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第1回宿題レポートについて
アインシュタインの相対性理論
盛り込むべきポイント
・ガリレイの相対性原理の内容説明
- 第 4 回 -
レスポンスカードの配布とレポート返却中
カードの返却時は元の箱に戻すように協力してください
残されたレポ トは適宜処分します
残されたレポートは適宜処分します
欠席で受取れなかった分は次回以降に私のところまで
D31とH72のカードが行方不明、返却してください
レポートの点数分布 (初回は若干甘め)
10点 4人
6点
9点
10人 8点 46人 7点 43人
20人 5点 19人 2~4点 18人
「慣性系では力学現象が同じ」ということを
具体例(または証明)を用いて分かりやすく説明
慣性系の説明も不可欠、相対性という表現について
・成立の条件について
成立 条件
一定速度で動く系(慣性系)に限られること
理由の説明も必須(反例を示せば十分)
波の現象(ドップラー効果など)では慣性系であっても
一見成り立たないように見えるが、媒質の存在を
考慮に入れれば例外にはならないこと
波の話は適用上注意を要する現象というのが良い位置づけ
気になった点
前回のまとめ
1.文章で表現されているか
箇条書きの卒論・修論などありえない
口頭で行間を説明できるプレゼンテーションとは違う
項目、段落間の関係、つながりが明確か
2.タイトルは与えた課題の通りに
タイトルは内容を集約するもので重要
3.課題テーマを意識した展開、締めくくり方に
ヤングの実験、フレネルの理論
何についてのレポートか焦点がぼけているものも
導入部とまとめは大事
他の根拠も合わせ、
19世紀前半には波動説が優勢に
4.具体例を盛り込む方が「初学者」むけに
説明するには分かりやすい
図もうまく使うと分かりやすくなる
3
3-3 エーテル仮説とその困難
4
1.真空中でも光が伝わる
光の媒質は?
⇒
とりあえず「エーテル」と呼ぼう
⇒
エーテル仮説
エーテルは宇宙全体に満ちている
2.地球はエーテルの中を突き進む
光の媒質として「エーテル」という存在を仮定
エーテルってどんなものだろう?
今日のキーワード
3.エーテル仮説
光が波なら何か媒質が存在するはず
エーテルはどんな性質を持つ?
「エーテル」の性質について
光は波
今日の講義のテーマ
1.波の現象で「相対性原理が破れている」とは?
動く人には波の速さが違って見える
媒質という基準が存在
2.光は波の性質を持つ
特に 回折と干渉
特に、回折と干渉
絶対静止
エーテルは物質に力を及ぼさない
テルは物質 力を及ぼさな
3.存在感がない
エーテル仮説の何が問題か
矛盾
⇒
引きずられる
レポートの課題
エーテル仮説が直面した矛盾について
5
⇒
力学的性質を調べようがない
硬い、柔らかい
4.電荷、磁荷は持たない、無色透明
電荷や磁石に力を及ぼさない
6
1
☆エーテルは動くか
風がない日に雨が降っています。走っている
車の中から雨を見るとどのように見える?
地球はエーテルを掻き分けて進む?
走っても影響は感じないけど・・・
c.f. 自転車に乗ったときに感じる風
1.真下
可能性1 エーテルは絶対静止
先に否定
天動説は敗れたが、宇宙には絶対基準
があるに違いない
物質はエーテルをすり抜ける
2.斜め
3.放物線
可能性2 エーテルは物体にひきずられて動く
c.f. 超音速旅客機の中の空気
地球がエーテルの中を突き抜けても
エーテルが影響を受けないなんてありえない
エーテルには質量がないため反動を受けないのかも
空気抵抗により雨の落下速度は一定(最終速度)
7
☆ 可能性2の否定 その1
8
もしエーテルが引きずられるなら
古い!
ブラッドリーによる光行差の測定(1728)
・真上から光が来る
背理法
自転車に乗ると
雨が斜め前方から降る
粒子でも波でも同様
・エーテルは地球と同じ速さで動く
・光は
の速さで横に流される
・地上の人にとって光は真上から
・光行差は観測されない・・・観測と矛盾
エーテルは引きずられない
地球に引きずられるエーテルの層
「光の雨」を観測
季節により星の位置が変化
光行差
元は粒子説の根拠の一つ
10
山が届く時間がずれると干渉が起こる
☆可能性2の否定 その2
水流の速さを変えれば光の強さが変わる
フィゾーの実験(1851)
エーテルが物質と共に動くなら 水流
水中の光速
媒質に対して
山が届くまでの時間の差
長さ
11
振幅2倍
振幅0
12
2
実験結果
☆可能性1の否定
エーテルの「ひきずり効果」は観測された!
但し、水流と同じ速さ
マイケルソン-モーリーの実験(1887)
ではなく、
で「動くようだ」
可能性1も実験と矛盾
:屈折率
困った・・・・ エーテルが物体に引きずられる
としても引きずられないとしても
実験で否定されてしまう
屈折率は光の波長(振動数)によって異なる
⇒ エーテルが動くという捉え方は誤り
速度が決まらない!
可能性2の否定
しかし、観測事実をどう理解していいか・・・???
これを解決したのもアインシュタイン(1907)13
☆可能性1の否定
中略
アインシュタイン登場
そして相対性理論へ・・・次回
14
地球がエーテルに対して止まっている場合でも
干渉模様ができるよう工夫した装置(ノーベル賞)
マイケルソン-モーリーの実験(1887)
エーテルは絶対静止系(仮定)
c.f.ヤングの実験
マックスウェルの理論はそこでの記述?
光の速さは媒質(エーテル)に対して30万km/s
⇒
地球が動いているならば、
光の速さは違って見えるはず!
ガリレイの相対性原理の破れ
地球
二つの波が届く時間が
ずれることで明暗(強弱)
地球からみた光の速さ
地球がエーテルに対して動く場合
地球から見たM2(↑)方向の光の速さは?
装置をこの向きに
設置したとしよう
1. 30万km/s
2. 30万km/sより遅い
3. 30万km/sより速い
地球の速度
光のエーテルに対する速さは一定
どの方向にも同じ
17
18
3
進行方向の光
地球から見ると→向きの光の速さ
地球から見ると←向きの光の速さ
往復にかかる時間
ずれ
簡単のため
19
20
垂直方向の光
エーテルから見るほうが簡単
光は斜めに光速
で進む
地球の速度
光の→方向の速度成分は
地球と同じ
このとき垂直方向の成分は
往復時間は
地球が動いていると鏡M1とM2に向かう往復で
かかる時間のずれ方が違う
ずれ
⇒干渉模様が地球が静止している場合と異なる
21
22
ポイント1
何が測れるか
「地球が静止している場合」との比較はできない
⇒装置を固定して を測ることはできない
この装置を使ってどのような実験を
計画しますか?
1. 東西南北に合わせ地球の自転速度を測る
2. 地球の公転面に合わせ地球の公転速度を測る
3. 向きを変えられるようにして自転速度を測る
4. 向きを変えられるようにして公転速度を測る
違う測定時期(昼夜、季節)を比較すればできる?
エーテルに対する速度が変化
非常に精密な装置で環境の変化に敏感なため×
装置を回転させ干渉模様のずれから測定
90°回転
差
23
入れ替わる
⇒
波長分ずれ
24
4
ポイント2
地球の進行方向
M2への往復の方が早い
測定精度の限界
地球の自転速度
赤道上で 470m/s
地球の公転速度
30km/s
⇒ N=0.4
当時の技術では自転速度の「測定」は無理だった
地球の進行方向
いろいろな季節に装置を回転させながら測定
仮に夏にエーテルに対して静止
太陽系の速度が不明
M1への往復の方が早い
⇒
25
実験結果
冬ならエーテルに対して60km/s
26
☆エーテル仮説の困難(まとめ)
地球のエーテルに対する速度は0
○波には媒質が必要
誤差はつきものなので何度も繰り返し実験
⇒ 地球は動かないって、いまさら天動説!?
宇宙全体が地球の周りを回るのか???
・・・それはない
(当時の常識)
○媒質(エーテルと呼ぶ)の性質を知りたい
○エーテルが動く(物質にひきずられる)としても
全く動かないとしても実験と矛盾
他にも奇妙な性質はあるが、これが決定打
困った・・・・
地球は間違いなく動いている
19世紀後半は混迷の時期
⇒
可能性1は実験と矛盾
27
次回の内容
今日のまとめ
エーテル仮説の困難
28
相対性理論が生まれる背景
光の媒質をエーテルと名づける
エーテルは物質に引きずられないとすると矛盾
ブラッドリーの光行差測定
フィゾーの実験
ゾ
実験
エーテルは静止しているとしても矛盾
マイケルソン・モーリーの実験
エーテルが存在するという仮説自体が矛盾を生む
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ローレンツの仮説とアインシュタインの仮説
エーテル仮説の困難はどうすれば解決できるか
第3章 特殊相対性理論誕生
アインシュタインと特殊相対性理論
特殊相対性理論の2つの原理
第2回宿題レポート
エーテル仮説が直面した矛盾について
実験の詳細よりも論理が重要
(実験の目的と結果、実験結果についての 解釈
がはっきりしていれば十分)
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