidlineが出稿されているが、エビデンスが充分ではないためにエキスパートコンセンサスに留まっ
ており、項目によってはコンセンサスが高くないものもある。欧米諸外国のHHTセンターでのスク
リーニングの実情を調査したところ、肺については全てのHHTセンターでスクリーニング対象になっ
ていたが、英ではCTのみで検査されており、その他の国ではまず経胸壁造影心エコーを行いその結
果に応じてCTが施行されていた。また、脳に関しては北米ではMRで検査されているが、英仏では
脳AVMに対する治療が自然歴を上回る根拠が乏しいことを理由にスクリーニング対象になっていな
かった。また、その他の臓器については何れのHHTセンターでもスクリーニング対象になっていな
かった。このように対象臓器や検査方法には多少のばらつきがあったが、そこには各国の医療技術
や医療情勢および価値観が大きく関わっていると推測される。
昨年の本研究会世話人会で日本でのHHTのスクリーニングプロトコル策定を目的としたワーキング
グループが作成され、全国の各臓器の専門家が議論を重ねている。今回は諸外国でのスクリーニン
グの実情および日本でのスクリーニングプロトコル策定の現状を述べる。
Nishida T