新機能性増粘剤の開発

新機能性増粘剤の開発
2015 年度金曜班
1.
背景,目的
化粧品や日焼け止め等には増粘剤と呼ば
分子の構造が破壊された場合にも水素
れる粘り気を増し,液体をクリーム状にす
結合によって疑似的に網目構造を保つ
る成分によって形が保たれている.
ことが可能であることから生じている
しかし,この増粘剤は効果の高い成分を
含めば含む程時間が経過するにつれてべた
と考えうる.
Table1 イオン交換水下粘度
ついてしまうという欠点があり,これを改
Amps
tri
2-hydroxyl
善するために多くの研究が行われてきまし
1 回目
258.76
210.33
1363.21
た.近年,粒状の高分子を用いることでこの
2 回目
259.14
222.62
1418.85
欠点を改善し得ることが発見された.
3 回目
261.66
227.01
1375.96
259.85
219.99
1386.01
そこで本研究では,材料の親水基と呼ば
平均流出時間 s
れる部分を変えることでよりべたつかない
動粘度 mm /s
1.953
1.653
10.417
増粘剤の開発を目的とした.
粘度 mPa・s
0.1170
0.09920
0.6250
2.
2
実験
逆相マイクロエマルション重合法によっ
Table2 HEAA 耐塩性評価
て,親水基を持つモノマーと他二種のモノ
2-hydoroxyl
Nacl なし
0.1 wt%
0.3 wt%
マーの共重合を行い,アセトンと 2-プロパ
1 回目
1363.21
954.86
407.58
ノールを用いて不純物の洗浄を行い,取り
2 回目
1418.85
944.67
412.65
出した粒状高分子を水に溶かし細管粘度計
3 回目
1375.96
950.21
410.76
によって粘度測定を行った. その後,
NaCl
平均流出時間
1386.01
949.91
410.33
動粘度
10.417
7.139
3.084
粘度
0.6250
0.4280
0.1850
粘性率 %
100
68.5
29.6
溶液にて耐塩性の評価を行なった.
3.
結果
本実験では一種の新規増粘剤の合成に成
功した.その粘度測定の結果は Table1 のよ
Fig.1 耐塩性評価
うになり,文献値から合成に成功した増粘
120
剤が一種類であることがわかった.
100
ルアミドについてべたつきへの耐性を測っ
たところ既出の増粘剤に比べ,その耐性は
強化されていた.
4.
考察
HEAA の耐塩性が高いのは親水基のヒド
粘性率%
その後,成功した 2-ヒドロキシルアクリ
80
60
40
20
0
0
0.1
ロキシ基が水素結合をつくるために重合中
における反応中のポリマー,オリゴマーの
が促進され,粒子径が小さくなりやすく構
造的な耐塩性が向上したこと,部分的に高
0.2
0.3
NaCl wt%
AMPS
2-hydroxyl
0.4