Web サービスのログ解析による利用状況の把握と学生支援

Web サービスのログ解析による利用状況の把握と学生支援
有田 亜希子, 白石 哲也
清泉女子大学 情報環境センター
1.
背景と目的
本学では、学生への一元的な情報提供のために 2011 年から学内ポータルサイト(以下
ポータル)を運用しており、休講情報の掲示や学生の呼び出しなどに利用されている。ポ
ータルでは、個々の学生に関係のある記事のみが表示され、記事が公開された際にメール
で通知する機能があることから、学生に好評である。安定稼動の実績を踏まえ、紙媒体で
の掲示をポータルへ完全移行することが検討されているが、それにはすべての学生がポー
タルを利用していることが前提となる。以上を踏まえ、学生の利用状況を把握するために、
2013 年度におけるポータルへのログイン状況を調査した。
2.
方法

対象期間: 2013 年度(2013 年 4 月 1 日~2014 年 3 月 31 日)

対象人数:1951 人(2013 年 4 月 2 日時点での在籍者。科目等履修生などは含まない)

対象ログ:ポータルサイトへのログイン時にシステム内で記録されるログ

ログインの日時・ユーザ ID・IP アドレス・使用デバイスが含まれる

使用デバイスはパソコン・スマートフォン・携帯電話の 3 種類(userAgent を元
にシステム側で判別)

以下の 3 通りの処理を実施

日付ごとにログインした学生の人数(ユニークユーザ数)を集計

学生ごとにログイン場所(IP アドレスを元に学内・学外を判断)と使用デバイス
の組み合わせを集計し、それぞれの割合を算出。学内でのパソコン使用について
は IP アドレスを元に教室設置のパソコンと貸出・持込のパソコンに分けて集計

3.
2013 年 4 月 2 日時点での学籍簿を元に、ログイン記録のない学生を抽出
結果(表 1・表 2)
ポータルに、一度でもログインしたことのある学生は 1931 人であった。ログイン人数
は最小 27 人(8 月 27 日:夏季休暇中)、最大 1090 人(3 月 17 日:成績開示日)であっ
た。1 日あたりのログイン人数は平均 242 人で、平日には多く(平均 278 人)土日には少
ない(平均 133 人)(表 1)。学外からのログインについては、パソコンおよびスマートフ
ォンの利用が 90%を超えていた。学内においては教室パソコンの利用がもっとも多かった
が、学内の無線 LAN サービスを利用した貸出・持込パソコンによるログインが 34%、ス
マートフォンによるログインも 13%あった(表 2)。ログイン記録のない学生は、20 人で
あった。
4.
考察と今後の課題
パソコン・スマートフォンともに利用が多いため、ポータルで掲示する記事や通知メー
ルは、どちらのデバイスでも見やすいものにする必要がある。また学内教室パソコンでの
ログインも多いことから、紙による掲示のポータルへの置き換えを進めるのであれば、 キ
オスク端末などで簡単に情報を確認できるような対応が考えられる。一方、2013 年度にお
いて、ポータルに一度もログインしていない学生が 20 人いた。未ログインの理由を明ら
かにするために、今後、講義への出席・教室パソコンの利用状況 なども調査する予定であ
る。その上で特に原因が見当たらないのであれば、学生がよりポータルにログインしやす
い環境を整えていきたいと考えている。
1000
3/17,1090人(最大)
ロ
グ
イ
ン
人
数
500
平日平均
(278人)
平均
(242人)
休日平均
(133人)
8/27,27人(最小)
0
4/1
5/1
6/1
7/1
8/1
9/1
10/1
11/1
12/1
1/1
2/1
3/1
期間(2013年度)
図 1:2013 年度におけるポータルへのログイン人数
ロ
グ
イ
ン
場
所
と
使
用
デ
バ
イ
ス
学外
パソコン
99%
スマートフォン(*)
92%
携帯電話
学内
4%
教室パソコン
93%
貸出・持込パソコン
34%
スマートフォン
13%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
ログインした全学生における割合
(*)学 内 に お い て 通常 の 携帯 電話 回 線 を利 用 して ロ グイ ンして い る 場合 、 学外 と して カウン ト さ れる
図 2:ポータルへのログイン場所と使用デバイス