ITを駆使した作品ガイド「トーハクなび」(東京国立博物館)

ITを駆使した作品ガイド「トーハクなび」(東京国立博物館)
展示室に入ると解説が自動でスタート
実物プラス解説、体験型コンテンツで豊かな鑑賞体験を
東京国立博物館(トーハク)は、来館者数 132 万人(2013 年)を数え、外国人の来館者も多
い。総合案内パンフレット、ホームページは、英語、中国語(簡体・繁体)
、韓国語、独語、仏語、
スペイン語で作成され、館内の表示も日本語に加え、英語、中国語(簡)、韓国語で表示されてい
る。
同館では「敷居」が高いと思われがち
な来館者の裾野を広げようと、館内を見
学する手助けとして、来館者のスマート
フォン(スマホ)で利用できるナビゲー
ションガイドサービス「トーハクなび」
を提供。位置測位技術を一部機能で用い
たものだている。2012 年 4 月、Android
版で公開、現在は iOS にも対応し、英語
コース一覧画面(英語表記)
版を追加した。館内での利用を前提とし
ているが、館外でも起動し、利用できる。2014 年 7 月時点でのダウンロード数は、累計で Android
版が 4700 件(うち英語版 420 件)
、iOS 版が 5000 件(同 350 件)となっている。
同ナビは「法隆寺宝物館鑑賞コース(30
分)
」など 6 つのコースとスタンプラリーを
収録。うち「本館 1 階日本美術ジャンル別コ
ース(30 分)
」と「本館 2 階日本美術の流れ
コース(45 分)
」ではスマホの特性を活かし
た体験型コンテンツも搭載している。例え
ば、漆芸技法「蒔絵」では画面を叩く(タッ
プする)と金属粉が少しずつ「蒔かれて」い
体験型コンテンツ画面(蒔絵)(英語表記)
く様子が画面で見ることができる。展示され
ている「実物」では見えない部分もスマホの
画面で見ることができるなど、来館者は自分
のペースで「実物」プラス「解説」という体
験をすることができる。
さらに「本館 2 階日本美術の流れコース
(45 分)
」では位置測位技術を利用し、コー
スに沿って歩くだけで展示室に応じた概説が
展示室に入ると利用者の動きを感知し、
自動的にガイドが再生される。(英語表記)
流れる。また、展示室に入るとコーナーの見
どころやその時々のお勧め作品が音声と写
真で提供される「今日のオススメ」作品ガイ
ド機能を提供。お勧め作品の前まで進めば自
動的にその作品の解説がスタートする。スタ
ンプラリーは、GPS を利用し、特定の位置
でデジタルスタンプがダウンロードされる
仕組みだ。
「今日のオススメ」の作品紹介例(英語表記)
2014 年 10 月のバージョンアップでは、作
品ガイドのナレーションに初めて音声合成
エンジンを使用した。現在の日英の2カ国語
から中国語、韓国語などへと対応言語を将来
的に広げていくことを考えてのことだとい
う。歴史的展示物を最新の IT で鑑賞。今後
の「トーハクなび」の展開も楽しみだ。
問い合わせ先
事 業 主 体 : 東京国立博物館
TEL:
03-3822-1111(代) 博物館教育課
「スタンプラリー」画面(英語表記)