木質ボードの接着耐久性 ―使用環境と強度劣化の関係― 岩手大学

木質ボードの接着耐久性 ―使用環境と強度劣化の関係―
岩手大学農学部 関野 登
“OSB って、合板なみの耐久性があるのですか?”
、“パーティクルボードって、何年も
つのですか?”このような質問は 30 年以上も前から出されている。しかし、合板やボード
類の耐久性に関して、明快に答えられる専門家は殆どいないのではないか?
無垢の木材
であれば、シロアリや腐朽といった生物劣化を防げば、半永久的な寿命にもなり得る。と
ころが接着製品である合板やボード類は、生物劣化と接着劣化の両方を防がなければなら
ない。木材腐朽に関しては菌が繁殖する水分条件と温度条件を回避することで何とか防げ
るが、実際使用中の接着劣化はどの程度の水熱作用の繰り返しで始まるかは不明な点が多
く、木材接着製品の耐久性予測を難しくしている。そこで、日本木材学会木質パネル研究
会では 1991 年に開始した「第一次木質パネル耐久性評価プロジェクト」に続き、2003 年
より第二次プロジェクトを開始した。第二次では、①屋外暴露試験地を国内 8 箇所に増や
し、気象因子をベースとする劣化外力指標を求めて地域に限定されない劣化のマスターカ
ーブを得る、②水分レベルが異なる屋内での暴露試験を行って劣化の有無を調べる、③各
国で規定されている各種の促進劣化試験を行って、屋外暴露結果および屋内暴露結果との
対応を明らかにする、などの目標を立て、20 名以上の方にプロジェクト参加を頂き、2013
年までに大方のデータ収集が終了した。今回のシンポジウムでは、上記②の解析結果であ
る使用環境と強度劣化の関係について紹介する。