t-PA 超高齢者への t-PA 投与例についての検討 辻 将大¹⁾,吉金 努²⁾,木村 麗新²⁾,加川 隆登²⁾ 国立病院機構浜田医療センター 1) 臨床研修部 2) 脳神経外科 【目的】 超高齢者に発症した急性期脳梗塞の治療として、当院にて t-PA (組織型プラス ミノーゲン・アクチベーター) の投与を行った症例に関し検討した。 【背景】 脳梗塞は高齢者に多く発症するが、平均年齢が上昇しているため超高齢者の 脳梗塞発症も近年増加傾向にある。超高齢者の急性期脳梗塞に対する自験 t-PA 投与例より、その治療成績と安全性について報告する。 【方法】 対象は 2013 年 4 月から 2015 年 3 月までの 2 年間に当院で施行した t-PA 投 与例のうち、85 歳以上の患者とした。全症例に対し発症時間の確認ののち t-PA 静注療法プログラムに沿って全身評価を行い、頭部 CT および MRI 検査のいず れも施行して頭蓋内病変を確認した。慎重投与例も含め t-PA 投与適応のある患 者・家族には十分なインフォームドコンセントを行い、希望された場合にのみ t-PA 投与を施行した。t-PA は通常の投与量を投与した。投与終了後はフォロー の頭部 CT 検査を全例に対し施行した。 【結果】 自験 7 例のうち、男女比は 2:5 であった。発症時間から治療開始までの平均 時間は 3.5 時間であった。治療開始時 NIHSS 平均は 13.7、t-PA 投与終了時 NIHSS 平均は 10.4 であった。また、t-PA 投与による合併症として最も危惧さ れる出血性変化はいずれの症例にもみられなかった。 【結論】 超高齢者への t-PA 投与例について検討した。t-PA 投与により急性期脳梗塞の 症状改善をみとめた。また、頭蓋内出血の合併症はみられなかった。適切に投 与対象を選択することにより、超高齢者に対する t-PA 投与が安全に施行可能と なった。 本邦 療法) 発症4.5時間以内 脳梗塞患者 rt-PA (recombinant tissue plasminogen activator) 静注療法 (以下 t-PA 推奨 81歳以上 高齢者 対 慎重投与 適応 可否 慎重 検討 [1] 高齢者 平均年齢上昇 伴 超高齢者 脳梗塞症例 近年上昇傾向 当院 超高齢者 急性 期脳梗塞 対 t-PA投与例 治療成績 安全性 報告 [1] rt-PA 静注療法適正治療指針第二版 脳卒中 2012 34 443-480 方法 結果 当院 85歳以上 評価 2013年4月 2015年3月 2年間 施行 症例 retrospective 患者 • t-PA療法 併用 t-PA 定 頭部CT 行 MCA 中大脳動脈 IC 内頚動脈 M1 SVS : 病側MCA M1 • 全症例 t-PA • 入院時 頭部MRI 改善率 示 他4例 • 3 月後 mRS 2 3例 死亡退院 通常量 投与 出血合併症 major risk 2例 SVS Suceptibility Vessel Sign 1例 3 2例 4 認 1例 Susceptibility Vissel Sign NIHSS NIH Stroke Scale 92歳女性 右内頚動脈閉塞 脳梗塞 塞栓源 不明 R 家人 入院時現症 意識 JCS -10 左完全片麻痺 NIHSS 13点 血液検査 胸部X-p 特記事項認 認 R 救急要請 17 15 当院救急外来 搬 血圧 130/70 early CT sign Hg DWI 右内頚動脈閉塞 R R 認 右中大脳動脈領域 確認 投与 開始時 NIHSS 13点 投与終了時 頭部CT 出血性変化 認 加療 継続 上 t-PA投 発症4時間後 t-PA療法 開始 神経症状 第2病日 脳浮腫 悪化 死亡退院 3点 著明 改善 認 第22病日 杖歩行 90歳男性 右中大脳動脈近位部閉塞 急性期脳梗塞 頭部MRI DWI 右中大脳動脈領域 淡 高信号変化 MRA 右中大脳動脈近位部 閉塞 認 T2* 右M1 SVS Susceptibility Vessel Sign 陽性 第3病日 頭部MRI 施行 入院時 比 DWI 梗塞巣 明 拡大 認 MRA 右内頚動脈 再開通 示唆 所見 認 中大脳動脈末梢 左右差 認 内服 点滴 MRA 代表症例 2 急性期脳梗塞 慎重投与 家族 十分 説明 承諾 得 発症2時間30分後 t-PA療法 開始 92歳 与 関 MRA 症例: 禁忌事項 DWI 脈拍 112/分 整 頭部MRI DWI 右中大脳動脈領域 淡 高信号変化 認 前頭葉 状 信号変化 認 MRA 右内頚動脈 描出不良 認 T2* SVS Susceptibility Vessel Sign 陰性 入院後経過 症状 画像検査 診断 頭部MRI 入院3日目 心房細動 16 30 突然 倒 頭蓋内出血 mRS modified Rankin Scale 頭部MRI 入院時 既往歴 高血圧 認知症 内服 ADL 自力歩行可能 頭部CT 以上 横 代表症例 1 現病歴 送 背景 結果 table 1 示 投与前後 3例 30 患者背景 結果 Table 1 症例: 患者 • NIHSS T-PA 投与 際 全例 対 rt-PA 静注療法 適正治 療方針 従 全身評価 行 頭部CT MRI 施行 頭蓋内病変 確認 慎重投与 含 -PA投与適応 患者 家族 十分 行 希望 場合 限 t-PA療法 施行 全症例 投与終了後 全症例 対 対象 R 改善 R 自宅退院 MRA 考察 ① 自験7例 t-PA療法 致命的 合併症 当院 全例 頭部MRI 施行 有無 T2* 確認 ② 全例 通常 CT t-PA 併用 頭蓋内出血 判然 出血 1例 経験 陳旧性出血 回避 考 脳保護療法 行 脳保護療法 併用 脳細胞血管構造単位 一体 保護 出血合併症 軽減 [2] 脳保護療法 t-PA療法 溶解率 改善 効果 期待 [3] 血栓 [2] Zhang W, Sato K, Hayashi T, et al: Extension of ischemic therapeutic time window by a free radical scavenger, Edaravone, reperfused with tPA in rat brain. Neurol Res 26: 342–348, 2004 [3] YAMATO study http://www.kawasaki-m.ac.jp/yamato/index.html 結語 ③発症 治療開始 4時間以上 経過 2例 SVS陽性 認 2例 t-PA投与後 再開通 得 早期 死亡退院 SVS陽性症例 t-PA療法 急性期再開通 得 [4] 患者 対 t-PA療法 無効 出血 問題 SVS陽性所見 血管内治療 去 第一 考慮 判断材料 ④ 80歳以上 高齢者 対 t-PA療法 血 死亡 頻度 有意 増加 度 有意 減少 [5] 適応症例 検討 脳保護療法 併用 安全 効果的 施行 可能 発症7日以内 発症7日 上昇 機械的血栓除 症候性頭蓋内出 6 月 死亡頻 超高齢者 考 t-PA投与 [4] M1 Susceptibility Vessel Sign on T2* as a Strong Predictor for No Early Recanalization After IV-t-PA in Acute Ischemic Stroke Kazumi Kimura et al. Stroke. 2009 ; 40:3130-3132 [5] Sandercock P, et al.; IST-3 collaborative group. The benefits and harms of intravenous thrombolysis with recombinant tissue plasminogen activator within 6 h of acute ischaemic stroke (the third international stroke trial [IST-3]): a randomised controlled trial. Lancet 2012; 379: 2352-63. • 当院 超高齢者 急性期脳梗塞 対 t-PA投与例 • 自験7例 t-PA投与後 頭蓋内出血 合併 1例 経験 • 適応症例 検討 脳保護療法 併用 超高齢者 考 検討 t-PA投与 安全 効果的 施行 可能
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