ミニトマト果実の成熟におけるペクチンの変化

第53 回 大 会 〕
2 Ea- 8
食 物
ミニトマ ト果 実の成熟にお けるペ クチンの変化
○稲荷妙子*,** 加藤宏治゛゛ 山内亮゛゛ 竹内徳男゛
(*岐阜女大、 ゛゛岐阜大・院)
【 目的 】 果 実や 野 菜 は 成 熟 に 伴 っ て 組 織 の軟 化 が 起 こ る も の が あ り 、 そ れ に は 細胞 組 織
の構 成 成 分 と し て の ペ クチ ン 質 の 関 与 が 考 え ら れ て い る。 今 回 、 ミ ニ ト マ ト 果 実 のペ ク
チ ン の 構 成 糖 な どが 成 熟 中 に どの よ うに変 化 して い く か を検 討 し た ので 報 告 す る。
【 方 法 】 熟 度別 (未 熟 、 緑 熟 、 成 熟 ) に採 取 し た ミ ニ ト マ ト (ぺ ぺ ) 果 実 の熱 エ タ ノ ー
ル 可 溶 性 成 分 を 除 去 し た の ち 、 水 溶 性(WP ), ヘ キサ メ タ リ ン 酸 可 溶 性
(pp ), 塩 酸 可溶
性(HP ), 水 酸 化カ リ ウ ム 可溶 性(KP )
ペ クチ ン を 抽 出 し た。 各抽 出 ペ クチ ン はそ の 分子 量
並 び にガ ラ クチ ュロ ン 酸 量 、 中 性 糖 量、 メ ト キシ ル 含 量 を 測 定 し 、 成 熟 段 階 に お け る変
化 に つ い て 検討 し た。
【 結 果 】ペ クチ ン 総 量 (ガ ラ クチ ュ ロ ン 酸 量 と 中性 糖 量 の 和 ) は 果 実 の 成 熟 に 伴 い 未 熟
果680 mg,
緑熟 果364 mg,
成 熟 果172 mg と減 少 し た。 こ れ は 主 に 中性 糖 量 の 減 少 、
特 にHP
に多 く 含 ま れ て い た グル コ ー ス とガ ラ クト ー ス の 減 少 に よ る も の であ っ た (中
性 糖 量 、未 熟330 me 、 緑 熟87 mg 、 成 熟34 mg )
。 そ の結 果 ペ クチ ン 総 量 に 対 す るガ ラ
ク チ ュ ロ ン酸 量は 未 熟51%,
緑 熟76%,
成熟80 % と 増大 し た。 メト キシ ル含 量 は、
高 メ ト キ シル ペ クチ ンで あ っ たWP
とHP
は成 熟 に 伴っ て 減 少 し 、低 メ ト キシ ルペ クチ
ン で あ っ たpp は 変 化 し な かっ たが 、 全 体で は14.4% (未 熟果 ) から10.8 % 緑 熟果 )、
9.4 % (成 熟 果 ) と成 熟 に 伴 い 顕著 に減 少 し た。 また 、KP 以 外 のWE pp. HP
の分子
量 は 熟 す るに 従 って 低 く な り 、ペ クチ ン 全 体 で は未 熟315,000, 緑熟104,000, 成 熟9,000
と 顕 著 に低 分 子 化 し た。
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エ ビ にお け る主 要 アレ ル ゲ ン、 ト ロ ポミ オ シ ン の 分析 法 の 確 立 とそ の応 用
○I 」
下 広 美1 、 中 村 慶 香1 、 木 本奥 頓美1 、 比江 森 美 樹1 、 坂 井 堅 太 郎2 、
辻英 明1 (' 岡 山県 大 、2 徳 島 大 )
【目的 】 現 代 の日 本 にお い て は 食 生 活 の 欧 米化 に 伴っ て 、 食 物 ア レ ル ギ ー の原 因 食 品 も変
容し つ つ ある 。 最 近 、 卵 、 牛 乳 に つ い で ソ バ 、エ ビ 、 ピ ー ナッ ツ な ど に対 す る患 者 が増 え
て いる こと が 報 告 さ れた 。 演 者 ら は 、 昨 年 よ りエ ビ アレ ル ギ ー に注 目し 、 研 究 を 進 めて い
る が、 エ ビ ア レ ル ゲ ン と し て 、 筋 肉 タ ン パ ク 質で あ るト ロ ポ ミ オシ ン が 唯一 同定 さ れて い
る。 本 食 品 に対 す る ア レ ル ギ ー 患 者 が 安 心し て 食 生活 を送 る た め には 、 食 品 中 の本 アレ ル
ゲ ン の存 在 量 を知 る 必 要 が あ る 。 し た が って 、本 研 究 にお い て は エ ビ ト ロ ポ ミ オ シ ン の 微
量定 量 法 を 開発 し 、 そ の 分 析 法 を 用 いて 、 調 理操 作 にお け る 本 ア レ ル ゲ ン の除 去 方 法 を 検
討し た 。
【方 法 お よ び 結 果 】 エ ビ よ り 精 製し た ト ロ ポ ミ オ シ ン をBALB/c
マ ウスに免疫 し、細胞
融合 技 術 を 用 いて 、 ト ロ ポ ミ オ シ ン に 対 す る モ ノ クロ ー ナル 抗 体 を 産 生 す る ハ イ ブ リ ド ー
マ を 樹 立し た 。 得 ら れた 2 種 の モ ノクロ ーナ ル抗 体 は 異 な る エ ピ ト ー プ を 認 識 し た 。 と れ
らを 用 いて サ ンド イ ッ チ 酵 素 免疫 定 量 法(EUSA
)を 開発 し た 。 用 い た条 件 下 にお い て 、
1 ∼20 ng /ml の ト ロ ポミ オシ ン を定 量 的 に 測定 し え た。 次い で 、本 分 析 法 を 利 用し て エ ビ
よ り ト ロ ポミ オシ ン を 除 去 す る 方法 の検 討 を行 っ た 。 そ の結 果 、 沸 騰 水 中 にて10 分 間 加
熱 す る こ と によ り 、 そ の90 % が 煮 汁 の方 に溶 出 さ れ た。 こ のこ と か ら、 調理 にお け る 煮
る 操 作 はエ ビ の ア レ ルゲ ン性 の 低 減化 に一つ の手 段 とし て 利 用し う る こと が示 唆 さ れた 。
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