「がんの集学的治療についての分科会」議事録 (2015 年 7 月 25 日 場所:四国がんセンター ) (議事内容) ◆新規抗がん薬による皮膚障害対策について 看護師グループ代表住友別子病院藤田看護師よりチーム医療ワークショップの紹介があ った。 「肺癌チーム医療における EGFR-TKI を使用する患者への関わりについて」 ・臨床腫瘍学会と皮膚科学会での動きであるが、四国がんセンター 仁科先生の皮膚科との 連携では、開業医の皮膚科の医師の参加は少なかった。均てん化の必要はあるが、まずは モデルケースを作ってから広げていくことが第一歩である。 ・ 新居浜や宇和島では開業医の皮膚科との連携は行っていない。もう少し愛媛県内の皮膚 科のレベルアップを図りたいという動きもある。 外来化学療法室に来られる患者は関与可能であるが、経口抗がん薬はマンパワーの問題 でなかなか全症例には導入できていない。 ◆口腔内ケアについての動きについて 院内で口腔ケアに関する勉強会を行っている施設もあり。愛媛大学病院では、がんの入 院患者は必ず外来で 1 回はチェックが入る。全例ではないが、院内の歯科医との連携を必 要時に行っている施設が多い。院内に歯科医が居ない病院では、なかなか主治医が対応す る以外の方法が無いのが現状。 今後、この分野においても検討していく予定 ◆四国がんセンター 乳腺外科 青儀先生より、先日札幌で開催された JSMO での曝露対策 のシンポジウムの発表内容「本邦の薬剤曝露対策における臨床的問題点」について情報提 供があった。 ・問題点を明らかにして、一歩踏み出しましょうというのが今回のシンポジウムのコンセ プトである。 曝露対策における動きとして「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」が発 刊された。キーワードは以下の通り ・抗がん薬による職業曝露の問題点。 ・製造、調製から廃棄に至るいずれの過程においても危険性はある。 ・在宅における対策が必要。 ・HD の Safe Handling における優先度(ヒエラルキーコントロール) ・医師に対する意識の問題→アンケート結果より知っていてもなかなか行動が伴っていな い。関心がないという医師も 3 割近くあり、医師は処方責任者としてリーダーシップを取 るべき。 ・サンプリングシート法による環境曝露の現状を調べた結果より、トイレでの曝露が多い。 曝露対策後にはフルオロウラシルの残留量は低下したが、調査コストの問題もある。 ・抗がん薬の排泄の問題。患者家族への曝露。リスク管理と教育。モニタリング。 ・チーム医療として共同で行うメリットもある。 ・トイレでの排泄を座ってしているかという指導をしているか? ➡初回に指導を行っている。家族への指導状況。ナーバスな情報であり ・調査コストの問題は残るが、愛媛県下の拠点病院で一斉に調査を行ってアウトカムを出 すことができれば、さらに拡大していくことにつながる。 ・どういった情報を出せば納得してくれるか、個体レベル、細胞レベルでの疫学的な報告 はまだないために動きにくい部分もある。 ・閉鎖式システムは、愛媛大学病院であれば外来のみで年間 2,000 万の赤字である。卸値 が 7 割引であっても 600 万円となる。 ・曝露対策をしてくれる病院でなければ、仕事をしたくないというアンケート結果なども 手段にはなると思われる。 ◆松山赤十字病院 薬剤部 村上先生より、先日の ESMO でのシンポジウムでの発表内容 「CDTM の立ち上げと実践」について情報提供があった。 院内の全診療科統一の支持療法標準化を推進されており、松山赤十字病院版 CDTM を M-CDTM と名付けて実践されている。 松山赤十字病院 白石先生より、一度軌道に乗るとむしろ安全管理にもつながっており、 医師間での反対意見もなく、むしろ医師からの評価は高いとのコメントがあった。 薬剤師が中心となって曝露対策を行う取り組みとして、Oncology Specialist Meeting と いう講演会が 9 月 12 日に開催されるとの情報提供が村上先生よりあった。 ◆愛媛県大学付属病院 薬剤部 河添先生より、先日の ESMO でのポスターセッションでの 発表内容「胃癌術後補助化学療法 S-1 の服用継続に及ぼす因子」について、以下の通りの 情報提供があった。 ・胃癌治療において、経口フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の TS-1 は key drug であり、 胃 癌術後補助化学療法において、胃癌治療ガイドライン上、TS-1 の 1 年間内服が推奨されて いる。特徴的な副作用は口内炎、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状であり、予 後には相対用量強度と 1 年間の治療継続が影響している。実地臨床において、2 投 1 休、 TS-1 減量、支持療法で対応している。 ・服用中断率は 36.6%であり、その主な理由は消化器毒性を中心とする副作用が 84.2%で あった。服用継続に及ぼす因子としては、投与スケジュールの変更であり、服用中断に及 ぼす因子としては、過量投与量での開始、stageⅠ、Ccr<66mL/min、悪心の発現であった。 文責 住友別子病院 矢野
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