昭 和63年3月20日 217 Enterococcus faecalisの 実 験 的敗 血 症 にお け る 病 原 因 子 に 関 す る基 礎 的 検 討 東邦大学医学部微生物学教室 小川 正俊 宇治 達哉 宮崎 修一 五 島瑳 智子 (昭和62年10月2日 受付) (昭和62年11月10日受理) Key words: E. faecalis, Haemolysin, Mixed infections, Virulence, Pathogenecity 要 E.faecalisの 溶 血 株 お よ び非 溶 血 株 とE.coli, け る菌 力 を 検 討 した 結 果,E.faecalisの 旨 K.pneumoniae, P.aeruginosaの マ ウス混合 感染 に お 溶 血 株 は 非 溶 血 株 に く らべ 他 菌 種 との 混 合 感 染 に お い て 感 染 菌 力 が 強 い こ とが 認 め られ た. またE.faecalisとE.coliと の 混 合 感 染 に お い て,マ ウス の血 中菌 数 は 単 独 感 染 時 に 比 べ 長 時 間 持 続 した. E.faecalisの 溶 血 株 に よ る混 合 感 染 増 強 効 果 は,マ ウ ス好 中 球 の 貪 食 殺 菌 作 用 阻 害 が 主 因 で あ る こ と が 立 証 され た. は じめ に E.faecalisは TMS64,臨 現 在 最 も 使 用 頻 度 の 高 い β-lac- tam剤,cephem系 床 か ら 分 離 し た 当 教 室 保 存 のE.coli C11,K.pneumoniae TMS-1お よ びP.aeruginosa 薬 剤 に 対 し耐 性 株 が 多 い た め TFO3445を 使 用 し た.ま か,近 年,臨 床 材 料 よ り分 離 頻 度 が 増 加 し て い る こ TMS64-1は そ れ ぞ れ の親 株 か ら得 ら れ た 非 溶 血 と が 知 ら れ て い る1)2).その 病 原 的 因 子 に つ い て は, 株 で あ る. protease, hemolysin, 報 告 さ れ て い る が,本 bacteriocinな ど につ い て 菌 単 独 で は重 症 感 染 例 は き 2.マ たE.faecalis ウス 全 身 感 染 系 で の 生 残 率 感 染 菌 をBrain heart infusion わ め て 少 な い3)∼11).し か し 臨 床 に お け る 本 菌 の 感 平 板 に 一 夜 培 養 し,生 染 は 他 菌 種 と の 混 合 感 染 例 が 多 い こ と か ら,本 C11, 菌 に は 他 菌 種 の 感 染 を助 長 す る役 割 を果 た す いわ 3445の 場 合 は107,106cfu/mouse, ゆ る 間 接 病 原 因 子 の 存 在 が 推 測 さ れ る. 95(hemolysin 今 回,マ ウ ス 全 身 感 染 系 を 用 い て,E.faecalisと K.pneumoniae producing TMS95-1(hemolysin て 検 討 し た の で,そ た は 混 合 感 染 さ せ た. マ ウ ス は7日 1.使 用菌株 た.マ 尿 路 感 染 症 か ら 分 離 し たE.faecalis 別 刷 請求 先:(〒143)大 TMS95, 田 区大 森 西5-21-16 小川 正俊 strain)お IFO TMS よ びE.faecalis strain)で は マ ウス腹 腔 内 に単 独 ま 間 生 死 を 観 察 後,生 残 率 を算 出 し 用 い た. 染 マ ウ ス の血 中 菌 数 測 定 E.faecalisを108cfu/mouse, 東邦 大 学 医学 部 微 生 物学 教 室 E.faecalis ウ ス はICR,4weeks,male,19±1g,10 animals/groupを 3.感 P.aeruginosa non-producing 108,107,106cfu/mouseを の 結 果 を 報 告 す る. agar(Difco) 理 食 塩 液 に 懸 濁,E.coli TMS1, 他 菌 種 と の混 合 感 染 に お け る感 染 増 強 効 果 に つ い 材 料 と方 法 TMS95-1, cfu/mouseを E.coliC11は107 単 独 ま た は 混 合 感 染 さ せ た 後,経 時 感染症学雑誌 第62巻 第3号 218 的 に マ ウ ス の 心 臓 か ら 血 液 を 採 取 し,生 定 し た.E.coliの 場 合 に はBTB培 し,E.faecalisで はEF培 菌 数を測 地 に よ り分 離 地 を 用 い た.測 は 感 染 後,1,5,10,15,20時 定時間 間 と しn=3の 平 hydrogenphosphate citrate2H2O 0.05%お る)で37℃,8時 を2ml腹 間 後 にHanks液3mlで を 洗 浄 し,PMNsを 腔 内 投 与 無 菌 的 に腹腔 内 採 取 し た.PMNsを106cells/ 調 整 し,rote rackを 用 い37℃ 速 度 で 上 下 運 動 さ せ,1時 数 を 測 定 し た.菌 よ びglycerin sodium 1%か らな 間後 の残存生菌 を 混 合 した 場 合 は そ れ ぞ れ 分 離 培 養 濾 液 の調 製 一 夜 培 養 し た 菌 液 をB-YEG培 地(yeast E.faecalis C11が TMS95ま producing 2) Hemolysin non-producing た はTMS95-1とE.coli そ れ ぞ れ の 単 独 感 染 で は,マ ウ ス が100%生 亡 率が高 く extract 1に 示 し た. E.coliC112×107cfu/mouseと E.faecalis ウ ス は100%生 染 さ せ る と90%が 死 亡 し た. E.faecalisを4×107cfu/mouseと strain strain induced from E. faecalis TMS95 溶血株 で ある TMS954×108cfu/mouseの 単 独 感 染 で は,マ Table 1 Bacteria detected from dead mice and mortality in experimental E. coli C11 and E. faecalis TMS95 or E. faecalis TMS95-1 1) Hemolysin 績 独 お よび 混 合 感 染 時 の 菌 力 の 差 な り,感 染 菌 力 が 増 強 す る 成 績 をTable で 約10 定 量 し た. 5.E.faecalisの 0.7%, 残 す る 菌 量 を 混 合 感 染 さ せ た 場 合,死 ml,E.faecalisは1×105cfu/ml,E.coliは3×104 cfu/mlに 0.2%, 間振 湯 した 培 養 液 を 濾 過 滅 菌 し 成 1.単 貧食殺菌 能 マ ウ ス に0.5%glycogen液 rpmの dipotasium 染 菌 に 対 す る マ ウ ス 多 形 核 白 血 球 (PMNs)の し,4時 dihydrogenphosphate て 調 製 し た. 均 値 を 求 め た. 4.感 1%,potasium それ ぞれ 残 す る が,混 合感 す る と死 亡 率 mixed infection with 219 昭 和63年3月20日 Table 2 Bacteria detected from dead mice and mortality in experimental E. coli C11 and E. faecalis TMS64 or E. faecalis TMS64-1 1) Hemolysin producing 2) Hemolysin non-producing は60%で strain induced from E. faecalis TMS64 TMS954×108cfu/mouseの で は 死 亡 率 が20%と E.faecalisの meet strain は マ ウ ス の 死 亡 率 が10%で あ り,E.coliC11を2×106cfu/mouse, E.faecalis 混合感染 溶 血 株 で あ るTMS95をcooked 間培 養 して 得 られ た 非 溶 血 株 TMS95-14×108cfu/mouseとE.coli 107/cfu/mouseの は50%で C112× 混 合 感 染 で は,マ あ っ た が,攻 ウス の 死 亡 率 撃 菌 量 を そ れ 以 下 にす る と C112×107cfu/mouseとE.faecalis4× 108お よ び4×107cfu/mouseの 亡 マ ウ ス の 血 中 か ら,こ 混合 感 染 に よ る死 れ らの 感 染 菌 が ほ ぼ 等 量 C11とE.faecalisのTMS64 の 混 合 感 染 の 成 績 で,E.coli mouseとE.faecalis お い て は20%の 死 亡 率 で あ っ た. 死 亡 マ ウ ス の 血 中 か ら はE.faecalisの がE.coliよ 生菌 数 り多 か っ た. E.faecalis TMS64か るTMS64-1とE.coli ら得 られ た 非 溶 血 株 で あ C11の 混 合 感 染 で は,ど 感 染 菌 量 に お い て も マ ウ ス の 死 亡 率 は0%で E.coli C11と TMS22と Table の あ っ C11が2×107cfu/ TMS64の5×108cfu/mouse で は マ ウ ス の 死 亡 率 が40%,5×107cfu/mouseで 臨 床 分 離 溶 血 株 のE.faecalis 非 溶 血 株TMS77の 混 合 感 染 の 成績 を 3に 示 し た. E.coli 検 出 さ れ た. Table2はE.coli C112× TMS64の5×108cfu/ た. す べ て の マ ウ ス は 生 残 し た. E,coli あ り,E.coli 106cfu/mouseとE.faecalis mouseに な っ た. medium7日 mixed infection with C11と 溶 血 株 で あ るE.faecalis の 混 合 感 染 で は,E.coli E.faecalis C112×107cfu/mouseと 4×108cfu/mouseの と きマ ウ ス の死 亡 率 は20%,E.faecalisを4×107cfu/mouseと と10%と な り,死 TMS22 す る 亡 マ ウ ス か ら の 血 中 分 離 菌 は, 220 感染症学雑誌 Table 3 Bacteria detected from dead mice and mortality in experimental E. coli C11 and E. faecalis TMS22 or E. faecalis TMS77 1) Hemolysin producing 2) Hemolysin non-producing E.coliとE.faecalisが mixed infection with strain strain 同程 度 の比 率 で 分 離 さ れ た. Table4に 示 し たK.pneumoniaeとE.faecalis の 混 合 感 染 で は 溶 血 株 のE.famlis 非 溶 血 株 のTMS77とE.coli は,ど C11の 混 合 感 染 で の 感 染 菌 量 の 組 み 合 わ せ に お い て も,マ ス の 死 亡 率 は0%で あ っ た. 第62巻 第3号 ウ TMS953× 108cfu/mouseとK.pneumoniae TMS12×107 cfu/mouseの 死 亡 率 が 認 め ら れ,死 感 染 菌 量 で は20%の 亡 マ ウ ス か らは 両 菌 種 が 同 程 度 の比 率 で Table 4 Bacteria detected from dead mice and mortality in experimental K. pneumoniae TMS 1 and E. faecalis TMS95 or E. faecalis TMS95-1 mixed infection with 221 昭 和63年3月20日 1) Hemolysin 2) Hemolysin 検 出 さ れ た.そ は0%で producing strain non-producing strain induced from E. faecalis TMS95 れ 以 下 の 菌 量 で は マ ウ スの 死 亡 率 あ っ た.ま たK.pneumoniae 溶 血 性 のE.faecalis TMS1と TMS95-1の 非 混 合 感 染 で は死 P.aeruginosa 染 で は,Table IFO3445とE.faecalisの 5の Table 5 Bacteria detected from dead mice and mortality in experimental P. aeruginosa IF03445 and E. faecalis TMS95 or E. faecalis TMS95-1 1) Hemolysin producing 2) Hemolysin non-producing り溶 血 株 のE.faecalis TMS952×108cfu/mouseとP.aeruginosa 34452×107cfu/mouseの 亡 マ ウ ス は 認 め られ な か っ た. と お 混 合 感 strain strain induced from E. faecalis TMS95 IFO 混 合 感 染 に よ りマ ウ ス mixed infection with 222 感 染症 学 雑 誌 Fig. 1 Transition of viable cells in blood and mortality on single or mixed infection with E. coli C11 and E. faecalis TMS95 in mice Single infection with (Hemolysin dose: 6×188 Mortality: Challenge cfu/mouse infection dose: Mortality: dose: with 1•~107 E. coli C11 Single E. faecalis TMS non-producing 3•~108 Mortality: 0% Single Challenge 第3号 Fig. 2 Transition of viable cells in blood and mortality on single or mixed infection with E. coli C11 and E. faecalis TMS95-1 in mice Single infection with E. faecalis TMS 95 (Hemolysin producing strain) Challenge 第62巻 95-1 strain) cfu/mouse 0% infection with E. coli C11 cfu/mouse Challenge 0% dose: Mortality: 1•~107 cfu/mouse 0% Mixed infection with E. faecalis TMS95-1 and E. coli C11 Mixed and infection E. coli Challenge with E. faecalis C11 dose: E. faecalls 6•~108 E. coli Mortality: 死 亡 率 は20%を 示 し,死 ICR, TMS 95-1 cfu/mouse 4weeks, 19±1g, 混合感染 におけ るマ ウス の 血 中 菌 数 の 推 移 faecalisの 溶 血 株TMS95とE.coli C11の 混 合感 染 マ ウ ス の 血 中 菌 数 の 経 時 的 推 移 を 示 し た. 溶 血 株 のE.faecalis の 単 独 感 染 で は,マ TMS956×108cfu/mouse ウ ス の 血 中 菌 数 は 感 染 後20時 間 後 に お い て も103cells/mlが 認 め ら れ た.な お こ の 条 件 に お け る マ ウ ス の 死 亡 率 は0%で Ecoh C11単 率 は0%で,感 独 感 染 に お い て は,マ 染 後10時 間 に はE.coliは あ っ た. ウスの死亡 マ ウス 血 中 か ら 検 出 さ れ な か っ た. E.coli CllとE.faecalis coli Cllの 混合感染 で 4weeks, 19±1g, 3animals/group ウ ス の 死 亡 率 は90%を 増 加 傾 向 を 示 した 示 . 非 溶 血 株 で あ るTMS95-1とE. 混 合 感 染 成 績 はFig.2に Cllま た はE.faecalis 示 し た. TMS95-1の 感 染 マ ウ ス の 死 亡 率 は と も に0%で coliは10時 間 以 内 に 消 失 し た.し 単 独 あ り,マ 血 中 菌 数 も 時 間 の 経 過 と と も に 減 少 し た.特 ウス にE か し混 合 感 染 で は マ ウ ス の 死 亡 率 が40%と な り,E.coliは 染 よ り も 混 合 感 染 時 に,長 単独感 時 間 血 中 に残 存 す る こ と が 認 め ら れ た. 3.マ ウス好 中 球 の殺 菌 作 用 マ ウ ス 好 中 球 の 殺 菌 作 用 がE.coli faecalisの TMS95-1の TMS95の 40%E ウ ス 血 中 の 菌 数 は 両 菌 種 と も10時 間 後,107 ∼108cells/mlと E.coli 1に 著 明 な 感 染 菌 力 増 強 が み ら れ たE. ICR, は 単 独 感 染 と 異 な り,マ E.faecalisの E.coliとE.faecalisの Fig. Mice: し,マ あ っ た. M ortality: 3animals/group 亡 マ ウ ス か らは 両 菌 種 が TMS 95-1 cfu/mouse . coli C11 1•~107 cfu/mouse 90% そ れ 以 下 の菌 量 で の混 合 感 染 で は マ ウ スの 死 亡 2. E. faecalis 3•~108 cfu/mouse 同 程 度 に 検 出 さ れ た. 率 は0%で Challenge: dose C11 1•~107 Mice: TMS95 溶 血 株 のTMS95お C11とE. よ び 非 溶 血 株 の 単 独 と混 合 に お い て 差 が あ る か ど う か を 検 討 し た 成 績 がFig. 3で あ る. 223 昭 和63年3月20日 Fig. 3 Bactericidal activity of mouse PMNs against E. faecalis TMS95, E. faecalis TMS95-1 and E. coli C11 E. coli E. faecalis E. faecalis TMS95: E. faecalis TMS95-1: Hemolysin from Fig. 4 producing Hemolysin Effect E. faecalis of strain non-producing culture strain induced TMS95 filtrate of E. faecalis on bactericidal activity of PMNs PMNs: Culture 1•~106 filtrate PMNs alone cells/ml, was added Bacteria: to the 1•~105 medium cfu/ml, at Incubation: 37•Ž for 2hours. 10% PMNs+culture filtrate (E. faecalis TMS95-1) PMNs+culture filtrate (E. faecalis TMS95) mouse 224 感 染 症 学雑 誌 E.faecalisの 溶 血 株 で あ るTMS95と のTMS95-1に 非溶血株 対 す る マ ウ ス好 中 球 の 殺 菌 作 用 は 差 が 認 め ら れ な か っ た.し か しE.faecalisとE. 第62巻 第3号 染 時 に,感 染 発 症 を 惹 起 し易 くす る 作 用 を もつ こ とが 示 唆 され た.し か もE.faecalisとE.coli,K. pneunoniaeお よ びP.aemginosaと の混 合感 染 coliの 混 合 時 に お い て は,E.faecalisの 非溶血株 に お い て,E.faecalisの のTMS95-1が りも殺 菌 染 増 強 効 果 が 強 い 成 績 が 得 ら れ た こ と か ら,E. 溶 血 株 で あ るTMS95よ さ れ る 傾 向 が 強 か っ た.混 C11に 合 時 に お け るE.coli 血 faecalisの 他 菌 種 に対 す る感 染 増 強 因 子 の1つ に は 少 な く と も溶 血 毒 が あ げ られ る こ とは 確 実 とい 溶 血 株 で あ る え よ う.こ の 因 子 の マ ウス好 中 球 へ の 作 用 に つ い 対 す る マ ウ ス の 好 中 球 の 殺 菌 作 用 は,溶 株 で あ るTMS95と TMS95-1の の 共 存 時,非 共 存 よ り も殺 菌 さ れ に くい こ とが 認 め ら れ た. 貧 食 殺 菌 能 に 4は 培 養 濾 液 の マ ウ スPMNsの 能 に 及 ぼ す 作 用 を,β 貧食 殺菌 型 溶 血 性 を 示 すE.fanlis 非 溶 血 性 を 示 すE.fanlis (親 株 はE.faecalis TMS95-1 TMS95),E.coli C11を 用 い て 検 討 し た 結 果 で あ る. PMNsと 菌 を 混 合 し た も の で は,残 残 存 生 菌 数)はE.fanlis か し,溶 間後 の C11で TMS95で TMS95-1は2%,E.coli は10%で あ っ は3.3%,E.faecalis C11は15%と 培 養 濾 液 を 加 え た 場 合 の 約1.5倍 培 養 濾 液 に はPMNsの 非溶血 株 の で あ り,溶 血 株 の 貧食殺 菌 能 に対す る阻害 作 用 が 認 め ら れ た. 考 Entncocns 察 faecalisは 多 くの 抗 菌 剤 に対 し耐 性 を 示 し,近 年 感 染 症 か ら分 離 さ れ る頻 度 が 増 加 して い る. 宮 崎 ら12)は敗 血 症 モ デ ル を 用 い て,マ す るE.fanlisの ウス に 対 菌 力 と菌 の 保 有 す る 各 種 の 性 状 を検 討 し,溶 血 性 が も っ と も毒 力 に関 与 す る こ と を報 告 して い る.本 報 に お け る実 験 的 混 合 感 染 系 で は,E.fanlisの 溶 血 株 とE.coliの 混合感 染 時 に お い て,感 染 力 増 強 効 果 が 認 め られ た.一 方 非 溶 血 株 とE.coliと の混合 感染 に お い て も マ ウス の 死 亡 率 は 認 め られ な か った が, E.coliの し か し な が ら本 実 験 はE.fanlisが 単独では 強 い 病 原 性 を発 揮 し得 る な く とも,宿 主 の 白血 球 の殺 菌 能 を弱 め る こ とに よ って,感 染 を 助 長 す る 血 中 残 存 時 間 が 延 長 す る傾 向 が み ら れ た.こ の こ とか らE.faecalisは 文 1) 島田 献 馨, 安達 桂 子, 田中喜 久 子, 佐 々木 宗 男, 畠山 動,上 条仁 子, 稲 松孝 男, 浦 山京 子, 岡 慎 一: 腸 球 菌 敗血 症 に関 す る研 究 一血 液 培 養 か ら分 血 株 の培 養 濾 液 を加 え た 場 合 の残 存 率 はE.faecalis 来 な い. 存生 菌 率 TMS95は2%,E.fae- calis TMS95-1は1%,E.coli E.faecalisの 感 染 に お い て 感 染 増 強 が 認 め られ る こ とか ら,こ 可 能 性 を 実 証 に した も の と考 えて い る. (作 用 開 始 時 の 生 菌 数 に 対 す る 作 用2時 た.し ら得 ら れ た 非 溶 血 株 で も混 合 の 作 用 は 溶 血 毒 の み で な く未 知 物 質 存 在 も否 定 出 及 ぼす影響 TMS95と て は す で に 宮 崎 らが 報 告 した 通 りで あ る12).E. faecalis TMS95か 4. 培 養 濾 液 の マ ウ スPMNsの Fig. 溶 血 株 が 非 溶 血 株 よ り感 他 菌 種 との 混 合 感 離 され た腸 球 菌49株 のspeciationと 薬 剤 感 受 性. Chemotherapy, 32: 435-438, 1984. 2) Moellering, R. C. Jr., Watson, B. K. & Kunz , L. J.: Endocardiatis due to group D streptococci, coparison of disease caused by streptococcus bovis with that produced by the enterocci. Am . J. Med., 57: 239-250, 1974. 3) Freeman, R. B., Murphy, T. E. Jr. & Dickstein, G.D.: Experimental renal infection: Acute and chronic studies of histology and function . Kidney Inf., 13: 129-135, 1978. 4) Harris, D.M.: The effect of secondary infection on the pattern of pyruia in experimental mirine pyelonephritis. J. Path. Bact ., 96: 421 -430 , 1968. 5) Gutschick, E. & Christensen, N.: Experimental endocarditis in rabbits 2. Course of untreated streptococcus faecalis infection. Acta Path. 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On the other hand, viable cells of E. coli in the blood of mice after mixed infectedwith a hemolysin non-producing E. faecalis and E. coli were remained longer than the case of the single infectionof E. coli. Forethermore, it was confirmed that hemolysin producing E. faecalis was inhibited the bactericidal activity of mouse neutrophile.
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