生物資源科学専攻修士 1年

マレーシア短期派遣 2015 事前準備課題
――日本企業とマレーシアのハラール産業――
生物資源科学専攻修士 1 年
牧下彩乃
マレーシアに進出している日本企業の約 60%は製造業であり、その中で食品・飲料分野
の割合は約 3%である。マレーシアには 200 以上の工業団地があり、多くは政府機関が開
発・運営を行っている。工業団地には特定分野に特化したものもあり、ハラール食品の生
産加工に特化したハラール工業団地がある。
現在、世界のムスリム人口は約 18 億人で、世界人口の約 1/4 にあたり、世界中にハラー
ル市場が広がっている。
(市場価格は約 6800 億 US ドル(約 70 兆円)
。
)しかしハラール製
品の供給量は世界需要の 20%以下であり、需要はさらに拡大している。マレーシア政府は、
ハラール産業の発展による国家の経済成長を図ろうとしている。
マレーシアの人口は約 3,000 万人と日本の約 1/4 であるが、全体の 6 割がムスリムで、日
本に居るムスリム人口の約 100 倍の人々が生活をしている。世界全体から見ると、その数
は 20 位と多くは無いが、ムスリム数世界一(約 2 億人)のインドネシアが隣接しており、
南アジアのインド、バングラディッシュ、パキスタンなどのムスリム大国とも海を通じて
つながっている。これらの地理的利点を生かし、マレーシアは世界のハラール・ハブとな
ることを目指している。
ムスリム市場への参入にはハラール認証の取得が重要であるが、国際基準はなく、国ご
とにイスラーム法の解釈や準拠の程度などが異なるため、認証制度が煩雑化している。マ
レーシアでは 1970 年代からハラール認証制度の整備が進められており、政府によるハラー
ル認証が世界で初めて行われた。また、世界中のハラール認証機関と連携して、ハラール
の国際基準となるマレーシア国家の基準が作成され、国外からの信頼も高い。
日本食品でハラール認証を得たものは、現地マレーシアで生産されたものが大半であり、
総じてハラール認証を得た日本食品の数は少ない。ハラール工業団地である「ハラール・
パーク」は国内に 20 ヶ所以上設置されており、生産、包装、物流が整備されていることか
ら、製品のハラール認証が受けやすくなっている。日本企業ではキューピーや味の素など
がハラール・パークに進出している。セランゴール州のハラール工業団地は、2014 年 5 月
に日本企業の誘致に向けた説明会を開催しており、今後さらに日本企業が進出すると考え
られる。
【参考資料】
www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120403.pdf
www.jetro.go.jp/world/seminar/94/material_94.pdf
https://www.okb-kri.jp/_userdata/pdf/report/140-2.pdf
http://www.okb-kri.jp/_userdata/pdf/report/150-focus1.pdf
並河良一(2011). 食品のハラル制度の技術的性格と対策. 日本食品工学会誌 12, 137-146
http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2014/pdf/2014-my.pdf
http://www.hitachi-hri.com/research/organ/pdf/vol7_4_3.pdf
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9034.html
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000032/05001672-2-3.pdf
店田廣文(2013). 世界と日本のムスリム人口 2011 年. 人間科学研究 26, 29-39.
http://www.jasnet.or.jp/4-shuppanbutu/pickup/13.08.pdf
http://www.shokusan-sien.jp/sys/upload/171pdf1.pdf
http://www.mihas.com.my/
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201407/malaysia/index03.html
http://www.halal.or.jp/halalnews/event_report/1087/