01:感 染 症 コ ー ス 1.感染症コースの概説 感染症は、「原因」となる病原微生物により生じる「結果」といえる。したがって、その「原 因」を除去することにより、「結果」である疾患が治癒するという医学の原点に最も近い領域の疾 患群である。このため感染症の診療においては、原因を除去するための確実な診断、治療のための 適切な抗微生物薬の選択などが第一の目標となる。さらに感染予防のためには、病原微生物の伝播 を防止する感染制御に関する知識が必要である。本コースでは、医師になった際に誰もが直面する 臨床感染症に関する卒前教育として、その基本を修得することを目標とする。 2.教育目標 (1) 一般目標 ヒトに疾患を惹起する病原体の検出、病態、診断、治療および予防法を学ぶ。 (2) 行動目標 到達できた項目には○、もう一息の項目には△、まだまだの項目には×をつけ、自己評価に利 用してください。 到 達 目 標 主な感染症の原因となる病原体を分類できる。 微生物学検査の検体の採取と保存ができ、グラム染色を行い、観察できる。 病原体に対する生体の反応を説明できる。 細菌が疾病を引き起こす機序を説明できる。 主なDNAウイルス(CMV、EBV 、アデノウイルス、パルボウイルスB19 、ヒ トヘルペスウイルスとB型肝炎ウイルス)が引き起こす疾患名を列挙できる。 主なRNAウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ラ イノウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ム ン プス ウイルス)が引き起こす疾患名を列挙できる。 グラム陽性球菌(ぶどう球菌、レンサ球菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患 を列挙できる。 グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。 グラム陽性桿菌(破傷風菌、ガス壊疽菌、ボツリヌス菌、ジフテリア菌)の細菌学的 特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。 グラム陰性桿菌(大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌、 百日咳菌、腸炎ビブリオ菌、緑膿菌、ブルセラ菌、レジオネラ菌、インフルエン ザ 菌) の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。 グラム陰性スピリルム属病原菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)の細菌学的特徴とそれ が引き起こす疾患を列挙できる。 抗酸菌(結核菌、非定型抗酸菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。 真菌(アスペルギルス、クリプトコッカス、カンジダ、ムコール)の微生物学的特徴 とそれが引き起こす疾患を列挙できる。 スピロヘータ、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの微生物学的特徴とそれが 引き起こす疾患を列挙できる。 脳炎・髄膜炎の原因、症候と診断を説明できる。 ― 269 ― 1 自己評価 到 達 目 標 皮膚細菌感染症(伝染性膿痂疹、せつ、よう、毛嚢炎、丹毒、ぶどう球菌性熱傷様 皮 膚症候群)を列挙し、概説できる。 皮膚表在性と深在性真菌症の症候と病型を説明できる。 気管支炎・肺炎の主な病原体を列挙し、症候、診断と治療を説明できる。 肺結核症の症候、診断、治療と届出手続きを説明できる。 敗血症の症候、診断と治療の基本を説明できる。 感染症の化学療法を概説できる。 菌交代現象・菌交代症を概説できる。 院内感染の原因となる病原体を列挙し、対策を説明できる。 MRSAの特徴、病院内での対応の方法を説明できる。 下痢症、食中毒を起こす病原体を列挙し、診断と治療の基本を説明できる。 病原性大腸菌感染症を概説できる。 細菌性食中毒の原因、症候と治療を説明できる。 ヘリコバクター・ピロリ菌感染症の診断と治療を説明できる。 新興感染症・再興感染症を列挙できる。 細菌の感染経路を分類し、説明できる。 インフルエンザの症候、診断と治療を説明できる。 麻疹の症候と診断を説明できる。 風疹の症候、診断と合併症を説明できる。 流行性耳下腺炎の症候、診断と合併症を説明できる。 水痘・帯状ヘルペス感染症の症候、診断と治療を説明できる。 ウイルス性皮膚疾患(単純ヘルペス、伝染性紅斑、手足口病、ウイルス性ゆうぜい ) を概説できる。 性行為感染症を概説できる。 HIV感染症の感染経路、自然経過、症候、診断、治療と感染対策を説明できる。 ニューモシステイス肺炎の症候、診断と治療を説明できる。 ぶどう球菌感染症の症候、診断と治療を説明できる。 A群レンサ球菌の症候、診断、治療とリウマチ熱との関連を説明できる。 クラミジア感染症を概説できる。 カンジダ症の症候、診断と治療を説明できる。 プリオン感染症(クロイツフェルト・ヤコブ病、狂牛病)を概説できる。 ― 270 ― 2 自己評価 3.教育担当者 ※内線・・・滝井(81)枚方(80) 役 割 コース 責任者 副コース 責任者 講義 担当者 教員名 職位 野村昌作 教授 宮良高維 教授 藤澤順一 教授 岡崎和一 教授 關 壽人 教授 石井一慶 教授 竹之内徳博 准教授 谷内昇一郎 准教授 安田勝彦 准教授 金子 鋭 准教授 清原隆宏 准教授 尾形 所属部署 内科学 第一講座 内科学 第一講座 微生物学 講座 内科学 第三講座 内科学 第三講座 内科学 第一講座 微生物学 講座 小児科学 講座 産科学 婦人科学 講座 神経内科学 講座 皮膚科学 講座 内科学 第一講座 小児科学 講座 外科学 講座 病態検査学 講座 病態検査学 講座 腎泌尿器外 科学講座 脳神経外 科学講座 病理学第 一講座 小児科学 講座 誠 講師 木全貴久 講師 徳原克治 講師 槇 政彦 講師 緑 講師 六車光英 講師 大重英行 講師 菅野渉平 助教 中野景司 非常勤 講師 三島伸介 学外 りんくう総合 医療センター 上平朝子 学外 大阪医療 センター 桝田 電話番号 メールアドレス [email protected] .ac.jp [email protected] 80-56406 .ac.jp [email protected] 80-2380 .ac.jp [email protected]. 80-2520 ac.jp 81-3221 [email protected] 81-41200 [email protected] 81-41009 .jp [email protected] 80-2380 .ac.jp [email protected] 80-56119 .ac.jp 80-2500 オフィスアワー (相談時間) (木)14:00-17:00 (水)9:00-12:00 (月)(水)(金)午後 (木)午後 (水)16:00-17:00 (金)16:00-17:00 (月)午後 (火)午前 (月)(火)(金)午後 (月)17:00-19:00 (金)17:00-19:00 81-3364 [email protected] (水)(木) 81-46802 p 15:00-19:00 [email protected] .ac.jp [email protected] 81-42100 .jp [email protected] 80-56003 c.jp [email protected]. 80-56098 ac.jp 80-2542 (水)午前中 (火)14:00-18:00 (金)午前中 (月)(木)の午後 81-41718 [email protected] (月)14:00-16:00 81-3129 [email protected] [email protected] c.jp [email protected] 81-42209 .jp [email protected] 80-56429 .ac.jp [email protected]. 80-56475 ac.jp [email protected] .jp [email protected] .jp 80-57742 [email protected] ― 271 ― 3 (月)15:00-17:00 (月)(火)(水)(金) 要予約 (水)14:00-17:00 (木)14:00-16:00 (木)(金) 16:00-17:00 出向中のため講義 日程の当日 4.コース前の準備について 第2学年で履修した微生物学総論を復習すると共に、いずれかの教科書を参考にして個々の病 原性微生物の概略を整理しておくこと。 5.講義・試験 (1) 講義(授業内容・コアカリキュラム) 日 付 時 限 授 業 内 容 コアカリキュラム 教員名 宮 良 (1内) 1 感染症の主要症状と徴候 E1C3(1)[ 病 態 ](2)[ 診 断 ・ 検 査 ・ 治 療 の 基 本 ],(3)[ 症 候 ],E-1-(1) ~ (3) , D-6(2)[診断と検査の基本] 2 2 呼吸器感染症 D-6-(4)-②呼吸器感染症 宮 良 (1内) 3 3 微生物学総論 C3(1)[ウ イ ル ス の 基 本 的 性 状 と 病 原 性 ]1 ) 〜 7 ) 、 C3(1) [細菌・真菌]1)〜10)、 12) 藤 澤 (微生) 4 ウイルス性発疹1 E-1-(4)-①ウイルス感染症 5 5 ウイルス性発疹2 E-1-(4)-①ウイルス感染症 6 1 感染病理1:細菌感染症 E-1-(4)-②細菌感染症 7 2 感染病理2:細菌感染症 E-1-(4)- ② 細 菌 感 染 症 ③ ク ラ ミジア・リケッチア感染症④ 真菌感染症⑤性行為感染症 槇 (病態) 8 3 レトロウイルス感染症 C3(1)3)レトロウイルス、 E1(4)①7)HIV 感染症、E1 (4)①*13)HTLV-1 感染症 竹之内 (微生) 9 5 感染症の診断 E-1-(2) [診断・検査・治療の基本] 桝 田 (病態) 10 1 結核(含む肺外結核)と非結核 性抗酸菌症 D6(4)②結核の病因, 診断,治療,予防 C3(1) 宮 良 (1内) 1 5/21(木) 4 5/25(月) 5/28(木) 6/1(月) 6/11(木) 11 12 6/12(金) 谷 内 (小児) 谷 内 (小児) 槇 (病態) 2 外科感染症 C-3-(1)[細菌・真菌]3)~7) 徳 原 (外科) 2 抗菌薬の種類、耐性菌について F:診療の基本,(1)薬物治 療の基本原理 C3(4),E11-3 尾 形 (1 内) 4 腸管感染症・神経感染症 E-1-(4)- ① ウ イ ル ス 感 染 症 ② 細菌感染症 木 全 (小児) 14 5 脳・脊髄の感染症 D-2(4)③ 感 染 性 ・ 炎 症 性 ・ 脱 髄性疾患 金 子 (神内) 15 1 院 内 感 染 対 策 と 標 準 予 防 策 ・ 感 E-1-(1)-4)日和見感染症、 染経路別予防策 E-1-(4)⑥院内感染 2 HIV 感染症 4 中枢神経感染症の病理 3 慢性神経感染症 E1(4)①2) 麻疹、 E1(4)①*12) プリオン感染症 竹之内 (微生) 5 急性ウイルス性肝炎 D-7-(4)-⑤肝疾患 1)A 型 B 型 C 型E型肝炎 關 (3内) 13 6/15(月) 6/18(木) 16 17 6/19(金) 18 宮 良 (1内) 上 平 E-1-(4)-①7)HIV 感染症 (学外) E-1-(4)- ① ウ イ ル ス 感 染 症 ② 菅 野 細菌感染症 (病理1) 6/22(月) 19 ― 272 ― 4 日 付 20 時 限 授 業 内 容 コアカリキュラム 1 アウトブレイク A-2-(1)安全性の確保 E-1-(4)⑥院内感染 2 届出感染症と人獣共通感染症 C3(1) 6/25(木) 21 教員名 宮 良 (1内) 宮 良 (1内) D-8-(4)-⑧尿路疾患 2)尿路の 炎症、D-1-(4)-②細菌感染症③ クラミジア・リケッチア感染 症⑤性行為感染症 E-1-(1),(2),(3),(4)- ① ウ イ ルス感染症②細菌感染症 22 7/1(水) 5 尿路性器結核と性行為感染症 23 7/2(木) 2 母子感染症 1 腸管感染症 D-7-(4)-②,D-1-(1)-②4)病原 性大腸菌感染症 3 頭蓋内感染症の外科的治療 D-2-(4)-③-3)脳膿瘍 1 真菌感染症 D-1-(1)-4)④真菌感染症 2 英語 24 25 7/3(金) 26 27 7/8(月) 28 輸入感染症 B(5)-11 三 島 (学外) 2 30 2 感染病理3:ウイルス感染症 E-1-(4)-①ウイルス感染症 3 皮膚の感染症 D3(4)⑧1), 2), 3), 4) 4 呼吸器ウイルスその他感染症 E-1-(4)- ① ウ イ ル ス 感 染 症 ② 細菌感染症 日 付 7/14(火) 32 岡 崎 (3内) 石 井 (1内) 宮 良 (1内) 29 31 安 田 (産婦) 大 重 (脳外) 1 7/13(月) 六 車 (腎泌尿) 槇 (病態) 清 原 (皮膚) 中 野 (小児) (2) 試験 試験名 時 間 場 所 範 囲 形 式 本試験 7/17(金) 10:00~11:00 試験・実習室 感染症コース全般 マルチチョイス 追・再試験 9/19(土) 10:00~11:00 第3講義室 感染症コース全般 マルチチョイス ― 273 ― 5 6.評価方法 出席率、総括試験で判定する。 7.参考書等 微 生 物 学 講 座 戸田新細菌学 改訂33版(吉田眞一,柳 雄介,吉開泰信編 南山堂 2007) 標準微生物学 第10版(平松啓一、中込 治編 医学書院 2009) Jawetz, Melnick & Adelberg's Medical Microbiology, 25th ed. (G.F.Brooksら著 Appleton&Lange 2007) Medical Microbiology & Immunology, 10th ed. (W. Lavinson著 McGrawHill 2010) (参考Web site)http://idsc.nih.go.jp/index-j.html(国立感染症研究所 感染症情報センター) http://www.who.int/en/(世界保健機構:WHO) http://www.cdc.gov/(米国疾病管理センター:CDC) 内科学第一講座 標準感染症学 (医学書院) レジデントのための感染症診療マニュアル 内科学第三講座 朝倉内科学 神経内科学講座 神経内科ハンドブック 小 児 科 学 講 座 小児科学(小林陽之助編、金芳堂) 水野美邦編 (医学書院) (医学書院) Textbook of pediatric infectious diseases (Feigin and Cherry) 皮 膚 科 学 講 座 標準皮膚科学 皮膚科学 第6版 第7版 外 科 学 講 座 標準外科学(相馬 腎泌尿器外科学講座 New泌尿器科学 標準泌尿器科学 脳神経外科学講座 (池田重雄監修 (上野賢一著 2002) (南江堂) (医学書院) 脳神経外科学 脳神経外科 2001) 智、医学書院) ベッドサイドの神経の診かた 標準 金芳堂 医学書院 (南山堂) (医学書院) (金芳堂) 病理学第一講座 感染症病理アトラス 病態検査学講座 1.標準病理学 (文光堂) 2.新病態生理 できった 内科学感染症(医学教育出版社) のウイルス学のところ ― 274 ― 6
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