実践応用化学第一 問題(大友) 2015.7.17 1/5 1.下図に示す鉄の Pourbaix 図に関する(1)~(4)の問に答えよ.図中の境界では, 以下の化学平衡が成り立っているものとする. (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) 2+ E = +0.77 V Fe3+ (aq) + e– → ← Fe (aq) 2+ – → Fe (aq) + 2e ← Fe (s) E = –0.44 V 3+ – → Fe(OH)3 (s) ← Fe (aq) + 3OH (aq) Ksp = 1.0×10–38 mol4 dm–12 2+ – Ksp = 1.0×10–15 mol3 dm–9 Fe(OH)2 (s) → ← Fe (aq) + 2OH (aq) 2+ Fe(OH)3 (s) + 3H+ (aq) + e– → ← Fe (aq) + 3H2O (l) E は標準状態の酸化還元電位であり,Ksp は溶解度積である.必要であれば以下 の値を用いよ.ln 10 = 2.303,気体定数 R = 8.31 J K–1 mol–1,ファラデー定数 F = 96 500 C mol–1. (1) 標準状態において Fe2+ (aq)が Fe3+ (aq)と Fe (s)に不均化する反応は自発的 に起こるか,理由とともに答えよ. (2)( ウ )と( エ )の境界は,それぞれ pH が 3 と 9 における垂直な線であ ることを導け.但し,水中に溶存する安定な鉄化学種は Fe2+ (aq)と Fe3+ (aq) の他に存在せず,鉄化学種の濃度は 1.0×10–5 mol dm–3 とする. (3) ( カ )と( キ )の境界に対応する反応式をそれぞれ答えよ. (4) ( カ )と( キ )の境界が水の安定領域を表す境界と同じ傾きになるこ とを示せ. 実践応用化学第一 問題(大友) 2015.7.17 2/5 2.2x mol の金属 M と 1 mol の O2 が反応して酸化物 MxO が生じる際の標準反応 ギブズエネルギーΔrG を,下の Ellingham 図に示す.以下の(1)~(4)の記述に関 して,そうなる理由を述べよ. (1) ΔrG −T 線はすべて直線的であり,低温で傾きがほぼ等しい. (2) 例えば MgO や CaO に見られるように,金属の沸点を境に ΔrG −T 線は下 向き凸に折れ曲がる. (3) Al と SiO2 は比較的低温でも自発的に反応し,低品質のケイ素が生成する. (4) アルミニウムの乾式製錬に炭素の酸化反応を用いる場合,極めて高い温度 が必要である. 実践応用化学第一 2015.7.17 問題(大友) 3/5 3.次の文章を読み,以下の問に答えよ. 右図に示す単位格子の構造は ① 型構 造である.陽イオン A と陰イオン X の配位 数は,それぞれ ② , ③ である.図 から読み取れる陽イオンのブラベー格子 は, ④ である.陰イオン X はゆがんだ c a ⑤(fcc,bcc,hcp,いずれでもない)格子 を形づくっており,その ずれでもない)面体間隙の a ⑥(四,八,い ⑦(1/4,1/2, ( ● = 陽イオン,〇 = 陰イオン) 2/3,すべて)を陽イオン A が占めている.この構造をとる TiO2 を還元すると, Ti2O3 や TiO が生成する.Ti2O3 や TiO におけるチタンの配位数は TiO2 と等しい. 一方,TiO における酸化物イオンの配列様式は,TiO2 と Ti2O3 に共通する配列様 式とは異なる.室温付近の TiO の電気伝導度は,昇温すると減少するのに対し て,TiO2 や Ti2O3 では増加する. (1) 空欄①〜⑦に当てはまる適切な語句,数字を記せ.(⑤〜⑦はカッコ内の 語句から選択せよ.) (2) Ti2O3 の結晶構造名と酸化物イオンの配位数を記せ. (3) TiO の結晶構造名と酸化物イオンの配位数を記せ. (4) TiO2,Ti2O3,TiO のうちいずれが金属導体か,化合物名で全て答えよ. 4.以下に挙げる金属酸化物(a)~(e)の結晶に関する以下の問に答えよ. (1) 陽イオンの形式酸化数と酸化物イオンの配位数(酸化物イオンの周囲を取 り囲む陽イオンの数)をそれぞれについて記せ. (a) Al2O3(コランダム型構造) (b) SiO2 (c) K2O(逆蛍石型構造) (d) CaTiO3(ペロブスカイト型構造) (e) ReO3(ペロブスカイト型構造の A カチオンを除いた構造) (2) 酸化物イオンのイオン半径が最も大きいのは,(a)~(e)のいずれか,理由と ともに答えよ. 実践応用化学第一 2015.7.17 問題(大友) 4/5 5.表 1 の熱力学的データに関する以下の問に答えよ. (1) 1000 K で Ca (s)を 1 atm の O2 (g)で酸化する反応の標準反応ギブズエネルギ ー変化を求めよ. (2) 表 1 の空欄( ア )と( イ )の値を記せ.但し,酸素原子の電子取得エ ンタルピーは−147 kJ mol−1,−1 価の酸化物イオンの電子取得エンタルピー は 774 kJ mol−1 である. (3) Ca の第一イオン化エネルギーおよび第二イオン化エネルギーを記せ.標準 イオン化エンタルピーはイオン化エネルギーより 5/2RT(標準状態では 5/2RT ≃ 6 kJ mol−1)だけ大きいことに注意せよ. (4) CaO の格子エンタルピーを求めよ. (5) NaCl,AlN,CaO の格子エンタルピーの大きさの順を推定せよ.また,そ のように推定した理由を述べよ. 表 1.熱力学的データ(化学便覧基礎編より抜粋した数値を若干改変) . 物質 状態 Ca Ca Ca+ Ca2+ CaO O2 O O− O2− s g g g s g g g g Δf H kJ mol−1 0 178 774 1926 −635 0 ( ア ) 108 ( イ ) S −1 J K mol 41 155 161 − 40 205 − 158 − −1 Δf G kJ mol−1 0 144 739 − −604 0 − 85 − 6.マグネシウムのバンド構造に関する以下の問に答えよ. (1) マグネシウムの電子配置を例にならって記せ. 例) 炭素 [He](2s)2(2p)2 (2) マグネシウムが金属伝導を示すことを,バンド構造とフェルミ準位を描き つつ説明せよ. 実践応用化学第一 問題(大友) 7.右図の構造のマーデルング定数を求めるた めの手続きとして必要となる以下の問に答え よ.ただし,枠線で示した単位格子の一辺の 長さを a とする. (1) 陰イオン X に最近接するイオンの数と 距離の積を a を用いて表せ. (2) 陰イオン X に第二近接するイオンの数 と距離の積を a を用いて表せ. (3) 陰イオン X に第三近接するイオンの数 と距離の積を a を用いて表せ. 2015.7.17 5/5
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