CGA対応退院支援ガイド

comprehensive geriatric assessment
Basic ADL
1.排便 2.排尿
1)医学的介入の余地の検討をしているかどうかを確認する
介入の必要がある場合は退院前に
泌尿器科など当該科を受診させる
3)入院中の排尿・排便の間隔・回数・性状・便尿意の有無を家族や介護者に伝え、在宅での介助
の方法を確認する
7)間歇導尿についての家族への教育
5)(必要があれば)定時(寝る前など)に排泄誘導する
2)(排便・排尿関連の処方がある場合)しっかりとした服薬指導をする
4)介助の必要がある場合
・トイレまでスムーズに誘導できるように環境整備する(途中に障害物がある場合は取り除く)
・ポータブルトイレの設置を依頼する
・住宅改修(手すり・洋式化・台座変更等)する
6)留置尿道カテーテルなどのチューブ類がついている場合は
・退院前に尿道カテーテルなどの扱いを覚えてもらう(ひっかけないように注意するなど)
・尿量・色・浮遊物のチェック
・感染の危険についても伝える
3.洗顔
1)日常的に支援を行える家族・介護者を確保する
2)自分でできない場合は、温かいタオルで拭くなど洗顔以外の方法を提案する
4.便器の使用
1)24 時間の見守りが可能かどうかを検証する。できない場合は、時間によってはオムツの使用
も検討する。
2)(必要があれば)定時(寝る前など)に用を足してもらうようにする
3)着脱しやすい洋服、排便しやすい便器などの工夫をする
5.食事
1)安全に提供できる食事の形態について確認する
2)食事の介助法について確認し家族・介護者に指導する
3)経管栄養の実施方法・危険性について家族・介護者に指導する
4)発熱や窒息など状態の変化に気づくための観察ポイントと緊急時の対応について家族・介護者
に指導する
5)食事自助具について指導する
6)特別食が必要な患者について、食事制限等の指示確認をする
7)配食サービスなど、食事の確保の方法を介護者に確認する
8)水分量と食事量(カロリー・制限食品など)を確認する
6.起居・移乗
1)起居・移乗の際に呼吸困難・痛みなど苦痛症状が生じないか確認する。ある場合、その対処法
について家族・介護者に指導する
2)転倒のリスクについて確認する(段差があるか、薬剤を使っているか)
3)必要な福祉器具がないか検討する(電動ベッド・車椅子など)
4)手すりの設置など住宅改修の必要性がないか検討する
5)介助の仕方について家族・介護者に指導する
6)日常生活に不安を感じない程度に支援が受けられているか(買い物・洗濯など)確認する
7.歩行
1)安全に外出できるのかどうかを確認する。不可能な場合は、外出支援など閉じこもり予防策を講じる
2)転倒のリスクについて確認する(段差があるか、薬剤を使っているか)
3)(歩行可能な場合)時間がかかっても自分の足で歩いて移動してもらうようにする
4)(歩行可能な場合)屋内・屋外の障害物を取り除くなどして、歩行しやすい環境を整備する
5)手すりの設置など住宅改修の必要性がないか検討する
6)正しい援助法について家族・介護者に指導する
・麻痺・痛み・しびれがある場合は、利用者の患側に立って援助する
・せかさず、安心感を与えるような声かけをする
<車椅子の場合>
1)車椅子移乗時は転倒が多いため、特に注意することを家族・介護者に指導する
2)正しい車椅子操作法を家族・介護者に指導する
・角を曲がる、方向転換する、スロープを乗り越える、小さな段差(ドアの敷居、コードなど)
を乗り越える、エレベーターを乗り降りする際は声かけをする
・ブレーキのかけ外し、フットレストの上げ下げの際に声かけをしながら行う
・正しい座位を保持できているか移動中も確認する
・タイヤで手や肘をこすったり、床で足をこすることが多いので、手足などの安全に注意しな
がら車椅子を押す
8.更衣
1)着替えやすい服装を工夫する
2)入浴時や就寝前・起床時の着替え支援の担当者を決めておく
3)寒さや暑さへの気配りをするように家族・介護者に指導する
4)安全な援助法について家族・介護者に指導する
・声かけをしながら手伝う
・違和感なく衣服が着られているか確認する
9.階段
1)安心して一人で昇降できるか確認し、必要に応じて滑り止め・昇降機の設置を検討する
2)階段昇降の必要がないような生活環境を検討する(一階に生活場所を移すなど)
10.入浴
1)現在の入浴の状況(誰がどのようにして入浴の介助をしているか)を確認する
2)入浴の結果、衛生が保たれているか、患者が十分に満足しているか確認する
3)介護ストレスが大きかったり、満足いく入浴回数が確保できない場合は、訪問入浴、デイサー
ビスなどを検討する
Instrumental ADL
A.電話
1)電話機の使い方がわからない場合は、その使い方を教えたり、円滑にできるようにアドバイス
する
2)他の連絡方法(葉書、ファックス)などを検討する
3)電話が取れるのであれば、こちらから連絡をするようにする
4)家族や施設スタッフに伝言を頼む
B.買い物
1)買い物ができない一人暮らしの場合は、支援者を確保するように検討する
2)一緒に買い物に行く、ヘルパーさんに買い物を頼む、配達サービスを頼むなどの方法を検討
する
C.食事の支度
1)食事の支度の支援者を確保する
2)配食サービスの利用を検討する
3)中食(惣菜)の上手な利用法などを指導する
4)調理補助具(皮むき器など)の使用を検討する
D.家事
1)一人でできない具体的な家事の内容を確認する
2)家事ができないことで生活上支障がないかどうか、安全上問題がないかどうか確認する
3)できない家事を支援する人がいるかどうかを確認し、いないなら確保する
E.洗濯
1)一人で洗濯できるかどうかを確認する
2)洗濯をする、洗濯物を干す、洗濯物を整頓する、などを適宜支援する人を確保する
3)洗濯に関する適切な補助器具の使用を検討し、使用法を確認する
F.移動・外出
1)一人で外出できるかどうかを確認する
2)外出目的、外出先、外出時間、休憩場所について事前に打ち合わせて支援する人を確保する
3)移動手段を確認し、支援する人を確保する
4)閉じこもりにならないように、定期的に外出する機会を提供する
5)転倒リスクを確認
G.服薬の管理
1)自分で服薬の管理ができるかどうかを確認する
2)服薬できない或いは服薬を嫌がる薬剤はないかを確認する
3)飲みやすい薬剤にできないか、薬の種類を減らせないかを医師が確認する
4)複雑な服薬法を分かりやすいように変更する
5)服薬状況を定期的に確認するような体制を整える
H.金銭の管理
1)金銭の管理ができるかどうかを確認する
2)金銭管理を補助できる人を決める(本人を交えた話し合いが望ましい)
3)成年後見制度の利用について検討する
[身体情報機能]
1.視力
1)視力に問題があるかどうか確認する
2)治療可能な可能性がある場合は眼科受診を促す
3)視力補助器具(拡大鏡など)を勧める
4)代読や誘導など支援者を確保する
5)通路の周囲に障害物を置かない、段差を解消するなど環境整備を行う
6)声かけ、感触、におい、音など視覚以外のコミュニケーションの方法を検討する
2.聴力
1)聴力に問題があるかどうかを確認する
2)治療可能である可能性がある場合は退院前に耳鼻科受診を促す
3)補聴器の装着を検討する
4)相手から見える場所に立ち、ゆっくり、はっきり、低音で話しかけることや、筆談、手話、指
文字などを指導する
5)表情、身振り手振り、触れるなどの非言語的コミュニケーションの重要性を確認する
3.コミュニケーション
1)コミュニケーションがとれるかどうかを確認する
2)コミュニケーションが取れない、もしくはその能力が低下している場合、原因(うつ・認知症
など)を検討する
3)コミュニケーションの重要性を確認し、声かけ、非言語的コミュニケーションを積極的に行う
4.階段昇降
1)階段が一人で昇降できるか確認する
2)階段昇降時に転落しないように援助する
3)階段昇降時に常時見守りがつけるかどうか確認する
4)昇降機の設置、滑り止めの施しなど事故防止の工夫をする
[社会生活]
1.経済状態
1)経済状態を確認する(年金・家賃収入・持ち家制度等)
2)継続支払いが可能な利用額に従ってデイケア、デイサービスなどを検討する
3)生活を経済的に支援する人が居るかどうかを確認する
4)生活保護など福祉制度の利用を検討する
2.婚姻状態
3.家族状況
1)家族、親族がいるかどうかを確認する
2)家族、親族が訪問できるかどうか確認する
3)訪問する人がいない場合は、ヘルパーなど訪問する人を確保する
4.家庭関係
1)家庭関係を確認(親子関係・夫婦関係・親族関係等)する
2)キーパーソンを確認もしくは決定する
1)希薄な場合は、家族などに訪問回数を増やしてもらうように相談する
2)希薄な場合は、家族以外の訪問者・話し相手を確保する
5.集団行動
1)集団行動ができるかどうか(思いやりや敬意を他人に示せるか、社会的慣習に従えるか)確認す
る
2)できない場合、認知症による易怒性などできない理由を検討する
3)できる場合、地域のサークルやクラブ等を紹介し、社会参加を支援する
4)近隣関係を確認する
6.教育歴
1)説明の際の理解度を確認する、説明の際には家族など支援者に同席してもらう
7.職歴
1)職歴を知ることでその人を理解する手立てになる
Mini-Mental State
認知症(中核症状)
1)家族と周囲に対応法を教育する
2)非言語的コミュニケーションを積極的に活用する
3)運転免許証の所持を確認する
所持している場合はどのように安全を確保するか確認する
4)金銭管理ができるかどうかを確認する
できない場合は管理を誰に任せるかを確認する
認知症(周辺症状)
1)認知症がある場合は周辺症状(物盗られ妄想、暴言暴力、妄想、幻視、性的問題行動)がある
かどうかを確認する
2)家族と周囲に明確な対処法を教育する
3)一人暮らしが可能かどうかを検討する(火の元、戸締りなどができるか、セールスに対応でき
るか)
4)病気の原因と予後、予防法(ストレスをかけると進行する)についても話し合う
GDS-15
1)抑うつ状態である場合は、上手な関わり方を具体的に教える
例)
・不満や悩みは聞いてもらうと軽減される場合があるのでじっくりと我慢強く相手の話を聞く
・自分の意見・考えは言わない(本人の話を否定しない)
・励まさない(会話を盛り上げない)
・他人と交流することで気が紛れることがあるので地域活動を含めたレクリエーションを提案
支援する
・気分が落ち着くような雰囲気を作る
リラックスできる家具の配置にする等の生活環境を提
案する
・家族との連携を支援する(家族に訪問を頻回にするように頼む、小さなことでも声かけをす
るように頼む)
・軽い運動、好きな音楽や本を勧める
・健康上の問題が生じたらいつでも受診できることを伝えて安心感を与える
2)不眠、食欲不振など関連する症状を確認する。
3)自殺企図があるなど精神科のコンサルテーションが必要かどうか確認する
4)代替医療(医療マッサージ)などを提案する