φ136mm×28mm厚 「San Ace 136RF」9RFタイプ

新製品紹介
φ136mm×28mm 厚
リバーシブルフローファン
「San Ace 136RF」9RF タイプ
西沢 敏弥
藤巻 哲
工藤 愛彦
川島 高志
Toshiya Nishizawa
Satoshi Fujimaki
Naruhiko Kudo
Takashi Kawasima
1. まえがき
近年,冷却用ファンの使用用途として,冷却以外の分野で使
開発品の特長を以下に示す。
(1)両方向にほぼ同等の風量−静圧特性
用されることが増えている。住宅換気や飲料用自販機,食品用
(2)送風方向を切替える機能
ショーケース,印刷機などの送風を利用した分野である。
(3)羽根側・銘板側ともに同形状の取付開口部
例えば,住宅換気においては,室内の温度を調整するため,室
外の空気を室内へ吸気する場合と室内の空気を室外へ排気す
る場合がある。従来ではこのような場合,吸気用と排気用とで
なお,開発品は両方向に送風する製品であるため,送風方向を
以下のように定義している。
別々のファンを設置する必要があった。
このような状況から,設備のコストや設置スペースを削減す
・正方向:羽根側から吸込み,銘板側へ送風する方向
るために 1 台で両方向に送風できるファンの要求が高まってき
・逆方向:銘板側から吸込み,羽根側へ送風する方向
ている。
こうした要求に応えるために,両方向に送風できる新たな
ファンとして,φ 136mm × 28mm 厚リバーシブルフローファ
ン「San Ace 136RF」9RF タイプを開発・製品化した。
本稿では,その特長と性能を紹介する。
2. 開発品の特長
図 1 に「San Ace 136RF」9RF タイプ(以下,開発品という)の
外観を示す。
3. 開発品の概要
3.1 寸法諸元
開発品の寸法諸元を図 2 に示す。
3.2 特性
3.2.1 一般特性
開発品の一般特性を表 1 に示す。
定格電圧は DC12V と DC24V の 2 種で,それぞれ定格回転速
度 3,100min-1 を製品化した。
3.2.2 風量−静圧特性
開発品の風量−静圧特性例を図 3 に示す。
3.2.3 送風方向切替え機能
開発品の PWM デューティ−回転速度特性例を図 4 に示す。
PWM デューティサイクル 100% 時に正方向の最高回転速度
となり,PWM デューティサイクル 0% 時に逆方向の最高回転
速度となる。PWM デューティサイクル 50% 時にファンは停止
する。
また,コントロールリード線をマイナス電源線に接続した場
合には逆方向の最高回転速度となり,コントロールリード線を
マイナス電源線に接続しない場合には正方向の最高回転速度と
図 1 φ 136mm × 28mm 厚
「San Ace 136RF」9RF タイプの外観
23
SANYO DENKI Technical Report No.40 Nov. 2015
なる。
φ 136mm × 28mm 厚リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RF タイプ
3.3 期待寿命
開発品の周囲温度 60˚C における期待寿命(残存率 90%,定格
電圧連続運転,フリーエアー状態,常湿)は,40,000 時間である。
4-φ3.5±0.3
0)
(1
正方向
逆方向
131.5±0.5
+300
30 0
リード線
UL1007
AWG26
SANYO DENKI
3
0.
12
8
±
±
0.
3
8
12
(3)
φ136±0.5
(3)
28±0.5
正方向
逆方向
図 2 開発品の寸法諸元 (単位:mm)
表 1 開発品の一般特性
型番
送風方向
9RF1312P3H001
9RF1324P3H001
定格
電圧
使用
電圧範囲
[V]
[V]
正方向
PWM
定格
電流
定格
入力
[%]
[A]
[W]
[min ] [m /min] [CFM]
[Pa] [inchH2O] [dB(A)]
100
0.15
1.8
3,100
2.00
70.7
102
0.410
35
0
0.15
1.8
3,100
2.00
70.7
104
0.418
46
100
0.09
2.2
3,100
2.00
70.7
102
0.410
35
0
0.09
2.2
3,100
2.00
70.7
104
0.418
46
12 10.2 ∼ 13.8
逆方向
正方向
24 20.4 ∼ 27.6
逆方向
正方向
(inchH2O)(Pa)
-1
0.25
100
0.40
10.2V / 12V / 13.8V
20.4V / 24V / 27.6V
0.10
静圧
静圧
80
0.30
0.25
60
[h]
-20 ∼ +70 40,000/60˚C
PWMデューティ0%
100
10.2V / 12V / 13.8V
20.4V / 24V / 27.6V
80
60
0.20
40
0.15
0.10
20
0.05
0
期待寿命
[˚C]
逆方向
0.35
0.20
0.15
3
0.45
0.35
0.30
最大静圧
120
0.45
0.40
最大風量
(inchH2O)(Pa)
PWMデューティ100%
120
定格
回転速度
音圧
使用温度範囲
レベル
デューティ
サイクル
40
20
0.05
0
0
0.5
10
20
1
30
1.5
40
50
2.5 (m3/min)
2
60
70
80
(CFM)
0
0
0
風量
0.5
10
20
1
30
1.5
40
50
2.5 (m3/min)
2
60
70
80
(CFM)
風量
図 3 開発品の風量−静圧特性例
SANYO DENKI Technical Report No.40 Nov. 2015
24
4.3 ファン取付開口部の形状
電圧 : DC12V/24V
顧客において装置設計や板金加工を容易にすることを意図し
PWM周波数 : 25kHz
てファン取付開口部を単純な形状(円形)とし,さらに羽根側・
正方向
3000
銘板側を同形状にした。
開発品の取付開口部における参考寸法図を図 5 に,開発品の
2000
板金への取付状態例を図 6 に示す。
回転速度 (min-1)
1000
45°
45°
0
4-φ3.5
1000
22
φ1
逆方向
2000
3000
0%
50%
100%
PWMデューティサイクル(%)
3
12
8
0.
±
±
0.
3
8
12
図 4 開発品の PWM デューティ−回転速度特性例
4. 開発のポイント
羽根側,銘板側
開発品は送風方向を切替えられる機能を備え,両方向に出来
る限り同等の風量−静圧特性になるよう工夫した。
図 5 開発品の取付開口部における参考寸法図
以下に開発品の各特長を実現させた開発のポイントを紹介す
る。
4.1 羽根・フレーム形状
両方向で出来る限り同等の風量・静圧が得られるよう,従来品
にない羽根形状を採り入れ,角度・枚数などの最適化を図った。
また,逆方向の場合はフレームのスポークが妨げとなり,送風
効率が低下してしまうが,スポーク形状の見直しとフレーム内
径形状の工夫により,両方向にほぼ同等の風量−静圧特性を実
現した。
これにより,顧客が装置の設計をする際に風量のコントロー
羽根側
銘板側
図 6 開発品の板金への取付状態例
ルをイメージしやすくなったと考える。
4.2 モータ・回路部
5. 開発品と従来品との比較
動モータを両方向に回転できるよう駆動回路を見直し,外部から
5.1 ファン台数削減による省スペース化
モータ・回路部においては,通常一方向にのみ回転する単相駆
の PWM 信号で正方向・逆方向を切替える制御方式を実現した。
また,コントロールリード線をマイナス電源線に接続した場
の空気を室外へ排気する場合がある。従来ではこのような場合,
合には逆方向の最高回転速度となり,コントロールリード線を
吸気用ファンと排気用ファンを少なくとも各 1 台ずつ設置する
マイナス電源線に接続しない場合には正方向の最高回転速度と
必要があった。
なるため,PWM 信号を使用しなくても回転方向を切替えるこ
とを可能にした。
開発品は図 4 に示すとおり,PWM 速度コントロール機能に
よって,適切な回転速度に調整できるので,顧客装置全体として
の低騒音化・消費電力低減に貢献できると考える。
25
住宅換気などでは,室外の空気を室内へ吸気する場合と室内
SANYO DENKI Technical Report No.40 Nov. 2015
開発品は 1 台で両方向に送風できるので,開発品と羽根サイズ
が同等である従来品(120mm 角 25mm 厚 9G タイプ)とのファ
ンサイズを比較すると,従来品 2 台使用時より開発品 1 台使用時
の方が設置スペースをおおよそ半分に削減することができる。
開発品 1 台と従来品 2 台のファンサイズ比較を図 7 に示す。
φ 136mm × 28mm 厚リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RF タイプ
PWMデューティ0%, DC12V
119
131.5
120
100
開発品:9RF1312P3H001 逆方向
119
φ136
119
238
開発品 1 台
80
従来品:9G1212H401
従来品 2 台
静圧 [Pa]
図 7 開発品 1 台と従来品 2 台のファンサイズ比較
5.2 風量−静圧特性,消費電力,音圧レベルの比較
開発品 9RF1312P3H001 の正方向と従来品 9G1212H401 の
動作点
60
図版の文字
123
想定システム
インピーダンスカーブ
40
英語版用
Condens
風量−静圧特性比較を図 8 に示す。また,開発品の逆方向と従
来品 9G1212H401 の風量−静圧特性比較を図 9 に示す。このと
英語版用
Times Ten
20
き,各々の交点を通る想定システムインピーダンス上の点を動
作点とし,その時の消費電力,音圧レベルの比較を表 2,3 に示
す。
0
0
0.5
1
来品と比較すると,正方向・逆方向ともに消費電力が約 19% 低
減している。音圧レベルに関しては,開発品の逆方向は従来品
と同等であるが,開発品の正方向は従来品より 4dB(A)低減し
1.5
2
2.5
3
風量 [m3/min]
開発品は想定システムインピーダンス上の動作点において従
図 9 風量−静圧特性例
(開発品の逆方向と従来品との比較)
ている。
PWMデューティ100%, DC12V
120
表 2 想定システムインピーダンス上動作点の
消費電力,音圧レベルの比較
(開発品の正方向と従来品との比較)
消費電力
音圧レベル※
[W]
[dB(A)]
2.6
40
3.2
44
100
開発品:9RF1312P3H001 正方向
開発品
9RF1312P3H001 正方向
80
従来品
静圧 [Pa]
従来品:9G1212H401
9G1212H401
※吸込側より 1m の値
動作点
60
表 3 想定システムインピーダンス上動作点の
消費電力,音圧レベルの比較
(開発品の逆方向と従来品との比較)
想定システム
インピーダンスカーブ
40
20
消費電力
音圧レベル※
[W]
[dB(A)]
2.6
46
3.2
46
開発品
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
風量 [m3/min]
9RF1312P3H001 逆方向
従来品
9G1212H401
図 8 風量−静圧特性例
(開発品の正方向と従来品との比較)
120
※吸込側より 1m の値
PWMデューティ0%, DC12V
100
開発品:9RF1312P3H001 逆方向
図版の文字
123
SANYO DENKI Technical
英語版用 Report No.40 Nov. 2015
80
従来品:9G1212H401
Condens
26
φ 136mm × 28mm 厚リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RF タイプ
6. むすび
本稿では,当社で初めての製品となるφ 136mm × 28mm 厚
リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RF タイプの特
西沢 敏弥
1999 年入社
クーリングシステム事業部 設計部
冷却ファンの開発,設計に従事。
長と性能の一部を紹介した。
開発品は,送風方向を切替えられる機能を備え,両方向にほぼ
同等の風量−静圧特性を有したファンの製品化を実現した。す
なわち,従来では複数のファンを使用して両方向に送風してい
た装置において,1 台で満足することができる製品となってい
藤巻 哲
1982 年入社
クーリングシステム事業部 設計部
冷却ファンの開発,設計に従事。
る。
これにより,お客さまの装置のコストや設置スペースの削減
に寄与できるとともに,冷却用途とは異なる新たな分野・市場へ
大いに貢献が期待できると考える。
工藤 愛彦
1997 年入社
クーリングシステム事業部 設計部
冷却ファンの開発,設計に従事。
川島 高志
2011 年入社
クーリングシステム事業部 設計部
冷却ファンの開発,設計に従事。
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SANYO DENKI Technical Report No.40 Nov. 2015