グループ企業の再編の目的と効果 横浜銀行と東日本銀行との経営統合について検討を開始とニュースが流れまし た。経営統合といっても合併よりもよりソフトな共同持ち株会社設立です。今 回は組織再編の目的(利点)とその効果(期待)についてです。 組織再編による出資関係図 【組織再編前】 【持株会社設立】 株主 A 株主 B A会社 B会社 株主 A AB会社 A会社 【合併】 株主 A 株主 B AB会社 株主 B B会社 持株会社設立の場合は、 事業会社が傘下に入るも間接 コストの削減効果は少ない。 合併の場合は、法人格がひとつにな るため、交際費等の枠が減る 経営統合や合併の利点は、事業規模の拡大による事業基盤の強化、コストの削 減、信用力や企業価値の向上などがあります。 従前の節税対策において子会社の設立や分社化を行いましたが、その利点は中 小企業に適用される軽減税率や交際費等などの限度額拡大などありました。し かし近年の傾向としては、それらの利点よりも人的資源の集中や間接コストの 削減からグループ企業の役割の整理、市場での優位性向上の目的で再編が検討 されていると思われます。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/ 中小企業への優遇政策 ・課税所得が年 800 万円までは 15%の軽減税率(法人税)が適用できる。 ・交際費等の損金算入限度額は年 800 万円まである。(×会社の数) ・少額減価償却資産の損金算入特例(取得価額 30 万円未満を一括損金算入) などがあるほか、各種の優遇税制において適用基準の緩和等で優遇している。 組織再編により期待できる効果 持株会社方式 による経営統合 有利 不利 合 併 分社化 (分割・事業譲渡) 合併に比べ利害関係者の抵抗 事業基盤の強化 権限と責任の明確化 感が少ない(各社の独立性が 間接コストの軽減 中小企業優遇税制の適用 ある) 企業価値の増加 処分性の向上 意思決定が遅くなる 利害関係者の抵抗感が強い 間接コストの増加 合併に比べ利点が少ない 労働条件 企業文化等の統一 組織再編の実行においては株主の持分に移動が生じるため、税制適格の要件を 満たさなければ株主、企業の双方に課税問題が生じますが含み益を実現させた い場合には、あえて非適格で組織再編を検討します。 また、黒字企業と赤字企業の課税所得を相殺する目的の場合には、100%親子関 係に再編し連結納税制度を利用することも検討する必要があります。 株価対策の視点 換金性のない非上場株式に課される相続税は企業経営者にとって大きな問題で す。相続税における非上場株式の評価方法は、原則として純資産価額方式と類 似業種比準価額方式を用いて計算されます。一般的に類似業種比準価額よりも 純資産価額の評価額が高くなる傾向があり評価額を引き下げる観点において組 織再編時には次の点に留意する必要があります。 ① 総資産価額・従業員数・取引金額によって会社規模が判定されますが、この 規模が大きくなるほど株価に対する類似業種比準価額の影響が強くなる。 ② 含み損のある会社を合併すると含み益が相殺されてしまい「評価差額に対す る法人税等に相当する金額」が少なくなり株価上昇要因となる。 ③ 持株会社方式による経営統合の場合、株式保有特定会社に該当する場合は、 原則として純資産価額方式で評価する。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com/
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