HER2過剰発現・遺伝子増幅腫瘍あるいはHER2遺伝子変異陽性腫瘍

HER2過剰発現・遺伝子増幅腫瘍あるいはHER2遺伝子変
異陽性腫瘍に対する個別化治療の開発
北海道大学 大学院医学研究科 内科学講座 教授
秋田 弘俊
分子標的治療薬の適応拡大
研究の背景・目的
非小細胞肺癌、唾液腺癌を始めとする再発進行再発癌で、標準治療が無効である患者を対象とし、病理学的検査(IHC、DISH)、
次世代シークエンサー解析を用い、ヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)の過剰発現・遺伝子増幅陽性腫瘍、あるいはHER2遺伝
子変異陽性腫瘍にターゲットを絞り、ハーセプチンの有効性を検証する。
唾液腺癌は全国的にみても発生頻度が非常に低い疾患であるが、有効な治療法が確立しておらず、少数例での医師主導治験を実施し、
適応拡大を目指す。
治 験 薬
特
対象疾患
トラスツズマブ
非小細胞肺癌・唾液腺癌
徴
非小細胞肺癌
免疫染色
DISH法
非小細胞肺癌の一部にHER2の過剰発現・遺伝子増幅、あるいは遺伝子変異が報
告されている。トラスツズマブ併用化学療法の臨床試験のサブセット解析で、HER2免
疫染色3+またはFISH+の6例において5例(83%)の奏効が認められた。また、前臨
床、および臨床的にも化学療法不能となったHER2遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患
者におけるトラスツズマブの奏効例が報告されている。HER2遺伝子増幅、遺伝子変異
を有するNSCLCに対するトラスツズマブを含むHER2阻害薬の有効性が期待される。
唾液腺癌
次世代
シークエンサー
HER2の過剰発現かつ遺伝子増幅陽性腫瘍、
あるいはHER2遺伝子変異陽性腫瘍を検出
唾液腺癌の病理組織型は非常に多いにもかかわらず治療は画一的であり、標準治療
は手術と術後放射線治療である。特に高悪性度に分類される唾液腺癌は再発・転移
が多い。しかし、唾液腺癌は総じて放射線感受性が低く、有効な薬物療法も確立して
いない。そのため再発・転移が生じた場合、それが外科的に切除困難であれば次に行う
べき救済治療がないのが現状である。唾液腺癌を対象とした化学療法の第II相試験の
奏効率は、概ね30%以下である。近年、唾液腺癌においてHER2の過剰発現が報告
されている。
開発計画
これまでの
進捗状況と
今後の予定
非小細胞肺癌
唾液腺癌
2013
非小細
胞肺癌
唾液
腺癌
<今後の予定>
<進捗状況>
 観察研究及び第Ⅱ相臨床試験実施中
 PMDA薬事戦略相談:
• 医薬品事前面談実施(2013年12月3日)
• 対面助言実施(2014年4月2日)
• 体外診断薬事前面談実施(2014年8月26日)
 医師主導治験準備中
2014
唾液腺癌
2015
2016
PMDA薬事戦略相談
情報
収集
情報
収集
非小細胞肺癌
観察研究 HER2スクリーニング
第Ⅱ相臨床試験
PMDA
薬事戦略相談
CDx診断
観察研究
 観察研究及び第Ⅱ相臨床
試験引き続き実施
 医師主導治験実施
 コンパニオン診断薬として既
承認済みの体外診断薬医
薬品の適応拡大試験を行う。
2017
医師主導治験/
第Ⅱ相試験
薬事申請
承認
医師主導治験
厚生労働省 臨床研究中核病院整備事業
<平成26年度成果報告会ポスター>
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