医療安全管理者・病院管理者向け研修 院内事故調査の手法を学ぶ 医療事故調査等支援団体の目的 2015年8月30日 於：京都府医師会館 松村由美 （京都大学 医療安全管理部 医療安全管理室長） 支援団体の役割 医療法 第6条の11 （略） ○２ 病院等の管理者は，医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定め る団体（法人でない団体にあつては，代表者又は管理人の定めのあるものに限る。 次項及び第6条の22において「医療事故調査等支援団体」という。） に対し，医療事 故調査を行うために必要な支援を求めるものとする。 ○３ 医療事故調査等支援団体は，前項の規定により支援を求められたときは医療事 故調査に必要な支援を行うものとする。 松村由美 2 地域間における格差がないこと 参考：参議院厚生労働委員会付帯決議 院内事故調査及び医療事故調査・支援センターの調査に大きな役割を 果たす医療事故調査等支援団体については，地域間における事故調査 の内容及び質の格差が生じないようにする観点からも，中立性・専門性 が確保される仕組みの検討を行うこと。また，事故調査が中立性，透明 性及び公正性を確保しつつ，迅速かつ適正に行われるよう努めること。 Ａ 地域 報告しない 医療事故 Ｂ 地域 報告する 松村由美 3 支援団体と医療機関の関係 • 院内事故調査等支援団体の役割は，法律の理念を理解した上で， 医療事故発生時に，（１）適切な事故報告を行えるように，また，（２） 院内医療事故調査を実施できるように，当該医療機関を支援するこ とである。決して，当該医療機関に代わって，報告を決断したり，院 内事故調査を主導したりするものではない。支援団体は，当該医療 機関の意思決定を「支援する」という立場を崩してはならない。 医療事故の判断 医療事故調査 • 助言 • 技術的支援 • 管理者が判断する上 での支援 松村由美 4 当該医療機関と支援団体との関係（例） 当該医療機関 病理解剖業務支援 支援依頼 支援団体 医療事故の判断 医療事故の判断支援 院内調査委員会 （外部専門家を含む） 調査結果を遺族に説明する 支援 死亡時画像診断 院内調査運営支援 外部専門家派遣 調査報告書作成支援 遺族対応支援 松村由美 5 【支援】 医療事故の判断 死亡の報告 医療とは： 診察，検査等，治療など（経過観察を含む） 医療に 起因 Yes No 死亡を 予期 No 予期したことを示すための要件 • 説明 • 記録 • 事情聴取による判断 上記のいずれかに該当する場合 Yes センターに報告しない センターに報告する 松村由美 6 手術，処置中の急変後の死亡事例 手術、処置中の急変⇒死亡 Yes Yes 通常通りの手 順か？ No 患者に特殊な 要因？ Yes その手順をとった 判断プロセスを当該医療者 が説明できる Yes 管理者がその説明に納 得できる No センターに報告し ない 管理者がその説明に納 得できる No No No 院内の医療安全管理の委員会を緊急開催 センターに報告しない センターに報告する Yes センターに報告し ない 管理者個人の判断ではなく、当該医療事故に 関わった医療従事者等から十分事情を聴取し た上で組織として判断する 7 松村由美 【助言】と【技術的支援】（案） 各専門医会 医療機関 各都道府 県医師会 大学病院 窓口 看護協会・薬剤師会など 厚生労働省通知 ○ 医療機関の判断により，必要な支援を支援団体に求めるものとする ○ 支援団体となる団体の事務所等の既存の枠組みを活用した上で団体間で連携 して，支援窓口や担当者を一元化することを目指す ○ その際，ある程度広域でも連携が取れるような体制を目指す ○ 解剖・死亡時画像診断については専用の施設・医師の確保が必要であり，サ ポートが必要である 松村由美 8 「ある程度広域でも連携が取れるような体制」 • 大学病院が１つしかない地域 • 外部専門家の派遣を医師会窓口に依頼⇒同じ大学関係者になってしまう 調査委員会の透明性を疑われないような形も重要である 透明性を判断するのは，遺族や社会である Ｂ府 Ａ県 Ｃ県 松村由美 9 「解剖・死亡時画像診断については専用の施設・医師の確保」 • 実施できる医療機関を確保（医師会等の窓口から紹介できる体制） • 外部からの解剖あるいは死亡時画像診断を受託する際の料金につ いて地域内で格差が生じないことが望ましい • Ａ大学病院 病理解剖 40万円，死亡時画像診断 5万円 • Ｂ大学病院 病理解剖 25万円，死亡時画像診断 3万円 大きな差 • 各受託施設の受け入れ方法を窓口では把握しておく（スムーズな紹 介ができるように受入可能時間帯や方法を一覧にしておく） • 各受託施設では，受託に関する規定の整備が必要である 松村由美 10
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