社外取締役 & 担当役員対談 Dialogue 4 Dialogue 三井化学が目指す取締役会の姿鈴木芳夫久保雅晴社外取締役取締役専務執行役員 ■ 対話が培うガバナンス当社は2003年から執行役員制度を採見をして、社長以下のマネジメント層との用し、執行役員に日々の執行に関する一対話に重きを置いている点が、非常に印象的だと感じています。久保コーポレートガバナンス・コードの定の権限を委譲することで、意思決定の制定を受け、企業のガバナンスの在り方迅速性と柔軟性を高めています。そして、が社会的に関心を集めています。今日は、その執行における重要な課題を業務執久保三井化学の社外取締役、社外監査「三井化学が目指す取締役会の姿」を行取締役、担当執行役員から取締役会に役は、企業経営、金融、法律、文教・消費経テーマに、対談させていただきたいと思説明し、議論、決定する流れを確保してい済など、様々な分野に造詣の深い方々でいます。ます。す。それぞれの知識・経験を背景としたご当社の取締役会の役割は、「企業価値当社の社外取締役を務め 2010年から、意見は、当社を取り巻くステークホルダ向上のための大きな方向性の決定と執ていただいている鈴木取締役に、当社取ーの方々を代言するものであり、業務執行に対する監督」です。締役会の印象をお聞きしたいと思います。行取締役にとって刺激となり、また大変有意義なものです。鈴木三井化学のガバナンスは、各業務 48 三井化学株式会社アニュアルレポート 2015 執行取締役が、それぞれの業務執行の鈴木当社は、成長分野の拡大と大型市担当業務毎に、組織構造、人、システム、況製品の事業再構築により、事業ポートフ企業文化の面から改革目標を立て、そのォリオを変革している大きな転換期にあ達成度を経済軸、環境軸および社会軸り、取締役会での戦略の決定と執行の監の 3方向から検討しチェックするというも督の重要性が増しています。中計初年度のです。事業拡大と再構築がスピーデが終わって、この目標指向型の仕組みが機能するィに大きな実績を上げており、取締役会、よう、当社の取締役会では、社外取締役・執行役員制という当社のガバナンスは十社外監査役が活発、自由闊達に質問、意分機能していると考えています。 ■ より密度の濃い取締役会を目指して前の半分程度になっています。久保当社は、経営の監督を実現する上鈴木責任と権限を集中させ、より活発で、社外取締役の役割が非常に重要と考な議論が進むように促す。更に、人数を増え、先進的に約20年前から社外取締役をやすことなく、社外取締役の比率を上げ起用しています。2006年からは、独立性ることができ、より中立かつ独立性のの高い社外取締役を複数名起用し、女性高い場を醸成することができる。これは、の社外取締役にも入っていただいていま執行役員制度の、もうひとつの効果です。皆さんに活発に議論いただくためにすね。は、当社事業を理解していただく必要がありますので、定期的に事業説明を行う久保実際の取締役会の運営について他、工場や関係会社の視察等の機会も設は、どのように感じていらっしゃいますか。けるよう努めてきましたが、いかがでしょうか。鈴木取締役会に臨むにあたっては、経いますが、任意の機関として、役員報酬諮営会議の議事録にも目を通しますが、必問委員会を設け、構成員である社外監査鈴木私の場合、まず就任に当たってず詳細な資料に基づいて、担当の執行役役に役員の報酬を審議いただき、その結は、化学の専門用語の解説から始まりま員の方から事前の説明があり、また質疑果を取締役会で再度議論するという運営して、業態や業務の詳細について、各担応答の時間も設けられています。これにもしています。これらの任意の仕組みも当者から、資料に基づいての詳細な説明より、予防的見地からの意見だけではな活用し、社外役員の意見を反映し、ガバナがありました。く、よりポジティブにビジネスを良くするンスの充実を図っています。また、国内の工場や研究所のみならために踏み込んだ発言や議論が行えるず、最近では中国拠点も視察しました。現のも、三井化学の取締役会運営の特徴で地の皆さんとも膝を交えて話す会がああるように思います。鈴木私の目から見ますと、三井化学にあっては、今のシステムが非常に良く機能していると思っております。三井化学らり、今、現場で何が起きているのかに触れる大変良い機会になりました。久保実際に取締役会で議論されてきしさを失うことなく、更に実効性が高いガ業務内容を理解し、現場に触れる機会た具体例として、印象に残っていることはバナンスの在り方を検討し、実現していっがあるからこそ、社外取締役はそれぞれありますか。てほしいと思います。更に幅広い考え方を取り込むという点の経験に基づいて活発に質問を行い、議論を繰り返すことができるのです。鈴木在庫適正管理ですね。当社が取りでは、将来的には女性役員の誕生も視野組むポートフォリオ変革にあたっては、これからの指導・育成あるいはに入れて、久保やはり、工場をご覧いただくと、よＭ&Ａの活用が重要な手段となり、今まで経験を積んでもらうということも必要かり理解が進み、実感がわきますよね。以上にキャッシュフローを意識することと思っております。が大切になります。ところが、私が社外取鈴木工場を見学し、まず、その機器・配締役に就任した当座から、在庫がキャッシ久保ありがとうございます。三井化学ら管の多さに驚きました。そして、これらのュフローを圧迫しているという傾向があしく、という観点で、どのような機関設設備を維持管理し、事故や災害を防ぐたりました。計、あるいは任意の諮問委員会を活用すめの努力は並大抵のことではない、とい現場の声を元に取締役会で検討し、金ればよいか、また、会社の持続的成長とうことを実感しました。額ベースに加えて、数量ベースの在庫月企業価値の向上につながるようなガバナ会社の業績が順調な回復軌道に乗っ数で適正性を確認するようにしました。ンスの形を、これからも追求していきたてきた中、安全あっての三井化学、という理想的な在庫水準までには、もう一段いと思います。ことを、今一度、社員一人一人に自覚を促のチャレンジが必要だと思っています。そしたい、そのように思っています。うした努力で生まれたキャッシュを、更なる成長に活用していきたいですね。鈴木芳夫（すずきよしお） ■ 三井化学らしいガバナンスの在り方当社社外取締役、弁護士法人一番町綜合法律事務所弁護士、中央大学法科大学院教授、㈱サマンサタバサジャパンリミテッド社外監査役久保取締役会で密度の濃い議論を行い、意思決定の迅速化を図るため、社内取締役の人数を絞ることも進めてきました。現在の社内取締役の数は７名と、以久保当社は、監査役会設置会社として三井化学株式会社アニュアルレポート 2015 49