第4講 6.1 初期の開発理論 6.1 初期の開発理論 6.2 構造論的アプローチ

2015/6/12
6.1 初期の開発理論
(1)経済発展段階説(W.W.ロストウ)
第4講
)
高度大衆消費
時代
成熟への前進
(
開発問題への理論的アプローチ
離陸のための先行
条 件期
伝統的社会
(テキスト第6章,第7章)
<経済発展段階説の限界>
・すべての諸国が(
)の発展経路をたどるのか
・(
)だけが経済発展を説明するのか
6.1 初期の開発理論
6.2 構造論的アプローチ
(1)二重経済発展理論
①概要
・発展途上国を農村と都市に二分して考える
・経済発展のプロセスを農村と都市の(
)関係
にみる
・経済発展の原動力は途上国に(
)する
・A. ルイスが1950年代に着想
・J. フェイとG. ラニスが後に精緻化
(2)ハロッド=ドーマー型成長理論
⊿Y
Y
s
= k
2
Y :国民所得
s :貯蓄率
k :資本・産出高比率(定数とする)
<ハロッド=ドーマー・モデルの限界>
貯蓄だけが経済発展を説明するのか
⇓
貯蓄ギャップは外国投資で補うことができると示唆
→しかし,貯蓄の増大だけでは開発を促進できない
3
6.2 構造論的アプローチ
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6.2 構造論的アプローチ
②二重経済発展理論の限界
・都市部門の資本蓄積は十分な雇用増大につなが
らなかった
→(
)
・都市部門における完全雇用の前提は非現実的
→(
)
・無制限的労働供給は生じなかった
→(
)
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(2)従属理論
①概要
・経済発展のプロセスを(
)の経
済構造
関係にみる
・発展途上国が(
)にとどまっている原因を探る
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6.2 構造論的アプローチ
6.3 新自由主義アプローチ
②従属理論の限界
・経済発展を始動させる方法に言及しない
=批判しかしない
・資本主義世界との不平等な関係を遮断する
→(
)経済に逆戻りするか
内向き政策を採用するのか
⇓
利益を得るための源泉はどこに求めるのか
(1)新自由主義理論のエッセンス
①自由主義リバイバルの背景
・累積債務問題の勃発
→ポピュリスト政権
内向きの工業化
国営企業の赤字の国による補填(
)
・累積債務問題の原因
→人為的な価格操作
政府の過度の介入による(
)配分の誤り 8
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6.3 新自由主義アプローチ
6.3 新自由主義アプローチ
②基本要件
・国有企業の民営化, ・自由貿易と輸出拡大
・外国投資の受け入れ, ・規制緩和
・価格の歪み排除
⇓
・(
)の政府が最良の政府
(2)ソロー・モデル(外生的成長理論)
・ハロッド=ドーマー型成長理論
→経済成長の唯一の要素は(
)
・成長方程式に(
)(第2の要素)と
(
)(第3の要素)を組み込む
・技術水準は外生的(所与)と想定
→ソローの残余(短期的な資本ストックでは説明が
つかない諸々の要素を一括して捉える)
⇓
しかし,ソローの残余をめぐり問題,矛盾が露呈
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・民間企業に適した環境を整えるため,(
介入を政府が行うことを許容
)な
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6.3 新自由主義アプローチ
(3)新成長理論(内生的成長理論)
①登場の背景
・先進国の過去の成長の50%はソローの残余による
→ソロー・モデルはこれを所与とみなした
同じ技術水準の国にも残余に差がある
途上国は資本希少であるので投資を引きつけるとい
う論理が現実には成立しない(→むしろ(
)を
引き起こす)。
⇓
ソロー・モデルに代わる理論が求められる
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6.3 新自由主義アプローチ
②新成長理論の特徴
・ ソローの残余を決定する要因を説明する
→所与とみなすと経済成長の原動力は外部から与
えられる(技術革新など)
・規模に関する収穫逓増を想定する
→投資に直接関係しない産業に(
)をも
たらす
⇓
経済システムに原動力が(
)していると捉える
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6.3 新自由主義アプローチ
7.1 東アジアの奇跡とその原動力
③新成長理論が注目した点
・投資収益率:理論的には,途上国の方が先進国
よりも高い
・(
)投資:途上国の方が先進国よりもその水準
が低い
④新成長理論の含意
途上国で(
)投資を促すことが必要
→外部効果を引き起こすような公共投資の積極的
な役割を強調(→政府の役割をある程度認める) 13
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7.1 東アジアの奇跡とその原動力
7.1 東アジアの奇跡とその原動力
(2)新古典派論者の解釈
・(
)品目への特化
・(
)価格に基づく資源配分
・(
)的な国家の介入
⇓
顕著な経済発展の原動力は(
ある
(1)東アジアの奇跡とアジアNIEs
・1人当たり実質所得の伸び
・国内の経済格差の縮小
・製品輸出の拡大
・農業生産性の向上
・平均余命の伸び
⇓
顕著な経済発展の原動力は何か
→新古典派の見解 vs 修正主義の見解
(3)修正主義論者の解釈
①世界銀行報告書での言及
・『東アジアの奇跡』(1993年刊)
→政府の役割は顕著な経済実績の要素の1つである
・J. スティグリッツ(1997-2000年世界銀行チーフエコノミスト,2001年ノーベル
経済学賞)
)に
→経済政策に対する(
)の機能の重要性を認める
⇓
しかし,東アジアの奇跡は(
)によるものと基本的に
認識している。
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7.1 東アジアの奇跡とその原動力
7.1 東アジアの奇跡とその原動力
(3)修正主義論者の解釈
②修正主義論者の認識の原点
・政府の主導的な役割を強調する
・C. ジョンソン
→日本の高度経済成長における(
)の役割に注目
・A. アムズデン
→工業化の推進のために,価格を(
)的に歪めた。
⇓
共通点:産業政策,金融・財政政策,労働政策の諸点から政
府の役割の重要性に言及
(4)修正主義的観点から見た東アジアの奇跡の要因
①産業政策
・経済官庁による指揮:経済企画院,経済開発庁
・国営企業の設立:POSCO,電力,鉄鋼業,造船業
・民間ビジネスの誘導:財閥系企業
・アメとムチを通じた実績の確保:輸出実績
②金融・財政政策
・民間銀行の保護と規制:政府介入を容易にする
・政府系銀行の設立:シグナル効果による融資の誘導
・貯蓄の奨励:郵便貯金制度,中央積立基金
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7.2 ソーシャル・キャピタル論
7.1 東アジアの奇跡とその原動力
③労働政策
・勤勉,安価,従順な労働力の大量供給
→労働組合運動の禁止,国家管理,戒厳令
④その他の要素
・GATT体制下による工業製品の関税引き下げ
・交通手段の発達による国際物流の効率性増進
⇓
修正主義論者はアジアNIEsの特異な国内要因に注目
⇓
両者の論争はアジア通貨危機の発生でうやむやに
→新たな見解の登場:ソーシャル・キャピタル論
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7.2 ソーシャル・キャピタル論
(1)ソーシャル・キャピタルの概念
①ソーシャル・キャピタル成立の条件
経済主体間に,
・ネットワーク(人々のつながり),
・相互性(双方向的),
・信頼,があること。
②ソーシャル・キャピタルが成立していることの意味
良好な関係 vs 反目する関係,緊密な関係 vs 疎遠
な関係がある
→ソーシャル・キャピタルの(
)だけでは意味ない
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7.2 ソーシャル・キャピタル論
(3)ソーシャル・キャピタル論の開発問題への適用
・結束型ソーシャル・キャピタルが良い結果をもたらす
→タンザニア,グラミン銀行(グループ融資)の事例
・接合型ソーシャル・キャピタルが良い結果をもたらす
→グラミン銀行(行員との信頼関係構築)の事例
・結束型ソーシャル・キャピタルが悪い結果をもたらす
(2)ソーシャル・キャピタルの機能
「結束型(binding)」と「接合型(bridging)」
「水平的(horizontal)」と「垂直的(vertical)」
「認知的(cognitive)」と「構造的(structural)」
「マクロ的(macro)」と「ミクロ的(micro)」
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7.2 ソーシャル・キャピタル論
(4)ソーシャル・キャピタル論の限界
・ソーシャル・キャピタルは果たして「資本」か
・ソーシャル・キャピタルは測定できない
・ソーシャル・キャピタルの機能が場合によって相反す
る結果をもたらす
⇓
経済実績の全てをソーシャル・キャピタルに帰着させる
ような単純な議論はすべきでない
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