10回転ループコースターを作ろう 半田市立乙川中学校 榊 原 徳 久 1.はじめに 理科は、子どもの好奇心や探究心をくすぐり、楽しみながら学習ができる教科だと思う。この教 材は、そんな理科の強みを発揮させることで、「勉強って楽しい」、「考えることは楽しい」という 感覚を味わわせようと考えたものである。 2.教材について (1)用意するもの o鉄球 …直径11㎜程度。ビー玉でもできるが、大きすぎてコースアウトしやすくな る。また、これより小さい鉄球だとコースアウトはしないが、質量が軽くな りループしにくい。 o配線モール …『ELPA7654-6 ABSモール ミニ 1~ 2m』 。写真1のように“返し”がついているタイプ のモールを使用する。 o木片 …大きさは適当でよい。ホームセンターなどで端材とし て購入できる。 写真1:“返し” (2)作り方 <土台作り> ① 配線モールをレール用(カバー)と土台用( “返し”がある方) を分ける。 ② 土台用モールを4㎝程度に2つ切る。 ③ 写真2のように、土台用モールを木片に釘で取り付ける。テー プ付きのモールだと取り付けが簡単である。取り付ける間隔を示 したが、それぞれが近すぎなければ適当で良い。 注 意 ・釘をモールの溝に打ち込まなければならないので、ペンチなどを 間にかませて打つとよい。 ・土台用モールは何度も使っているうちに“返し”が折れてしまう。 替えを多めに作っておくと授業がスムーズになる。 5㎝程度 1~2㎝ 写真2:取り付け位置 <レールの連結部品> ① 土台用モールを5㎝程度の長さに切る。(写真3) ② ループを作るのと同様に、両側からレールを入れ、ループコースター同士をつなぐ。 両側からレール を入れる。 写真3:連結部品 写真4:連結後(2回転) <ループコースター作製> ① 写真5のように、レール用モールを土台に取り付ける。 ② 片方が付いたら一回転ひねり、もう片方の土台に付ける 注 意 ・取り付ける際に少し力がいるので、怪我をしないよう注意する。土台の角からレールを 入れ、引き抜くように付けると安全である。 ・土台用モールを、ペンチなどで少し広げておくと取り付けやすい。 角から入れて 引き抜く。 写真5:レールの取り付け 写真6:一回転ひねれば完成 写真7:協力して作製 3.教材の活用方法 ア 既習事項を活かして予想する場面をつくれる 『確実に10回転するループコースターを作ろう』という課題設定をし、完成予想図を作らせ るとよい。今まで学んだことを活かしながら、一生懸命考える。また、予想させることで、その あとの作製に対する意欲が向上する。 イ 活発な話し合い活動ができる 十分に予想させることが前提だが、班や学級で話し合い活動を行うことができる。かなり盛り 上がる。 写真8:班の発表 ウ 写真9:10回転ループコースター完成予想図 いろいろな実験に使える 配線モールと鉄球は、単元「運動とエネルギー」の実験でかなり使うことができる。レールを まっすぐ置けば等速直線運動の実験や運動エネルギーにおける衝突実験。ループを作らず斜面を 作れば、力学的エネルギーの保存の実験に使える。レールと鉄球間の摩擦が小さく、理想的な実 験結果が出やすい。また、一つ一つが安価なため購入しやすい。 4.おわりに 学級全員で予想して、試行錯誤しながら10回転 ループコースターを作る。10回転した瞬間、大き な歓声が必ず上がる。理科の楽しさ、学級で1つの ものを作る楽しさ、達成感が一度に味わえるおすす めの教材だと、私は考えている。もし、興味があれ ばお試しください。 写真 10:大人がやっても大盛り上がり。
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