ユニカス会だより No.19

ユニカス児童施設&CWC 児童施設(カンボジア)を支援
ユニカス会だより
2015.7.25 発行
No.19
事務局:〒920-0373 金沢市みどり 1-121
TEL 090-4321-9338
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+++ 嬉しかった協力者の参加「第9回ユニカス会定期総会」開かれる +++
第9 回目を迎えた定期総会は、5 月23 日(土)午前10 時より、香林坊の NPO 活動支援センター「あいむ」
にて 出席 12 人(会員 7 人、オブザーバー5 人、委任状 20 名)で開かれた。当日はユニカス会の活動を何
年間も支え続けてくれた JICA 派遣専門家 OB 会の太田さんが、時間を作ってわざわざ参加してくれたり、
大学祭等でユニカス商品の販売をしてくれたり、ユニカス会だよりを英語に翻訳してくれたりと私達に大きな
力を与え続けてくれた金沢大学の KuLOs の若い方々が参加して下さったことは本当に嬉しいことだった。
私は我々がカンボジアの子ども達に「風で吹き消されない灯りを」と願って彼らと一緒に推進した「太陽光
発電装置」を 2 年半もかけてやっと取り付けた苦労、外国相手の支援の困難さを身にしみて感じた事であっ
たが多くの皆さまのご協力でやれたことの報告をさせてもらった。今年度は「子ども
達がカンボジアの優位性を認識し将来の目標や夢を持てる活動」を中心にする予
定。どのように展開していくか問題は山積だが新しい世代の育ちを見守っていきた
いと感じた定期総会だった。
(文責:坂本富沙子(運営委員))
+++ カンボジア訪問報告 +++ 2015 年 7 月 3 日~8 日 参加者: 寺西(初参加、6 日まで)、宮前
カンボジアに行って来ました
宮前 美智子(ユニカス会代表)
《 ユニカス児童養護施設の今 》
===ユニカス施設長 セィラー( 26 歳 男性)は、留守だった===
4 日午後 予めメールで約束をし、プノンペンから車で1時間余をかけて訪問したがスッポカされてしまっ
た。私は初めての事でショックを受けた。厳しい要求をしているからか? ◆寮母主任のナビーが「友人の
結婚式で千キロ以上も離れた所に行っている、申し訳ない、説明はナビーがしてくれる」という彼からの伝
言にも怒りは治まらなかった。◆これまでも度々あった事で「約束は守らなければいけない、信用できなくな
る」と何度も注意していたのに何の役にも立っていないようでがっかりした。
===畑は草茫々、鶏も豚もいない、働く必要がない、男子学習室には 椅子も無い===
ナビー(10 年勤続、貴重な中学 2 年生までの就学経験がある女性、3 人の男児の親)によると 現在子ど
もは 52 人。 メインドナーの毎月1,500 ㌦の支援の他、オーストラリア、シンガポールからの支援が受けられ
るようになったので子どもは働く必要がなくなった。テレビは 木、土、日、の午後 7 時から 10 時まで見せて
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いる(カンボジアのテレビは私が観た限りでは男女がペアになり踊る歌番組が一番多く、次に別世界の男女
のドラマ、ニュース番組はほんの少しだけ)。
◆不登校の子どもが数名もいるという。なんと日本よりも多いではないか。◆以前子ども達はよく働き良く
遊んでいた。テレビは土日のみの夕方2時間だけで 9時消灯,就寝. 大きい子は自習室も無かったので自
室でローソクを付けて勉強をしていた。 今は“ケンパもどき”や“砂遊び”をしていた園庭はセメントに被わ
れ尽されて子どもの遊ぶ姿も働く姿も見当たらない。太陽光発電機を付けても今の状態では子どもたちの
成長にマイナスになっているのではとの思いが脳裏をかすめた。責任を取らなければならない。そして◆
「お金だけを与えるのは止めてくれ~」と叫びたかった。
女子学習室
草ぼうぼうの畑にバナナ茎が
放置されたままの焼けた豚小屋
男子学習室
====7 日に再訪、 電話をかけても切断されたが・・・・====
シンホンさん(太陽光発電装置会社 KHJ 社長)と一緒にユニカスに向
かった。シンホンさんがセィラーに電話をすると一言もなく切断されてし
まった。セィラーは昨日 KHJ に我々への返済金 1,200 ㌦を持って来て
椅子もない・・・
領収書の発行を迫ったとの事。私はシンホンさんから 1,200 ドルを受け取ったが、今日も会うつもりはないの
ではないかと思い嬉しくはなかった。◆しかし車がユニカス児童施設に着く手前で、セィラーの方から「プノ
ンペンにいるので会いたい」との電話が入った。空港近くの KHJ の支店まで来るようにと指示し我々も U タ
ーンした。一体どうなっているの?
太陽光発電設置費寄付者のネームプレート
新しい寄付者 4 名の名前が追加されていた
我々の名前は下に
屋根にそびえる太陽光パネル
====やっとユニカスの将来についての話ができた!!====
セィラーは親しげな顔してやって来たので思わずハグしてしまった甘い私がいた。持参したプノンペン
空港で売られている茶色で硬いゴムのようなドライマンゴと、日本で買って来た南国産のドライマンゴ 3 種類
を出し 味の違い価格の違いを確かめながら試食した。もしユニカスの空いている土地で果物を育て空い
ている建物で加工し販売する事が出来たら 寒い日本よりずーと有利な商いをする事が出来る。又、キャラ
メルを出して試食しながら、マンゴでなくても砂糖耶子からはキャラメルが作れるし 普通の椰子の実の健康
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効果、美容効果が今話題になっている。カンボジアには有利な資源いっぱいある事に気がついて欲しい。
貴方のお母さん(初代施設長)が切望していた外国からの自立も夢ではない事を話すと「指導者がいない」。
待ってました!とばかりに「木を植えてもすぐに果物は出来ない。その間に 子ども達の中の希望者を留学
させて勉強させることが出来る。オーストラリアやシンガポールからの支援金はその為に貯金をした方が良
いと思う。子ども達と一緒になって将来を考え果物の木を植え、草取りなどしながら将来を語れるようになれ
ば学習意欲も高まるはず、亡母の願いが現実になるのは貴方の意思次第。◆セィラーは身を乗り出し頷い
ていた。一過性でない事を祈り、今後を見守りたいと思った。
< 日本料理店で開催したユニカス児童施設 OB,OG 会 ~初めての会費制~ >
カンボジア訪問の 1 か月前に何時も取りまとめてくれるソテイアに会合の案内をしたのに何の返事も無か
った。会費を徴収する事に抵抗しているのは明白だった。◆10 年以上彼らと付き合ってきてカンボジア人
の自己肯定感の低さは子育てに原因があると常々思っていたので最終年度にあたり「子どもの権利条約」
の力を借りて話をする事にした。後には引けないので
カンボジアに行ってからセィラーの口を通して人集めを
してくれるよう、通訳のウオッタ―さんに依頼した。◆他
の孤児院の施設長のビトウは職員 2 人を連れて参加。ソ
ックは生れたての赤ちゃんと奥さんを連れて、カマーは
夫と共に参加してくれた。珍しい日本料理に気をよくして
か上限の 1 ドルを超え一人平均 約 1.3 ㌦の自主会費を
払ってくれたのには、感激してしまった。
==== 叩かなくても子どもは育てられる、ただし前提条件がある====
はじめに希望者 10 人にユニセフ事務所から頂いてきたカンボジア語版の「子どもの権利条約」の冊子を
渡した。カンボジアの伝統的な子育ては、よく叩くが、叩かれることで子どもの自尊感情、自己肯定感を低く
してしまう。叩かなくても どうして叩かれるような事をしてしまったのか話を聞く 大人に原因がある事も多
いのでその際は謝る。子どもは決してその親を馬鹿にはしないで逆に自分が大切にされた事を喜び、親
(大人)を尊敬する。その後で静かに、やってはいけない事を諭す。その前提条件は親(大人)に愛されて
いるという実感が持てている事である。いやな人の言う事は大人でも聞く事が出来ないから。親に愛されて
いる子は「自分は愛されるに値する人間だ」との自己肯定感を持つことが出来る。
==== 親がいる子は孤児院では預からない、孤児には親のように接する====
孤児院なのに親がいる子が多い。家に還すべきだ 子どもの権利条約では親子を分離できるのは 虐待
の場合だけと書いてある。カンボジアは日本よりも早く子どもの権利条約に加入して、これまでの子育てを
改めると世界に宣言しているので社会福祉省は「叩くな」と言いだしたが 人々は戸惑い、バカ可愛がりを
する人が増えだした。子育ての危機である。今日の話を周りに伝えて欲しい。自己肯定感を持てる国民が
増えればカンボジアはもっと良い国になる。「どうせ僕らは・・・・」と言わないでもらいたい。
=== 年齢に応じ、バランスのとれた 遊び、労働、学習を===
子どもは大人にちゃんと育ててもらう権利がある。セィラーが「働かせてはいけない法律があるから働かせ
ない」と言っていたように政府の伝え方は一方的で、これも子育てが混乱している原因である。学校にも行
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かせないで長時間働かせてはいけないという意味なのだ。 働くこと(お手伝い)で役立ち感を持つことが
出来、それは自己肯定感を高めるのに寄与する。友達との遊びは、コミュニケーション能力、体力、協調性
意欲等を高めてくれる。勉強だけでは得難い能力。◆ 全て実例を挙げて話し参加者の反論にも応えたの
で真剣に聴いてもらえたと思った。一部途中退席等もあったが サムラッ(「気が付いたらユニカスにいた」
子でいつも宮前の近くにいた )の彼女は涙を流しながら聴いていたのが印象的だった。◆最後に 自分
のお金を使って勉強したり、人の役に立つことを出来る人間になろうと気勢をあげて集会を終えた。高揚感
を押える事ができない日曜日の午後だった。そして、「子どもの権利条約の解説本」をカンボジア人の手で
作れる日が早く来る事を祈った。
ユニカスのお隣さん ソック家のみなさんと
右の写真はソック家の台所
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《 ユニカス会発足 10 年目の訪問 》
寺西チヨ子(会員)
ユニカス会は来年 3 月をもって 10 年間の支援活動に区切りを付けるという意義ある訪問に同行させてい
ただき、私にとっては大変勉強になる事ばかりでした。現地に足を運び、本日までのユニカス会員の皆さま
の取り組みを現実に垣間見る事が出来、頭の下がる思いでした。 ◆それは、子ども達や職員の様子、広
大な土地の管理、そして施設の活用などです。最近設置された太陽光発電は最たるものであったかと思い
ます。しかも、太陽光発電は屋根の上に立派にその役目をはたしていた事に感動しました。◆いろいろな
思いを持ちながら、次のユニカス会 OB,OG の交流会に参加しました。突然連絡を受けた OB,OG もいまし
たが快く参加し、総勢 22 名+ユニカス会員 2 名+ゲスト合わせて 26 名で交流会が開かれました。特に印
象的だったのは、宮前代表と巣立ったOB,OGの再会の場面です。テレビドラマの世界のように、親子のよう
であり、信頼できる仲間のようでもあり、ユニカスファミリーそのものでした。今後の子育ての道標として、宮
前代表から「子どもの権利条約に基づく子育てについて」の話がありました。全ての人がその話に熱心に耳
を傾けて聴きいる姿から安堵もしました。きっと子育て年齢に達している
OB,OG には必要な内容だったからだと思います。◆子どもの権利条約に明記
されている事は「子どもを虐待してはいけない。」つまり惨い取り扱いをしては
いけないという事でした。その事について詳しく説明し、その後子育てに必要
なことの要点として「学ぶこと、働くこと、遊ぶこと」の 3 点をあげ、その根底には
必ず愛が必要であるとまとめていました。そして最後に一人一人がいかに自
立する社会の仕組み作りに参加していくか、支援ばかりに頼らず、ユニカスと
自分たちの幸せを願って生きていけるよう諭す親のような宮前代表の姿に拍
手を送りました。
***7/5 夜、プノンペンのゲストハウスにて***
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発展するプノンペン
でも人々は・・・
+++ 運営委員の活動日記 +++
初めて会議に出席して
磯田達夫(運営委員、昨年 9 月入会と同時に就任)
6月14日「いしかわ国際交流団体ネットワーク会議」に一人で出席しました。2日前から前夜までよく眠れま
せんでした。KuLOs の方も参加していました。何か喋らされそうな気がしていたら、案の定ユニカス会の紹
介をさせられました。上手に喋れたと思ったけれど会場から「声が小さい」と言われました・・・・。
ヨーロッパの団体は入っていないのか誰もいませんでしたがロシアの団体がありました。東南アジア、 特
に中国の団体がとても多く、その他にもいろんな団体があるのに驚きました。貴重な経験をさせて頂きあり
がとうございました。
+++ イベント参加報告 +++
<世界の人たちと出会おう!交流しよう!つながろう!> 国際交流祭り 2015
6月27(土)・28日(日)の二日間、石川県政記念しいのき迎賓館で開催され
ました。 テーマは<世界の人たちと出会おう!交流しよう!つながろう!>
賑やかで国際交流の祭りらしい雰囲気が終始漂っていました。 ただ、昨年と
同様、止む時もありましたが、雨の二日間だったのは残念でした。やはり、時
期としては仕方がなかったのではないかと思います。◆今年のユニカス会の
ブースは、カンボジアの雑貨販売のみで、食べ物の販売はしませんでした。
マスコットやストールなどがよく売れたのですが、ユニカスや CWC の子どもたちが作成した、ミサン
ガ、エコたわしが思ったより売れなかったのは残念でした。もう少しアピールすべきだったと反省し
ています。◆今回も売るというだけではなくカンボジアの紹介、支援している児童施設の子どもたち
の様子なども、訪れた人々に伝えるという事にも取り組み、今までに作成した「ユニカス会だより」も
配布しました。◆またボランティアの学生さん達、ボランティア大学校の方々にも手伝っていただき、
嬉しく思っています。その間、販売の手伝いだけでなく、私達の活動に対しても理解をしていただけ
たのではないかと思っています。(文責:福島昭子(運営委員))
ご協力いただける方からのご連絡を
お待ちしております(事務局)
~~イベント時の協力者大募集~~
イベントの収益金は活動の大切な柱の一つになります
「ふくしの集い」
9 月 6 日(日)
於:金沢市松ヶ枝緑地公園
「多文化が共生する県民フェスタ」
金沢市社会福祉協議会主催
10 月 4 日(日)
於:駅前 リファーレビル内外
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石川県国際交流協会主催
「子どもの権利条約」4 つの柱 http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html
子どもたちは健康に生まれ、安全な水や十分な栄養を得て、健やかに成長
する権利を持っています。
子どもたちは、あらゆる種類の差別や虐待、搾取から守られなければなり
ません。紛争下の子ども、障害をもつ子ども、少数民族の子どもなどは特別
に守られる権利を持っています。
子どもたちは教育を受ける権利を持っています。また、休んだり遊んだりする
こと、様々な情報を得、自分の考えや信じることが守られることも、自分らしく成長
するためにとても重要です。
子どもたちは、自分に関係のある事柄について自由に意見を表したり、
集まってグループを作ったり、活動することができます。そのときには、家族や地
域社会の一員としてルールを守って行動する義務があります。
<
ユニカス会とは
>
2006 年 8 月設立 カンボジアのユニカス児童施設(Unaccompanied Association)と
CWC 児童施設(Child Welfare of Cambodia)の自立を支援し、交流している任意団体です
―あなたの優しさをカンボジアの子らに―
入会受付中:
年会費 個人一口 2 千円、団体一口 3 千円
加入者名 ユニカス会 郵便振替口座番号 00700-1-39758
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