副社長メッセージ

副社長メッセージ
︵投下資本税引後営業利益率︶
を
の向上を目指します。
経営指標に加え資金効率を高め、
持続的な
事業領域拡大と収益性向上のための成長戦略を進める中、
を高めることが
株主重視の経営であり、企業価値の向上につながるものと考えています。
ニッポンハムグループは、キャッシュ・フロー創出力と
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投下資本効率を高め資金効率の向上を図るとともに最適資本・負債構成を追求します。
代表取締役副社長
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E
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新中期経営計画パート 4 の実績
資本効率の向上と資金効率の最適化
新中期経営計画パート 4 は資本効率の向上と資金効
資本・負債構成を維持しました。さらには、2015 年
率を最適化すべく財務・資本戦略をすすめてきまし
3 月期に、24,445,350 株の自己株式の消却を実施しま
た。パート 4 より経営指標とした ROE は、最終年度の
した。
2015 年 3 月期に目標とした 7 %を大きく上回る 9.2 %
株主配当はパート 4 から新たに定めた配当方針に従
となりました。2015 年 3 月期の ROE の構成要素であ
い、連結業績に応じた利益配分を基本に連結配当性向
る売上高総資産回転率、売上高当期純利益率は売上
30%を目安として実施し 3 年連続の増配となりました
高の伸長と利益の拡大により計画を上回り、財務レバ
(一株当たり配当は 2013 年 3 月期 24 円、2014 年 3 月
レッジはほぼ計画通りとなりました。特に収益性で
期 37 円、2015 年 3 月期 46 円)。
は、売上高営業利益率は計画どおりの 4%、また豪州事
一方、3 カ年累計の営業キャッシュ・フローは 1,000
業の大幅増益などにより税引前利益に対する実効税率
億円となり計画に対して 340 億円の不足、また新中期
が 30.3 %と計画時の見込税率 42 %を大幅に下回った
経営計画パート 3 の 3 カ年累計に対しても 305 億円不
こともあり、売上高当期純利益率が計画を大きく上回
足しました。その要因としては、当期純利益 3 カ年累
る結果となりました。
計額が計画を上回りましたが、棚卸資産の増加等運転
また、資本効率の向上を目的として、2014 年 3 月期
資金が増加したことによるものです。キャッシュ・フ
に転換社債の転換により増加した株主資本に対し、自
ロー創出力を高めるため棚卸資産や売上債権を適正化
己株式を取得することで希薄化の抑制(一株当たり利
させるさまざまな施策を実施しましたが、運転資本の
益等の維持)と負債資本の再構成に努めました。3 カ年
キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善が課題
累計では自己株式約 460 億円を取得し株主還元と最適
として残りました。
新中計
パート 3
累計実績
(億円)
新中計
パート 4
累計実績
新中計
パート 5
累計計画
当期純利益
446
726
916
減価償却費
740
583
680
その他
120
△ 309
4
営業キャッシュ・フロー計
1,306
1,000
1,600
投資キャッシュ・フロー計
△ 483
△ 809
△ 1,480
現金配当
△ 106
△ 164
自己株式の取得
△ 165
△ 461
その他
△ 388
250
200
財務キャッシュ・フロー計
△ 659
△ 375
△ 65
823
191
120
フリー・キャッシュ・フロー
△ 265※
※「現金配当」については新中期経営計画パート 5 利益計画に基づくものであり、
確定額ではありません。
資産効率
▶
▶
キャッシュ・フロー実績・計画
棚卸資産回転日数(日)
総資産回転率(回)
38.4
39.7
40.1
38.4
40.1
1.7
1.7
1.7
1.8
1.9
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
27
副社長メッセージ
新中期経営計画パート5における財務戦略
資本効率の向上と株主還元
新たに ROIC を経営指標として導入
新中期経営計画パート 5 は、
「変革による骨太なビジ
28
パート 5 は将来に向けた足場固めの期間であり、高
ネスモデルの構築」のテーマのもと、中長期視点で外部
次元の品質 No.1 経営をベースとした事業領域拡大と
環境の変化を捉えた上で変革を継続的に推進します。
効率化のための積極的な投資を行います。パート 5
経営方針である「国内事業競争優位性の確立」、
「グ
の 3 カ年における投資計画は 1,470 億円で、パート 4
ローバル企業への加速」の実現のため、パート 4 に続き
の 981 億円を上回る計画です。このうち事業拡大、政
積極的な設備投資等の成長戦略を推進し、売上拡大と
策投資は全体の約 6 割の構成で計画しています。政策
収益性の持続的向上を目指します。
投資の一部にはパート 4 で実施・決定した企業買収に
また、経営戦略・事業戦略を推進する中で、成長戦略
関連した設備投資も含まれています。設備投資の 4 割
の推進とあわせて投下資本効率を向上させていきます。
は高効率の追求、品質保証のさらなる強化、既存設備
さらには、財務・資本戦略により最適資本・負債構成
の維持更新などです。バリューチェーン別では高生産
を追求し加重平均資本コスト
(WACC)
を低減させること
ラインの導入や新規工場の立ち上げなどが一巡したた
など資本効率を高めていきます。
め、生産設備への投資額はパート 4 より減少しますが、
株主還元は重要な経営課題の一つと考えており、連結
ファーム・処理設備、海外事業設備、販売・物流設備
業績に応じた株主還元を基本としています。株主配当に
等への投資額はいずれもパート 4 を上回る予定です。食
ついては連結配当性向 30%を目安としていますが、当
肉事業における農場への投資を拡大することは、イン
面の間は配当金の下限を一株当たり 16 円としています。
テグレーションを強みとする当社グループの調達力を
また自己株式の取得については、成長への投資や財務体
高め、メーカーとしての競争優位性を確立するための
質を勘案しつつ、一株当たりの株主価値と ROE の向上
重要な戦略と考えています。
積極的な投資を行う一方で、投下資本に対するリ
を目的として機動的に実施していきます。
事業戦略と財務・資本戦略を両輪としてバランス良く
ターン、すなわち ROIC(投下資本税引後営業利益率)
すすめることが、持続的な ROE の向上とキャッシュ・
を高めていくことに取り組んでいきます。投資内容を
フローの創出力を高めることになり、その結果、企業価
精査し、そのリターンを追求するとともに、選択と集
値が向上し株主重視の経営につながると考えています。
中により投下資本効率の高い資産に入れ替えていくこ
とも必要と考えています。
▶
新中計パート 5 設備投資計画
そのため、事業部門の経営指標として ROIC を導入
(億円)
新中計パート 4
実績
新中計パート 5
計画
517
141
198
64
61
981
501
166
360
309
134
1,470
生産設備
販売・物流設備
ファーム・処理設備
海外事業設備
その他設備
総計
1,470 億円(パート 4 差+489 億円)
設備投資総額(パート5累計)
【パート4⇒パート5増額のポイント】
・海外事業設備 ・・・・・ + 245 億円(主にアジア・豪州)
・ファーム・処理設備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ + 162 億円
します。ROIC の構成要素である売上高営業利益率、投
下資本回転率を高めるための施策を、それぞれの事業
部門バリューチェーンの PDCA サイクルの中で推進し
ます。すなわち、高付加価値商品の開発、製造部門の
高生産性ライン導入による生産性の向上、SCM 改革
の推進による棚卸資産の上流集約や商品アイテムの選
択と集中等による棚卸資産回転日数の短縮など、現場
での一つ一つの改善が効果として発現することで必然
的に ROIC は高まると確信しています。
このように成長戦略の推進と並行して、事業戦略に
おいて ROIC の導入により投下資本効率を追求し資金
効率を高めることが、ROE の向上につながる最適な
グループシナジーを高める
コーポレート本部の新設
施策と考えています。さらには ROIC を基準に経営資源
の有効な配分を行うことで最適な事業ポートフォリオ
を構築していきます。
2015 年 4 月より、これまでのグループ経営本部と本
社管理部門を再編し、コーポレート本部を新たに設置
しました。コーポレート本部設立の目的は、
「グループ
財務戦略と資本戦略の方針
横断型コーポレート機能の強化」、
「グループ連携と組
織風土改革の推進」、
「グローバル経営体制の構築」およ
新中期経営計画パート 5 における財務戦略の基本方
び「コーポレートファイナンス機能の強化」であり、あ
針として、パート 4 に引き続き、有利子負債とキャッ
わせて高次元の品質 No.1 経営を推進することです。特
シュ・フローのバランスを勘案しつつ、資本効率性
にグローバル人財・経営人財の育成、グローバル視点で
の指標である ROE を高めること、資金効率を高めて
の財務戦略の推進、海外事業拡大に向けたアライアン
キャッシュ・フローを極大化することを目指していき
スの推進、グローバル経営管理体制の構築などをすす
ます。また、加重平均資本コスト(WACC)を低減する
めていきます。
最適資本・負債構成(D/E レシオ)を追求する財務・資本
また、あらゆるステークホルダーの皆様に選ばれ、必
戦略を推進していきます。D/E レシオについては、現時
要とされ、支持される存在となるため、戦略的ブラン
点で 0.4 ∼ 0.5 倍程度が最適資本・負債構成に近い水準
ディングを推進します。これまで事業部や各部署で
と分析しており、2015 年 3 月期末の D/E レシオ 0.39 倍
それぞれブランディングに取り組んできましたが、
については、適正な水準を維持できていると評価して
大局的に俯瞰し、一貫性あるブランドマネジメントを
います。
推進していくことで、より効率的・効果的にニッポン
資金調達については、格付け機関による格付けの向
ハムグループが目指す姿の実現につなげていきます。
上にも取り組みつつ、金融・資本市場における多様な
グループブランドの旗印のもと、グループ連携を強化
調達手段の中から、経営戦略のベクトルに合致した有
しシナジーを高めることが競争優位性の確立とグロー
利な調達方法を選択します。
バル企業への加速につながり、結果としてブランド価値
新中期経営計画パート 5 の 3 カ年累計におけるキャッ
シュ・フローは、営業キャッシュ・フローが 1,600 億円
のキャッシュインに対し、投資キャッシュ・フローは
フローは 120 億円の計画です。投資キャッシュ・フロー
の計画には、3 カ年累計の設備取得 1,264 億円のほか、
「グローバル企業への加速」等のための政策投資 300 億円
が含まれます。財務キャッシュ・フローは配当方針に
従った株主還元および有利子負債の調達・返済による
65 億円のキャッシュアウトを計画しています。
と確信しています。
ROIC 向上のための要素(逆 ROIC ツリー)
▶
1,480 億円のキャッシュアウト、フリー・キャッシュ・
ならびに企業価値の向上と持続的な成長が実現できる
高付加価値・ブランド商品
高生産性ライン
商品ポートフォリオ最適化(PPO*)
1 人当たり生産性
物流コスト削減
在庫・債権回転日数短縮
在庫集約・直送化
売上
伸び率
総荒
利益率
販管費
率
ROIC
投資の厳選
*PPO: Product(s) Portfolio Optimise
2018年3月期
ROIC目標
運転資金
回転率
投下資本
回転率
在庫数量金額計画の徹底管理
遊休資産の有効活用・圧縮
売上高営
業利益率
固定資産
回転率
6%以上
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