独立行政法人地域医療機能推進機構 埼玉メディカルセンター 鶴岡慎悟

セルブロック
活用術
独立行政法人地域医療機能推進機構
埼玉メディカルセンター
鶴岡慎悟
肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き 第2.1版
肺癌患者におけるALK遺伝子検査の手引き2015
セルブロックを作製することで
多種多様なアプローチが可能となる
目次
1.当院のALK・EGFR検査の流れ
・・・検体が届いてから
2.セルブロック作製
・・・作製方法・利点・問題点
3.セルブロック活用
・・・運用・活用方法
臨床からのセルブロック依頼
 分子標的薬治療の患者選択
 原発不明癌の検索
 悪性中皮腫における労災認定
等々・・
分子標的薬の隆盛により,
遺伝子検査が出来るよう準備が必要
当院の肺癌におけるEGFR/ALK検査の流れ
検体提出
•気管支洗浄
•胸水・・等
体腔液のみ
迅速Giemsa染色
検体に応じた
セルブロック作製
必須
細胞診
•Pap.染色
•Giemsa染色等
検体量が多ければ
EGFR用
冷凍検体
(EGFR/ALK検査における)細胞検査の理想
臨床
臨床情報の記載を徹底
出来るだけ多くの検体を提出してもらう
病理
診断的価値のある細胞を集める
 性状に応じた検体処理
原発巣の推定
 細胞転写、戻し電顕などの技術的熟練
 セルブロックの積極的な作製
当院で経験した悪性細胞が少数の原因
他院で穿刺されて間もなく受診
 複数回、継続的な穿刺
 提出された検体量が少ない 10mmスピッツ…
 集細胞、検体処理の諸問題

 大量に提出してもらう
 集細胞、検体処理の改善
良質な遺伝子検査・細胞診検査は
臨床・病理との連携.技師のスキルアップが重要
目次
1.当院のALK・EGFR検査の流れ
・・・検体が届いてから
2.セルブロック作製
・・・作製方法・利点・問題点
3.セルブロック活用
・・・運用・活用方法
セルブロック作製
現在様々な方法が考案されている。
現在当院では検体に応じて
 遠心管法
 エッペンドルフ・チップ法
 アルギン酸ナトリウム法
使用器具(遠心管法)
エッペンドルフ・チップ法
毛細管現象でパラフィンを入れる
セルブロック作製(遠心管・エッペンドルフチップ法)
遠心管法
アルギン酸ナトリウム法

原理:アルギン酸ナトリウム水溶液にCaイオンを加
えると瞬時にイオン架橋が起こりゲル化する
試薬:
1%アルギン酸ナトリウム・20%緩衝ホルマリン混合液
→1%アルギン酸ナトリウムを20%の
中性緩衝ホルマリンに溶解する

1M塩化カルシウム水溶液
→11.1gの塩化カルシウムを約100mlの蒸留水で
水溶液とする
アルギン酸ナトリウム法
アルギン酸ナトリウム法
同一坦癌症例
遠心管法
各方法の利点と問題点
 遠心管法・エッペンドルフチップ法
利 点:添加をしないので細胞変性が少ない.
問題点:やや煩雑で難,トレーニングが必要
微量検体では難しい場合がある
メスによる怪我の可能性
 アルギン酸ナトリウム法
利 点:安価,簡単,作製者間での差異が少な
い.微量検体に長けている
問題点:やや細胞が変性する.
問題点
アルギン酸ナトリウム法では細胞の収縮し
細胞の間にアルギン酸が入り込む
アルギン酸ナトリウム法(バック)
ホルマリン固定した検体にアルギン酸を加え,遠心
余分なアルギン酸を除去し,沈渣に塩化Caを加える
アルギン酸ナトリウム法
アルギン酸ナトリウム法(バック)
同一坦癌症例
各方法の運用
当院では検体量の豊富な体腔液検体は遠心管法を用
いている.
気管支洗浄液や細胞少量の検体はエッペンドルフ・チップ法
や作製者間差の少ないアルギン酸ナトリウム法
(バック)で作製している
各方法の利点と問題点を理解する
 検体,細胞量で作製する方法を変える
 各方法で免疫染色の染色性に問題はない

目次
1.当院のALK・EGFR検査の流れ
・・・検体が届いてから
2.セルブロック作製
・・・作製方法・利点・問題点
3.セルブロック活用
・・・運用・活用方法
セルブロック作製によるメリット
 分子標的薬治療の患者選択
 原発不明癌の検索
 悪性中皮腫における労災認定
等々・・
 将来の分子標的薬などの研究分野
 出現細胞に客観性をもたせる
 コントロールブロックの作製
 微量生検材料について
ハンクス液中で増殖した真菌
アルギン酸ナトリウム法
グラム染色
細菌検査室より菌液の提供
アルギン酸ナトリウム法
終わりに

作製によって様々なメリットがあり,分子標的薬,将
来の網羅的な遺伝子解析,研究が可能であり積極的に
作製する事が望ましい

コントロールブロック作製への応用

細胞診材料で出現していた細胞に客観性を持たせるこ
とが出来る

標本作製コスト(医事点数)の問題がある.今後とも
動向を注視しつつ研究したい