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日本と世界銀行の対パキスタン協力
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パキスタン:日本と世界銀行の協力
1. 国際協力機構(JICA)と現在実施中の協力事
業
関連情報(英語)
パキスタン概観
1.1 ポリオ撲滅・ 定期予防接種
世界銀行(以下、世銀)とJICAは、パキスタン政府による経口
ポリオワクチンの供給や定期予防接種拡大を通じたポリオ撲滅の
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93651
February 3, 2013
データ・統計
日本社会開発基金(JSDF)
取り組みを共同で支援してきました。ポリオ撲滅について
日本社会開発基金(JSDF)は、世
は、JICAと共同で委託した事業評価を現在実施中であり、同評
界銀行が運営し、途上国や社会的弱
価の結果に基づいて、IDAの「ポリオ撲滅のためのパートナー
シッププロジェクト(TPPEP)(フェーズⅢ)」の第1次追加融
者に対しグラントを提供していま
す。
資のバイダウン及びJICA の借款が無償供与に転換され、パキス
タン政府の借款が免除されます。最近実施されたTPPEPによる
当初貸付額へのバイダウンは、4010万ドルにのぼりました。世銀は現在新たな「パキスタン予防接種支
援プロジェクト」の準備段階にあり、世銀、JICA、その他パキスタンでの予防接種分野にて支援実績の
ある開発パートナー機関は、協調して同国政府の予防接種拡大計画(EPI)への支援を表明しています。
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1.2 エネルギーセクターへの協力
JICAは現在、国際開発協会(IDA)およびアジア開発銀行(ADB)とともにエネルギー改革に関する重
点事業への協調融資(開発政策借款)を実施する可能性を検討中であり、2013年9月の検討ミッション
および12月の準備ミッションに共同参加しています。同借款は、(i)より自動的かつ市場に連動した新
たな料金設定方式の導入、(ii)エネルギー企業の経営効率改善と損失抑制(料金請求・徴収データの公
開など)、(iii)投資インセンティブの付与(最低コストでの長期的発電計画やガス法見直しなど)で
パキスタンを支援することが目的です。
2. 日本社会開発基金(JSDF)を通じた協力
日本社会開発基金 (JSDF)は1990年代末のアジア通貨危機を機に、日本政府と世銀が2000年6月に創
設した基金です。JSDFは、世界中の低所得国と低中所得国で、同通貨危機により打撃を受けた脆弱層に
的を絞った援助を実施するべくグラントを提供してきました。設立から2012年6月までの期間に、日本
は6億2500万ドルにのぼる資金を拠出しました。JSDFはこれまでに合計12件、総額1674万ドルの対パ
キスタン支援プロジェクトを実施しました(うち7件は通常プロジェクト、4件はパキスタン地震復興特
別プログラムの下でのプロジェクト、1件は緊急支援プロジェクト)。
2.1.1 地震後の障害者への地域リハビリテーション支援プロジェクト (パキスタン地震復興特別プロ
グラム)
実施機関:ハンディキャップ・インターナショナル
グラント額:168万ドル(2006~2010年)
アジア開発銀行と世銀による合同ニーズアセスメントによると、同地震で約7万3000人が死亡したほ
か、7万人を超える人々が重症または障害を負いました。負傷者の多くが手足の切断や脊髄損傷による身
体の麻痺を負いました。地震で障害者となった人々だけでなく、以前から障害を抱えていた人々が地震
前に受けていたサポート体制やサービスへのアクセスを失ってしまったケースもみられました。障害を
持つ人々に対しては、長期的リハビリに向けた外部支援が必要でした。同プロジェクトの目的は、(i)
地域型モデルに基づいた、障害者のためのリハビリサービス・対策の範囲・利用拡大やケアの質の改
善、および同サービス・対策への平等なアクセスの向上、(ii)障害者へのリハビリサービス実施の効果
的な準備、計画、実施、モニタリング、評価における地域組織や地区レベルのステークホルダーの能力
強化です。同プロジェクトでは、(i)地域リハビリテーション情報センターの設立(RIC)、(ii)地
域リハビリテーション(CBR)従事者の人材発掘およびキャパシティ・ビルディング、(iii)障害者へ
のCBRサービス・対策の提供、(iv)地域組織への技術援助およびサブグラント供与を通じたCBRサー
ビスの強化の4つが柱でした。上記に加え、2007年5月に実施が始まった地震障害者緊急支援プロジェ
クトでは、JSDFは460万ドルを拠出し、社会的ケアとリハビリサービスを拡大しました。現在進められ
ているパキスタン貧困緩和基金(PPAF)の一連のプロジェクトにおいても同規模の資金が供与されまし
た。障害を持つ人々が社会において直面している問題について官民両セクターや一般市民に注意を喚起
するうえで、こうしたプロジェクトは極めて効果的であり、明らかにプラスの効果をもたらしました。
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2.1.2 被災地域におけるプライマリーヘルスケア復興 (パキスタン地震復興特別プログラム)
実施機関:セーブ・ザ・チルドレンUSA
グラント額:299万ドル(2006~2010年)
2005年の地震で医療インフラが深刻な被害を受けた北西辺境州(NWFP、現ハイバル・パフトゥンハー
州)政府保健局からの要請に基づき、世銀は2006年5月、JSDFを通じたプロジェクトの下、推定人口
36万1000人が住む山岳地帯であると同時に低開発地域の1つである、同州バタグラム郡に援助を実施し
ました。JSDFによる同プロジェクトの目的は、i)プライマリーヘルスケアサービスの迅速な復興を通
じた、標準的医療サービスの広範な提供、ii)プライマリーヘルスケアサービス提供の調整、計画、実
施、モニタリングにおける地域管理当局の能力強化への寄与です。また、i)一次医療サービスの復
興、ii)地域保健管理当局および医療従事者の能力強化、iii)プライマリーヘルスケアサービスの管理に
おけるNGO活用の3つが柱でした。同プロジェクトの開発効果は大きく、バタグラム郡におけるプライ
マリーヘルスケアサービス提供の復活に成功し、予防・治療サービス利用の大幅な拡大がみられまし
た。また、官民連携に基づく革新的手法の試験的導入による、郡レベルの保健システム管理改善を通じ
たプライマリーヘルスケアサービスの向上策を検討するうえで、北西辺境州政府を支援しました。世銀
は、2009年の対武装勢力軍事行動や2010年の水害によって医療サービスが影響を被った5つの郡でも、
このJSDFのパイロットモデルを導入するよう要請を受けています。同プロジェクトは既に承認を受けて
実施中であり、マルチドナー信託基金(MDTF)よりハイバル・パフトゥンハー州に対して、総額1600
万ドルの資金供与を受けています。
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2.1.3 パンジャブ州南部における参加型農村衛生(通常プロジェクト)
実施機関:ロドラン・パイロット・プロジェクト
グラント額:113万ドル(2004~2009年)
同プロジェクトの目的は、(i)貧困・脆弱地域への基礎的サービスの提供、(ii)コミュニティや現地
NGOとの連携の下で農村衛生設備の整備にあたる地方自治体(郡(テシル))の基礎的サービス担当行
政官の能力開発、(iii)州・連邦からの参加型開発アプローチにおける資金配分制度の確立を目指した
公共政策改革、(iv)革新的な官民連携モデルの実証を通じた、ドナー拠出型プロジェクトの設計改良
でした。このグラントは、地域に根ざした衛生計画、訓練、キャパシティ・ビルディング、参加型アプ
ローチの支持を推進し、参加型アプローチのモジュールやポリテクニック・プログラムを適切に取り入
れ、参加型取り組みの成功事例に関する情報を普及させることにより、上記の目的を達成することがね
らいでした。同プロジェクトは順調に遂行されました。80カ所の貧困・脆弱地域に基礎的サービスが提
供され、合計1万1469世帯、人口にして9万8283人が裨益しました。住民組織とNGOおよび地方自治体
行政官との緊密な調整の下で、農村貧困地域の80%に衛生設備が普及しました。この三者は同プロジェ
クトで学んだ連携取り組みの経験を、今後の連携や地域開発事業に活用できるという点で大きなメリッ
トがあるといえます。住民コミュニティは、組織化してプロジェクトの計画・実施をするための訓練・
支援を受けました。地方自治体行政官や技術機関は、参加型開発に対する意識を高めました。プロジェ
クトの教訓は州の衛生設備整備方針案にも活かされました。NGOは地域コミュニティや地方自治体との
連携能力を強化することができました。
2.1.4 タッタ沿岸地域農民の生活環境改善(通常プロジェクト)
実施機関:アクション・アゲインスト・ハンガー
グラント額:197万ドル(2009~2013年)
同プロジェクトの目的は、タッタ沿岸地域に住む約6,500件の小規模農家(耕作地1~10エーカー以
下)および借地農家(土地所有者から農地を賃貸借)の生活環境を、世帯所得の向上や世帯支出・負担
の軽減を通じて改善することでした。主な柱は、(i)農業投入財の調達における自立性と自給の向上、
(ii)農産物卸売市場の強化、(iii)塩水化した掘り抜き井戸の再生、(iv)タッタ沿岸地域の生計部門
に関する知識・分析の向上でした。同プロジェクトは貧しい農家の暮らしに良好な効果をもたらすこと
ができました。生産増加や耐塩性種子の利用を通じて、農家所得は、裨益者によると最大15%増加しま
した。また、(i)保管コンテナの使用により作付け用種子を貯蔵できるようになったほか、(ii)様々
な農法に関する訓練を通じて農家の耕作技術が向上し、(iii)上下水道・衛生設備(WaSH)の整備事
業により基礎的サービスの普及率が高まり、農家の医療サービスへの支出が軽減されるなど、重要な効
果もみられました。
2.1.5 シンド州脆弱な若年層に対する緊急職業訓練(緊急プロジェクト)
実施機関:ベナジル・ブット・シャヒード青少年育成プログラム(BBSYDP)
グラント額:275万ドル(2011~2013年)
同プロジェクトの目的は、経済危機で打撃を受けたシンド州の都市部若年層約5,050人を対象に、職業
あっせんサポートを含めた革新的な短期的訓練プログラムによる緊急職業訓練を実施し、就職・再就職
に役立てられるよう図ることで、食糧、燃料、金融危機による雇用や所得への悪影響を軽減することが
目的でした。同プロジェクトは順調に遂行され、JSDFのグラントで当初の訓練目標人数の5,050人を上
回る7,318人を対象にトレーニングを実施し、就職率は目標の35%よりも高い37%に達しました。ま
た、出来高契約方法を通じて同プロジェクトに関与した民間職業訓練機関の数は76機関にのぼりまし
た。このJSDFによるプロジェクトは、シンド州技能開発プロジェクト(IDA)の策定・実施と緊密に結
びついています。同開発プロジェクトは、グラントの実施を通じて得られた教訓を中心的プロジェクト
に盛り込むことで、同州政府の青少年育成プログラムを強化できるように策定されました。