佐野市田沼中央公民館における環境講座報告 NPO足利水土里探偵団理事長 大島 由臣 1.環境講座1~生態系と微生物の働き~ 実習「EM活性液の作り方」 2015.1.21 佐野市の公民館事業の一つとして今年度 開催された「環境講座」の1回目。17人 の参加者とともに、生態系のおける微生物 の役割について考えた。 前半は、生態系と生物多様性について説 明し、その中で身近な「桜前線」について ソメイヨシノが挿し木から増えたもので遺 伝子的には全て同じであり、気候的な条件 が整えば、一斉開花になる。つまり、遺伝 子の多様性がないことを説明し、生物多様 性において、遺伝子の多様性が重要である ことを理解してもらった。 続いて、生態系の底辺を支えている微生物の 重要性について説明。ここでは、地球上に占 める有機物量として、植物、微生物、動物の 順で多くなることを説明。その中で、生産者 である植物が、なぜ無機窒素を必要としてい るかにも触れた。 最後に、微生物の性質として拮抗性につい に触れ、EMがどのように生まれたかを説明 した。その後、有用生物であるEMを培養す る仕方を説明し、実習に移った。 参加者の中には、すでにEMを活用してい る方が3人ほどいたが、生態系との関係やE Mがどのように作用するのか、また、その基 本的な知識がなかったようで、今回の講座で やってきたことに自信を深めた様子だった。 やはり、生態系も含め微生物が自然界にど のように作用しているのかを具体的に説明す ることで、EMのもつ力を再発見できるよう である。 2.環境講座2~水質汚染の現状と解決策~ 実習「EM廃油石鹸の作り方」2015.1.28 環境講座の2回目は、廃油のリュースを テーマとした「EM廃油石鹸作り」を行っ た。参加者は、インフルエンザのため欠席 した人もいたが13名が参加。 前半は、前回同様講義が中心となった。 今回のテーマである「水質汚染の現状と解 決策」から、まず水質汚染の現状として、 中国の深刻な水質汚染の現状を知ってもら った。ただ、現在の中国の現状は数10年 前の日本の現状でもあることも理解しても らい。現在の日本における水質汚染の汚染源について説明をした。 日本では、いわゆる公害問題から企業努力 の結果、かなりの部分で改善がなされ、今問 題となる汚染源の約半分が家庭排水からであ ることを理解してもらった。この際、簡単に 調べられるCODパックテストについても説 明し、ポカリスエット1ccを何倍に薄めた ら魚が住める水になるかなど、身近な飲料水 やみそ汁、醤油、油などについても資料を見 ながら説明した。 その後、もっとも身近な油のリサイクルと して、EM廃油石鹸の実習に移った。ここで もEMで石鹸を作ることが、汚染源から浄化 源になることを理解してもらった。 参加者の中に、廃油石鹸を作った経験者も いたが、廃油をEMで処理することで、出来 上がった石鹸に廃油臭がないこと、短時間で 石鹸になること、廃油のみで作った場合と比 べ生分解が早いこと、そして何より使うこと で水質改善にも役立つことを説明した。 参加者それぞれ楽しみながら作業しており、なかにはヨモギ石鹸やぬか石鹸なども作っ てみたいという話も聞かれた。作り方は、今回の作り方が基本であり、最終段階でそれぞ れが望む資材を投入することで様々な石鹸ができること、そして何よりも作ることを楽し むことができることを伝えた。 3.環境講座3~紫外線の効能と害~ 実習「紫外線吸収剤を使ったスライム作り」2015.2.4 今回が環境講座の最終日となった。今回 は、身近な問題である紫外線に関する学習 をとおして、抗酸化物質について学ぶ。 いつものとおり前半は、紫外線について の基本的な事を学んでもらった。 紫外線には、A・B・Cの3種類があり そのうち地表までとどくのは紫外線AとB で、紫外線Cはオゾン層によって吸収され てしまう。このオゾン層ができたお陰で、 植物は約4億年前に陸上に進出し、動物は 1億年遅れて陸上に進出した。従って、動物より1億年先に陸上に進出した植物は、紫外 線に対する備えを動物より先に備えていたことになる。人間は、紫外線の害については、 ここ数10年やっと認識されたものである。 植物体内を始め、動物の体内でも紫外線の 害に対して、ある種の酵素が働いていること が分かっているが、植物はそれらの酵素の他、 体内に抗酸化物質を作りだし紫外線によって 発生する活性酸素を打ち消している。これが 色素である。トマトが赤い色をしているのも このためである。ここでEMのもつ抗酸化力 は紫外線による活性酸素を抑える働きがある ことを理解してもらった。 続いて、目で見えない紫外線を紫外線吸収 剤を使ったスライムの色変化で知るために、 実習を行った。PVA合成洗剤50cc に紫外 線吸収剤1ccを混ぜ、60℃のお湯50cc を加えてのち、ほう砂の飽和水溶液8cc を加 え混ぜ合わせスライムを作った。それをビニ ル袋に入れ、光にあてると紫外線を吸収し赤 紫色に変化する。この濃淡で紫外線の強さを 実感してもらった。実際、長時間紫外線に当 たった場合、薄めたEM活性液をスプレーすることやEM-Xゴールドを取り入れることも 紫外線対策の一つとして有効であることも付け加え講座を終了した。
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