Title 高張力鋼板の穴抜き加工工具形状の最適化( 本文(Fulltext) ) Author(s) 山田, 智裕 Report No.(Doctoral Degree) 博士(工学) 甲第465号 Issue Date 2015-03-25 Type 博士論文 Version ETD URL http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/51023 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。 高張力鋼板の穴抜き加工工具形状の最適化 Optimization of tool shape in piercing for high tensile strength steel plate 2015 年 3 月 山田 智裕 目次 第1章 1.1 緒論 ............................................................................................................. 1 研究背景 ............................................................................................ 1 1.1.1 せん断加工と精密せん断法................................................................. 1 1.1.2 焼付き現象 ............................................................................................ 3 1.1.3 仕上げ抜き法の応用 ............................................................................ 4 1.1.4 高張力鋼板の需要とせん断加工における課題 ................................. 6 1.2 従来の研究の未解明点と本研究の目的 .............................................. 8 1.4 本論文の構成 ..................................................................................... 9 第2章 仕上げ抜きにおける切れ刃形状と クリアランスの切口面割合への影響 .................... 10 2.1 緒言 ................................................................................................. 10 2.2 実験条件 .......................................................................................... 11 2.2.1 実験装置 .............................................................................................. 11 2.2.2 工具形状・材質 .................................................................................. 15 2.2.3 観察方法 .............................................................................................. 17 2.3 実験結果 .......................................................................................... 18 2.3.1 切口面外観 .......................................................................................... 18 2.3.2 だれ割合への影響 .............................................................................. 20 2.3.3 せん断面割合への影響 ...................................................................... 21 i 2.3.4 バリ高さへの影響 .............................................................................. 23 2.3.5 加工荷重・エネルギーへの影響 ....................................................... 24 2.4 FEM 解析によるせん断面割合の予測 ........................................... 26 2.4.1 解析条件 .............................................................................................. 26 2.4.2 クラック進展方向の予測 .................................................................. 28 2.4.3 せん断面割合の予測 .......................................................................... 32 2.4.4 大きなバリの発生機構 ...................................................................... 38 2.4.5 他材料へのせん断面割合予測法の適用 ........................................... 40 2.5 第3章 結言 ................................................................................................. 43 中厚板せん断加工における焼付き現象に及ぼす工具形状の影響 .... 43 3.1 緒言 ................................................................................................. 43 3.2 FEM 解析・実験条件 ...................................................................... 43 3.3 温度解析結果................................................................................... 47 3.4 FEM 解析・実験結果 ...................................................................... 52 3.4.1 FEM 解析による表面積拡大比の算出方法...................................... 52 3.4.2 表面積拡大比の算出結果 .................................................................. 53 3.4.3 実験結果 .............................................................................................. 54 3.5 考察 ................................................................................................. 56 3.6 結言 ................................................................................................. 77 第4章 総括 ........................................................................................................... 78 ii 参考文献 ................................................................................................................... 80 関連論文目録 ........................................................................................................... 84 謝辞 ........................................................................................................................... 85 iii 第1章 1.1 1.1.1 緒論 研究背景 せん断加工と精密せん断法 せん断加工は,板や棒などの素材の切断から精密部品の打抜き加工に至る まで,最も広く用いられている切断加工技術である.せん断加工は一般にプ レス機械を用いるため,鋸刃による切断,切削,レーザー加工やワイヤーカ ット放電加工などによる切断に比べ生産性が高いという特徴がある.国内で 稼動しているプレス機械の 70~80%が打抜きや穴あけなどのせん断加工に使 用されているとも言われている 1) .被加工材料は金属,樹脂,紙,木,およ び各種複合材料などと多岐にわたるが,金属が圧倒的に多いことは他の塑性 加工と同様である. 抜き落とされるものが製品になり穴側がスクラップになる打抜き加工,逆 に穴側が製品になる穴抜き加工の他に,二つの部材に切り離す分断,せん断 荷重を低減させるためにシャー角を設けた工具により広幅の材料を切断する シャーリング,板材の一部分を切り欠く切欠き,そして深絞り加工などで成 形されたものの不要な縁部切除する縁取りなどがある 2). せん断加工により得られる一般的な切口面は,Fig.1-1 に示すように,だれ, せん断面,破断面,バリからなる.だれはせん断途中に材料表面に作用する 引張力により,材料が引き込まれるために発生する.せん断面は,パンチと ダイの材料へのせん断変形挙動により生成された面であり,切削面に近い平 滑な切口面である.破断面は,クラックの発生により生成された延性破壊面 であるため,だれ,せん断面に比べ凹凸の大きな切口面になる.バリの先端 は,引張平均応力の最大値の発生位置が支配因子であるとされ,最大引張平 均応力は工具刃先よりもやや工具側面に移動した位置で最大値を示し こでの分離により突起状に発生する. 1 3),そ Shear droop Burnished depth Fractured depth Burr Fig.1-1 Surface appearance of sheared edge Punch Blank holder Workpiece R Die Before Fig.1-2 After Schematic illustration of Finish blanking 2 切口面が機械部品の機能面として用いられる場合は,切口面の凹凸,直角 度不良,バリの発生などが欠陥になることがある.そこで,せん断製品の欠 点を除き,より精度の高いせん断製品を得ることを目的としてこれまでさま ざまな精密せん断法 4)~15)が開発されている.代表的な精密せん断法として, シェービング加工 4),対向ダイスせん断法 5) ,6),ファインブランキング 9),仕 上げ抜き法 11)などがある.シェービング加工は,一旦せん断された切口面を 再度工具で削り取り,平滑で精度の高いせん断切口面を得る方法である.こ のシェービング加工を負の隙間で実現したのは対向ダイスせん断法であり, 広範な被加工材に理想的な切口面が得られる.また,被加工材の静水圧を高 め,クラックの発生を抑制する効果 16)~23)を利用したのはファインブランキン グ,仕上げ抜き法である.ファインブランキングは V 字形のナイフエッジを 板押さえおよび逆押さえに設け,これを被加工材に押し込むことにより,被 加工材のせん断変形部に高い静水圧を発生させるなど,実用上可能な限りの 対策を取り,クラックの発生を抑制し材料分離を行う精密せん断法である. 仕上げ抜き法はファインブランキングの簡易版とも言われ,Fig.1-2 に示すよ うに小さなクリアランスで工具刃先を丸み形状または面取り形状とするだけ の簡便な加工法である. 一方,バリを抑制する精密せん断法も開発されている.上下抜き し 12)や平押 13),カウンターブランキング 14)などは,切口面の上下にだれを形成させ, 破断面を板厚中心付近に発生させることで,実質的にバリのない切り口面を 得ることができる.バリ片寄せ打抜き法 15)は,刃先を大きな面取りとしたパ ンチと直角刃のダイを用い,慣用せん断より大きめのクラアランスで穴抜き 加工を行うことにより,被加工材をダイ刃先を頂点としてパンチで引きちぎ り,製品側のバリを低減するものである.この加工法は慣用せん断に比べ, 工具摩耗が少なくなるというメリットもある. 1.1.2 焼付き現象 焼付きとは,何らかの原因で摩擦係数が急上昇し,摩擦界面において巨視 的な溶着を生ずる現象を言う 24) .金属は表面エネルギーが高いので,表面被 3 膜が存在しない状態で接触すると強い凝着を生じ,摩擦係数が高い値に達す る.したがって,摩擦面を安定した状態で運転するためには十分な潤滑膜を 形成しておかねばならず,何らかの変化がトリガーになって潤滑膜が失われ ると,しばしば摩擦係数の高い状態に不安定に遷移する.これは焼付きに共 通したメカニズムである 25) . Block は接触部最高温度(バルク温度と真実接触部の閃光温度の和)が潤滑油 と材料によって決まる臨界温度に達したときに焼付きが発生する焼付き発生 の臨界温度説を提唱している 26), 27) .この臨界温度説は,焼付き発生条件の主 流をなしている 28)~35).臨界温度は次の 2 つの温度が考えられる.第 1 臨界温 度は,規則正しい配列を保って吸着していた潤滑油の吸着分子層がその配向 を失って,吸着能力を損なう温度である.この温度を転移温度と言う.第2 臨界温度は,摩擦表面に付着した潤滑油の酸化が著しく促進されるとともに, 表面に形成される酸化膜の性状が変化する温度である.第 1 臨界温度で焼付 きが発生しない場合には,それ以上の温度域で FeO が摩擦面に形成され,温 度上昇とともに摩擦係数は低下する.しかし,第 2 臨界温度に達すると,摩 擦係数が増加しはじめ,酸化膜の主成分が FeO から Fe2O3,Fe3O4 に変化する 36) , 37) .鉄鋼材料と鉱油の組み合わせでの第 2 臨界温度は約 180℃である 38) . 上記のメカニズムは弾性体同士の摩擦に関するものであり,塑性加工にお いては,被加工材の酸化膜を失った状態での真実接触面割合が高く,温度が 臨界温度以下でも焼付きが発生する可能性があるとされている.塑性加工で 真実接触割合が高くなる要因として,被加工材の表面積拡大による被加工材 表面の酸化膜や潤滑膜の破断が挙げられる.せん断加工ではせん断面の表面 積拡大が非常に大きく,焼付きの発生は量産の障害因子となっている. 1.1.3 仕上げ抜き法の応用 1.1.1 で仕上げ抜き法は高いせん断面割合を得ることを主目的として使用さ れていることを述べたが,表面積拡大を抑制する特性をもっているため,ク ラッド材等において表層の異種材料を切口面に引張り込み,切口面を異種材 料で覆うせん断被覆法 39) としても利用されている.仕上げ抜き法の焼付き防 4 止効果に注目して,村上らにより仕上げ抜き法の一種である PW パンチ 40)に よるせん断加工に関する研究が行われている. Fig.1-3 に PW パンチの形状を例示する.PW パンチは刃先に面取りを,そ の上部に逃げを設けてある.この PW パンチは微小クリアランスにおいて高 いせん断面割合,高い耐焼付き能を実現している 41)~47). Fig.1-3 Shape of PW punch 5 近年,高いせん断面割合を得るための精密せん断法としては簡便な仕上げ 抜き法ではなく,ファインブランキング,シェービング加工が主流である 53), 54).その理由としては, (1) 仕上げ抜き法では,順送型などプレス機械に偏心荷重が加わる場合では, プレス機械の傾きによりパンチとダイのクリアランスが不均一になり加 工が不安定となる.これが高剛性のプレス機と付加設備の多いファインブ ランキングが用いられる原因となっている. (2) シェービング加工は,せん断加工の後にシェービング加工を行うのが一般 的であり,削れる材料であればこの加工法による精密せん断が可能である. (1)について,現在では汎用のプレス機であっても,高剛性設計されたプレ ス機が市場に出回っており,仕上げ抜き法の課題は解決され,需要は今後さ らに高まることが予想される.(2)について,シェービング加工も課題があり, 製品によってはシェービング工程を複数回行う必要があり,その工程数が多 いことからラインが長くなり,スペース大・コスト高となってしまう.さら にシェービング工程では加工により磁性を帯びた切り屑がパンチ.ダイに張 り付いて次工程で脱落し,圧痕を製品につけてしまうといった生産不良が起 きうるため対策が必要となりコスト高となる.さらに,工具刃先のチッピン グによる生産保全も課題である. 1.1.4 高張力鋼板の需要とせん断加工における課題 自動車部品を中心に,環境負荷低減や部品製造コストの低減が強く求めら れている.環境問題への対応で自動車の燃費向上策として車両重量や機器の 軽量化が図られ.車両重量の 100kg 低減は 1km/l の燃費向上に繋がる 48) .し かし,衝突安全性,剛性の向上は軽量化と相反し,この相反する要求を満た す事のできる高張力鋼板が 90 年代の半ばから注目されるようになった.高張 力鋼板は炭素の他に特殊元素を加え,強度を高めた特殊鋼である.通常の鉄 6 鋼の引張強さは 300MPa 程度に対して,高張力鋼板は 440MPa 以上であり,最 近では 1470MPa や 1800MPa のものも実用されている.さらに,高張力鋼板は 鋼板強度が広範囲に亘り,アルミニウムと比較して低コストで溶接が容易な どの特徴を有しており,製品設計の自由度が高く,量産設備も大幅な変更な しで導入できるという利点がある 49) .そのため,Fig.1-4 に示すようにその適 用比率が近年急速に増加しており,今後もさらに適用が拡大されると考えら れる 50). 高張力鋼板は高い成形力が必要となるため,金型との接触圧力が高く,変 形熱と摩擦熱が大きいため,焼付きが発生しやすい.また,金型材の硬さに 匹敵する接触圧力が発生するため,焼付きにより金型が大きく損傷すること High Strength steel rate /% がある. Year Fig.1-4 Fact and forecast of high strength steel rate for automobile bodies 7 1.2 従来の研究の未解明点と本研究の目的 仕上げ抜き法は約半世紀前に誕生した加工法であるが,これまでに,工具 刃先形状については数種の材料・板厚における丸み半径の最適値が検討され ている 51) , 52) に止まっており,工具刃先形状の切口面割合に及ぼす影響につ いては系統的な検討はされていない.仕上げ抜き法の延長である PW パンチ によるせん断加工についても,切口面割合に及ぼす工具刃先形状の影響につ いては検討されていない.一方,焼付きに関しては,PW パンチが高い耐焼 付き能を持つことは判明しているが,その機構の詳細については解明されて いない. 本研究では,今後需要の高まる仕上げ抜き法による高張力鋼板の穴抜き加 工に着目し,所望のせん断面割合を得られる条件と量産をする上で焼付きの 発生しない条件を明らかにし,工業的な利用を拡げることを目的とする.具 体的には,仕上げ抜き法の重要な加工条件であるクリアランス,工具刃先形 状,被加工材材質の成形品せん断面割合への影響を明らかにし,工業現場で 簡便に使用できる設計手法を提供することを第 1 の目的とする.次に,焼付 きの発生しない加工条件について,せん断面割合が高くなると焼付きが発生 しやすく 51),また必ずしも高いせん断面割合を得ることがせん断加工に求め られていないことから,前述した表面積拡大を抑えることができるせん断被 覆法の考えを応用し,せん断面に素材表面の酸化膜を流入させ,一般的なせ ん断面割合の製品を量産できる設計手法を提供することを第 2 の目的とする. 8 1.3 本論文の構成 本論文の構成を以下に示す. 第 1 章は本章であり,せん断加工に関する従来研究の成果と到達点,今後 需要が高まると予測される仕上げ抜き法の発展性を述べ,本研究の目的を示 す. 第 2 章では,仕上げ抜き法の重要な加工条件であるクリアランス,工具刃 先形状,被加工材材質の成形品せん断面割合への影響を調査し,工業現場で 簡便に使用できる設計手法を提案する. 第 3 章では,量産をする上で焼付きの発生しない条件を明らかにし,仕上 げ抜き法を応用したせん断加工法の工業的な価値を高める. 第 4 章は,本論文の総括であり,各章で得られた結果をまとめる. 9 第2章 仕上げ抜きにおける切れ刃形状とクリアランスの切口面 割合への影響 55)~57) 2.1 緒言 自動車部品を中心に,環境負荷低減や部品製造コストの低減が強く求めら れている.また,環境問題への対応で CO2 削減のための燃費向上策として, エンジン効率や燃焼方法の改善,動力伝達の効率化,車両重量の低減など様々 な取り組みがある.自動車重量の 3/4 はボディ部品とシャシー部品が占めて いるため,これらの部品の軽量化は非常に効果的である.しかし,衝突安全 性,走行安定性の向上という軽量化と相反する要求もある.そこでその相反 する要求を満たす事のできる高張力鋼板が注目されるようになった. 一方,せん断加工について,成形品の一般的な切口面は,だれ,せん断面, 破断面,バリから構成される.このうち,せん断面以外はせん断製品の欠陥 とみなされることがある.前述したように,せん断製品の欠陥を除く目的で これまでさまざまな精密せん断法が開発されている.本研究では特に,今後 需要が高まると予測される仕上げ抜き法の高張力鋼板の穴抜き加工に着目し た.仕上げ抜き法は工具刃先を丸み形状または面取り形状とするだけの簡便 な加工法であるが,これまでに仕上げ抜き法の工具刃先形状については数種 の材料・板厚における丸み半径の最適値が検討されている 51), 52) に止まって おり,工具刃先形状の切口面割合に及ぼす影響については系統的な検討はさ れていない.一般に,切口面割合を予測する手段として,有限要素解析(FEM) に延性破壊条件式を導入し,この条件式を満たした要素を消去してクラック の発生および進展を予測する要素消去法が主に用いられているが,クラック の形状およびクラックの進展方向が要素の大きさや形状に依存してしまい正 確に切口面割合を予測できないといったことや,計算が複雑になり加工終了 まで計算できないといったことが問題になる.そこで本研究は,仕上げ抜き 法の重要な加工条件であるクリアランス,工具刃先形状,被加工材材質の成 形品せん断面割合への影響を明らかにし,工業現場で簡便に使用できる設計 手法を提供することを目的とする. 10 2.2 2.2.1 実験条件 実験装置 プレス機は KOMATSU PRESS H1F110 を使用した.Fig.2-1 にプレス外観写 真,Fig.2-2 にせん断金型概観図,Fig.2-3 にせん断金型を示す.加工時の平 均速度は約 20mm/s に設定した.ストリッパープレートのガススプリング力は 最大荷重の約 20%に設定した. Fig.2-1 General view of servo-press 11 Gas Spring Punch Plate Stripper Plate A Die Plate Punch Locating Pin Plate Dd Die Fig.2-2 Detail of A Schematic illustration of experimental apparatus 12 Fig.2-3 General view of shearing tools 13 本研究では,板厚 6mm の 590MPa 級高張力鋼板 SUMITEN 590K を用いて 実験を行った.試料外観を Fig.2-4 に示す.1 枚の試料につき 4 箇所穴あけを 行った.穴あけの位置を Fig.2-5 に示す.穴あけの位置はダイプレートに設け た位置決めピンにより決まる. Fig.2-4 Appearance of workpiece 70 22 70 22 Fig.2-5 Positions of piercing 14 2.2.2 工具形状・材質 パンチ形状を Fig. 2-6 に示す.PW パンチ,刃先に PW パンチの面取りと同 等の丸みをつけた R1.5 パンチ,一般に使用される直角刃パンチ(Right Angle; 以降は RA と略記)を用いた.Table 2-1 に PW パンチの面取り角度 θ とパン チ先端径 d の一覧を示す.面取り角度 θ を 10°,30°,45°,60°,75°と変更し た.θ が 60°に関してはパンチ先端径 d を変更した.以降,PW パンチの表記 は,例えば θ が 60°,d が 3.5mm の場合は PW60-d3.5 とする.パンチ直径は すべて 10mm とした.Table 2-2 にダイ径とパンチとダイのクリアランスを示 す.クリアランスを 0.65%t,2.0%t,4.1%t,8.1%t,12%t と変更した.工具材 質はパンチ,ダイ共に粉末ハイスを使用し,TiCN コーティングを施した.加 工前に刃先周辺に液体潤滑剤(メカエコプレス U-300)を塗布した. (a) PW punch (b) R1.5 (c) RA Fig. 2-6 Shape of punch edge 15 Table 2-1 Chamfered angle θ of punch edge and diameter d θ /° 10 30 45 d / mm 7.0 7.0 7.0 60 3.5 7.0 9.5 75 7.0 Table 2-2 Clearance between punch and die D d /mm 10.077 10.240 10.493 10.970 11.457 Clearance /%t 0.65 2.0 4.1 8.1 12 16 2.2.3 観察方法 顕微鏡(KEYENCE VHX-600)を用いて,切口面割合の測定や成形品の外 観,断面を観察した. Fig.2-7 に顕微鏡装置の外観写真を示す.せん断面割合は 二次せん断面を含めずに測定した. Fig.2-7 Microscope 17 2.3 実験結果 2.3.1 切口面外観 Fig. 2-8,Fig. 2-9 に切口面外観を示す.せん断面はすべての被加工材で平坦 になっており,破断面は延性破壊により生成された粗い面となっている.ク リアランス 2%t~8.1%t では二次せん断面がみられる. 0.65%t 2%t Clearance (ratio to plate thickness) 4.1%t 8.1%t 12%t 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm PW10 -d 7 PW30 -d 7 PW45 -d 7 PW60 -d 7 PW75 -d 7 R1.5 RA 2mm Fig. 2-8 Surface appearance of sheared edge 18 Clearance(ratio to plate thickness) 0.65%t 2%t 4.1%t 8.1%t 12%t 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm PW60 -d 9.5 PW60 -d 7 PW60 -d 3.5 2mm 2mm Fig. 2-9 Surface appearance of sheared edge with changing diameter of the punch end for PW60 19 2mm 2.3.2 だれ割合への影響 Fig. 2-10 にパンチ刃先形状を変更した場合の切口面のだれ割合とクリアラ ンスの関係を示す.クリアランスの増加に伴い,だれ割合が大きくなってい るが,クリアランス 2.0%t 以下ではパンチ形状による差は見られない. PW10-d7 PW45-d7 PW75-d7 PW60-d3.5 RA 10 Ratio of shear droop /% 9 PW30-d7 PW60-d7 PW60-d9.5 R1.5 8 7 6 5 4 3 2 1 0 0 2 4 6 8 Clearance /%t 10 12 Fig. 2-10 Relation between ratio of shear droop and clearance 20 2.3.3 せん断面割合への影響 Fig. 2-11 に PW パンチのパンチ先端径 d が 7mm の場合のせん断面割合とク リアランスの関係を示す.比較のため,RA パンチと R1.5 パンチの結果も併 記する.せん断面割合はクリアランスが小さくなると高くなり,クリアラン ス 2.0%t 以下では PW10-d7 と RA パンチを除き,80%t 以上となっている.面 取り角度が大きくなるほどせん断面割合が高くなっている.PW10-d7 と RA パンチの傾向は一致しており,面取り角度が 10°以下では通常の直角刃と同じ 加工形態を示している.面取り角度が 30°以上では R1.5 パンチとほぼ同じ傾 向を示し,仕上げ抜きの加工形態になる. PW10-d7 PW45-d7 PW75-d7 R1.5 Ratio of burnished depth /% 100 PW30-d7 PW60-d7 RA 80 60 40 20 0 0 2 4 6 8 Clearance /%t 10 12 Fig. 2-11 Relationship between ratio of burnish depth and clearance when end diameter d of PW punch is 7mm 21 Fig. 2-12 に PW パンチの面取り角度 θ を 60°一定とし,パンチ先端径 d を変 更した場合の,切口面のせん断面割合とクリアランスの関係を示す.せん断 面割合はクリアランス 2.0%t 以下では,d が 7mm 以下において 80%t 以上とな っている.PW10-d9.5 と RA は差がみられない.PW10-d9.5 と RA パンチの傾 向は一致しており,d が 9.5mm 以上では直角刃と同じ加工形態となっている. d が 7mm 前後以下で仕上げ抜きの加工形態になる. PW60-d3.5 PW60-d7 PW60-d9.5 RA Ratio of burnish depth /% 100 80 60 40 20 0 0 2 4 6 8 10 12 Clearance /%t Fig. 2-12 Relation between ratio of burnish depth and clearance when edge angle θ of PW punch is 60° 22 2.3.4 バリ高さへの影響 Fig. 2-13 にクリアランス 0.65%t と 2.0%t における切口面のバリ高さを示す. 面取り角度が 60°以下の PW パンチでは,バリ高さは RA パンチと変わらない. 面取り角度が 75°では 0.25mm 前後,R1.5 パンチでは 0.15mm 前後の大きなバ リが発生している.よって,この大きなバリの抑制の観点から,PW パンチの 面取り角度 θ は 60°以下にすることが好ましく,仕上げ抜きではパンチ刃先を 丸み形状とするよりも面取り形状とした方がバリを抑えることができる. 0.30 0.25 Clearance: 0.65%t Burr height /mm Clearance: 2.0%t 0.20 0.15 0.10 0.05 0.00 PW10 PW30 PW45 PW60 PW60 PW60 PW75 R1.5 RA -d7 -d7 -d7 -d9.5 -d7 -d3.5 -d7 Shape of punch edge Fig. 2-13 Relation between burr height and shape of punch edge 23 2.3.5 加工荷重・エネルギーへの影響 サーボプレス機のロードセルを用いて,せん断加工中のパンチに加わる荷重 を計測した.Fig.2-14 にパンチ面取り角度を変更,Fig.2-15 にパンチ先端径 を変更したときのクリアランス 0.65%t での加工荷重とストロークの関係を 示す.パンチの形状を変更しても,最大荷重は変わっていない.よって,仕 上げ抜きではパンチの面取り角度やパンチ先端径を変えても,最大荷重は変 わらないといえる.加工エネルギーは荷重線図の面積をとったものであり, 面取り角度が大きくなるほど,また d 径が小さくなるほど大きくなっている. 120 PW30-d7 PW60-d7 RA 100 Load /kN 80 60 40 20 0 -20 0 Fig.2-14 2 4 6 8 Stroke /mm Relationship between load and stroke : clearance 0.65%t 24 10 120 PW60_d3.5 PW60-d3.5 PW60-d7 PW60-d9.5 PW60_d9.5 100 Load /kN 80 60 40 20 0 -20 0 2 4 6 8 10 12 Stroke /mm Fig.2-15 Relationship between load and stroke : clearance 0.65%t 25 14 2.4 FEM 解析によるせん断面割合の予測 2.4.1 解析条件 2.2 節で述べたように,実験では被加工材 1 種類,パンチの面取り角度 5 種類,パンチ先端径 3 種類,クリアランス 5 種類という限られた条件での結 果であり,実験結果の適用範囲を拡げるためにあらかじめクラックの発生を 予測する必要がある.クラックの発生予測には延性破壊条件式を用いた有限 要素解析(FEM)が一般的に用いられている.延性破壊条件式は応力をひずみ で積分したもので,さまざまな式が活用されている.本研究では延性破壊条 件式として式 4.3 に示す Ayada の式 58)をダメージ値として用いた. 𝜎 𝐷𝑓 = ∫ ( 𝜎̅m ) 𝑑𝜀̅ (4.3) 解析には市販の FEM 解析ソフト DEFORM-2D を使用した.Fig. 2-16 に FEM 解析例を,Table 2-3 に解析条件を示す.すべての工具は剛体,被加工材は剛 塑性体とした.摩擦係数は被加工材が鉄鋼材料である場合に一般に使用され る,クーロン摩擦係数 0.2 と設定した. 26 Blank holder Punch Die Fig.2-16 Example of FEM simulation Table 2-3 Simulation conditions Simulation mode Axisymmetric Tool Rigid Blank Rigid plastic, 900 Friction coefficient μ 0.2 27 0.15 /MPa 2.4.2 クラック進展方向の予測 Fig. 2-17 にクリアランス 2%t において,RA,PW30-d7 ,PW60-d7 を用いて 打ち抜いた抜き屑断面と第一クラック発生時の最大主応力を表示した解析結 果を示す.被加工材の引張強さに相当する 600MPa の等高線の方向と実験結 果のクラック進展方向を比較した.RA では,クラック進展方向は実験結果が 25°,解析結果が 24°となった.また,PW30-d7 では実験結果が 22°,解析結果 が 21°となり,PW60-d7 では実験結果が 29°,解析結果が 28°となった.3 つの 工具条件共に実験結果と解析結果がよく一致していることから,被加工材の 引張強さの最大主応力等高線によりクラックの進展方向を解析上予測するこ とが可能である.このクラック進展方向の予測法を用いることにより,2.1 で 述べた要素要素消去法における,クラック進展方向の要素形状依存性や計算 の停止といった問題が解決できる. 28 25° (a) Cross-section of scrap 24° (b) FEM : Max principal stress Fig.2-17 Cross-section of scrap and FEM simulation at 1st crack initiation by RA 29 22° (a) Cross-section of scrap 21° (b) FEM : Max principal stress Fig.2-18 Cross-section of scrap and FEM simulation at 1st crack initiation by PW30-d7 30 29° (a) Cross-section of scrap 28° (b) FEM : Max principal stress Fig.2-19 Cross-section of scrap and FEM simulation at 1st crack initiation by PW60-d7 31 2.4.3 せん断面割合の予測 パンチの刃先からクラックが発生する臨界ダメージ値を求めるために,ク リアランス 12%t,RA パンチを用いて FEM 解析を行った.実験結果のせん断 面割合と一致するストロークまでパンチを下降させた解析結果を Fig. 2-20 に 示す.パンチ刃先のダメージ値は 0.028 となっており,この値をクラックの発 生する臨界ダメージ値とする. 0.028 Fig.2-20 Damage value of crack initiation by RA when clearance is 12%t 32 Fig.2-21 にクリアランス 12%t,PW60-d7 のダメージ値と最大主応力の解析 結果を示す.パンチの面取り部で臨界ダメージ値が発生しており,このスト ロークでクラックが発生すると予測できる.また,引張強さ 600MPa の最大 主応力の等高線方向にクラックが進展して被加工材が分離した状態を表現し たものを Fig.2-22 に示す.Fig.2-23 の被加工材分離時の実験結果とよく一致し ている.Fig.2-22 の状態からさらにパンチを下降させた解析結果を Fig.2-24 に示す.パンチ直下の材料がしごき加工を受けてせん断面に移行していくこ とが分かる.この手法を用いて,他の条件のせん断面割合の予測を行った. (a) Damage (b) Max principal stress Fig.2-21 Result of FEM simulation by PW60-d7 when clearance is 12%t 33 Fig.2-22 Fig.2-23 FEM model of PW60-d7 at separated stroke when clearance is 12%t Cross-section of plate at separated stroke by PW60-d7 when clearance is 12%t 34 Fig.2-23 Ironing process after shearing by PW60-d7 when clearance is 12%t 35 PW45-d7 と PW60-d7 の FEM 解析によるせん断面割合予測結果と実験結果 を比較したものを Fig. 2-24,Fig. 2-15 に示す.クリアランス 4%t 以上では実 験値と予測値の差は大きいが,クリアランス 2%t 以下のでは実験値と FEM 解 析による予測値の差は板厚比 5%t 以下である. Ratio of burnished area /% 100 Exp. 80 FEM 60 40 20 0 0 2 4 6 8 10 12 Clearance /%t Fig.2-24 Ratio of burnished depth of PW45-d7 by Experiment and FEM 36 Ratio of burnished area /% 100 Exp. 80 FEM 60 40 20 0 0 2 4 6 8 10 12 Clearance /%t Fig. 2-24 Ratio of burnished area of PW60-d7 by Experiment and FEM 37 2.4.4 大きなバリの発生機構 Fig. 2-11 に示す通り,PW75-d7,R1.5 では大きなバリが発生している. この原因を探るため FEM 解析を行った.Fig. 2-24 にクリアランス 0.65%t, R1.5 でのダメージ値を表示した解析結果を示す.刃先丸みの中腹で亀裂が貫 通している.この結果から材料が分離した状態を表現したものを Fig. 2-25 に 示す.さらにパンチを下降させると Fig. 2-26 に示すようにパンチ直下の材料 がしごかれて,パンチとダイの間に詰まるような形で大きなバリが発生して いる.よって,PW75-d7,R1.5 はパンチ直下のしごかれる材料の量が多いた めにクリアランスにつまる加工形態で大きなバリが発生する. Fig.2-24 Fig. 2-25 Result of FEM simulation by R1.5 when clearance is 0.65%t FEM model of R1.5 at separated stroke when clearance is 12%t 38 Fig. 2-26 Burr generation process of R1.5 39 2.4.5 他材料へのせん断面割合予測法の適用 FEM 解析によるせん断面割合予測法を他の材料に適用し,その汎用性を確 かめた.被加工材として 780MPa 級高張力鋼板 WEL-TEN780RE を使用した. Fig. 2-27 に切口面外観を示す.WEL-TEN780RE ではクリアランス 2%t~4.1%t で二次せん断面がみられる. 0.65% 2.0% Clearance (ratio to plate thickness) 4.1% 8.1% 12% 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm 2mm PW10 -d 7 PW30 -d 7 PW45 -d 7 PW60 -d 7 PW75 -d 7 R1.5 2mm 2mm RA 2mm Fig. 2-27 2mm 2mm Surface appearance of sheared edge of 780MPa high-tensile-strength-steel plate 40 Fig.2-20 に WEL-TEN780RE の臨界ダメージ値を示す.この値から PW45-d7 のせん断面割合を予測し,実験値と比較した.その結果を Fig. 2-29 に示す. 実験値と予測値はほぼ一致しており,本手法の汎用性を確認できた. 0.053 Fig.2-20 Damage value of crack initiation in the case of 780MPa high-tensile-strength-steel plate 41 Ratio of burnished area /% 100.0 Exp. 80.0 FEM 60.0 40.0 20.0 0.0 0 2 4 6 8 10 12 Clearance /%t Fig. 2-29 Ratio of burnished area of PW45-d7 by Experiment and FEM in the case of 780MPa high-tensile-strength-steel plate 42 2.5 結言 本研究では,今後需要の高まる仕上げ抜き法による高張力鋼板の穴抜き加 工に着目し,所望のせん断面割合を得られる条件を明らかにし,工業的な利 用を拡げることを目的とした.具体的には,仕上げ抜き法の重要な加工条件 であるクリアランス,工具刃先形状,被加工材材質の成形品せん断面割合へ の影響を明らかにし,工業現場で簡便に使用できる設計手法を提供すること を目的とした.穴抜き加工における成形品切口面への工具刃先形状の影響を 調べ,以下の知見を得た. 1. 2.0%t 以下のクリアランスでは,パンチ刃先形状のだれ割合への影響は低 い. 2. SUMITEN590K では,クリアランス 2.0%t 以下において PW パンチでは面 取り角度を 30°以上,パンチ先端径を 7mm 以下にすると 80%t 以上の高い せん断面割合となり,丸み形状と効果は同じである. 3. パンチ直下で材料が分離する場合,パンチ直下のしごかれる材料の量が多 いと,その後のしごき工程でクリアランスにつまる加工形態で大きなバリ が発生する.また,パンチ刃先を丸み形状とするよりも面取り形状にする 方がバリを抑制できる. 4. 切口面割合を予測するために使用される FEM 解析による要素消去法で問 題となる要素形状依存性と計算エラーが発生する問題点を解決するため に,延性破壊条件式である Ayada の式を用いてクラックの発生を予測し, 被加工材の引張強さの最大主応力等高線方向にクラックが進展すると予 測することによりせん断面割合を算出できる新たな仕上げ抜きの予測手 法を提案した. 43 第3章 中厚板せん断加工における焼付き現象に及ぼす工具形状 の影響 59)~61) 3.1 緒言 焼付きとは,何らかの原因で摩擦係数が急上昇し,摩擦界面において巨視 的な溶着(凝着)を生ずる現象を言う.Block は接触部最高温度(バルク温度と真 実接触部の閃光温度の和)が潤滑油と被加工材材料表面によって決まる臨界 温度に達したときに焼付きが発生する焼付き発生の臨界温度説を提唱してい る 26),27).この臨界温度説は,焼付き発生条件の主流をなしている.鉄鋼材料 と鉱油の組み合わせでの臨界温度は約 180℃である 38).塑性加工においては, 被加工材の酸化膜を失った状態での真実接触面割合が高く,焼付きが発生し やすい.塑性加工で真実接触割合が高くなる要因として,被加工材の表面積 拡大による被加工材表面の酸化膜や潤滑膜の破断が挙げられる.せん断加工 は,せん断面の表面積拡大が非常に大きいため,焼付きの発生は量産の障害 因子となっている. 前章ではせん断面割合を高くすることを狙ったが,せん断面割合が高くな ると焼付きが発生しやすく,必ずしも高いせん断面割合を得ることがせん断 加工に求められていないことから,一般的なせん断面割合の製品を焼付きを 発生させずに量産できる要望も強い.本章では,緒論で述べた表面積拡大を 抑えることができるせん断被覆法の考えを応用し,せん断面に素材表面の酸 化膜を流入させ,一般的なせん断面割合の製品を量産できる設計手法を提供 することを目的とする. 3.2 FEM 解析・実験条件 本研究で使用するパンチ及びダイの材料は粉末ハイスであり,無被膜とし た.パンチ形状は計 5 種類用意し,それぞれの形状詳細を Fig. 3-1 に示す.面 取り角度 θ が 30°,45°,60°と変更した PW パンチを用いた.PW パンチの表 記は,例えば面取り角度 θ が 30°の場合は PW30 と記すこととする.比較のた めに刃先に PW パンチと同等の丸み半径をとったパンチ(R1.5)と慣用の直角 44 刃パンチ(RA)を使用した.また,すべてのパンチの 2mm のランド部より根元 方向には工具への焼付きを軽減するために 0.1mm の逃げを設けた.クリアラ ンスは,前章の結果から一般的な切口面がえられる 12%t に設定した. 試料は板厚 6mm ,引張強さ 590MPa 級の高張力鋼板 SUMITEN 590K を使 用した.Fig. 3-2 に試料の外観と表面の顕微鏡画像を示す.潤滑材は動粘度 250mm2/s の鉱油 EH737062)を使用し,実験時には加工毎にパンチとダイ表面 に塗布した.温度の影響により潤滑能力が低下するのを防ぎ,表面積拡大の 影響に的を絞るため FEM 解析による温度予測を実験前に行った.Fig. 3-3 に FEM 解析例,Table 3-1 に解析条件を示す.すべての工具は剛体,被加工材は 剛塑性体とした.楊による角筒絞りに関する研究報告 63)では,工具と空気の 熱伝達係数を 11W/(m2・K),鉄鋼材料同士の値を 11000W/(m2・K)と設定し, 実験による温度測定結果と一致した比較結果が得られている.よって,本研 究においても上記の値を使用することとする. Edge angle θ / ° 30 45 60 (a) PW punch (b) R1.5 (c) RA Fig.3-1 Shape of punch edge 45 2mm (a) Appearance of workpiece Fig.3-2 (b) Surface appearance Workpiece of 590MPa high-tensile-strength-steel plate Blank holder Punch Die Fig.3-3 Example of FEM calculation Table 3-1 Simulation conditions Simulation mode Axisymmetric Tool Workpiece Rigid Rigid Plastic, 900 0.15 /MPa Friction coefficient μ 0.2 Heat-transfer coefficient Workpiece - Air : 20 W/(m2・K) Workpiece - Tool : 11000 W/(m2・K) Punch speed 1 mm/sec 46 3.3 温度解析結果 加工速度 1mm/sec での各種パンチで成形中の被加工材温度が最高値を示す ストロークで比較した.その結果を Fig.3-4~Fig.3-8 に示す.RA が最も温度 が低く,面取り角度が大きくなるにつれて温度が高くなっている.最も温度 が高くなる PW60 においても最高温度が 60℃以下であることから,潤滑性能 が低下することはないと推定できる.よって,実験での加工速度を 1mm/sec に設定した. Fig.3-4 Temperature distribution of RA by FEM simulation 47 Fig.3-5 Temperature distribution of PW30 by FEM simulation 48 Fig.3-6 Temperature distribution of PW45 by FEM simulation 49 Fig.3-7 Temperature distribution of PW60 by FEM simulation 50 Fig.3-8 Temperature distribution of R1.5 by FEM simulation 51 3.4 FEM 解析・実験結果 3.4.1 FEM 解析による表面積拡大比の算出方法 FEM 解析を使用し,各パンチによる被加工材のせん断面の表面積拡大比を 算出した.表面積拡大比の算出方法を Fig. 3-9 に示す.パンチの刃先直下に位 置する被加工材の表面にポイントをつけ,トラッキング機能によりポイント の移動を追跡し,加工前後のポイント間距離(Fig. 3-4 の P1 , Pn 間の長さ)を用 いて表面積拡大比を算出した. (a) Before shearing (b) Separated stroke Fig.3-9 Calculation method of surface expansion ratio of burnished surface (FEM) 52 3.4.2 表面積拡大比の算出結果 Fig. 3-10 にせん断面の表面積拡大比とパンチ刃先形状との関係を示す.RA では表面積拡大比は 54 と高い数値になっている.PW パンチでは面取り角度 が大きいほど表面積拡大比は小さく,PW30 では 16,PW60 では 4.5 となって いる.R1.5 は PW60 とほぼ同じ値となっている.この解析結果から PW60 が 最も焼付きにくく,RA が焼付きを引き起こしやすいと予測される. 60 Surface expansion ratio 50 40 30 20 10 0 PW30 Fig.3-10 PW45 PW60 R1.5 RA Relation between surface expansion ratio of burnished surface and shape of punch edge 53 3.4.3 実験結果 Fig. 3-11(a)に各パンチの実験前の表面状態を,Fig. 3-11(b)に加工を 1 回行った 後の各パンチ表面の焼付き状態を示す.加工回数 1 回で PW30 以外のすべて のパンチで焼付きが観察され,特に RA では最も激しい焼付きがみられる. この時点で PW60,R1.5,RA に関しては実験を終了した.PW30 と PW45 は 加工回数 20 回まで実験を行った.加工回数 3 回目と 20 回目のパンチ側面状 態を Fig. 3-12 に示す.PW30 では加工回数 20 回まで実験を行った場合も焼付 きは明確にみられない.以上の結果から,せん断加工において焼付きは被加 工材の表面積拡大比を用いて単純に予測することは難しい. 54 PW30 PW45 0.5mm 0.5mm PW60 0.5mm R1.5 RA 0.5mm 0.5mm (a) Before shearing operation PW30 0.5mm PW45 0.5mm PW60 0.5mm R1.5 0.5mm RA 0.5mm (b) 1st shearing operation Fig.3-11 PW30 0.5mm Galling state on punch surface PW45 0.5mm PW30 0.5mm (a) 3rd shearing operation Fig.3-12 PW45 0.5mm (b) 20th shearing operation Galling state on PW30 and PW45; shearing number increases until 20 55 3.5 考察 実験を開始するにあたり各パンチのランド部の表面粗さを計測した.各パ ンチの計測結果を Table 3-2 に示す.すべての工具で 0.2μmRz 以下であり,工 具による表面粗さの差がないことを確認した.また,各パンチの輪郭形状を 調べるために三次元測定器で計測した.計測位置を Fig. 3-13 に示す.PW30, PW45,RA それぞれの加工前後の計測結果を Fig. 3-14~Fig.3-17 に示す.PW30 のみ加工回数 20 回後の計測結果を載せている.すべてのパンチにおいてラン ド部が平坦であり,FEM 解析による焼付き予測と実験結果の相関に影響はな い.また,パンチのチッピングはなく,被加工材がパンチに凝着しており, ランド部のパンチ先端側の焼付きが激しい. Table 3-1 Surface roughness of each punch Punch shape PW30 PW45 PW60 R1.5 R z /μm 0.096 0.059 0.076 0.107 RA 0.131 5mm 測定位置 Fig.3-13 Measuring position of punch surface 56 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 12 14 16 12 14 16 /mm (a) Unprocessed punch shape 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 /mm (b) Punch shape of 1st shearing operation Fig.3-14 Profile curve of PW30 57 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 12 14 16 12 14 16 /mm (a) Unprocessed punch shape 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 /mm (b) Punch shape of 1st shearing operation Fig.3-15 Profile curve of PW45 58 140 120 100 80 /μm 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 12 14 16 12 14 16 /mm (a) Unprocessed punch shape 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 /mm (b) Punch shape of 1st shearing operation Fig.3-16 Profile curve of R1.5 59 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 12 14 16 12 14 16 /mm (a) Unprocessed punch shape 140 120 100 /μm 80 60 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 /mm (b) Punch shape of 1st shearing operation Fig. 3-17 Profile curve of RA 60 解析で算出した表面積拡大比を用いての予測と実験結果に違いが出た要因 を調査するために被加工材の表面と成形品切口面に着目した.酸化膜を観察 するために走査型電子顕微鏡(日立 S-3000N)で被加工材を観察した. Fig.3-18 に走査型電子顕微鏡の装置外観写真を示す. Fig.3-18 Scanning electron microscope 61 Fig. 3-19 に加工前の被加工材表面の酸化膜,Fig. 3-20 に加工後の切口面外 観を示す.酸化膜厚さは約 15μm であり,SEM-EDX による分析の結果,原子 数濃度で酸素が約 53.8%,鉄が約 45.0%検出された.また,すべてのパンチで 加工されたせん断面上に黒色の酸化膜が確認できる.各パンチごとに観察す ると,RA ではせん断面の上部で酸化膜が途切れ,以降は光沢面になっている. 一方で,PW30 では光沢面がなく,せん断面が完全に酸化膜で覆われている. 残りの PW45,PW60,R1.5 ではせん断面の下部にせん断面形状が安定しない 光沢面が確認できる. Oxide scale Workpiece 25μm Fig.3-19 Oxide scale on plate surface 62 (a) PW30 (b) PW45 Waved and glossy Waved and glossy (c) PW60 Glossy Waved and glossy (d) R1.5 (e) RA Fig.3-20 Appearance of burnished surface 63 PW45,PW60,R1.5 で確認されたせん断面形状が安定しない光沢面の生成 過程を調査するために,PW30,PW60,R1.5 の 3 種類を用いて途中止め実験 を行った.Fig. 3-21 にせん断分離時のパンチ刃先周辺の被加工材断面図を示 す.光沢面がみられなかった PW30 では面取り部とランド部の丁度境界で亀 裂が貫通しているのに対して,光沢面がみられた PW60 では面取り部で亀裂 が貫通し,R1.5 では刃先丸みの中腹で亀裂が貫通している.Fig. 3-22 に R1.5 の被加工材分離後の実験結果と FEM 解析により破断面の材料流動を追跡し た結果を示す.せん断分離時には破断面にあったポイントがしごき加工を受 けることによってせん断面に移動している.このことからせん断分離時に破 断面であった箇所が分離後にしごき加工を受けることにより,せん断面の光 沢部になっていることが判明した. また,FEM 解析によるクラックの発生位置の予測を行った.予測の手法は 第 2 章と同様である.Fig. 3-23~Fig. 3-27 に FEM 解析結果を示す.パンチ刃先 の破壊臨界ダメージ値発生箇所は Fig. 3-16 の実験結果と一致している.よっ て,FEM 解析によりしごき加工の有無を予測することが可能である. 64 Punch Punch Punch Punch 2mm 2mm (a) PW30 (b) PW60 Punch 2mm (c) R1.5 Fig.3-21 Cross-section of plate at separated stroke 65 Fig.3-22 Generation process of glossy part on burnish depth by R1.5 punch 66 Fig.3-23 Damage value of PW30 by FEM simulation 67 Fig.3-24 Damage value of PW45 by FEM simulation 68 Fig.3-25 Damage value of PW60 by FEM simulation 69 Fig.3-26 Damage value of R1.5 by FEM simulation 70 Fig.3-27 Damage value of RA by FEM simulation 71 切口面にある酸化膜を調査するために,PW30,R1.5,RA で加工された被 加工材の切口面を走査型電子顕微鏡(日立 S-3000N)で観察した.PW30,RA の観察結果を Fig.3-28,R1.5 の観察結果を Fig. 3-29 に示す.PW30 はせん断 面全体にわたり酸化膜が付着しているのに対して,RA ではせん断面上部で酸 化膜が確認できるが,それ以降の光沢面では酸化膜がほとんど確認できない. Oxide scale Oxide scale Workpiece Glossy Workpiece surface 0.5mm 0.5mm (a) PW30 Fig. 3-28 (b) RA Cross-section view of burnished surface by SEM 72 A Workpiece B (a) Observation point Fig. 3-29 Cross-section view of burnished surface (R1.5) 73 Oxide scale 0.01mm Workpiece (b-1) Point of A 0.01mm Workpiece (b-2) Point of B (b) Cross-section view by SEM Fig. 3-29 Cross-section view of burnished surface (R1.5) 74 Fig. 3-29 について,A 地点では酸化膜が確認できるのに対して,FEM 解析 によってしごき加工により破断面がせん断面に移行した B 地点には酸化膜が ないことが確認できる.破断面は破壊により生成された酸化膜のない新生面 であり,この破断面がせん断面光沢部へと移行する過程が PW45,PW60,R1.5 の焼付き発生原因である.よって,PW30 のように面取り上部で被加工材が分 離し,全面が酸化膜に覆われたせん断面を得られる条件が,焼付き防止性が 高い. 75 せん断面の光沢部の焼付きへの影響を確認するため,途中止め実験を行っ た.Fig. 3-30 に被加工材が分離する直前で止めた場合の試験片断面と R1.5 パ ンチ表面の焼付き状態を示す.パンチ側にクラックが発生しておらず,破断 面からせん断面光沢部への移行過程が発生していないことが確認できる.こ の実験条件下ではパンチ表面に焼付きは確認されなかった.よって,破断面 からせん断面へ移行した光沢部が PW45,PW60,R1.5 パンチにおいて焼付き を発生させる主要因であることが確定した.せん断面光沢部の発生しない PW30 と RA を焼付きの差から,RA の焼付きが激しい理由はその高い表面積 拡大比によるものと結論付けられる.FEM 解析によりパンチ刃先のクラック 発生位置を予測できることから,実加工前に FEM 解析を行うことにより,面 取り上部で被加工材が分離し,上記の破断面からせん断面光沢部への移行過 程が発生しない,高い耐焼付き能を有する工具形状の最適条件を設定できる. (b (a ) ) 1 0.5mm Shearing number 2 0.5mm 3 0.5mm 2mm (a) cross-section of plate (b) Surface appearance of R1.5 punch Fig. 3-30 Cross-section of the plate and surface appearance of R1.5 punch when shearing process is interrupted before separated 76 3.6 結言 本研究では,今後需要の高まる仕上げ抜き法による高張力鋼板の穴抜き加 工に着目し,量産をする上で焼付きの発生しない条件を明らかにし,工業的 な利用を拡げることを目的として行った.具体的には,せん断面に素材表面 の酸化膜を流入させ,一般的なせん断面割合の製品を量産できる設計手法を 提供することを目的とした.そこで高張力鋼板の穴抜き加工に関して FEM 解 析と実験を行い,焼付きに及ぼす刃先形状の影響を調査した.その結果を以 下に示す. 1. パンチ直下で被加工材が分離する場合,破断面であった箇所が分離後にし ごき加工を受けることにより,せん断面の光沢部になる.この酸化膜の存 在しない破断面からせん断面光沢部への移行過程において焼付きが発生 する.この結果からせん断加工においては,パンチの焼付き量を表面積拡 大比を用いて単純に予測することは困難である. 2. FEM 解析により実加工前にパンチ刃先のクラックの発生位置を予測し, 面取り上部で被加工材が分離して破断面からせん断面光沢部への移行過 程が発生しない,全面が酸化膜に覆われたせん断面を得られる加工条件で, 焼付き防止性が高い加工条件を設定できる. 77 第4章 総括 本研究では,国内で稼動しているプレス機械の 70~80%で使用されている とも言われているせん断加工を対象とし,特に今後需要が高まる仕上げ抜き 法による高張力鋼板の穴抜き加工に着目して,所望のせん断面割合を得られ る条件と量産をする上で焼付きの発生しない条件を明らかにし,工業的な利 用を拡げることを目的に行われた.研究結果を以下にまとめる. 第 1 章の序論では,せん断加工に関する従来研究の成果と到達点,今後需 要が高まるであろう仕上げ抜き法の発展性を述べ,本研究の目的を示した. 第 2 章では,仕上げ抜き法の重要な加工条件であるクリアランス,工具刃 先形状,被加工材材質の成形品せん断面割合への影響を調査し,工業現場で 簡便に使用できる設計手法を提供することを目的とした. 従来の切口面割合を予測する手法である,有限要素解析(FEM)による要素 消去法の問題点である要素形状依存性と計算が複雑になり加工終了まで計算 できないといった問題点を解決するために,延性破壊条件式である Ayada の 式を用いてクラックの発生を予測し,被加工材の引張強さの最大主応力等高 線方向にクラックが進展すると予測する,新たな仕上げ抜き法のせん断面割 合予測手法を提案した.この手法を用いることにより,所望のせん断面割合 を得られる工具刃先の最適条件を決定できる. また,仕上げ抜き法の加工条件によっては,大きなバリが発生することが あるが,これは被加工材がパンチ直下に発生したクラックで分離した後,そ のパンチ直下のしごかれる材料の量が多いと,その後のしごき工程でクリア ランスにつまる加工形態で大きなバリが発生するためである. 第 3 章では,焼付きの発生しにくい加工条件について,せん断面割合が高 くなると焼付きが発生しやすく,また必ずしも高いせん断面割合を得ること がせん断加工に求められていないことから,せん断面に素材表面の酸化膜を 流入させ,一般的なせん断面割合の製品を量産できる設計手法を提供するこ とを目的とした. パンチ形状によっては,せん断分離時に破断面であった箇所が,分離後に 78 しごき加工を受けることにより,せん断面の光沢部になり,この酸化膜がな い破断面からせん断面光沢部への移行過程において焼付きが発生することを 明らかにした.そこで,FEM 解析により実加工前にパンチ刃先のクラックの 発生位置を予測し,面取り上部で被加工材が分離して破断面からせん断面光 沢部への移行過程が発生しない,全面が酸化膜に覆われたせん断面を得られ る条件を見いだすことにより,焼付き防止性が高い加工条件を設定でき,量 産上最適な工具刃先形状を決定できる. 本研究により,いわゆる所望の製品を得るための品質条件と,大量生産を 行う上で焼付きによるトラブルが発生しない量産条件の設計手法を示すこと ができた. 今後の課題として,本手法の妥当性は丸穴抜きについてしか検討されてお らず,複雑形状の仕上げ抜き加工についても本手法が適用できるか検討が必 要である.また,FEM 解析を行うためには引張試験等の材料試験を用いて被 加工材の材料特性を抽出し,解析条件に入れ込む必要があり,コストと時間 がかかる.したがって,例えば本予測手法の最初の段階である慣用せん断時 の荷重とストロークの関係から材料特性を抽出できる方法を発明できれば, 本手法の工業的な価値はさらに高まる. 本研究の一連の成果は,今後のせん断加工の発展に大きく貢献し,工業的 に大きな価値を有すると確信する. 79 参考文献 1) 日本金属プレス工業協会編:プレス打抜き加工,(2007),1,日刊工業新聞 社. 2) 日本塑性加工学会編:塑性加工入門,(2007),68-69,コロナ社. 3) 湯川伸樹・犬飼佳彦・吉田佳典・石川孝司・神馬敬:塑性と加工,39-454 (1998), 1129-1133. 4) 日本塑性加工学会編:せん断加工,(1992),85,コロナ社. 5) 近藤一義:塑性と加工,10-99 (1969),236. 6) 近藤一義・渡辺亮・高田久於男・吉田元昭:塑性と加工,12-129 (1971), 733-741. 7) 中村虔一・容貝昌幸:塑性と加工,4-29(1963),387-396. 8) 中川威雄・吉田清太:10-104(1969),671. 9) 中川威雄:ファインブランキング,(1988),40,日刊工業新聞社. 10) 中川威雄・前田禎三:日本機械学會誌 73-614 (1970), 339-346. 11) R. 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International Conference Gearing,IME,(1958),144-145. 28) 寺内喜男・宮尾義治:機論,36-281(1970),119-125. 29) 寺内喜男・森岡正夫・樽本和好・白石光信:機論,44-382(1978),2089-2098. 30) 成瀬長太郎・灰塚正次:機論,43-376(1977),4670-4678. 31) 藤田公明・小幡文雄:機論,44-383(1978),2536-2546. 32) 藤田公明・小幡文雄・山上哲:機論,44-383(1978),2547-2557. 33) 藤田公明・小幡文雄:潤滑,24-9(1979),573-578. 34) 藤田公明・小幡文雄・国府忠夫:機論C,46-408(1980),953-961. 35) 藤田公明・小幡文雄:機論C,47-423(1981),1518-1529. 36) F. Hirano・T. Sakai and Y. Yamamoto:Proc. 6th Leeds-Lyon Symp., (1980), 298. 37) 山本雄二・平野冨士夫:潤滑,19-3(1973),199. 38) 山本雄二・兼田楨宏:トライボロジー,(2001),205-206,理工学社. 39) 前田禎三:プレス技術,8-7 (1970),3-9. 40) 金丸尚信・大内康司:特公昭 53-8388. 41) 村上碩哉・望月佳彦・笠原延修・金丸尚信・伊藤隆夫:平成 19 年度塑性 加工春季講演会,(2007),267-268. 81 42) 村上碩哉・笠原延修・宮武直・金丸尚信・井村隆昭・伊藤隆夫:平成 20 年度塑性加工春季講演会,(2008),59-60. 43) 村上碩哉・宮武直・笠原延修・金丸尚信:第 59 回塑性加工春季講演会, (2008),313-314. 44) 村上碩哉・米澤翔太・栗山幸之・松野崇・金丸尚信:平成 21 年度塑性加 工春季講演会,(2009),127-128. 45) 松野崇・栗山幸之・村上碩哉・大竹尚登・米澤翔太・金丸尚信:平成 22 年度塑性加工春季講演会,(2010),113-114. 46) 村上碩哉・笠原延修・望月佳彦・金丸尚信・井村隆昭:塑性と加工,50-577 (2009),39-43. 47) 村上碩哉・宮武直・笠原延修・金丸尚信・井村隆昭:塑性と加工,51-593 (2010),97-101. 48) 近藤敏弘:自動車技術会材料フォーラム,(2000). 49) 中原孝善:塑性と加工,46-534(2005),585-589. 50) 杉山隆司:塑性と加工,46-534(2005),8-11. 51) 音田一造:National Technical Report,5-4(1959),472-477. 52) 森田稔・音田一造:塑性と加工,2-6 (1961),79-82. 53) 村川正夫:素形材,48(2007),1-6. 54) 青木勇:塑性と加工,44-506(2003),19-24. 55) 深尾 拓也・王 志剛・山田 智裕:日本機械学会第 20 回機械材料・材料 加工技術講演会(M&P2012),(2012),講演番号 917. 56) T. Yamada・Z. Wang・T. Fukao:16th International Conference on Advances in Materials and Processing Technologies (AMPT2013), (2013), S34_5. 57) 山田 智裕・王 志剛・深尾 拓也:平成 26 年度塑性加工春季講演会講演 論文集,(2014),163-164. 58) M. Ayada・T. Higashino・K. Mori:Proc. of 1st ICTP,(1984),553-558 59) 山田 智裕・深尾 拓也・王 志剛:第 64 回塑性加工連合講演会講演論文 集,(2013),313-314. 82 60) T. Yamada・Z. Wang・T. Fukao:International Conference on Materials Science Machinery and Energy Engineering (MSMEE 2013), (2013), No.119. 61) T. Yamada, Z. Wang, T. Sasa:11th International Conference on Technology of Plasticity (ICTP 2014), (2014), M-B1-5. 62) http://www.nihon-kohsakuyu.co.jp/. 63) 楊 明緒:角筒絞り成形における焼付き現象に関する研究(博士論文,岐阜 大学),(2014),42 83 関連論文目録 <発表論文> 1. Effect of Tool Shape on Galling Behavior in Plate Shearing (Tomohiro Yamada, Zhigang Wang, Takuya Fukao), Advanced Materials Research, Vol. 853 (2014), pp.460-465. 2. Effect of Edge Shape of Tool in Finish Blanking (Tomohiro Yamada, Zhigang Wang, Takuya Fukao), Advanced Materials Research, Vol. 939 (2014), pp.253-259. <口頭発表> 1. 切れ刃部に面取りをした工具による精密せん断に関する研究(深尾 拓也, 王 志剛,山田 智裕),日本機械学会第 20 回機械材料・材料加工技術講演 会(M&P2012),(2012),大阪. 2. Effect Effect of Edge Shape of Tool in Finish Blanking (Tomohiro Yamada, Zhigang Wang, Takuya Fukao), 16th International Conference on Advances in Materials and Processing Technologies (AMPT2013), (2013), Taipei, S34_5. 3. 中厚板せん断加工における焼付き現象に及ぼす工具形状の影響(山田 智 裕,深尾 拓也,王 志剛),第 64 回塑性加工連合講演会講演論文集,(2013), pp.313-314. 4. Effect of Tool Shape on Galling Behavior in Plate Shearing (Tomohiro Yamada, Zhigang Wang, Takuya Fukao), International Conference on Materials Science, Machinery and Energy Engineering (MSMEE 2013), (2013), Hong Kong, No.119. 5. 鋼板の穴抜き加工における切れ刃形状とクリアランスの切口面割合への 影響(山田 智裕,王 志剛,深尾 拓也),平成 26 年度塑性加工春季講演 会講演論文集,(2014),pp.163-164,つくば. 6. Effect of Tool Shape on Galling Behavior in Plate Shearing (Tomohiro Yamada, Zhigang Wang, Tomonori Sasa), 11th International Conference on Technology of Plasticity (ICTP 2014), (2014), Nagoya, M-B1-5. 84 謝辞 本博士論文における研究は,岐阜大学工学部 機械工学科 王 志剛教授の ご指導のもとに行ってきたものであり,研究の遂行および本論文の作成に当 たり終始懇篤なるご指導およびご鞭撻を賜りました.ここに心より感謝いた します. また,本論文を纏めるにあたり,主査および副査の労をご快諾いただき, 有益なご指導を賜りました岐阜大学工学部 機械工学科 山縣裕教授,植松 美彦教授に深く感謝致します. 研究の遂行にあたり,多大なるご指導とご助言をいただきました機械工学 科 吉田佳典准教授,吉川泰晴助教に深く感謝致します. 本研究における多くの実験とコンピュータ解析を行うにあたり多大なご協 力を頂いた,王研究室の卒業生深尾拓也君,在学生佐々智徳に感謝の意を表 します. 最後に,今まで多大な協力をしてくれた家族に感謝致します. 2015 年 3 月 山田 智裕 85
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