種々の安定成層場における三宅島火山ガスの挙動 ―RIAM-COMPACTによる数値実験と温度成層風洞による風洞実験― 内田孝紀,杉谷賢一郎,大屋裕二(九州大学応用力学研究所) 我々は数百m~数(十)km程度の局所域に的を絞り,風に対する地形効果を高精度に数値予測する 数値モデルを開発している.これをRIAM-COMPACT(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University, Computational Prediction of Airflow over Complex Terrain)と称する. 1.孤立峰まわり流れの数値実験 中立成層流,Fr=∞ 等圧力線図 安定成層流,Fr=1 流線図 Fr=0.1における水平断面内の流れ (カルマン渦列に類似した渦構造の出現) 安定成層流,Fr=0.5 流線図 安定成層流,Fr=0.1 2.三宅島まわり流れの数値実験 流れ方向速度成分 雄山火口から放出した パッシブ粒子の挙動 西風を対象 大気の安定度を表すパラメータ : Fr数 Fr数(フルード数)=慣性力/浮力=U/Nh U:代表風速,N:浮力振動数,h:山の高さ 雄山火口から放出したスカラー濃度の挙動 無次元時間t=100の計算結果を初期値とし,空気と等密度 のスカラー濃度に関する移流拡散方程式を付加,t=200の 計算結果,雄山火口からの噴出速度W*=0.05U 中立成層流,Fr=∞ 安定成層流,Fr=1 三宅島は大島の南南東75kmに位置し,面積55k㎡,周囲 35km(周囲の直径は約7.5km)の火山島である.ほぼ円形 で中央に標高814mの雄山(おやま)がある. 安定成層流,Fr=0.5 実際の火山ガス の様子 安定成層流,Fr=0.1 3.三宅島まわり流れの風洞実験(1/5430の縮尺,模型高さは15cm程度) 微風の場合 第1段階(北から) 第3段階(完成,北東か ら) 噴煙が強い熱浮力のために上空に 舞い上がり,ゆっくりと流下する. 弱風の場合 稀ではあるが,安定成層の気象条件が発生すれば, 風下波(内部重力波)が励起される.噴煙はほとんど 拡散せず,高濃度の煙が麓に達する.上図は左図と 同様,火口からの煙を可視化.下図は上流からの煙 を可視化. 流れは右から左へ(西風) 強風の場合 第2段階(北東から) 模型作成の様子 火口と煙発生装置 ほぼ中立状態であり,噴煙は剥離流により 拡散しながら麓に達している. 連絡先 内田孝紀, 092-583-7776 [email protected]
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